【小説】「浮世でランチ」/山崎ナオコーラ ★★ 2013年04月19日 | 小説 「人のセックスを笑うな」のナオコーラさまの作品。 14歳の時の話と25歳の今の話が交互に語られます。 おくさま言葉で話す男の子や、かわいいのに雑な女の子、などが出てきて不思議な感じですが、 わたしとしては、ちょっと「?」な雰囲気ものでした。
【小説】「姫椿」/浅田次郎 ★★★ 2013年04月16日 | 小説 浅田さまの短編集。 お話としては、正直なところ「?」なものもありましたが、 雰囲気が美しいです。 一番好きだったのは、「永遠の緑」というお話。 妻に先立たれ、一人娘と住む大学の助教授が、 「あなたの楽しみは競馬しかないんだからやめないでね」(だったかな?)という妻の遺言どおり、 妻との思い出あふれる競馬場にせっせと通う。 ある日、大負けしてしまった助教授は常連さんの一人である、ざっくりしているが素直そうな青年に酒を奢らせることに。 そのまま二人は酔っ払って、青年は助教授を家まで送り。。。 というような?お話です。 会社帰りの車内で読んだのですが、競馬がとてもドラマチックに思え、 最寄り駅の書店で思わず競馬の雑誌「優駿」を購入してしまいました。 他の競馬雑誌が馬券の予想に重きを置いているのにくらべ、 馬自体をフィーチャーしているので、 馬券とか賭け事には興味ないけど、馬を見るのは好きかも、 という人におすすめです。 http://www.prcenter.jp/yushun/
【小説】『人間失格』/太宰治 ★★★★ 2013年04月12日 | 小説 「葉ちゃん」の手記形式のおはなし。 葉ちゃんはおどけまくった結果、けっこう人気者なのだが、 そのおどけは実は、他人の気持ちがわからない、こわい、という思いから生じたもの。 葉ちゃんには変な魅力があるらしく、つぎつぎと女が寄ってくるが、 みんな不幸に!そしてもちろん葉ちゃんも不幸な感じです。 葉ちゃんの語りは勢いがあって面白く、 そのおおげさな感じが滑稽でさらにあわれです。 葉ちゃんはかなりうっとうしい性格ではありますが、 なぜか面白くつぎつぎ読んでしまうのが不思議でした。
【小説】「バイバイ、ブラックバード」/伊坂幸太郎 ★★★★ 2013年04月09日 | 小説 最近肝心の★をつけるのを忘れていました。。。 で、本作ですが、ほんわかした気持ちになりました。 星野一彦は多額の借金の末?、<あのバス>に乗せられることが決定。 でもその前に五股をかけてる恋人たち全員に直接会って別れを告げたい! 見張り役としてついてくることになった乱暴者で規格外の巨女繭美に厳しいつっこみを入れられながらも 星野は恋人たちにひとりひとり会いにいく。 というお話です。 星野くんはいわゆるチャラ男ではなく、天然系女たらしで、 いいなと思う女性とただ仲良くしていったら、 結果的に「これって世間で言うところの五股?!」という状態になってしまった。という憎めないキャラです。 それからなんといっても強烈なのが、見張り役の繭美です。 ハーフらしく、どうやら顔の具自体は美人なようですが、とにかくでかい。どっこらしょと腰を降ろせばマンションごと揺れるくらいでかい。 星野だけでなく相手の女性につぎつぎと辛辣な言葉を浴びせ、相手の苦しむ顔を見て大喜びする。 でも、ところどころ純粋な一面などが見え、憎めません。 なぜか自分の人生に関係ない言葉を塗りつぶした辞書を持ち歩き、ことあるごとに「●●はわたしの辞書にはない」と言ってそのページを見せる、というのも面白いです。 各女性との別れで一つの章が構成されているのですが、どれも別れ話なのに嫌な気持ちになることなく読めてよかったです。 ちなみに、これは「郵便小説」という企画連載?を本にまとめたもののようです。 毎回抽選で選ばれた人たちに、1章分(5人のうち1人の女性との別れのお話)を郵送する、という企画らしく、これも楽しそうですね! それから、文庫本の最後に伊坂さまのインタビューが載っており、 どんなふうにしてこのお話ができたのかや、伊坂さまの思い入れなどがわかって面白いです。 ちなみに、伊坂さま的には本作が自分的ベスト!らしいです。
【小説】「敦煌」/井上靖 2013年04月05日 | 小説 アマゾンさまのお力を借りると 官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる……。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。 というお話で、文庫本の解説によると、その万巻の経典がいかにして隠されることになったのか、というところに話の重きが置かれているようです。 なぜか朝電車の中で読んでいるとたちまち寝てしまう不思議な本です!