こんな本よみましたよ

読んだ本の個人的感想を垂れ流し、勝手に★をつけます。

「廃墟に乞う」/佐々木譲 ★★

2012年01月31日 | 小説
刑事モノが好きな人に借りて読みました。

北海道警察の刑事だった仙道は、ある事件で心に傷を負い、療養休職中。
徐々に回復をしてくる仙道に次々と相談事が舞い込み、プライベートで捜査を手伝うこととなる。

各「相談事」がサザエさん形式(短編、一話完結型)で書かれていきます。

私は、「ミステリー」とか「殺人事件」とかいう心構えでこの本をヨンだところ、
「どこが直木賞受賞作なの?」と面白みを感じることができませんでした。
仙道のキャラがたっているわけではなく、各事件の犯人はまるわかりで、どんでん返しもなし。
さらには、殺人の動機が大変ありきたりで、「どうせこんな理由なんでしょ」そのままの理由だったりします。

なので、「ミステリー」を求める人にはおすすめしません。

解説をちらっと読むと、どうやら、この本は、ミステリーではなく、北海道の各地域を紹介したい、ということを動機の一部として書かれたもののようです。

そういわれれば確かに、事件は、北海道の漁港町、競走馬牧場町、スキー町、さびれた炭鉱(やったかな)などさまざまな地域において、さまざまな人間間で起こります。

でも、やはり、人々の感情にぐっとくる箇所もなく、「居酒屋紀行」に近い印象です。

また、本の持ち主の意見によると、本作は、「仙道という男の物語」であり、
一人称で語られる彼の語りでは、自分はトラウマから回復している、と言っているが、
その実、むしろ悪化し、どんどん狂気に向かっているのだ!
というところが面白いらしいです。

私にはちょっとわかりまへん。

個人的にはよほど時間とお金に余裕のある方、または、刑事が登場するものはかたっぱしから読んでしまいたい!という方以外はお読みにならなくてよいのではないかと思います。

でも、最後まで読んでしまったので、星ふたつ。












「十九、二十」/原田宗典 ★★

2012年01月30日 | 小説
あほなエッセイかと思ったらちゃうかったー。まちがえたー。
しかも、ヨンだことあったのにー。

主人公(男)は現在十九歳の貧乏大学生。あと数週間で二十歳。彼女にもフラれ、いいことないので、帰省の電車賃をかせぐべく、なぜかエロ本専門出版社でバイトを始める。エロ本専門出版社では、わけあり過去を抱えている様子の社長兼カメラマン、社長の信奉者の先輩にこき使われ、なぜかガリガリの女性社員といいかんじに。一方、借金まみれでやる気0の父親が下宿を訪ねてき、、、。

ちょっと違うかもしれませんけど、基本的には、アカン父とその息子の物語が中心かと思います。

すっからかんの父が、「僕」の下宿にやってきて、「僕」が寝てる間に「僕」の財布から全財産をもってふらっとでていく。
「僕」は実は、起きていて、「ほんまに寝ていたらよかった」と思う。

このあたりがせつないかんじでした。

「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しい時だなんて誰にも言わせない」というポールさまのお言葉が引用されたりしています。

こういう意味ではないにしても、同じ着物を着た二十歳の自分の写真と二十六歳の自分の写真を見比べると、
やっぱり二十歳が(自分なりに)もっとも美しいかも、と思います。(肌とかがやっぱり全然ちがう)

ちょっと気分じゃなかったし、星2つ。









「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」/中島らも ★★★★★

2012年01月26日 | エッセイ(本)
とにかく顔がめっちゃすき。

とにかく中島らもの顔がめっちゃ好きです。

豊子さまショックから抜け切れないまま、高校生くらいのときに何度かヨンだ、中島らもさまのエッセイを再読してみました。

らもさまの本はけっこう読みましたが、これが一番好きです。

前半は中学~高校時代について書かれており、明るいです。おもろいです。
後半は受験~大学時代について書かれており、暗いです。気がめいることもありますが、顔が好みなのでかまいません。

一番笑ったのは、らもさまが中学時代に結成していたバンド(というかロックデュオ?)の相方が、
ある曲を「短調で歌う」とき、メロディーそのままに、悲しい顔をして歌う、という場面。
こう書くとそんなに面白くないかもしれませんが、らもさまの手腕によって、大変笑えるお話になってます。

それから、ギターのコードFを弾けない相方が、曲にFが登場するところだけ、「イエーイ!」と言う場面。

このように、
らもさまのロックデュオバンド「ごねさらせ」(「死んでしまえ」の意味、らしい)は、
2人あわせても弾けるコードが4つ、よってオリジナル曲のみ、ごまかし用の小細工多数、です。
あれ、どっかできいたことある話。。。
あ!私がやってるバンドとほぼ同じ状況や!

思春期にヨンだ本の影響というのはおそろしいものです。

また、後半で心にのこっているのは(「心に残っているのは」て、昔、読書感想文でよく使った!)
どんな話の流れやったかは忘れましたが、
人生たいがいつらい、けど何十年かに1回、ものすごいすばらしいことがあったらOK!
というようなところです。

「人生たいがいつらい」というほどつらいこともなく、だらだらと生きていますが、
こんだけ人生を長い目で?見られたら最強!と思いました。

以上、星5つつけるところまでではないですが、すでに数回読んでしまっているので(なにより顔がめっちゃ好きなわけやし)、
本作品、星5つ(何度も読み返すこと確実な、本・オブ・マイライフ!)

本の画像を入れてみたものの、なんか小さい、、、。













「海のふた」/よしもとばなな ★★(ふつう)

2012年01月20日 | 小説
飽き性がたたり、ブログを更新しないまま(記事の文体、形式ともにばらばらですみません。もういいんです)、3冊の本を読んでしまった。

山崎豊子さまのあと、文字数の少ないものを読みたくなり、手にとった第1冊目は
よしもとばななの「海のふた」。

ばななさまは、中学生くらいの時によくヨンだが、
成人に近づくにつれ、この「うふふ」感が苦手になり、あんまり読まなくなった。

「うふふ」感、わかっていただけるでしょうか。

きっと詩的なんやろうけど、ちょっとヨンでる自分が恥ずかしくなる、みたいな感じです。

たとえば、ばななさまの作品には、ちょいちょい、ミステリアス美少女がでてくる。
そして、登場人物はみんな「こんな話し方するやつおらん!」みたいな詩的な言葉で話す。
まさに「素敵」なかんじで「うふふ」なかんじである。

でも、ばななさまのすごいところは、こんな作品に対して斜めな姿勢で読み始めても、
どこかで胸ぐら(?)をぐっとつかんでくるところ。(注:ばななさまが、「そんなんやったら読むなや!」と怒ってる、とかではない)

この本でも、ミステリアス美少女が、自分を火事からかばってくれたばあさんの話をするところなどは、
電車のなかでも、うっすら涙をにじませてしまう。

あと、全然関係ないけど、この作品を読んで、なんで実家LOVEなわたしが、地元の駅周辺地域に対して、「懐かしい」とか「ここがわたしのふるさと!」とか思わないかがわかった。

ある地域に対して、いわゆる「地元感」を得るためには、
自転車でちょろちょろっとまわれるくらいの範囲に、親しい人の家数件、よく通った店や場所数箇所、学校などがないとだめっぽい。
私は、幼稚園から電車通学だったので、実家のまわりには、じいさんばあさんが住んでいるくらいで、
友達の家もないし、通った学校もない。
一時は週3で通ったロイヤルホストがあるが、他に特に思い出深い場所や店もない。

他方、上記の「地元感」条件を満たすのは、私の場合には、大学時代に住んでいたらへんかと思われる。

たしかに、帰省の新幹線で京都駅を通過するとき、ちょっと懐かしいような気持ちになる。


脱線しましたが、本作品、星ふたつ(ふつう)。





















「大地の子(二)~(ヨン)」/山崎豊子 ★★★

2012年01月18日 | 小説
ヨンでる時間を計るのが面倒になったので、
このブログの特色にしようとしていた、「お楽しみ時間CP」ランキング制度は廃止しました。
これからは、ただの感想垂れ流しブログとなります。

よって、個人的な感想として、ためしに★をつけてみます。(タイトル横)

★★★★★ (何度も読み返すこと確実な、本・オブ・マイライフ!)
★★★★  (再読の可能性あり)
★★★   (面白かったorすごいけど、個人的には1回読めばいいかな)
★★    (ふつう)
★     (途中で読むのやめた)


さて、「大地の子」全ヨン巻を読み終えました。

第一の感想は、「白い巨塔」と同じで恐縮ですが、やはり
豊子さまの取材力がスゴイ!
ということです。
あとがきを見ると、中国のものすごくエライ人に頼み込んで、いろんな人に取材に協力してもらえるようにし、
3年間中国に通いつめ、僻地の農村にホームステイしたり、一般人ではとても入場できないところを見学したりされたとのこと。
やはり、ナミナミナラナイ!

2~ヨン巻のあらすじ(ざっくり、ちょっと長い、ネタバレ有)としては…

義父陸徳志と看護婦江月梅のナミナミナラナイ尽力によって、冤罪がはれ、釈放される陸一心。
今度は日本人であるという出自が幸いし、中国現代化政策の目玉、日中協力のもと行われる大製鉄所の建設プロジェクトの一員となる。
一方、妻となった月梅により、幼い頃に離別した妹あつ子が発見される。
だが、あつ子は、貧しい農村の嫁として、ひどい扱いを受け、病気で死に瀕している。
一心が妹を農村で看取ると、そこに、製鉄所プロジェクトの日本側のエライさんである松本さんが現れる。
なんと、彼は一心、あつ子と血のつながった父であった。
信じられないながらも、実父への情と養父への情の間でゆれる一心。
仕事上の交渉相手として対立関係にある松本さんと一心は、複雑な心境で仕事をこなし、また、さまざまに利用される。
そして、一心は重要書類を松本さんに渡したという冤罪でまたもや僻地にとばされる。
同プロジェクトの一員であり、一心の初恋の相手によってその疑いがあれ、一心はなんとか製鉄所の完工式に間に合い、大感動。
最後に、実父松本さんと二人で長江を下る船旅に出る。
「日本に帰ってこないか」と問われ一心は…。

読み終わった私は、またもや製鉄所の1つや2つ建てられそうな気分ですが、
個人的に面白かったのは、2巻で基本的には超真面目かついい人な一心が、
自分を振った初恋相手に対して、「この馬鹿女!」的な感情を抱くところです。
どんなに誠実な人でもそういう悪いこと思うんだ!と安心できます。

読みやすく、話面白く、いろいろと知識も増えるが、
もう一度読むのは大変なので★★★(面白かったorすごいけど、個人的には1回読めばいいかな)。