ミクシィ内 「み****っさん」作
ある街の街角に少し古びたおもちゃ屋さんがありました。
お店の片隅には、とても可愛いフランス人形がありました。
人形はいつも同じ場所に座り、同じ景色を見つめていました。
それでも、人形はお店のおじいさんがいつも櫛で髪を綺麗にとかしてくれることを、とても幸せに感じていました。
それは寒い冬のことでした。
おじいさんは病気がちになり、お店を閉じなければと思っていました。
そんな雪の日に、小さな少女がお店に現れ、両手にいっぱいの小銭を抱えてやってきました。
「おじいさん、あのお人形ください。」
「おやおや、このお金はどうしたんだい?」
「あのお人形さんを買うために貯めたの」
おじいさんはしばらく考え、少女に人形を渡しました。
「ありがとう!!!」
少女は笑顔で人形を抱きしめ走り去っていきました。
おじいさんはその背中をいつまでも見ていました。
少女はその人形をとても大切にしました。
寝るときも、旅行に行くときも一緒でした。
「ねぇ、あなたはなんでそんなに悲しい目をしてるの??」
少女は時々人形に話しかけていました。
人形は、喋れないし、涙さえ出せないのに…
人形は、少女と暮らして幸せでした。
専用の椅子や洋服も買ってもらえて、沢山の景色をみることができました。
それでも、時々おじいさんをおもいだすことかありました。
優しい指で撫でてくれたおじいさん。
埃が被らないよう毎日掃除してくれたおじいさん。
いつも語りかけてくれてたおじいさん。
ある日少女は一人旅にでることにしました。
もう小銭を握り締める年ではなくなったのです。
その旅にはもちろん人形も一緒に…
その頃おじいさんは、すっかり片づいた店と病院の往復で、ほそぼそと暮らしていました。
子供のいないおじいさんにとって、店の前を走る子供たちをみるのが唯一の幸せでした。
この日は午後から豪雪のため、外に出ることができませんでした。
椅子に座り、煙草に火をつけ、ふと人形のことを考えていました。
おじいさんの妻は病弱で、子供を産むことができない体でした。
弱っていく妻をみて、おじいさんは少しでも和むならと人形を作ろうと思い立ちました。
「もうすぐできるからな。可愛い可愛い…」
「はい…あなた」
そして、出来上がった人形を見せると
「これが私たちの子供ね…」
と言い、やがておじいさんの妻は息を引き取りました。
コンコン
扉を叩く音で眠りから覚めたおじいさんは涙を拭いながら扉に向かい
「どちら様だい??」
―ただいま…
はて?と思いながらも扉を開けると
そこにはすっかり大人びたあの少女が立っていました。
もちろん人形を抱えて…
「なんかおじいさんに会いたくなったの」
と少女は言い、おじいさんは涙で顔をぬらしながら
「おかえり…」
と言いました。
――ただいま。お父さん。
その声は確かにおじいさんの心に聞こえました。
ある街の街角に少し古びたおもちゃ屋さんがありました。
お店の片隅には、とても可愛いフランス人形がありました。
人形はいつも同じ場所に座り、同じ景色を見つめていました。
それでも、人形はお店のおじいさんがいつも櫛で髪を綺麗にとかしてくれることを、とても幸せに感じていました。
それは寒い冬のことでした。
おじいさんは病気がちになり、お店を閉じなければと思っていました。
そんな雪の日に、小さな少女がお店に現れ、両手にいっぱいの小銭を抱えてやってきました。
「おじいさん、あのお人形ください。」
「おやおや、このお金はどうしたんだい?」
「あのお人形さんを買うために貯めたの」
おじいさんはしばらく考え、少女に人形を渡しました。
「ありがとう!!!」
少女は笑顔で人形を抱きしめ走り去っていきました。
おじいさんはその背中をいつまでも見ていました。
少女はその人形をとても大切にしました。
寝るときも、旅行に行くときも一緒でした。
「ねぇ、あなたはなんでそんなに悲しい目をしてるの??」
少女は時々人形に話しかけていました。
人形は、喋れないし、涙さえ出せないのに…
人形は、少女と暮らして幸せでした。
専用の椅子や洋服も買ってもらえて、沢山の景色をみることができました。
それでも、時々おじいさんをおもいだすことかありました。
優しい指で撫でてくれたおじいさん。
埃が被らないよう毎日掃除してくれたおじいさん。
いつも語りかけてくれてたおじいさん。
ある日少女は一人旅にでることにしました。
もう小銭を握り締める年ではなくなったのです。
その旅にはもちろん人形も一緒に…
その頃おじいさんは、すっかり片づいた店と病院の往復で、ほそぼそと暮らしていました。
子供のいないおじいさんにとって、店の前を走る子供たちをみるのが唯一の幸せでした。
この日は午後から豪雪のため、外に出ることができませんでした。
椅子に座り、煙草に火をつけ、ふと人形のことを考えていました。
おじいさんの妻は病弱で、子供を産むことができない体でした。
弱っていく妻をみて、おじいさんは少しでも和むならと人形を作ろうと思い立ちました。
「もうすぐできるからな。可愛い可愛い…」
「はい…あなた」
そして、出来上がった人形を見せると
「これが私たちの子供ね…」
と言い、やがておじいさんの妻は息を引き取りました。
コンコン
扉を叩く音で眠りから覚めたおじいさんは涙を拭いながら扉に向かい
「どちら様だい??」
―ただいま…
はて?と思いながらも扉を開けると
そこにはすっかり大人びたあの少女が立っていました。
もちろん人形を抱えて…
「なんかおじいさんに会いたくなったの」
と少女は言い、おじいさんは涙で顔をぬらしながら
「おかえり…」
と言いました。
――ただいま。お父さん。
その声は確かにおじいさんの心に聞こえました。
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