http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015060202000123.html
<柳沢協二氏の安保国会ウォッチ> 機雷掃海 議論するほど矛盾鮮明
安倍晋三首相は一日の答弁で、集団的自衛権を行使して戦時の中東・ホルムズ海峡で実施する機雷掃海について「受動的、制限的な行為」と強調するため「完全な停戦合意はしていないが、合意に向けた話し合いが進んでいる状況」でのみ行うような説明をした。
だが、そんな限定的状況なら期間も短く、ほどなく正式停戦になるし、手続きが残っているだけなら外交力で早く決着させればいい。原油の輸送ルートもほかにあり「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」という武力行使の要件に当たるはずがない。
首相はこんなに無理がある事例に、なぜこれほどこだわっているのか。
現憲法で集団的自衛権の行使を容認する解釈の変更をするために、何とか説明のつく事例として、自身が一番理解できたのが機雷掃海だからではないか。
首相は私が官房副長官補を務めていた第一次政権でも解釈変更しようとしたが、当時の事例は弾道ミサイル迎撃と米艦防護で、機雷掃海はなかった。今回、機雷掃海が加わったのは、おどろおどろしくなく、国民にも理解されると思ったのかもしれない。
だが、要件と矛盾するのは明らかで、議論すればするほど説明がつかなくなっている。
集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」や他国軍を支援する「重要影響事態」に、明確な認定基準がない。
特に存立危機事態は日本が武力行使するトリガー(引き金)であり、武力行使とは戦争だ。国がいつ戦争するか、主権者である国民の誰も分からない法律をつくろうとしている。立憲主義からもおかしい。 (聞き手・上野実輝彦)
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