※政府や官邸の主導でどんな事実も書き換えられるということがまかり通れば、なんでも政府の思うどおりに物事を進めていくことが可能になる。
これでは北朝鮮と変わらない独裁国家であり、法の支配が機能しない無法国家と同じだ。(文中より)
歴史的犯罪“公文書偽造”で安倍政権が“朝日の情報源”ツブシに動き始めた! 安倍首相が元財務次官、内調トップと密談
首相官邸ホームページより
財務省が森友学園との取引に絡んだ決裁文書を改ざんしていた──朝日新聞が先週金曜日にスクープした疑惑について、財務省は調査結果を6日までに報告するとしていたが、きょうになって麻生太郎財務相は調査の結果ではなく「方針や留意点などの調査の状況」の報告になると発言。「捜査が終わらないと個別な調査がなかなかしにくい」と言い、本サイトの予想どおり、文書の開示を拒否する予防線を張りはじめた。
そして、こちらも案の定と言うべきか、安倍首相の子飼い議員のあいだからはいつもの「朝日バッシング」が起こっている。
たとえば、衆院予算委員会の筆頭理事でもある菅原一秀議員は、自身のブログで朝日の報道を取り上げ、〈その文書のコピーがあるのか?どこから入手したのか?〉〈朝日新聞もきちんと裏付けを公表すべきだ〉と言及。さらに、モリカケ問題で安倍首相とともに朝日バッシングを繰り広げてきた自民党広報副本部長の和田政宗議員も〈複数の関係者の証言以外の客観的証拠はあるのか?〉と責め立てている。
こいつらの頭のなかはいったいどうなっているのか。そもそも、この問題はすでに「事実か否か」というようなレベルの話ではない。事実であることは確定的なのだ。
なぜなら、麻生太郎財務相も財務省の太田充理財局長も、改ざんを否定できず、「捜査に影響を与えるか予見しがたく、答弁は差し控える」としか言えなかったからだ。
また、きょうの予算委員会でも「(改ざんの有無を)なぜすぐに答えられないのか」という質問に、太田理財局長は「さまざまな方面とも調整している」という、苦しい答弁に終始した。
財務省内部の文書の有無なんて数時間もあれば調査ができる。文書が一つしかなく、改ざんがなかったら、すぐさま「ない」と否定して鬼の首をとったように「朝日の捏造だ」と喚きたてるだろう。それさえできないということは、改ざんした事実を知っているから何も言えないということを示している。
現に、朝日がスクープした翌日3日には、毎日新聞が朝刊で首相官邸幹部が「少し言葉を書き換えた程度の話だ。大したことはない」とコメント。これは官邸も文書の改ざんを認めているようなもので、早くも「程度」の問題にすり替えようとしているのだ。
安倍首相が内調トップ・北村滋、当時の財務次官・田中一穂と密談した中身
そしてもうひとつ、安倍政権と財務省が推し進めているのが、今回の“文書改ざん”の責任をすべて近畿財務局に押し付けて、トカゲの尻尾切りで終わらせてしまう作戦だ。
きょうの参院予算委員会で、改ざんされた後の文書には近畿財務局管財部次長の決裁印が押されていたことが明らかにされたが、そもそもこの文書は森友問題が厳しく追及されていた昨年2月、国会に提出されたもので、財務省幹部や政権幹部の指示がないというのはありえない。改ざんを指示したのはどう考えても財務省幹部、官邸幹部だ。
ところが、安倍政権は決裁印が近畿財務局だったことを前面に出して「近畿財務局が勝手にやった」として押し切るつもりなのである。
ただし、そのためには、決裁印を押した当事者と朝日の情報源の口を封じる必要がある。朝日新聞の情報源は、本格捜査の世論づくりを狙う検察と、トカゲの尻尾切りにされそうになって怒った近畿財務局職員の告発というのが有力視されているが、もし近畿財務局内に情報源がいて「本省や官邸から指示を受けた」という実名証言、もしくは匿名でも指示ルートの具体的証言があれば、それこそ財務省と官邸側は言い逃れできなくなる。
だから、官邸は週末から、朝日が物証を持っているのか、情報源が検察なのか内部告発なのか、次にどういう動きに出ようとしているのか、情報を掴むのに必死になっている。
事実、安倍首相は朝日がスクープを飛ばした2日、参院予算委員会が終わるや否や官邸で内閣情報調査室のトップである「官邸のアイヒマン」こと北村滋内閣情報官と面談。その後、いくつかの予定をこなしたあと、有楽町のフランス料理店「アピシウス」に向かうと、再び北村内閣情報官と、日本政策金融公庫の田中一穂総裁らと会食している。この田中総裁は、第一次政権で安倍首相の秘書官を務めていただけでなく、2016年6月まで財務省官僚トップである事務次官を務めていた人物。つまり、森友学園への土地売却が決定した際の事務方の最高責任者だ。
また、北村内閣情報官といえば、前川喜平・前文部科学事務次官の“出会い系バー通い”調査や、準強姦罪もみ消し疑惑報道では山口敬之氏が泣きついた相手とみられているように、政権批判に対するカウンター情報や政敵のスキャンダルを流してきた安倍首相の片腕。そして、もとの決裁文書の最高責任者も顔を揃える──。この面談の目的が改ざん疑惑への対応であることはあきらかだろう。
「おそらく、決裁印を押した近畿財務局管財部次長に因果を含め、朝日への告発者を特定して、口をふさぐ作戦を話し合っていたんでしょう」(全国紙政治部記者)
朝日は証拠を小出しにする作戦か…自民党の卑劣な報道圧力
一方の朝日はいまのところ、物証も新たな証言も出していないが、情報を小出しにする作戦ではないかと言われている。実際、加計学園問題の「総理のご意向」文書を報じたときは、当初、日時や出席者の入っていない文書を報道し、菅義偉官房長官に「怪文書」と反論させてから、文書の全容を突きつけた。今回も同じように、政権側に否定させておいて、決定的な証拠や証言を出すつもりではないかというのだ。
だが、ここではっきりさせておかなくてはならないのは、朝日がこれ以上の物証を出さなくても、告発者に実名証言をさせられなくても、それは朝日の報道が誤報ということではまったくないし、安倍政権と財務省がシロになることも一切ない、ということだ。
前述のように、文書の改ざんがあったことは、記事や財務省、麻生財務相の対応を見れば明らかだ。しかし、だからといって、捜査権限をもたないマスコミが、省庁内の内部文書の写しを入手しているとはかぎらない。仮に入手していたとしても、「外には出さない」という条件を付けられている可能性もある。いくら義憤にかられたとしても、官僚が秘匿された公文書を持ち出すという、リスクの高い行為を犯すことはめったにない。