持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

ナイン THE MUSICAL (1/2)

2005-05-08 02:10:16 | 演劇:2005年観劇感想編
『ナイン THE MUSICAL』
演出:デヴィッド・ルヴォー
脚本:アーサー・コピット
振付:ジョナサン・バトレル,グスタヴォ・ザジャック
出演:別所哲也,純名りさ,高橋桂,池田有希子,大浦みずき 他


東京では再演となるが。大阪では初演。シアターBRAVA!のこけら落とし公演となる。
「数々の傑作を生み出し、世界中の女をトリコにしてきた映画監督の光と影。官能と哀愁に満ちた、スタイリッシュなステージ」

才能あふれる映画監督グイド。その妻ルイザ。その愛人カルラ。彼を愛するプロデューサー・リリアン。彼にインスピレーションを与える女優クラウディア。その他の女たち12名。これでは愛憎も生まれてしかるべき。
グイドはとても妻を愛しているらしい。でも、君だけだと歌いながら。愛人たちにも同じことをいう。罪悪感のかけらもなく。「からだはもう40 心はほんの10」なんて。いいかげんなオトコだ。それでも才能のある男を女は愛するし。繰り返されるスキャンダルは、彼の才能を刺激するのだろう。
ところが。このところスランプらしい。新作のプロットをと、プロデューサーにせめられ。妻と逃げ、愛人に追いかけられ、女優を呼び寄せる。そんな。崖っぷちの状況に、過去の女達もが彼を苛んで。彼はこどものころを想う。ひどく拒絶を受けた9歳。タイトル、『ナイン』だ。幾人に愛されていても、逃れられない苦しい記憶を正面から見つめることになる。

別所氏の動きはダイナミックで、深い絶望を余すところなく伝えてくる。ブロードウェイでは、アントニオ・バンデラスが主演したとのことだが(これを聞いて観たくなったのだが)。彼に近い空気をもつ人ではないかと、今回感じた。
大浦氏はさすがの一言で。厳しくも愛の深いプロデューサー役にはぴったり。客いじりもダンスも余裕でこなす。センターが似合う。純名氏はトップ女優役らしく。見かけからは想像できない声量も久しぶりに堪能できた。そして。グイド少年時代役の樋口真くん。やわらかく動く長い腕と透明なボーイソプラノで。じゅうぶんな癒しを伝えてくれた。

viva! BRAVA!

2005-05-07 02:21:50 | 演劇:予告編
5/3のつづき>
蜷川幸雄演出の『天保十二年のシェイクスピア』
枕詞が、NINAGAWA VS COCOON。シアターコクーンでしか上演はありえないと思っていたら。そして。気分はすっかり、東京チケット争奪戦参戦!となっていたら。な、ん、と、大阪のシアターブラバ!で上演するという。
ニュースソースは、日々此れ雑談。さま。3日のニュースを聞いたあと、この演目で検索の旅に出て見つけたブログさんだ。その記事の中に。東京公演だけでは少なすぎる、「コラボと称して、NINAGAWA VS COCCON & ブラバ!とか・・・・。」という一文があって。
おぉ、画期的だ。なんて乗っかって、楽しい夢を見ていたのだが。素晴らしい。本当に実現するよ(嬉)。チケット争奪が熾烈なことに変わりは無いだろうけど。。あぁ、どうしよう。
とりあえず、明日。BRAVA!に行ったら「ありがとう」を言って来よう。


NINAGAWA VS COCOON Vol.4 『天保十二年のシェイクスピア』
劇場:シアターBRAVA!
期間:2005/10/28~11/6

恋におちたら #4

2005-05-06 01:07:50 | テレビドラマ
フジテレビ 『恋におちたら~僕の成功の秘密~』 ヒルズは歌う


「(島男)おまえは決定的に間違っている」にうなづけるのは。堤真一氏を贔屓に思っているからだけではないと思う。
なにもかもすっ飛ばして。いきなり、次回予告の感想から始めてしまった。

本編。機嫌を直した来日アーティストが、野外で歌うと言い出すところまではいいとしよう(ええっ!いいの!?)。何故そこで会社に報告をいれることができない?いくら最近まで個人事業主だったにしてもあんまりだ。オーケストラの事務所とのやりとりまで一任されていたのか?フロンティア社の人間が、開演してから知るとはなにごとか。

どうせせっかく、のファンタジックドラマ。せめて結末は。どこからともなくカメラ機材等をかき集め。買取したばかりの、整ったストリーミング技術をもってして。360度撮影のネット配信くらいして欲しかった。不可能なネタではないよね? 実際に。出演者の山本耕史氏は、2年も前にブロードバンド配信の劇に主演している(2003年『ROOFTOP』)。当時は時期尚早だと思ったけれど。見られなかったし(←余計な情報)。
今回は感想も迷走気味なので。いったんここまで。
    <特記事項>
  • ミケーレを胃痙攣、て。あとの台詞がほとんどそう聞こえてくるし(苦笑)
  • あの龍太から。よくでてきたな、の単語。ジャポネーゼ
  • 下駄を履いて。あんなに全力疾走できるものなのかぁ。病院大迷惑だろうけど
  • そうだね、どれだけ心配しても。好きな人が無事なら、それだけで「いい」よね
  • 来週は香織が下町組に初加入。さて、浮くのか馴染むのか

離婚弁護士2 #3

2005-05-04 00:20:42 | テレビドラマ
フジテレビ 『離婚弁護士2』~ハンサムウーマン~ 離婚詐欺
演出:松山博昭


今回も。間宮姉さんはしびれるほどに格好が良い。
間宮法律事務所の方針は3つ。1_正しいやり方。2_間違ったやり方。3_あたしのやり方。。ん?間違った?それはやり方としてエントリーするんだね(それがいいところ)。

今回は、期待通りに佐々木蔵ノ介さんが全編通して頑張る。戸田さんにはかなわないが。
佐伯弁護士とのフランクな会話に、過去を軽く疑ってみる。まさか昔の男?(無いな)
「お客さん、らくだって刺身にできるんですかね?」「エジプトの人、怒るんじゃない?」
え?今後松重さんと対決するというようなおいしい展開でも?(きっと無いな)
・・・とりあえず総括。やはり、気の入った蔵りんは素敵だった、ということで。

小池栄子ちゃん。女優さんとして好きだ。以前映画で見たときに注目して。そのときには、バラエティが本業と聞いて、少しがっかりしたのだけど。こんなふうに遭遇できると嬉しい。イマドキ、爪は女の命なのに。たった一回のドラマのために、あんなに短くしてくれたのはほんとに嬉しいなぁ。
    <特記事項>
  • 「女は昔の男を忘れられるか?」・・・真似て打ち込んでみた
  • 「女は昔の男を忘れられるか?」・・・昔の男によるな
  • でも封筒ごと捨てる忘れ方は。またいつか想い出してしまわないかな、センセ

天保十二年のシェイクスピア

2005-05-03 18:21:23 | 演劇:予告編
NINAGAWA VS COCOON Vol.4 『天保十二年のシェイクスピア』
作:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
音楽:宇崎竜童
出演:唐沢寿明,藤原竜也,篠原涼子,壤晴彦,西岡徳馬,白石加代子 他


豪華。出演表に誰を残すか、迷うったらない。蜷川氏そのものもすごいが。これだけの面々を集められることもやっぱりすごい。

物語は。宿場の親分が、娘たちに領地を分け与えた隠退後。領地争いのための謀りごとが始まる。劇中には、あらゆるシェイクスピア作品の役名と台詞が配分される。たとえば、タイトルは十二夜で。原作には37作品があると聞く。
こうなると。筋を追わねばならないし。出典を思い出さねばならないし。お気に入りの役者さんの芝居を観たいしで。そりゃあもう、てんやわんやの観劇になる。

(注:配役の正式発表が確認できておりません。以下はこやまの希望による記述です)
策謀の限りをつくして、野心を達成する佐渡の三世次。あんなに精神的に、また肉体的にもハードな役を3時間以上こなせる役者も少ないと思うが。唐沢氏なら納得。
きじるしの王次には、藤原氏。きっと正統派のロミオやハムレットを演じ終えたからこその配役。相変わらず蜷川氏の溺愛ぶりがみえて微笑ましい。
お光・おさちの二役に、篠原氏。以前『鶴の恩返し』というコンセプトで撮られたポートレートを見て(出版:音楽専科社『snob』vol.2)。ぜひとも和装で舞台に立つ姿が見たいと思ったのだ。願いがかなって嬉しい。

この作品は。2002年に日本劇団協議会10周年記念として、いのうえひでのり氏の演出で上演されている。あのときは、新感線テイストたっぷりのお祭り芝居として、それはそれは楽しませていただいたのだけど。今回は、シェイクスピアにかけては追随を許さない蜷川氏による上演。まったく別の方向に期待は高まる。
そして。関西には来ない、と。ええい、行ってやる!・・・ってチケット取れるのかな。

お気持ち

2005-05-02 23:32:33 | なんでもないこと
ゴールデンウィーク中の平日。仕事で遠出。出先は。京の町、の中心をほんの少しはずれた辺り。早めの昼食を済ますために店に入ったところ。それまで何かの作業をしていたらしい、業者さんの帰り際に居合わせることに。
注文の品を待つ間、なんとは無しに耳にしたやりとり。

業者:「終わりましたんで」
店主:「あぁ、ごくろはん(ご苦労さま)」
業者:「ほんならすんません。お気持ちだけもらえますか。・・・千円で」

店の備品の不具合だとすれば。「お気持ち」は、出張作業料か取替部品代で。どちらにしても正当な請求だと思われる。作業対価であるから、支払いはこころよく行われた。

業者:「ほしたら(そうしたら)、領収書お渡しします」

ここで。領収書はどこからでてくるか。間違っても、その場で準備済みの物が出るようなことはなされない。いただくのは「お気持ち」なのだから、それでは不細工というものだ。まずは車に行き、探して書いたくらいの時間ののちに手にして戻り。そこで店主の手元に渡った。
この予定調和なやりとりを。どう捉えるかは、地方によってきっと大きく異なると思う。ひとつ関西であっても、こういう調法は大阪ではお目にかかれない。
どうにも貧乏クジに感じた仕事日に。いかにもな京都風情を、蕎麦とともに味わえて。しばらく旅気分にひたることができのは幸運だった。

解夏

2005-05-01 00:35:58 | 映画
プレミアムステージ 『解夏』
原作:さだまさし
脚本/監督:磯村一路
出演:大沢たかお,石田ゆり子,富司順子,松村達雄 他


苦しみを描く映画をみるのは少し辛い。息がつけなくなって。こういうとき、流れを断ち切るCMが、ありがたく思えたりするから勝手だ。

日々くもりの増える視界に、焦燥の時を過ごす隆之。恋人の陽子と、故郷の長崎を記憶に焼き付けようと歩き始める。
寺に縁の老人が静かに語る。失明することへの恐怖の期間が「行」で、その「行」の終わりが失明だと。修行僧は、結夏(けつげ)の日に集まり、行を終えた解夏(げげ)の日に再び発つのだという。

愛する人が苦しむとき。果たしてそばに寄り添っていられるかと考える。「なんでも話して」と哀願したい気持ちはあっても。話されたその言葉を、どの気持ちで受け止めて、どの心で返せばいいのだろう。
逆に。苦しむ側だったとき。大切に思う人にどこまで頼ることができるかとも考える。一緒に苦しませたくはない。好きな人には笑っていて欲しい。でも独りでいるのは寂しすぎる。

思いの方向が。ふたり同じだというだけで。もうこれは奇跡だ。お互いの心を抱きしめ合えるのは幸せだ。こんな不幸の中でさえ。
解夏のとき。隆之が言う。乳白色に染まる視界に、薄く残る陽子に。とても穏やかに言う。その、「泣くな」が胸にしみる。