こんな本よみましたよ

読んだ本の個人的感想を垂れ流し、勝手に★をつけます。

魔王/伊坂幸太郎 ★★★

2012年06月14日 | 小説
全然面白くなさそうだった「未踏峰」の次に読んだのも手伝って、面白く読めた。
読者を引き込む力があります。

主人公は安藤さん(会社員)。頭のよい人で、何事に対しても考えすぎるくらい考える。
幼い頃に両親をなくし、正反対ともいえる性格の弟と二人暮らし。
ある日、自分には「腹話術」の能力があると気づく。
一定の条件下で、他人に自分が考えたとおりの文言を話させることができる。
ある日、ふとつけたテレビで政治家犬養が語る姿を見る。歯切れの良さとリーダーシップの強さで人気のカリスマ政治家だ。
どんどん犬養に対して熱狂していく世間。
みんな自分で考えているのではなく、ムードに流されているように思える。
安藤さんは、犬養をそのムードを利用した独裁者であると感じ、「腹話術」を使ってなんとか彼の台頭を防ごうとする。
しかし、選挙演説をする犬養に近づいた安藤さんはあと一歩のところで死んでしまう。
誰かが別の「特別な力」を使って安藤さんの息の根をとめたのだった。

同じ文庫本に収録されている「呼吸」は、この続編で、安藤さん(弟)が、兄とは異なる方法で世間を変えようとする様子が描かれています。

文章やストーリーはスリリングかつリズミカルでどんどん読んでしまいます。

ですが、私はやはりどうしても伊坂作品は好きになれないので★3つ。
重めなテーマを説教臭くならべつつ、妙に軽快な文体、というのが、根暗な私としては、かっこつけてる!チャラい!と思えてしま。。。う!マンボ!

このように伊坂嫌いの私でも結局さらに続編ぽい位置にある「モダンタイムス(上・下)」まで一気に読んでしまったのであるから、けっこう面白い作品ではあります。