持続する夢

つれづれにふと気づいたことなど書き留めてみようかと
・観劇生活はえきさいてぃんぐに・日常生活はゆるゆると

ゲキ×シネ考

2005-05-29 16:54:10 | 演劇:いろいろ
演劇と映画を融合させて『ゲキ×シネ』。初めて聞いたときにはなんやそれ? だったのだけど、体験すれば良いネーミングだと思う。

舞台と映画の楽しみに違いはいろいろあるけれど。舞台には。たとえ毎日観に行こうとも、完全に同じモノが目の前で展開されないというところがある。だからこそ。同じ演目に何度も通ったり、その刹那をできるかぎり記憶に焼き付けることを楽しみにする。でも、人の記憶は薄れるし。諸事情あって劇場に足をはこべずに、泣く泣く見送ったりすることも多々あるわけで。当然、映像に残れば、という欲求はでてくる。
このところの映像化熱意と技術はどんどんあがってきていて。人気演目のDVD化は流れとして定着しつつある。一点固定だったカメラも複数台に増え、臨場感も楽しめるようになってきた。その作品を映画館で上映する。今回のゲキシネはひとつの到達点だと思う。

上映前の映画館の雰囲気は少し異質だった。あたらしいジャンルだから、舞台側、映画側のどちらからも途惑いはあると思う。映画として評価すると。大写しになることで見えるアラは当然あって、それはもったいない。たとえば衣装や舞台化粧。舞台ファンとしていえば。要所要所で見られるアップは、たとえS席かぶりつきでもお目にかかれるものではなく。どうしても見落としがちな、ピンスポットのあたらぬところで展開される小芝居がフォローされるのも嬉しい(逆にここを映せーっというところもあるが)。実物にかなうものはないという点はゆずらない。それは、スポーツだって歌だって同じこと。

だから。演劇でなく、映画でもない。ゲキシネという、ひとつの文化として定着するといい。自宅で偲ぶためのDVDも良いが、新作としてのゲキシネも良い。自身の経験でいえば。芝居小屋に向かうための時間が、そこに居る時間より長くなると、どうしても足が遠のく。映画館は比較にならないほどたくさんあるのだから。そして、全国同時上映だって可能なのだから(間違っても舞台上演を減らすという方向に進んでもらいたくはないが)。
ゲキシネ鑑賞をとっかかりとして。舞台でみたら面白いかな、と思って。劇場に足を運ぶ人が増えたら嬉しい。