6月27日東京文化会館にてオペラ『ナクソス島のアリアドネ』を観て
アリアドネ 見果てぬ夢か つゆ空に
東京二期会オペラ劇場
主催:財団法人東京二期会
ナクソス島のアリアドネ
プロローグと1幕のオペラ 字幕付原語(ドイツ語)上演
台本:フーゴー・フォン・ホフマンスタール
作曲:リヒャルト・シュトラウス
会場:東京文化会館大ホール
公演日:2008年6月26日(木)18:30
27日(金)19:00「オリックスナイト」
28日(土)14:00
29日(日)14:00
上演時間約2時間30分
指揮:ラルフ・ワイケルト
演出:鵜山 仁
装置:堀尾幸男
衣裳:原まさみ
照明:勝柴次郎
演出助手:澤田康子
舞台監督:菅原多敢弘
公演監督:大島幾雄
配役
6月26日(木)/28日(土) 27日(金)/29日(日)
執事長:田辺とおる(全日)
音楽教師:加賀清孝 初鹿野 剛
作曲家:谷口睦美 小林由佳
テノール歌手高橋 淳 青栁素晴
(バッカス)
士官:羽山晃生 髙田正人
舞踏教師:大野光彦 小原啓楼
かつら師:大久保光哉 三戸大久
召使:馬場眞二 石川直人
ツェルビネッタ:幸田浩子 安井陽子
プリマドンナ:佐々木典子 横山恵子
(アリアドネ)
ハルレキン:青戸 知 萩原 潤
スカラムッチョ:加茂下 稔 森田有生
トゥルファルディン:志村文彦 斉木健詞
ブリゲッラ;中原雅彦 児玉和弘
ナヤーデ:木下周子 吉村美樹
ドゥリヤーデ:増田弥生 磯地美樹
エコー:羽山弘子 谷原めぐみ
右手の馬は何だろう花道のようところに犬がいるが・・・・
プロローグ
富豪の館、祝宴のために上演する新作オペラセリア『ナクソス島のアリアドネ』の舞台裏のてんやわんや・・・・館の主人に悲劇オペラでは暗い雰囲気になるので、歌や踊りの道化劇を同時進行するように命じられた作曲家は予想もしないことに絶望します。オペラ監督は作曲家を説得するというドタバタ・・・ここは作曲家が主役のようですね。
悩む作曲家は男装のメゾソプラ歌手ですが、オペラ初心者の私にはなぜ、男装させなければいけないのかチョッと分からず・・・。
プロローグの最初はストレートプレイって感じもしました・・・
この作品はコメディ調を取り入れた一味違ったオペラのようすです。
1幕
幕が開くと能舞台の背景の松を感じさせる洞窟と2本の木の絵の前にゆるい傾斜の台。その上に嘆き悲しむアリアドネ、取り囲むように凝ったコスチュームをつけた3人のニンフ・・・スタートは重厚なオペラのようす・・
「木の精で頭が緑よ」と美樹ちゃんからメールをもらっていたので、ああ・・あれだ・・・美樹ちゃん応援団のカナさん・キヌさん・ユミチャン・ソウ&タマ夫妻と私は主役のアリアドネそっちのけで美樹ちゃんの体や手の動きに目が集中してしまいます。いつものようにキヌさんのオペラグラスが回ってきて、それぞれ美樹ちゃんを確認 1階の前から16列目でも顔は確認できないのが残念
アリアドネ役の横山恵子さんのアリアと優美な身のこなしは気高さが伝わりました。さらに、ポンペイ『秘儀の間』の服装をイメージにしたようなコスチュームの姿形も舞台栄えしていました。さすが二期会のプリマドンナ
今日の美樹ちゃんのお歌もしっとりと澄んだ声でとっても良かったです
嘆き悲しむアリアドネとニンフたちのしっとりとしたムードのところに、道化劇の連中がやってきてアドリアネを励まそうとしますが、無反応・・道化劇の主役となる踊り子の魅力的な派手なコスチュームのツェルビネッタが歌い始めます。ミスマッチのような展開がアリアドネの堂々とした気高さを際立せます。20世紀前半を象徴するようなコスチュームのツェルビネッタのアリアが観客をひきつけます。不思議にアドリアネのアリアに引き込まれ、対照的なツェルビネッタのコケティッシュな魅力たっぷりに歌うアリアも楽しめます。
ストーリーの展開はシュークスピアの演劇を取り入れたのかなとも思ったり・・・。
鑑賞前は調べなかったのですが、この作品は1916年に書かれたようです。1916年というと第一次世界大戦中ではあります、が、20世紀初頭のベルリンはケバッぽく輝いていた時代なので、リヒャルト・シュトラウスはドイツ楽劇の伝統を引きずりながらも新生ドイツの要素を取り入れ新しいオペラ制作に意欲を見せた作品かしらと・・・素人でオペラを知らない者のたわごと、と・・・
後半はバッカスとアリアドネがアリアをたっぷり聴かせてハッピーーエンド
地中海をイメージにした真っ青なステージに照明がぐるぐる華やかに回り、舞台のヘリには貝殻をイメージにしたライトが明るく光るので、舞台全体がオペラというよりミュージカルの舞台という雰囲気で面白い楽しい楽しいオペラでした
前回の二期会オペラ『ヴァルキューレ』は必死になってストーリーを勉強してから鑑賞しましたが、今回の『ナクソス島のアリアドネ』はなぜか気楽になってしまって、まー、アリアドネはわかるわ、と、心配もしていませんでした、が、出掛けにネットで「ナクソス島のアリアドネ ストーリー」と検索してみました。最初のページに高田正人さんのブログがあり、ストーリーが全部書いてありました。高田正人さんは美樹ちゃんの同級生で仕官の役で出演しています。高田さんのストーリーを読むと「あら、大変 2つの話が入り組んでいるわ」あわててプリントして、行きの地下鉄の中でじっくり読みました。これで安心して見られるわと・・・高田さんありがとうございます
さて、アリアドネについてギリシャ神話を紐解いてみます。
ギリシア神話 アポロドーロス著 高津春繁訳 岩波文庫から一部抜粋して読みやすくしました。(人名は本に従って書きます)
クレタ島に住むミーノースとパーシーパエーのたくさんの子供たちの中に娘アリアドネーがいました。
ミーノースはクレタの王となりたかったのですが、反対するものがいたので、神から王国を授けられるものは「何事であれ願うことは遂げられる」といい、ポセイドーンに犠牲を捧げつつ、海底より牡牛が現れることを祈りました。そして、現れた牡牛を神に捧げることを約束しました。ポセイドーンは海底よりミーノースに見事な牡牛を送ったので、ミーノースはクレタの国王になれました。とても見事な牡牛だったのでミーノースは犠牲として捧げるのが惜しくなって、その牡牛を自分の牛の群れの中に放し、別の牛を犠牲として捧げました。怒ったポセイドーンはその牡牛を猛悪にして、ミーノースの妻パーシーパエーが牡牛に欲情を抱くように企みました。パーシーパエーは牡牛に恋してしまい何とか交わりたいと考えました。そこで、アテーナイより追放された工匠ダイダロスを共謀者としました。工匠ダイダロスは車のついた木製牝牛を製作し、その内部を空洞にし、牝牛を剥いでその皮を縫いつけてポセイドーンから送られた見事な牡牛が常に草を食んでいる牧場に置き、パーシーパエーをその中に入れました。かの牡牛がやってきて、真の牝牛だと思って交わりました。パーシーパエーはアステリオス、一名ミーノータウロスを産みました。ミーノータウロスは顔は牡牛、他の部分は人間でした。ミーノースはある神託にしたがってミーノータウロスを迷宮に閉じ込めました。・・・・・(略)
・ ・・・・パンアテーナイ祭でミーノースの息子が優勝しますがアテーナイ王の策略で殺されてしまいました。その恨みからミーノースはアテーナイを攻撃しますが攻略することが出来ません。そこでミーノースはアテーナイの人々を罰するようにゼウスに祈りました。すると、アテーナイを飢饉と疫病が襲いました。アテーナイでは様々な犠牲を捧げましたが、何の役にも立たなかったので、神に助けを求めました。神はミーノースか選ぶいかなる要求も満たすようにと答えました。ミーノースは7人の少年、7人少女にいかなる武器も持たないでミーノータウロスの餌食に送るように命じました。(14名の少年少女の悲劇が9年毎に続き、3度目の時にアテーナイの王子テーセウス加わりました)
テーセウスはミーノータウロスへの第三番目の貢物の中に加えられました。・・・(略)・・・テーセウスがクレータにきた時、ミーノースの娘アリアドネーは彼に恋心を抱き、もし(アリアドネーは)アテーナイに連れ帰って妻としてくれるならば援助しようと申し出ました。テーセウスは誓いをしてこれに同意しましたので、アリアドネーはダイダロスに迷宮の出口を教えるように頼みました。ダイダロスの教えに従ってテーセウスが入るときに糸玉を与えました。テーセウスはこれを扉に結びつけて、引きつつ迷宮に入っていきました。ミーノータウロスを迷宮の一番奥の部屋で発見して拳で打って殺し、糸玉をひきつつ外へ出ました。その夜の間にアリアドネーと子供たちと共にナクソスに着きました。
(テーセウスは神に操られてアドリアネーを置き去りにしてアテーナイに戻り、アリアドネーはバッカスに見初められました)・・
その後、バッカス(ギリシアではデュオニュソス)とアリアドネーは結婚します。ポンペイ遺跡「秘儀の間」の壁画に結婚が描かれています。(私のHPに2004年に書いたものです。よろしかったらクリックしてください)
三人のニンフ 右 磯地美樹ちゃん
ツェルビネッタ:安井陽子さん 指揮:ラルフ・ワイケルトさん ニンフ:磯地美樹ちゃん
士官:髙田正人さん 美樹ちゃん 音楽教師:初鹿野 剛さん
(美樹ちゃんから送信された出演者の写真を追加掲載しました)
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