[写真]夜の国会、2014年2月上旬、筆者・宮崎信行撮影。
共謀罪法(193閣法64号)が可決・成立しました。公布の日から起算して20日後に施行。安倍政権が強行した3悪法、2013年特定秘密保護法、2015年平和安保法制、2015年改悪労働者派遣法と比べれば、共謀罪法は今後の運用でストップをかけられるかも。深夜国会で成立するほどもつれたわけですから、47県のおまわりも、起訴したのに冤罪でした、では世論がすみません。本部長からノルマをかけられない限り、組織対策・公安のおまわりが日常の捜査で乱用することは、自分たちのためにならないことを心すべし。
私としては、2015年4月のガイドラインないし9月の平和安保法のときに、ポイント・オブ・ノーリターン(もう帰れない歴史の節目)を超えているという認識ですが、昨夏の、自民党国政4連勝で、下り坂を貨車が荷を崩しながら落下していくように感じます。関東軍・太平洋戦争時代よりも、日本の人口密度は1・5倍以上になっているのですから、日本の閉鎖性はより高まっているのです。危険です。
【参議院本会議 平成29年2017年6月15日(木)】
●共謀罪法、午前8時の成立。
設定は午前0時10分。午前2時30分頃に、開議(再開)。日程第一「法務委員会において審査中の共謀罪法案について速やかに法務委員長の中間報告を求めることの動議」が議題になりました。
ここで、自民党は「発言時間を1人1分に制限する動議」を出しました。記名投票表決。動議は投票総数238、賛成162、反対76で可決しました。
続いて、中間報告を求める動議についての討論。民進党の藤末健三さん、共産党の辰巳孝太郎さんが反対討論。そして、維新の浅田均さんが登壇し、反対討論。維新は法案そのものには賛成する見通しではありますが、中間報告をすることには反対しました。
午前3時17分頃から、動議に対する記名投票表決。投票総数238、賛成148、反対90で、可決しました。
午前3時30分頃から、「共謀罪法案」(193閣法64号衆修正)が議題になりました。秋野公造法務委員長が登壇。怒号の中、中間報告を始めました。「各会派の賛同が得られないまま、今日にいたる」などと経過を報告しました。
午前3時38分頃に、自民党から「ただちに審議する動議」が出ました。そして、「この審議では発言時間を1人10分にする動議」も出され、その採決。投票総数239、賛成163、反対76で可決しました。そして、「ただちに審議することの動議」に対する討論が始まりました。衆側で議運理事経験がある、民進党の田名部匡代さんらの反対討論。
この後、動議が採決され、投票総数239、賛成149、反対90で、直ちに本会議で審議することが決まりました。
ここで、4時33分頃、会議は休憩になりました。5時40分再開。まず、質疑・討論での発言時間を10分に制限する動議が自民党から提出されました。まず、その採決。投票総数230、賛成161、反対69。ちなみに休憩前よりも9名減りました。
そして、質疑をすることになりました。まず、小川敏夫さんが午前5時57分頃から演説。「テロ等準備罪は通信傍受法の対象犯罪か」などと問いました。金田法相は「対象犯罪ではなく、法律改正の予定も(現在は)無い」と答弁。松本国家公安委員長も「法務省からは、改正の予定はない、と聞いている」と答弁しました。続いて、共産党の仁比聡平さんが質疑。法相、国家公安委員長、外相が答弁しました。
午前6時37分頃、質疑終局。討論は蓮舫さんが登壇しました。「一億総監視社会への道を立ち止まらなければならない」とし反対しました。自民党の西田昌司さんは賛成討論で「わが国もテロとのたたかいに加わる」としました。共産党は仁比さんが討論。
この後、記名投票表決。希望の会が牛歩戦術。現在の国会法では、議長が一方的に投票時間を制限でき、2分に制限する、としました。この後、投票箱閉鎖後に、参事に渡さず、3名ほどの議員が直接ケージに入れました。これをめぐり、議場内交渉がおこり、このシーンは、NHKニュースおはよう日本で生中継されました。
午前7時43分頃から集計。投票総数235、賛成165、反対70で、共謀罪法は可決し、成立しました。午前7時46分頃、休憩。午後になって、休憩のまま散会しました。
【衆議院本会議 平成29年2017年6月15日(木)】
●安倍内閣不信任案否決。
午前0時10分スタート。前夜の午後11時35分前後に、延会が宣言される前からの議題が続きます。
安住淳さんら提出の「安倍内閣不信任決議案」です。
民進党、共産党、自由党、社民党を代表して、私が尊敬する安住淳さんが趣旨説明(趣旨弁明)演説。財務大臣、防衛副大臣、NHK記者としての経験にもとづき、権力は抑制的に使うべきだと、首相、防衛相らを諭しました。
討論はまず、安倍首相側近の、自民党・西村康稔さんが内閣を信任すべしとする反対討論。泉健太・議運委野党筆頭理事が賛成討論。公明党の伊藤渉さんが反対討論。共産党の志位和夫さんが賛成討論。討論は終局しました。午前1時38分頃から、記名投票表決。
投票総数465、賛成123、反対342で、否決されました。午前1時58分前後に散会しました。
【参議院法務委員会】
●性犯罪量刑引き上げの強制性交等罪の刑法改正案を審議、継続か。
公報上10時でしたが、実際には午後2時から始まりました。
金田法相が、6時間ブランクで登場。「強制性交等罪を新設するなど性犯罪の量刑を引き上げる、刑法改正案」(193閣法47号衆修正)を趣旨説明しました。この法案は、今国会でおそらく唯一5党修正(自公民共維)が入りましたので、衆議院議員が修正部分を説明しました。質疑に入りました。 「随時更新版」で、今国会成立する、と決め打ちしてしまいましたが、驚くことに、質疑1巡後に、参考人質疑の一任を委員長がとりつけたうえで、その日程などは発表せずに、散会しました。今国会では成立せず、参議院で継続調査になるかもしれません。
【参議院外交防衛委員会】
定刻通り午前10時から、「日本スロバキア社会保障協定の承認案」(193条約13号)と「日本チェコ社会保障教委邸の承認案」(193閣法14号)。民進党の小西洋之さんが内閣法制局長官らに質問。両案は、全会一致で承認すべしと決しました。
【参議院農林水産委員会】
●農業保険法、次の本会議で成立へ、民進党「農業者戸別所得補償は、実現しながら13年目で終焉。
「農業保険法案」(193閣法58号衆修正)の審議で、森裕子さんらが質問。暫時休憩。その後、採決となりました。共希反対、自公民維賛成多数で可決しました。2014年の所得安定対策の法律に、2017年収入保険検討が衆修正で付則に入りましたが、そのプログラム通りとなりました。これで、民進党が2004年マニフェストから主張し、2度の政権交代を通じて、一時は実現した、農業者戸別所得補償は完全に終焉を迎えました。法案は、5月31日から審議入りし、最終盤国会にあっけなく成立した印象です。
【衆議院農林水産委員会】
●民進党欠席戦術、談合などで農林水産省調査対応に抗議か。
午後2時の開会時点で、民進党が欠席戦術。おそらく、農林水産省のOBが天下っている団体が、省の入札で一者応札が多いことから談合が疑われる事案を民進党が追及していましたが、省の調査報告が不十分だったため、それへの抗議ではないだろうか、と推測します。ほとんど報道されませんが、民進党の欠席戦術は当然です。
「JAS法改正案」(193閣法35号参先議参修正)の質疑。民進党は出席しないまま、共反対、自公維賛成多数で可決すべしと決まりました。あすの本会議で成立すると思われますが、会期末の混乱が絶対に無いとはいえません。衆参の本会議で、農業保険法案とJAS法改正案が成立すれば、小泉進次郎さんがとりまとめた農業改革アクションプランを含む全8法案はすべて成立したことになります。JAにも反省してほしいですが、JAの言いなりになってきた農家にも少しだけ省みてほしいところです。
この後「商業捕鯨のための鯨類科学調査実施法案」(193参法105号)が、参議院の自民党から趣旨説明されました。質疑、討論はなく、採決。全会一致(民進党は参で賛成)で可決すべし、と決まりました。次の本会議で成立し、公布日に施行。長州下関田布施システム強し、という感じです。
このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。
[お知らせはじめ]
宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。
国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
インターネット版官報
[お知らせおわり]
Miyazaki Nobuyuki