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市民連合 「立憲4党と語る、これからの日本 民進党編」 2017.5.8

2017-05-09 00:40:21 | 政治 選挙 

市民連合

立憲4党と語る、これからの日本  
http://shiminrengo.com/archives/1527

市民と立憲四党の共闘の原点は、尊厳ある個々人の暮らしを守るための「リスペクトの政治」。 そこから浮かび上がる日本の課題、また必要な政策対応はどのようなものなのでしょうか。 市民の声に応え、衆院選で確かなオルタナティブを提示するために、 立憲四党それぞれが構想する未来の展望をじっくり聞いてみました。


May 08 2017

立憲4党と語る、これからの日本 民進党編

「強い危機感と使命感を持って、野党勢力を結集し、政権を担うことのできる新たな政党をつくる」と宣言し、かつての民主党が民進党として再スタートを切ったのは、およそ1年前のこと。しかし、国会論戦で個々の議員の活躍が注目されることはあっても、党全体としてはネガティブなイメージを増幅させる報道が先行し、その支持率はなかなか上がらない。
では、今の民進党の本当の姿は?
「市民の動きをきっかけに垣根を超え、原発ゼロを明言し、脱原発を実現可能なものにしていく」と野田佳彦幹事長が語り、「政治家の自己実現、“男のロマン”追求のような独善的な政治ではなく、市民の声を聞き、解決策をつくり、実現する政治に変えていきたい」と山尾志桜里議員は応じた。
「国民とともに進む」政党となるべく自己変革に挑戦する、民進党のキーパーソンたちに話を聞いた。

民主党時代の反省と、民進党の新しい出発

津田 こんにちは、ジャーナリストの津田大介です。本日は市民連合主催の『立憲4党と語る、これからの日本』の企画の第一弾で民進党の皆さんにインタビューを行います。市民連合から岡歩美さんと一緒に、民進党幹事長の野田佳彦さん、民進党国民運動局長の山尾志桜里さんにお話を伺っていきたいと思います。
では、さっそく野田さんにお伺いします。まずは、民主党政権について伺います。期待の大きかった民主党政権の3年間については、さまざまな評価があります。元総理として、政権を取るまでの民主党、そして政権を取ってからの3年間をどのように振り返りますか?

野田 ひとつの例を挙げれば、官僚との向きあい方に問題があったと思います。わたしたちは「官僚主導」に対抗して、「政治主導」を掲げました。あくまで政治家が政権運営を主導する政治をつくろうとしました。そのため、困難な課題に直面したとき、官僚と一緒に、チームとして解決しようとしなかった。これが反省点です。課題の解決を役所の方々とも共有し、共に議論し、解決していく、政権運営の新しい仕組みを考えていかなければなりません。

但し、安倍政権を見ると、あまりに官僚と癒着しています。いわゆる「忖度」など、別の弊害も出てきている。ですから、もし次に政権をとったときは、頼れるところは頼りつつ、癒着のないよう、バランスをとって政権を運営していきたいと考えています。

津田 山尾さんは、与党としても、野党としても、経験があります。政権をとってからの3年間、それから民進党としての野党の期間をどう捉えていますか?

山尾 民主党に政権が代わってから、「一緒に変えたい」と思っている官僚の方もいたはずですが、協力することができなかった。そういった方たちと一緒に政権を運営できなかったことは反省しています。
いまは野党として、政権が提案する政策に対して、役所と一緒に修正や廃案を求めることがあります。そのときに、民進党はどんな哲学や態度をもって修正を求めるのか、なぜ反対なのかをしっかりと説明し、伝えることが大切です。コミュニケーションを通じて、役所とのかかわりを蓄積していきたいと思います。

津田 今日は市民連合から岡歩美さんにも来ていただきました。岡さんは、民主党から民進党への一連の動きについて、どうお考えですか?また、政治に興味をもったのはいつごろからでしょうか?

 わたしはもともと無党派で、ニュースを見ない若者でした。しかし、3.11をきっかけに政治に興味を持つようになりました。わたしの親は当時、民主党を応援していたけど、失望したことで、「やっぱり今の自民もよくないけど、民主に任せても期待できない」と、ニュースを見ながら言っているのを聞いて、ああそうなのかと思っていました。
しかし、SEALDsで市民運動に関わり、民進党の議員の皆さんと連携するようになって、真摯に向き合っている人もいるんだと、イメージが変わりました。

津田 野田さんは、民主党から民進党に、党名を新しい名前で再出発をしたことについてどうお考えですか?

野田 民主党時代に、高校の無償化をやりました。最近、大学生になった方たちにこう言われました。「あのときの無償化のおかげで、ぼくは公立高校を出ることができた。いまでは教育学部を出て、教師になれる」と。そういう意見を聞くと嬉しくなります。
そういった政策を、これから民進党として、もっとダイナミックにやっていきたい。過去のことで反省しなければいけないことはたくさんあります。しかし、これまでやってきたポジティブなことは引き続きやっていきたいと思っています。

津田 旧民主党と民進党で、受けついだ部分と変わった部分があると思うのですが、一番変わったのはどこでしょうか?

野田 あらためて理念や綱領を定義したことです。それは「自由・共生・未来への責任」です。この3つの理念をもとに政策を実行しようと合意しました。これらはいまの安倍政権でないがしろにされている重要な価値観だと考えます。

津田 山尾さんはいかがですか?

山尾 民進党になって、30代、40代の価値観を共有した若手議員の層ができたことは大きいと思います。それから、今の民進党にはまとまりがあります。政権をとっていた当時、原発の問題をどう解決するかでバラバラになってしまいました。「原発のない社会を目指す」という意志は同じだったのに、いつまでに実現するのかなどの各論では、割れてしまったんです。そして結局、沈黙を続けていた自民党に負けてしまいました。いまの民進党の議員たちは、バラバラになって負けたことの悔しさを共有しています。

民進党は政権を取る気があるのか?

津田 原発のお話が出たのでお伺いします。原発について世論調査をすると、いまだに民意の6〜7割は「脱原発」です。ところが、その民意は選挙結果にあまり反映されていない。それは、民進党が明確に「脱原発」を打ち出していないため、受け皿として頼りないからはないでしょうか?

野田 2030年代に原発ゼロを目指す、そのために全力を尽くす。これを野田内閣のときに決めました。

津田 当時、3種類の世論調査をしましたね。あれは非常によかったと思います。

野田 その世論調査を踏まえながら、議論しました。いまだに、原発ゼロを目指すということに変わりはありません。もちろん、代替エネルギーをどうするかなど、いろんな課題があります。いま、最新のエネルギー情勢を踏まえて、さらに丁寧な議論をしています。
次の選挙までには、エネルギー政策を一つの大きな柱として、政権公約に掲げます。確実に、自信をもって「原発ゼロ」を明言します。脱原発を、理想論に終わらせず、説得力があるもの、実現可能なものにしていきます。

津田 もともと民主党はとても幅の広い政党でした。保守の人も、リベラルの人もいました。ある意味で自民党以上に幅があると思います。山尾さんはいまの民進党の体質についてどのようにお考えですか?

山尾 確かに民進党にはリベラルも保守もいます。しかし、自己責任型の社会から、多様な価値観を認め、共に支えあう社会の構築を目指すために、0〜22才までの教育無償化を中心に社会保障のサービスを充実させていこうという方向性は共有しています。
また保守といっても、さまざまな定義があります。民進党のなかで保守というときの意味の1つには、手段としての保守、つまりリベラルな政策を、今までの積み重ねを尊重しながら地道に実現していこう、という趣旨がこめられているのではないかと思っています。

津田 これからクローズアップされていく問題として、都市と地方の対立があると思います。いまの民進党は、都市と地方という新しい軸があるときにどういう政策をやっていこうと考えていますか?

山尾 都市だけでなく、地域にも心をくばるのはとても大切です。保育園の待機児童が問題になったとき、「それは都市の問題でしょ?」という声がありました。しかし「保育園落ちた」というブログの意味は、自民党やこれまでの政治が、子供や若者に冷たい政治であることの指摘であり、その象徴的な出来事だったと思います。このことを切り口にして、さまざまな教育、保育の問題に関する声が広がっていきました。
確かに地方には待機児童は多くないかもしれない。しかし地方にも、教育に不安をもつ人はたくさんいます。子供を都会の大学に通わせることについて、「本当に通わせられるのだろうか?うちの家計はもつのだろうか?」という声をよく聞きます。
その意味で、ピンポイントの政策で、ひとつひとつ解決しながら、広げていくことはとても大切です。多くの市民に自分たちの悩みごとを解決してくれる政党だと思っていただけるように努力していきたいです。

津田 いま野党は、国会の質疑において、ただ反対をすることでしか存在感を示せなくなってきています。そんななかで、本当に民進党は政権を取る気があるのでしょうか?

野田 いま共謀罪に関しては、野党で一致して廃案に追い込もうとしています。しかし、ただ反対するというより、大きな立ち位置を明確にした上で反対していくという姿勢は大切だと思います。なんでもかんでも反対というわけではない。
たとえば、観光に力を入れることやオリンピックの開催には賛成です。テロ対策もやる必要がある。そういう前提に立つけれど、共謀罪はまやかしであるし、カジノ法案には反対しています。カジノなしで観光立国を目指せばいい。反対のための反対ではありません。

津田 しかし、国会中継などを見ると、どうしても反対のための反対に見えてしまうという問題があると思います。「対案を出すことが大事だ」と言われたら、民進党としてはどのように答えますか?

山尾 森友学園や共謀罪の問題について追及するのは、野党としてやるべきことです。それは他の野党と一緒に、堂々とやりたいと思います。
一方で、民進党がこれからやるべきことは、安倍政権の土俵に乗るのではなく、自分たちの土俵で勝負することです。安倍政権と向き合うのではなく、国民と向き合って、自分たちで土俵を設定して、提案していく。それは意味があることです。たとえば、安倍政権はもともと待機児童や保育の問題に取り組んでいませんでした。野党であるわたしたちが、市民の声を聞いて、問題を取り上げることで、政治が動いたんです。そうしたときに初めて、数では上回っている与党をリードできるようになるのだと思います。

市民と共に政治を変えるー政治にかける想い

津田 山尾さんは政治家になって、特にどこを変えたいと考えたのですか?

山尾 いまの政治は、自分の自己実現のためにやりたいことをやるという男性中心の政治だと思います。そういった、政治という仕事を使って男のロマンを追求するという政治を変えたいです。いまの自民党はそういう政治です。そうではなく、市民に求められていることをしっかりと受け止め、解決策をつくって、実行していく。そういう政治文化に変えていきたいと思います。

津田 そもそも検事から政治家に転身したきっかけはなんだったのですか?

山尾 検事をやって、ある事件に出会いました。60代のホームレスの女性が河原で殺されていました。犯人は、中学生男子3人と、30代の無職の男性の4人組でした。取り調べもしたのですが、不条理だと思いました。なぜ、このようなことが起きてしまったのか。問題を抱えた中学生たちや無職の男性を、政治や社会が「自己責任」の名の下に放置した結果、もっとも弱い立場のホームレスの女性がそのツケを回されたのではないでしょうか。
だれしも、自分ひとりだけの力で一生を送ることは困難です。だから、社会問題を「自己責任だから」と言い訳する政治を変えたい、そういう思いをもって、民主党に入りました。

津田 野田さんは、もともと政治家を目指したきっかけはなんだったのでしょうか。また民進党にかける思いはなんですか?

野田 わたしはもともと無口で、話すのが苦手でした。小学校のときに、生徒会長の選挙に無理やり出されて、それがいまでもトラウマです(笑)。だから、大学生のときは、ペンを通じて政治を変えようと政治部の記者を目指していました。

しかしある時、ふと、やる気になってしまい、自分でやってみようと思いました。政治の枠組みとして自民党に代わる、もう一つの政党をつくることに、全ての力を注ごうと、若い頃に決意をしました。というのも、オルタナティヴな政党をつくることが政治の前進につながると考えているからです。だから、保守系と言われながらも自民党には一度も入ったことがない。これだけは貫きたいと思っています。

また、こちら側が発信することよりも、市民の声、特に若い人たちの声を受け止めることを心がけています。 一人ひとりと膝を付き合わせながら、来るべき政権交代のために、国民政党として、徹底的に、耳を傾ける運動をしていかなければならないと考えています。

津田 では、現在さまざまな問題があるなかで、民進党はなにに一番力を入れますか?「ここを変えます」というのを教えてください。

野田 トータルな社会像としては、分厚い中間層の復活を目指します。アベノミクス政策にトリクルダウンというものがありますが、トリクルダウンは起きていないし、起こりません。ですから、わたしたちは、中小企業・地方・非正規雇用の人たちにスポットを当てた、きめ細やかな社会保障の政策をおこない、経済全体の底上げをします。崩れつつある中間層を守る、あるいは中間層からこぼれ落ちた人たちを支える、そういう政党としてやっていきます。

津田 自らを保守と位置づける野田さんが、それでもなお、自由や共生を掲げて政権の選択肢を増やそうとしています。その一番大きなモチベーションはなんですか?

野田 いま、総理周辺でうごめいている人たちは「陰険」な保守です。そうではなく、民進党は「穏健」な保守としてやっていきます。日本が一番よかったのは、中間層が分厚いことだったと考えている「穏健」な保守の人たちはたくさんいます。そのような分厚い中間層のなかでこそ、自由や、多様性が守られます。しかしそれが壊れつつある。ですから、中間層の厚い、共に生きる多様な社会を再び取り戻すこと、それは政治において最も重要なことではないでしょうか。

また、これは野党共闘とも関わることですが、わたしたちがこれまで関わってこなかった、市民運動をする人たちとお話をするなかで、実は市民と一緒にできることがたくさんあるのだと思えるようになりました。市民の動きが一つのきっかけになっています。垣根を超えられるようになってきていると実感しております。

津田 山尾さんにとって、民進党にしかない価値とはどういったものでしょうか?

山尾 市民の声とつながり、成功体験をつくっていけることだと思います。たとえば、大学の奨学金の問題について、10代の若い人たちが18歳選挙権をきっかけとして、大きな運動を起こしました。それを各野党は受け止め、4月から奨学金の問題解決に向けて、活動をはじめました。市民の声を受けて、こちらが変わらざるを得ませんでした。待機児童や保育の問題も同じです。

だから野党でも、市民と政治家がつながれば、ここまでできる。そういった成功体験を一個一個つみあげて、わたしたちが「政権をとりたい!」というのではなく、「民進党は野党でもこれほどがんばっているのだから、与党だったらもっとがんばってくれるんじゃないの?だったらもう1回政権を担わせてみよう」と、市民のみなさまから言ってもらいたい。そういう政党にしていきたいです。

津田 ありがとうございました。

 

 


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