【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【4/16】入管難民法改正案が審議入り、後期高齢者2割法案も盛り上がらず、医療法病床削減法案など細かい改正ばかりで本質の見えない国会に

2021年04月16日 14時45分13秒 | 第204通常国会令和3年2021年
[写真]写真は国会内大臣室で、向かって左に閣議室、右に秘書官室がある、4年前の2017年、宮崎信行撮影。

 経緯と本質をとらえていない人が多いと思います。後期高齢者2割の法案は、全世代型社会保障検討会議の中間とりまとめで、連立与党公明党の主張で半年先送りにされたものです。入管難民法改正案。こちらは「せやろがいおじさんの動画が好評」とのことですが、今次改正は収容施設の定員が密であるので、難民認定をしやすくするとともに強制送還もしやすくするという収容施設の視点を中心においた改正法案だと私はとらえています。

【参議院本会議 きょう令和3年2021年4月16日(金)】

 「医療法改正案」(204閣法19号)の趣旨説明がありました。地域医療計画プログラムによる病床削減法案ですが、こういうのも世界一病床数が多いことで開業医の高収入が維持されているのだから、病床削減で理事長の年収が減るのではないかという視点がまったくないと、経済再生と財政再建の両立の議論そのものが成り立たないのではないかと私はいつも考えるのですが、私が変なのでしょうか。

 「改正文化財保護法」(204閣法20号)が採決され、全会一致で可決し、成立しました。

 「銃刀法改正案」(204閣法37号参先議)が採決され、全会一致で可決し、衆議院に送られました。

 「育児・介護休業法及び雇用保険法改正案」(204閣法42号参先議)も全会一致で可決し、衆議院に送られました。


[写真]参議院本会議場の演台、4年前の2017年、宮崎信行撮影。

【衆議院本会議 同日】

 「災害対策基本法改正案」(204閣法50号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。

 「地方公共団体情報システム標準化法案」(204閣法31号)が共産反対、それ以外の賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 続いて「入管難民法改正案」(204閣法36号)が趣旨説明され、審議入りしました。社民党関係者を中心に難民認定がされない外国人駐留者の人権についての実態把握や制度改正が議論されていますが、当ニュースサイトのページビューの分析では、コロナ禍と複雑な法制のもと、あまり世論が大きく盛り上がっているということではないようです。

【衆議院法務委員会 同日】

 民法・公選法などの18歳成年の流れで提出された「少年法・更生保護法・少年院法など改正案」(204閣法35号)が立共反対、自公賛成で可決すべきだと決まりました。立憲は修正案を出しましたが否決され、政府原案も反対しました。階猛さんは18歳を成年とする規定が刑事法体系からなくなるのではないかと指摘しました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「海事産業強化のための海上運送法など改正法案」(204閣法24号)。対政府質疑で、立憲の城井崇さんは「日本の造船業が中韓に大きく引き離された背景に、中韓の過度の自国支援があるのではないか」と指摘しました。国民民主党で長崎1区の西岡秀子さんは「新造船の技術は今だに日本は世界に誇る水準だから支援すべきだ」と主張しました。採決の結果、全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院環境委員会 同日】

 「地球温暖化対策推進法改正案」(204閣法47号)。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「障害者差別解消法改正案」(204閣法59号)。全会一致で可決すべきだと決まりました。前回の改正法での「5年後見直し規定」に伴う改正法案ですが、「事業者の努力義務規定を合理的配慮規定に格上げしたり、国と地方の連携を強化させる」といった内容で、はたして、そもそも提出の必要があったのか。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 「後期高齢者自己負担2割の健康保険法改正案」(204閣法21号)と「それに対する立憲民主党の対案」(204衆法11号)が審議されました。
別記事に書いた通り、津村啓介さんが質問通告時刻について問いました。
「私は今朝も2時半から起きている」田村厚労相に津村啓介さん「野党は本当に質問通告遅いのか」の問いに厚労相「なんの議論か分からない」と結局休憩【追記有り】)再開後は津村さんは一覧表での提出を要求。そのうえで、国民皆保険から漏れている人の人数を省が把握していないのではないかと追及しました。

【衆議院財務金融委員会 同日】

 一般質疑。

●衆議院経済産業委員会は理事懇談会が開かれ日程を話し合いました。

【参議院地方創生及び消費者問題特別委員会 同日】

 「取引プラットフォーム新法案」(204閣法53号)が井上消費者相から趣旨説明されました。質疑は次回。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】

 2月改正法によるまん延防止等重点措置の区域変更について、西村大臣の報告とそれに対する質疑。人数が多い会派は地元の議員にさしかえました。

【定例閣議 同日】

 訪米中の菅首相にかわり、麻生太郎内閣総理大臣臨時代理が中心になりました。

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「私は今朝も2時半から起きている」田村厚労相に津村啓介さん「野党は本当に質問通告遅いのか」の問いに厚労相「なんの議論か分からない」と結局休憩【追記有り】

2021年04月16日 09時45分43秒 | その他
[写真]会社員時代はブラック労働にさいなまれた筆者、今は46歳でなく47歳です。

 国会待機や答弁作成をめぐる霞が関の過重労働が問題になっていますが、与党の政府外議員が、野党議員の質問通告が遅いからだとツイッターを中心としたSNSなどで発信して関心を呼んでいます。

 これに対して立憲民主党の津村啓介さんが、きょう令和3年2021年4月16日(金)の衆議院厚生労働委員会で質問。田村憲久厚生労働大臣は「前々日正午までに開催が決まった委員会で、質問通告が前々日中にあったのは3割だ」と答弁しました。

 しかし「前日に開催が決まった場合は当然前日以降だ」とし、委員会開催決定から開催までの間に野党議員の質問通告が遅いか早いかについて明確な答弁を避けました。というより田村さんは「みなさんのあいだで議論になっているようだが、何が論点なのか分からない。私は今朝も2時半に起きているが、役所にそこまで早く出て来させられない」と答弁。

 霞が関のブラック労働が、野党議員の質問通告が遅くて国会待機や答弁作成が長くなることに起因するというよりも、与党や高級官僚が特区制度や数年ごとに所管法令改正を繰り返すことで、法令の本数が多くなっていることに起因しているのかもしれません。

 委員会は休憩となり、厚生労働関係の、本省、衆議院事務局、議員、秘書全員の拘束時間が長くなりました。

【追記 10:10】

 もともと参議院本会議で「医療法を改正して地域医療構想で病床を削減する法案」(204閣法17号)の趣旨説明と代表質問にのぞむため、田村大臣は参議院に行く必要がありました。【追記終わり】

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