こんな本よみましたよ

読んだ本の個人的感想を垂れ流し、勝手に★をつけます。

少女/湊かなえ ★★★

2012年03月07日 | 小説
家にあったので読んでみました。
添付写真は単行本の表紙です。

湊かなえさまは、「告白」につづいて2冊目です。

由紀と敦子は物心ついてからいつも一緒だった親友同士。
ふたりとも剣道をしていたが、敦子は試合でケガをしてから、剣道仲間にいじめられたとかんじ、剣道をやめる。
由紀も認知症の祖母によって手にケガを負い、剣道をやめる。
ふたりは、さえない女子高に通い、行動をともにしながらも、前とくらべるとぎくしゃくしている。
高2の夏休み前、ふたりは、転校生紫織から、親友の自殺死体を目にしたことがある、と告白を受ける。
それを自慢のように感じたふたりは、「私も人が死ぬ瞬間を見たい!」と、由紀は病院小児科へ絵本の読み聞かせボランティアへ、敦子は老人ホームの手伝いをすることに。最上の死を目撃するために、2人はそれぞれに画策し、、、
というようなお話です。

由紀と敦子それぞれの視点からの語りが、セクションごとに入れ替わり、物語は展開。
最初の3分の1~半分は、お互いに対して、あるいは他の友人、教師、家族に対するねちねちとした、いわゆる「女の子っぽい」描写がつづき、読む側としては、あまり気分がよくないし、面倒になってしまいます。
実際、もう読むのやめようかな、と思いました。

が、ぐっと我慢して読むと、すばらしい場面に出会えます。
お互いがお互いにとって大切な存在であると気づき、互いに救いあう場面。
とくに、敦子が由紀を救う場面がすばらしい。
どちらかというとぐずぐずしていて、他人の目ばかり気にしているようなキャラクターの敦子が、
全身で「由紀を助けなきゃ!」と思い、由紀の手をとってとにかく走る(おそらく超大股と思われる)。
疾走感と解放感が、それまでのねちねちを我慢して読んでよかった!友情ってすばらしい!と思わせてくれる。

こんなように、なかなかさっぱりとしたいい気分になりますが
そこで終わらせてくれないのがかなえさまなのでしょうか。。。(個人的にはそこで終わらせてくれてよかったのですけど。。。)
最後はまた、ぐっと嫌な気分にさせられます。そして終わります。

ということで、すてきな箇所もありますが、全体的には「告白」にひきつづきグロめでしたので、★3つ。