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新型コロナ「希望者には全例検査を」してはいけない理由(おそらく首相は理解していない)

2020年02月28日 | 新型コロナ
正直、まともに論じる気力を失っています。(この国の政府に対しても国民に対しても)
前回、クルーズ船で3200人に対し、有病率30%、感度95.0%、特異度99.9%とすると数十人の偽陰性者(感染しているのに見逃される)が生じることを書きました。

ここで、あなたが10万人のまちの市長だとして、市内に100人(有病率0.1%)もの新型ウイルス感染者が野放しになっていて、残りの99900人の命を守らなければいけない。だから全市民に検査をして100人を強制隔離しようと強権発動したとします。

数式や用語は前回書いたので省略します。
(割り算とパーセントなので小学校の算数です)
比較のために特異度99.9%は同じにして、感度を80%まで下げます(現状ではもっと低いようです)。有病率は0.1%なので前回の1/300です。


偽陰性20人(見逃し)
陽性80人+偽陽性100人(濡れ衣)
陽性的中率 44.5%(半分以下)
陰性的中率 99.98%(ほぼ100%)

感染者の5人に1人(20人)は取りこぼして、残りの80人を見つけるために100人に濡れ衣を着せて強制入院させる。

検査を希望者1000人(1/100)に絞ったとしても、その中に対象の100人全員が含まれているわけはなく、有病率は同じ(感染者1人)か多くて10倍程度なので結果は省略します。

ここで、100人のうち80人は軽症か無症状なので、もし発症したとしても市中の医療機関に任せて、検査せずに対症療法で治癒したとします。
その上で、重症化する20人を確実にピックアップすることを目的に、「新型ウイルスを含むウイルス・マイコプラズマ・細菌等」により気管支炎か肺炎に進行しつつある市内の100人を検査対象とすると、その中に20人は確実に含まれていることになります。


偽陰性4人(見逃し)
偽陽性0.08人(濡れ衣は、ほぼゼロ)
陰性的中率は95%となりますが、偽陰性の4人も引き続き医療管理を受けているので、もし改善しないなら再検査して早期に対応することも可能。
偽陽性はほぼ無視できますが、1人と仮定しても、元々重症化しつつある患者なので、過剰治療と考える必要はありません。(症状や検査結果から区別できないし、する必要もない)

現実には、日本国内での有病率は0.1%には遠く及ばず、おそらく0.01%にも達しないでしょう。
でも、東京1千万人の中で0.01%、つまり1千人の感染者が野放しで満員電車に乗っているんです。
これは、放置できないと思うでしょう。
それなら、どうしますか?
(→冒頭に戻る)

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