異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

【志賀原発】雨水6・6トン流入 あわや安全機能喪失 「世界一厳しい規制」のはずが…問われる電力会社の危機管理意識〔産経ニュース016.10.29〕

2016-10-30 22:26:56 | 福島、原発

 

 

産経ニュースhttp://www.sankei.com/premium/news/161029/prm1610290022-n1.htmlより転載

2016.10.29

【原発最前線】
雨水6・6トン流入 あわや安全機能喪失 「世界一厳しい規制」のはずが…問われる電力会社の危機管理意識

2号機で大量の雨水流入があった志賀原発2号機で大量の雨水流入があった志賀原発
 

 北陸電力志賀原発2号機(石川県)の原子炉建屋に雨水が6・6トン流入するトラブルが明らかになり、原子力規制委員会は19日の定例会合で「重要度の高い安全機能を喪失していた可能性も否定できない」として、北陸電に対し再発防止を求めた。地震や津波、テロなどさまざまな事象に備えた「世界一厳しい規制」のはずが、雨水の流入を許すというあまりにお粗末な事態に、規制委も「この程度の雨で…」とあきれ顔だ。(蕎麦谷里志)

気象庁の予報用語では「強い雨」だが…

 北陸電力(本店・富山市)によると、トラブルが発生したのは9月28日。雨水は地下のケーブルなどが通る配管などから原子炉建屋に流入した。建屋1階に入った雨水は、床の亀裂などを通じて地下2階まで達したという。雨水は1階部分で最大約6500リットルが見つかり、地下2階でも約3リットルが見つかった。

 気象庁によると、現地の当時の雨量は最大で毎時26ミリ。気象庁の予報用語では「強い雨」だが、この地域では毎年のように発生しているレベルだ。

 定例会合で規制委の石渡明委員は「東京でも時々あるような程度の雨で、こういう事象が起きたことは問題」とあきれた様子。更田豊志委員長代理は「被水することの深刻さ、恐ろしさは、まさに福島第1原発事故で経験したこと」と事態の深刻さを強調した上で、「規制の要求は十分足りているのか、きちんと確認する必要がある」とした。

「最も重要なのはトップマネジメント」とクギ

 東京電力福島第1原発事故以降、規制委は津波や地震、火山などの自然現象だけでなく、航空機落下などにも備えた「世界一厳しい規制」を作り、各電力事業者に対応を求めてきた。それだけに、更田委員長代理は、規制の信頼性にもつながりかねない今回の事態に、危機感をあらわにした。

 定例会合のあった19日は、偶然にも規制委と北陸電の経営陣が、顔を合わせる予定となっていた。

 規制委は原発の安全性を高めるため、定期的に電力事業者の経営陣と情報交換する場を設けているが、ちょうどこの日、北陸電の順番が回ってきたのだ。

 普段は、比較的和やかな雰囲気の中で質疑応答などが行われるが、この日は違った。北陸電の安全に対する取り組みと、雨水の浸入問題について同社の金井豊社長が説明を終えると、2つの説明用資料を手にした、田中俊一委員長が口火を切った。

 「こちら(安全対策)の説明を聞いていると非常にがんばってやっているなというのが分かるが、こちら(雨水流入問題)の状況をみるといったい何をやってんだというのが正直な感じ。いろんな訓練をしていると思うが、意外とささいなことから事故が起きる。社員に十分な教育をしてもらいたい」と求めた。

 今回の問題について、金井社長は、排水ポンプの性能が脆弱(ぜいじゃく)だった点やケーブルの通る配管の止水対策など「4つの点で重大な配慮が欠けていた。そのうち1つでも止められたら流入は阻止できた」と説明したが、これにかみついたのが伴信彦委員。「率直にいうと認識が甘いのではないか。発想は逆だ。ほかにもいろいろ重なったかもしれない。午前中で雨があがったが、これが降り続いていたらどうなったか。休日で要員が少ないときだったらもっと対応が遅れた可能性もある。そういう発想に立つべきだ」と指摘した。

 更田委員も「安全文化で最も重要なのはトップマネジメント」とクギを刺した。

 金井社長は「ご指摘の通り」「今後の改善につなげたい」と繰り返し、反省しきり。その上で「安全・安心とよく言うが、安全は国の審査に合格しているという説明でいいが、安心となるといかに(地域の人たちに)当社の取り組みを信用していただけるかという世界で、安心をしていただけるような取り組みが今後とも必要だと感じている」と述べた。

公表は「マンスリーレポート」で

 同社の危機管理意識の低さは、広報の姿勢にも表れた。

 6トン以上の大量の雨水が原子炉建屋に流入し、安全機能を喪失していたかもしれない重大な事象にも関わらず、北陸電はすぐに公表することなく、トラブルを公表したのは10月7日の「マンスリーレポート」だった。

 この理由について、広報担当者は、「原発が立地する石川県と志賀町との間に、連絡基準の覚書を交わしており、その覚書に乗っ取った対応だった」と話す。

 同社によると、覚書では連絡するタイミングについて、(1)放射性物質の放出や重大事故などの「直ちに連絡」するもの(2)出力が変動するようなトラブルである「速やかに連絡」するもの(3)それ以外の「定期的に報告」するもの-の3段階に区分されている。

 今回の事象は、(3)に該当すると判断し、マンスリーレポートで公表したのだという。金井社長も、記者の質問に「公表の扱いについてもこれで良かったのか、再発防止策を検討する中で検討したい」と述べた。

     

 【志賀原発】

 北陸電力が所有する石川県志賀町にある原子力発電所。平成5年に1号機が、18年に2号機が運転を開始。出力は1号機が54万キロワット、2号機が135万8千キロワット。両号機とも福島第1原発事故以降は稼働しておらず、2号機は現在再稼働に向けて規制委の審査を受けている。

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。