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平和宣言で安保法案に言及 長崎市、被爆者代表も批判へ
平和宣言の骨子を発表する長崎市の田上富久市長=31日午後、長崎市役所
長崎市の田上富久市長は31日、今年の平和祈念式典で読む平和宣言の骨子を発表した。国会で審議中の安全保障関連法案について、多くの国民が懸念していると指摘し、慎重な審議を求める内容を盛り込む。
田上市長は記者会見で、安全保障政策についてはさまざまな意見があるとした上で「多くの市民が『戦争をしない』という平和の理念が揺らいでいるのではないかと不安を持っていることも事実」と説明。法案の是非には触れないとした。
長崎市によると、被爆者代表の谷口稜曄さんが式典で読み上げる「平和への誓い」でも、安保関連法案は被爆者の思いに反すると批判する内容が盛り込まれる。
平和宣言は5月から計3回の起草委員会を経てまとめられた。委員からは同法案について「被爆地の強い懸念を強調すべきだ」との意見も出ていた。
田上市長は「被爆者の高齢化に今まで以上の危機感を感じている」と語った。宣言では、被爆だけでなく沖縄戦なども含めた戦争の記憶の継承を呼びかける。また、各国首脳に被爆地訪問を求めるほか、東日本大震災後の困難が続く福島の人々への支援表明も盛り込む。
式典には核開発疑惑をめぐり、問題解決に向けて欧米など6カ国と最終合意したイランなど22カ国が初めて出席する。出欠を確認中の米国を除いて過去最多の79カ国が参加する予定。
=2015/08/01付 西日本新聞朝刊=