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原発、コスト増でも推進 1基4400億円試算 実情1兆円超 2018.5.17 東京新聞 / エネルギー計画 公募意見「黙殺」 原発再稼働政策に反対多数 2018.5.

2018-05-18 23:51:45 | 福島、原発

原発、コスト増でも推進 1基4400億円試算 実情1兆円超

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 経済産業省が十六日に公表した二〇三〇年に向けた新しいエネルギー基本計画の素案で、将来の電源構成を決める際に大前提となる各電源のコスト推計に、近年の原発建設費の高騰を反映させていないことが分かった。建設費は政府が四年前に前回計画を策定した際に前提とした「一基四千四百億円」から、原発メーカーや商社によると倍の一兆円以上になっている。だが、経産省は「最も安い電源」とした前回推計は堅持。電源構成に占める原発の割合を現状の2%弱から三〇年度に20~22%に拡大する方針をそのまま踏襲する。

 専門家からは「原発がコスト競争力を失っている状況を反映しないのはおかしい」(自然エネルギー財団大野輝之常務理事)との批判が出ている。

 素案が前提にしているのは政府が一五年にまとめた試算。一基当たりの建設費を四千四百億円と推定。原発の発電コストを「一キロワット時当たり一〇・一円以上」と推計し、このうち三・一円が建設費に相当する計算で、石炭火力(一二・三円)や水力(一一円)より安い電源と位置付けた。

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 しかし、その後、三菱重工がトルコで進める計画や東芝が米国で着手した事業(現在は米企業が継承)では建設費が一基あたり一兆円を超えている。東京電力福島第一原発事故後、安全規制が強化されたためだ。単純計算で発電コストに占める割合は六・二円以上になり、原発の発電コストは一三・二円以上に上がる。石炭火力や水力を上回り最も安い電力ではなくなる。

 龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)によると前回の政府試算以降に明らかになった福島事故処理費の膨張を勘案した事故リスク対応費の増加分なども算入すれば、原発発電コストは「一七・六円以上」に上がり、太陽光電力の入札価格の一七・二円(一七年度、大規模設備対象)も上回る。

 これらの状況にもかかわらず、経産省は素案では原発について「低廉で変動がない重要な基幹電源」の位置づけを変えていない。

 原発は現在五基が再稼働しているが20~22%の達成には三十基程度の稼働が必要になり、老朽原発が多いことを考えれば新設も必要になる可能性がある。

 素案は原発堅持の一方、太陽光など再生可能エネルギーの比率目標は従来通り22~24%に据え置いた。

 経産省はホームページで国民からの意見を募集する「意見箱」やパブリックコメント(意見公募)を経て、七月上旬に閣議決定する方針だ。 (伊藤弘喜)


 

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エネ計画 公募意見「黙殺」 原発再稼働政策に反対多数

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 二〇三〇年に向けた「エネルギー基本計画」の見直しに関し、四月末までに政府に寄せられた三百六件の国民からの意見を本紙が分析したところ、原発再稼働を急ぐ政府の現行政策に反対を表明する意見が三分の二を占めていたことが分かった。反対意見は審議会ではほとんど議論されず、政府は新計画でも現行の原発拡大目標を堅持する。意見募集しながら反映は拒む経済産業省の姿勢に、審議会委員の一部も「国民の意見が軽視されている」と批判している。 (伊藤弘喜)

 経産省は昨年夏から計画の四年ぶりの見直しに着手。十六日にも新計画案を公表する。「計画策定に際して幅広く意見を募集する」として「意見箱」の名で窓口を設置。年初からホームページや郵送で国民や団体から記名による意見を募集した。多数の意見が集まったが、経産省は傾向などは分類しておらず、審議会で参考配布しただけ。審議でも窓口設置以降三回の会合で国民意見に言及したのは消費者団体顧問の辰巳菊子氏だけだ。

 意見は「基幹電源を原子力に置くのは世界の流れに逆行する」など原発ゼロや縮小を求める声が二百二件(66%)に達した一方、太陽光など再生可能エネルギーは現行目標より拡大すべきだとの意見が百九十一件(62%)を占めた。

 しかし、政府は新計画で両電源とも四年前に決めた目標を全く変えない。原発は「基幹電源」の位置づけを変えず、電力に占める割合を三〇年度時点で「20~22%」とする目標も堅持する。一六年度実績の1・7%からは大幅拡大する。再生エネは「22~24%(一六年度実績15・3%)」に据え置く。

 日本のエネルギー政策を左右し、国民の安全や生活に大きな影響を及ぼす論議に国民の声が反映されない原因は政府が選ぶ委員構成の偏りにあるとの批判もある。委員は東京電力に融資するメガバンクや原発メーカーの役員、経産省出身者など原発産業の利害関係者が多い。意見箱にも「委員構成を公平にすべきだ。原発再稼働を容認する委員が多すぎる」(六十代男性)などの批判が寄せられた。

 審議会で唯一国民の意見に触れた辰巳氏は「原発反対と再生エネ拡大を求める国民の声はほとんど無視された。国民を軽視している」と疑問を呈している。

◆総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会の委員

 分科会長 坂根正弘(コマツ相談役)▽委員 秋元圭吾(地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー)▼伊藤麻美(日本電鍍=でんと=工業代表取締役)▼柏木孝夫(東工大特命教授)▼橘川武郎(きっかわ・たけお、東京理科大教授)▼工藤禎子(くどう・ていこ、三井住友銀常務執行役員)▼崎田裕子(ジャーナリスト)▼武田洋子(三菱総研政策・経済研究センター長)▼辰巳菊子(消費生活アドバイザー)▼寺島実郎(日本総研会長)▼豊田正和(日本エネルギー経済研理事長)▼中上英俊(住環境計画研会長)▼西川一誠(福井県知事)▼増田寛也(野村総研顧問)▼松村敏弘(東大教授)▼水本伸子(IHI常務執行役員)▼山内弘隆(一橋大大学院教授)▼山口彰(東大大学院教授) (敬称略)

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