【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第187回臨時国会は、2014年(平成26年)9月29日(月)から11月30日(日)までの63日間

2014年09月29日 19時34分13秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

(このエントリーの初投稿日時は、2014年9月29日午後12時半で、その後、特別委員長人事の情報を補って更新)

【衆議院本会議 2014年9月29日(月)】

 第187回臨時会が召集され、伊吹文明衆議院議長は、向大野新治事務総長をしたがえて、正午、本会議を開きました。

 会期について議長が発案し、

 第187回秋の臨時国会の当初会期は、

 2014年(平成26年)9月29日(月)から11月30日(日)までの63日間とする

 ことが全会一致の「異議無し」で可決されました。全会一致となったところに、安定多数を抱える与党・自民党が野党にていねいに配慮している形跡がうかがえました。

 続いて、常任委員長が選挙されました。

 ここで、議事進行係として、副大臣になった前会までの議員に代わり、自民党の橘慶一郎さんが動議を出しました。議長がすべての委員長を指名しました。

 内閣委員長は井上信治さん(自民党)

 総務委員長に桝屋敬悟さん(公明党)

 法務委員長に奥野信亮さん(自民党)

 外務委員長に土屋品子さん(自民党)

 財務金融委員長に古川禎久さん(自民党)

 文部科学委員長に西川京子さん(自民党)

 厚生労働委員長に上川陽子さん(自民党)

 農林水産委員長に江藤拓さん(自民党)

 経済産業委員長に江田康幸さん(公明党)

 国土交通委員長に今村雅弘さん(自民党)

 環境委員長に北川知克さん(自民党)

 安全保障委員長に北村誠吾さん(自民党)

 国家基本政策委員長に宮地和明さん(自民党)

 予算委員長に大島理森さん(自民党)

 決算行政監視委員長に石関貴史さん(維新の党)

 なお、逢沢一郎・議院運営委員長(自民党)と、

 高木義明・懲罰委員長(民主党)は続投しました。

 顔ぶれからすると、閣僚経験者が厚労委員長と予算委員長の2人しかいませんので、自民党政権における「人材の分厚い中間層」を感じることができます。なんとか、内閣改造の不満を自民党執行部は抑え込めることになるのでしょうか。唯一の対決法案として労働者派遣法改正案の提出が予定されていますが、公文書などを通じて、与野党のていねいな国会審査の実績がある、上川陽子さんの厚労委員長就任で、野党が「自民党を悪者」に仕立てるのは難しくなったかもしれません。

 特別委員会は、次の8つが設置されました。

【青少年問題特別委と海賊・テロ特別委は廃止のもよう】

 前会まで設置された青少年問題特別委員会と海賊テロ特別委(海賊行為への対処ならびに国際テロリズムの防止およびわが国の協力支援活動などに関する特別委員会)の2つの特別委員会は設置されず、廃止されたものとみられます。

 このところ、会期末の委員会で突然全会一致の決議を採択したり、閉会中に視察をしたりしていましたが廃止となりました。特別委員会を担当する衆議院事務局の部署は同じところなので、必ずしも職員について何か影響があるわけではないので、もっと会期ごとに柔軟に設置していいように感じます。それでいうと、逆に災害対策特別委員会は常任委員会格上げという考え方もあり得そうです。

【特別委員長人事】

 設置された8つの委員会と委員長互選人事は次の通り。

 災害対策特別委員長に梶山弘志さん(自民党)

 倫選特(政治倫理の確立および公職選挙法改正特別委員長)に山本拓さん(自民党)

 沖縄および北方問題に関する特別委員長は松原仁さん(民主党)

 北朝鮮による拉致問題に関する特別委員長は平沢勝栄さん(自民党)

 消費者問題に関する特別委員長は鴨下一郎さん(自民党)

 科学技術およびイノベーション特別委員長は渡辺博道さん(自民党)

 東日本大震災復興特別委員長は伊藤信太郎さん(自民党)

 原子力問題調査特別委員長には吉野正芳さん(自民党)が就任し、福島選出議員として異例の長い就任あいさつをしましたが大きな拍手を浴びました。

 きょうは会議がありませんでしたが、

 憲法審査会長は、保利耕輔さん(自民党)が続投、

 政治倫理審査会長は、村上誠一郎さん(自民党)が続投。

 なお、自民党の委員長で閣僚経験者は3人だけなのに、民主党は2人とも閣僚経験者ということになりました。今度の二大政党のキャリアパスとしては、委員長から議長というコースもあっていいかもしれません。現在衆議院は正副議長がともに閣僚経験者という珍しい状況ですが、参議院は逆に正副議長も議運委員長も閣僚未経験者となっています。  

 国会法第11条・第13条により、会期の議決が仮に衆参不一致となった場合は、衆議院の議決が自動的に国会の議決となることになっています。衆参両院の議決が必要な議案で、不一致の場合に、両院協議会を開かずに、即時に衆議院の議決が国会の議決となるのは、会期の件のみです。こういったことは、浅野一郎・河野久編著『新・国会事典』(有斐閣)が、類書を圧倒しています。6月に第3版も出たようですので、かなり高価ですが、国会ウォッチャーは座右に備えることをおすすめします。

 安倍晋三首相は事前にこの国会を「地方創生国会」と名付けていますが、どのような臨時国会になるかは分かりません。けさの日経新聞では、芹川洋一論説委員長が「消化試合」と決めつけています。たしかに対決法案も補正予算案もないので、そういう位置づけもできるでしょう。逆手にとれば、百年先を見据えた国のかたちを議事録に残すことができる国会です。9・29召集(きゅーてんにーきゅうしょうしゅう)だった第141臨時国会も対決法案はありませんでしたが、召集直前に大臣辞任、会期中に山一證券廃業がありました。そして、会期終了直後に、新進党解党という痛恨の出来事がありました。このとき、日経新聞の田勢康弘・論説副主幹は社説(無署名)で、「政党の名前を全部言えますか?」という極めて無責任な論説を展開しました。満州から山形に引き上げた田勢さんが自らの生活に慎重だったのはやむを得ないとはいえ、高度成長期に生き急いできた芹川さんとしては、「消化試合」で、体を休めたいのでしょうが、実際には、「消化試合」は後のスター選手が経験を積む最高の舞台です。



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