被爆地に衝撃 「無知」に危機感
毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20180203/k00/00e/040/258000c
2018年2月3日 12時38分(最終更新 2月3日 14時44分)
8歳の時に被爆した岡田恵美子さん(81)=広島市=は「これまでもトランプ大統領は核戦力の増強をちらつかせる発言をしてきたが、パフォーマンスだと思っていた。『核兵器なき世界』を掲げたオバマ前大統領とは真反対の方向に進んでいる」と肩を落とし、「オバマ氏の広島訪問や核兵器禁止条約の採択など核廃絶へ向かう機運に水を差すもので、絶対反対だし、考えられない」と語気を強めた。一方で「市民も人ごとではなく、危機感を持つべきだ。再び核兵器が使われないために被爆証言も続けていかなければ」と力を込めた。
同じく8歳の時に被爆し、体験を英語で証言している小倉桂子さん(80)=広島市=の元には、米国の新たな核戦略の指針の内容について事前に報道が出た頃から、米国で平和活動をしている知人らから「事態を憂慮している。皆で声を上げなければ」といったニュースメールが続々と届いたという。
小倉さんは米国で証言すると、多くの人に「核兵器の恐ろしさを知らなかった」と言われるといい、「無知や無関心が、核運用の拡大につながる。トランプ氏は核被害に無関心だ。広島に来て被爆者の話を聞き、人間性を何よりも大切にしてほしい」と注文した。
長崎の被爆者で原水爆禁止日本国民会議議長の川野浩一さん(78)も「核なき世界から核戦争時代への前兆ではないか」と懸念。今後、小型核の開発が進めば、「核が使用されてしまう可能性が高まる」とも指摘した。
昨年、国連で採択された核兵器禁止条約やノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)を「被爆者の希望の灯」とした上で、今回のNPRについて「その灯をかき消す冷や水のようで、がっくりきている」と批判した。【竹下理子、寺岡俊、今野悠貴】
「世界に逆行」
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の木戸季市(すえいち)事務局長(78)は「2010年にオバマ政権が打ち出した方針からの大転換だ。この8年間を振り返ると、昨年、核兵器禁止条約ができたように『核兵器のない世界』へと確かに向かっていた。それに真っ向から対決する姿勢で、本当に恐ろしい」と批判した。小型化の増強については「最初のボタンを押しやすくする危険を感じる」と危機感をあらわにした。
木戸さんは5歳の時、長崎で被爆。「核兵器を使わせない、二度と被爆者をつくらないため、『核兵器の使用は長崎を最後に』と私たちがいっそう声を上げなくてはいけない」と話した。【福島祥】
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「地球市民の願いに逆行」 被爆地、米の新核戦略に反発:朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASL2355SDL23PTIL00N.html
長崎原爆被災者協議会の田中重光(しげみつ)会長(77)は「被爆地だけでなく、地球市民の願いに逆らっている」と憤る。小型核兵器などの開発を表明したことにも「北朝鮮など他の核保有国も核開発を進めてしまう。北東アジアの危機がさらに増す」と危機感を募らせる。・・・・