【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

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国内株インハウス運用のGPIF年金積立金管理運用独立行政法人法改正案提出のはこび 二大政党対決か

2016年01月13日 05時57分29秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

(このエントリーの初投稿日時は2016年1月13日の午前6時)

 GPIF年金積立金管理運用独立行政法人が、信託銀行を通さずに、国内株式を直接購入する「インハウス運用」ができるようにする、改正法案が提出されるはこびとなりました。

 平成28年2016年1月12日(火)に開かれた社会保障審議会年金部会で、その方向性に大きな異論が出なかった、と朝日新聞などが報じました。 

 GPIFは厚生年金保険料の積立金140兆円のうち、25%を国内株式で運用しています。国内株式については、信託銀行を通して、ETF(上場株式投資信託)を買うかたちとなっています。

 これを法人が直接購入するインハウス運用について部会で議論。

 厚生労働省年金局の提出した資料でメリット5項目、デメリット3項目を挙げました。メリットは「信託銀行に支払う委託手数料が削減できる」など。デメリットでは「運用マネージャーの処遇面 での対応が必要となる」といった内容にとどまり、インハウス運用に前のめり。

 コンサルタント会社のマッキンゼーや、東大名誉教授らも前のめりの資料を提出。

 慎重論では、慶応大学の小幡教授が「インハウスは極めて限定的にすることが現実的」としましたが、国会同意人事の必要性を説くなど正面からの反対ではありませんでした。

 社会保障審議会の全体総会の委員である、駒村康平慶大教授は「日本の公的年金の積立度合は相対的に高く、株式市場にも大きな影響を与える」、「日本の場合、アクティブなインハウス運用は他国よりも大きな影響を企業行動にもたらすのではないか」との論点を示したペーパーを提出。慎重ながらも、正面からの反対ではないようです。

 このため、インハウス運用を認める改正法案が提出するはこびは、確実となりました。

 インハウス運用の場合、日本企業の株主は、GPIF、日本銀行、日本生命の順となります。お家騒動で取締役会と大株主が対立したときに、GPIFがついた方が議決権過半数をとれるような影響力を持つかもしれません。アメリカにおけるカリフォルニア州退職教員年金基金のような存在になるでしょうが、GPIFは日本全体ですから、なかば、「社会主義化」が進むことにもなります。

 くしもく、年明けからこの日まで、東京証券取引所の225社の加重平均である日経平均株価は毎日落ち続けるという我が国資本主義史上初の事態。前月の米利上げスタートで、世界マーケットの変動性が高まり、不安定になっています。この日の国会でのテレビ入り予算審議でも、GPIFの運用状況が話題となりました。

 提出時期についてですが、今国会提出は先送りになるとの観測がこれまで有力でした。仮に、今国会に提出された場合は、2016年7月施行の第24回参院選の争点になったり、2016年秋の臨時国会の対決法案になります。岡田克也代表率いる民主党は、「若者、若者、若者の一年」と位置づけ、長時間労働短時間インターバルの規制など、厚生労働省をターゲットにしており、安倍首相(自民党総裁)も盟友で日銀出身の塩崎厚労相がターゲットになるGPIF改正法案をめぐって、二大政党が激突する気配が出てきました。

このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
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