踊る小児科医のblog

青森県八戸市 くば小児科クリニック 感染症 予防接種 禁煙 核燃・原発

風疹の流行はピークを過ぎたが… 国は「特別な対応は取らず」 個人防衛の徹底を ワクチン流通は回復

2013年08月07日 | 予防接種
 首都圏や関西などで流行していた風疹はピークを過ぎましたが、これは季節的な変動であって、成人にワクチン接種を勧める運動が効を奏したからではありません。特に青森県では流行自体がほとんどみられなかったので、感染する可能性のある人が多数残っている状態が来年以降も続くことになります。

 これまでお伝えしたように、昨年から続いている流行は20~40代の男性が中心で、ほとんどの人は予防接種をしていません。対策は予防接種以外にはありません。

 予防接種の目的として「個人防衛」と「集団防衛」の2つがあります。集団防衛とは、ほとんどの人が個人防衛としてのワクチン接種で免疫を持つことにより、社会全体で流行をなくすことです。同じMRワクチンで接種している麻疹と同様に、風疹も最終的には世界中でウイルスを根絶してしまうことが可能であり、現実に南北アメリカ大陸では風疹の流行が制圧された状態にあります。そんな中で、日本のアウトブレイクは世界から汚染国・流行国と名指しで指定される事態に至っています。

 現在、23歳以下(今年大学を卒業した人と同じ世代)はMRワクチン2回接種を済ませているはずで、接種率は不十分でも今後大きな流行に至る可能性は少ないのですが、その上の世代での流行を防ぎ、先天性風疹症候群の発生をなくすためには、国の責任で幅広い世代に対し出来るだけ短期間にワクチンを接種するしかありません(集団防衛)。しかし田村厚労相は6月に「特別な対応は取らない」と明言しています。

 流行地域だけでなく、青森県内でもいくつかの自治体で風疹予防接種の助成が始まっています。階上町でも条件を限定した助成が実施されていますが、町内の医療機関限定になります。八戸市は県内でも最も消極的です。これらの接種はいずれも個人防衛が目的であって、流行をなくすことは期待できません。流行の大小はともかく、ある程度の流行が今後も数年程度続くものと考えて、家族、会社、身近な集団などの中で、できるだけ多くの人がお互いを守るために自ら接種していくしかありません。

 なお、ワクチンの流通は回復してきたので予約はいつでも可能となっています。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。