米艦に日本自衛隊が、公海上で、「月1回のペース」で給油していたことが分かりました。
以前のパキスタン沖での、日米補給艦同士の給油では、「新テロ特措法」が必要でした。この延長をめぐっては、2007年第21回参院選「逆転の夏」で、衆参ねじれを勝ち取った民主党が、小沢一郎代表・北澤俊美参議院外交防衛委員長のコンビで、延長法案の審議未了廃案、石破防衛大臣がいったん撤退を命令する事態に。政権交代の一員となりました。
給油については、2017年9月14日付の日経新聞1面が報じました。
2015年平和安保法制(ガイドライン戦争法)で、「特措法」なしに、給油ができるようになりました。国会は3か月前、6月18日に閉会しましたので、給油活動について、防衛省・自衛隊は国会に報告していないと思われます。当然、特措法も要らないので、国会の合意も要りません。
2015年改定日米防衛協力の為の指針いわゆるガイドラインでは、給油だけでなく、武器、弾薬も提供できます。これらは、2017年4月、日米ACSAが発効し、すでに自衛隊法にも落とし込まれていますから、もう、いつでもできることになります。
平和と戦争、日本領土とそれ以外の、切れ目のない、日米軍の一体運用が、どんどん進んでいきそうです。
前回衆議院解散総選挙後の、今の任期、第47期衆議院の、2015年9月に、これらの恐ろしい法律が自民党と公明党の賛成で可決・成立・施行しました。
以下は、当ブログ内の関連エントリーのごく一部を以下ご紹介して、この記事は終わります。
(画像は防衛省サイトから関連地図 アフガニスタン・イラン・イラク周辺)
海上自衛隊のインド洋での給油活動の継続に向けて17日、「新テロ対策特別措置法」を政府が閣議決定し、国会に提出しました。
政府・与党は、今週中にも衆院本会議で福田総理大臣が新法案の趣旨説明をしたうえで、速やかにテロ対策特別委員会で審議入りしたい考え。
18日の国会対策委員長会談で協力を呼びかけることにしています。
一方、野党側は、海上自衛隊がアメリカの艦船に供給した燃料がイラクでの作戦に転用された可能性が高いとして、防衛省の給油活動の情報を開示することがが先決だと主張。早期の審議入りには応じられないとしています。
参考記事)新テロ法案 審議入りで攻防(NHKニュース)
[17日の臨時閣議で、政府案決定 活動延長は「新法」で]
自民党、公明党は「新テロ対策特措法」(給油新法)の法案を了承。政府は17日(水)の参院予算委員会・基本的質疑の終了をまって、夜に臨時閣議を開き、内閣提出法案を閣議決定。衆院に提出しました。
閣法では、アメリカ軍の「不朽の自由作戦(OEF)」に参加する給油艦などにペルシャ湾を含むインド洋での「給油・給水に限り」支援することを定めます。1年間の時限立法で、国会での事後承認は不要としています。
現行法に基づき航空自衛隊が実施してきた、在日米軍基地とグアム方面などとの間の輸送支援は取りやめます。
[民主党は対案を準備]
一方の民主党。
閣法への対案を準備する方針を決めました。
民主党の対案には、NATO諸国などがアフガニスタン国内で展開する国際治安支援部隊(ISAF=アイサフorアイザフ)の任務のうち4つほどの民生支援への参加が書き込まれる可能性があります。
参院議員の浅尾慶一郎ネクスト防衛大臣、衆院の鉢呂吉雄ネクスト外務大臣が党内の意見をとりまとめるとみられます。
ところで、閣法が衆院へ、対案が参院へ提出された場合、国会審議はどうなるのでしょうか? かつてこのような例があるのでしょうか? よく分かりません。
記者も各党の国対委員長に張り付いて大変でしょう。審議日程が分からないと、議論や取材どころではなくなります。国会日程の把握の取材は、私も経験がありますが、とてもバカバカしい徒労なのです。が、国民の代表として若い記者さんに頑張って欲しいです。
[追記 2007-10-17 15:30]
この件について、小沢代表は16日の定例記者会見で
「委員会の論戦の中で示すか、主張をより鮮明にするために対案を提出するか、状況を見て判断する」と述べていますので、まずは衆院での審議が先行するようです。[追記終わり]
[やはり今国会最大の焦点に]
やはり今国会最大のかけひきは「テロ特」になってきました。今の議論では民主党がリードしています。
現在の議論は、参院民主党の浅尾ネクスト防衛相が石破防衛相に勝っていると私は思います。
一方、衆院民主党の鉢呂吉雄ネクスト外相はもうひとがんばり欲しいところ。ただ、衆院自民党の質問者席に立つであろう中谷元さんは気負いすぎ。自衛官出身だからと言って、自衛隊の期待を一身に背負うとボロがでてきそうです。
[息詰まる攻防 自民・民主両党の論客紹介 衆参]
衆院テロ対策特別委員会(国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会)の委員名簿(9月26日現在)を見ると、
民主党は鉢呂さん、 長島昭久さん、松野頼久さんに期待。
自民党は河野太郎さん、元防衛庁長官の中谷元さんがいますが、石破防衛相任せの展開になりそうな気もします。
参院外交防衛委員会をみると、民主党は浅尾さん、自民党は山本一太さん。波乱要因は自民党の「ヒゲの隊長」こと佐藤正久さんですが、どうでしょうか?
民主党副代表でもある北沢俊美委員長の行司役も重要になってきます。
衆参共に委員の差し替えはいつでも出来ますから、他の論客が登場することもあります。息詰まる攻防が続きます。
このエントリーは次の新聞記事を参考にしました
(写真はNHK国会中継から、「スミ塗りの資料では議論のしようがない」と政府・与党の対応を批判する民主党の松野頼久衆院議員)
【国会傍聴記 2007-11-12 衆院テロ対策特別委員会】
今国会の最大の焦点となった「テロ特」。
米軍のOEF(不朽の自由作戦)のインド洋上での活動(油などの補給)への参加継続について、40時間55分にわたる議論が今日終わりました。
私たちの同朋も巻き添えになった米国中枢同時多発テロ(9・11)。
首謀者であるウサマ・ビンラーディン容疑者を逮捕できないまま、海ではインド洋、ペルシャ湾、陸ではアフガニスタン(パキスタンなど経由)、イラクなどで「テロとの戦い」は続いています。
11月1日に根拠法が失効し、政府が出し直した新テロ対策特別措置法案(補給支援特措法)の最後の議論です。
午前中。
○BAEシステムズの「見積書」にふしぎな費目 「技術支援費」
「守屋喚問」で得点をあげた民主党の川内博史さん(鹿児島1区比例)。
何度も質問に立った川内さんにとっての卒業質問。心残りがあったようです。
英国最大手の軍事産業「BAEシステムズ」が作成した見積書。
川内さんは平成12年(2002年)の見積書の写しを入手したようです。
この見積書が
BAEシステムズ→山田洋行(代理店)→防衛省
とわたる過程で、「技術支援費」という費目が加えられていたことを川内さんは突き止めました。
この「技術支援費」は、英国社も「知らない」そうで、山田洋行が書き加えたもようです。
川内さんはもはや、大臣の答弁を求めません。防衛省背広組ナンバー2である小川秀樹・防衛参事官さんにひたすら質問。
そして最後に石破防衛相にヒトコト求めます。
「五年前のことだから」。
午前の質疑は終わりました。
○スミ塗りの文書では議論にならない
午後からは福田首相が出席。与野党2時間で最後の締めくくり総括質疑。
民主党の松野頼久さん(熊本1区)は「合計794件の給油活動で何をしたか。オペレーション(軍事作戦)の情報を出してください」と福田首相、町村官房長官、石破防衛相に最後のお願い。
そして防衛省が民主党に提出した文書をパネルで見せました。
「黒塗りだらけの文書。これだけの情報で、どうやって賛成と反対を考えろというのですか」。
とてもとても重い質問です。
石破「船(の活動)は我々(海自)だけでやっているのではない」
松野「米海軍は活動実績をどんどんホームページに出している。米はどん
どん公開して、感謝の念を持つという文化が根付いている。自衛官
の必死の活動は黒塗りにしなければ出せないのか」
午後3時5分。深谷隆司委員長(自民党)が「質疑の終局」を宣言。
討論は、自民党の田中和徳さんが「賛成」、公明党の富田茂之さんが「賛成」。この後、委員長は日本共産党の赤嶺政賢さんを指名しました(赤嶺さんは「反対」を表明)。
民主党が討論を飛ばされたのは、「質疑の終局」は認められないと、川内理事らが委員長に抗議を続けていたからだと思われます。
社民党も指名されませんでした。
この後、自民党・公明党の賛成多数で、新テロ特措法は可決。あす(13日)の本会議で記名投票採決のうえ、可決→参院に送付される見込みです。
○参院では常任委員会が審議→定例日は週2回
参院では外交防衛委員会に付託されます。
外防委は常任委員会ですから定例日は週2回(火、木)です。委員長は民主党副代表の北澤俊美さん(長野選挙区)です。
参院では付託初日の15日(木)から山田洋行社長の米津佳彦参考人、前防衛事務次官の守屋武昌証人から話を聞きます。
証人喚問には民主党から浅尾慶一郎ネクスト防衛相(神奈川選挙区)、自民党から山本一太さん(群馬選挙区)らが立ちます。
この2人はずっと外交防衛委員をやっていますので、相当期待できそうです。
会期末の12月15日まで、あと、33日です。
(写真は証人喚問から帰る守屋前防衛次官=日本テレビNEWS24)
【国会傍聴記2007-11-02参院外交防衛委員会】
2回目の党首会談に注目が集まる中、11月2日は衆院で本会議と9委員会、参院でも本会議と2つの委員会が開かれました。
衆院厚労委では、労働契約法など労働法制について。財務金融委は日銀の福井総裁、渡辺金融担当大臣が出席。内閣委では銃器規制。外務委では日本がODAでおカネを出したベトナム南部での橋の崩落など外国で大きく報道されている問題に関して。
参院災害特別委では、「被災者生活再建支援法の改正案」(民主党が提出した方の法案)が審議入り。参院本会議では別エントリーでお伝えした「年金保険料流用禁止法案」が賛成多数で可決しました。
といろいろあったのです。
さて。
昨日は参院外交防衛委員会は立っていた(=開会予定が広報されていた)のですが、開かれず。今日も夕方になって、自民党、公明党欠席のまま開会しました。民主党の北澤俊美委員長が2回にわたって会議を中断し、自民党、公明党に出席を呼びかけましたが、与党は審議拒否を貫きました。
10月29日の衆院テロ防止特別委員会に続き、参院外交防衛委も守屋武昌・前防衛事務次官を証人喚問することを賛成多数(与党欠席のため議事録の上では全会一致)で決めました。
8日(木)午後1時です。おそらくNHKも中継するでしょう。
これに先立つ8日午前9時からは
宮崎元伸さん 日本ミライズ社長(山田洋行元専務)
米津佳彦さん 山田洋行社長
を参考人招致することも決定しました。
おそらくこの2人は対立関係にあると思われますので、そこをどううまく引き出すか。参考人招致なので、議院証言法にもとづく刑事告訴はありません。
[追記2007-11-7]証人喚問は15日に延期されました。[追記おわり]
[写真]外務省の日の丸、昨秋撮影。
●安保法にもとづき地球の裏側で日本自衛隊が米軍に弾薬を提供する後方支援条約が来週から再来週に改定へ
ことし平成28年2016年3月に施行した安保法(平和安全法制)にもとづき、地球の裏側で米軍に日本自衛隊が弾薬などを提供する後方支援の手続きを定めた条約が、来週の2016年8月下旬から再来週9月上旬にかけて、岸田文雄外相とケネディ駐日米大使が署名する見通しとなりました。
2016年8月19日付日経新聞1面が報じました。
条約は、日米ACSA(日米エーシーエスエー)改定議定書。
日本語での正式名称は、「日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との協定(平成8年6月28日条約4号)」。
当ブログがきょねん2015年10月ないしことし3月にかけて報じた記事(
自衛隊・米軍「物品役務協定条約(ACSA)」の改定議定書、2016年秋以降に先送り【追記有】
=全文を後掲=)のように、やはり、3月の安保法施行後、第24回参院選(2016年7月10日)での争点化を避けて、先送りした、との観測が正しかったようです。
外務省の日米ACSAの情報ページはこちらをクリック。(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/acsa/)
●条約には「存立危機事態」などの定義を盛り込むものの、条文そのものの修正は小規模か
条約の改定は、まずその第1条で、「周辺事態」の定義を定めていることから、安保法にもとづき、これを削除し、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態の3つの事態を書き込み、定義すると思われます。
ただ、現行条約は、その第2条で、「政府は、【その権限の範囲内】で、要請された後方支援、物品又は役務を提供することができる」とあります。憲法解釈が変更され、安保法が施行したことで、「政府の権限」が大きく変わっており、条約そのものの文章の修正は小規模にとどまるとみられます。
●通貨による償還など決済方法も定めるため、大平3原則にもとづき、国会提出へ
条約はその第10条で「後方支援、物品又は役務の要請、提供、受領及び決済の実施については(略)手続取極にのみ従う」としています。「手続取極」では、物品の決済に「通貨による償還」ができるとして条約を裏打ちしていることから、日本国政府の財政措置になるため、国会で「条約の承認を求めるの件」が第192回秋の臨時国会(9月下旬召集)に提出されると思われます。
安保法に先行した2015年日米防衛協力のための指針いわゆるガイドラインは、両軍の協力の指針に過ぎず、大平3原則(法律、財政、高度に政治的)にもとづく条約ではないとの判断から、国会には提出されていません。
●集団的自衛権に関する初めての条約は衆議院のみがヤマ場
2014年7月1日の解釈改憲から始まった集団的自衛権の法整備は最終局面となります。ただ、国会での条約承認を求めるの件は、憲法の規定上衆議院通過後30日で自動的に承認されます。そのため、第192回秋の臨時国会での審議は、衆議院を通過したとたんに事実上終わります。条約の承認を求めるの件が採決で否決されたことは国会史上ゼロ。そのため、第192回秋の臨時国会で、野党が争点化する場合も、衆議院で強行採決されれば、それでおしまいとなります。
●日豪ACSAも近く改定へ
ACSAは、日米ACSAのほかに、日豪ACSAもあり、こちらも早々に改定されるでしょう。また、新しく、「日英ACSA」をつくろうという声が、日英外務・防衛両省にあります。