【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【4/30】杉尾秀哉さん「安倍総理のレガシーづくりで初動対応に失敗した」令和2年度第1次補正予算成立

2020年04月30日 20時16分14秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
(初投稿は午後4時台で、午後8時20分最終更新)

[写真]杉尾秀哉さん、3年前2017年11月、衆議院議員会館内で宮崎信行撮影。

 補正予算が成立しました。あす5月1日は一応平日ですが、審議はありません。しかし、その後の5月6日(水)までのゴールデンウィーク中に、衆参議運委で審議がある見通しです。

 第201回通常国会の残り会期は48日間。

【参議院本会議 令和2年2020年4月30日(木)】

 「令和2年度第1次補正予算」。衆では全会一致でしたが、参では過半数で可決し、成立しました。なお、定額給付金について、国庫歳出の法的根拠を裏打ちする法律は今回も制定されませんでした。

 「改正地方税法」(201閣法55号)も過半数で可決し成立しました。施行日は公布日となっています。おそらく持ち回り閣議の後、陛下が御名御璽をされ、今夜の官報特別号外で公布・施行されるはこびだろうと推測します。

 「令和2年度特別定額給付金及び児童手当の1万円上乗せ分の差し押さえを禁止する時限法」(201衆法10号)は全会一致。可決し、成立しました。

 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(201閣法54号)も過半数。どうも議長から見て右最前列の議員が起立していないように見えました。可決して、成立し、公布日に施行。

【参議院予算委員会 同日】

 「令和2年度第1次補正予算案」の基本的質疑の2日目が、本会議に先立ち開かれ、中継されました。

 委員の一部は、ソーシャルディスタンスのため、一般傍聴席(参議院第一委員会室は1階が一般、2階が記者)に座りました。

 きのう、憲政史上おそらく初めて、日曜・祝日国会で通算2回目の質問を9年ぶりにした森裕子さん。きのうの質疑で「新型コロナウイルスに感染している人は何千人いるのか」の問いに、首相が2分弱答弁できなかったことが、SNSなどで「衝撃だ」(大学生)と拡散されています。

 与党の公明党からは、浜田昌良さんが登場。与党ながら首相に対して「生活を守る経済対策なので確実、迅速、簡便が大事だ。困窮している当事者に届けるために、各種支援窓口のワンストップ化が必要だ」としました。首相は「きょういただいたご提言を参考にしてオンライン化などを進めたい」としました。

 浜田さんは9年前の震災国会では法務委員長の立場なので登場は少なかったのですが、その後、野党・公明党の「遅い、鈍い、心が無い」のスローガンの参議院での主導役となり、罵詈雑言を民主党政権に浴びせました。石井啓一政調会長らの「復興庁構想」は、与党の岡田克也幹事長・安住淳国対委員長・玄葉光一郎政調会長大臣のトリオが与野党協議体で汲み取り、参議院野党としては異例の議員立法が成立し、成立しました。政権再交代後の8年間の半分以上の時期を、復興副大臣として過ごしています。与党公明党は政府・与野党協議体に、石田祝稔政調会長ではなく、高木美智代政調会長代理を出席させており、岡田克也幹事長が出席した菅直人政権の野党対応とは段違いの心が無い政治を続け、対応も遅れています。

 また浜田さんは、簡便のことを「かんびん」と発音しました。私が属する日本列島で話される日本語では、辞書を引いたら、簡便は「かんべん」の読み方しかないようです。

 質疑終局。

 野党がまとめた組み替え動議は衆議院で否決され、国会の意思としては廃案となりましたので、野党は組み替え動議を出さずに、討論に立ちました。

 杉尾秀哉さんは「賛成せざるを得ないが、トゥーリトル、トゥーレイト、トゥーフェイクだ(いかにも少なく、いかにも遅く、いかにも改竄だ)。世界最大級の経済対策だと自称するが、真水は26兆円に過ぎない」と指摘しました。杉尾さんは「安倍総理は、オリンピック、習近平国家主席の訪日などのレガシーづくりにこだわり、初動対応に失敗した」と断じました。杉尾さんは「世界恐慌の淵にいる危機感を与野党が共有すべきだ」と強調しました。

 採決の結果「全会一致で可決すべきだ」と決まりました。本会議に緊急上程され、上述の通り、可決・成立しました。

【参議院総務委員会 同日】

 若松謙維委員長が議事をとりました。公明党福島県本部長の若松さんは9年前は落選していました。その後復帰し、2012年に小沢一郎グループ離党で民主党が失った総務委員長のポストに現在ついています。若松さんをめぐっては、「アベノマスク」を受注した「ユースビオ」(福島市)の樋山茂社長が政治献金をしたり、建物にポスターを張ったりしているとの指摘が出ています。報道機関のインタビューに答えた樋山さんは「創価学会3世で若松さんは以前から選挙を通じて知っている」ものの、アベノマスクをユースビオが随意契約いたこととは関係ないとしています。また樋山さんは脱税で現在執行猶予中だとの観測も浮上しています。 

 「地方税法改正案」(201閣法55号)を高市早苗大臣が趣旨説明。建物の固定資産税を猶予したり、減免したりできる法案だとしました。対政府質疑。その後、採決。全会一致で可決すべきだと決まりました。

 「令和2年度特別定額給付金等差し押さえ禁止法案」(201衆法10号)。「等」の意味が気になっていたのですが、趣旨説明によると、児童手当を1万円上乗せしたことにも配慮したようです。全会一致で可決すべきだと決まりました。上述の通り本会議で可決し、成立しました。

【参議院財政金融委員会 同日】

 いつもは本館内で開かれ、院内で「他の委員会と違うぞ」とお高く止まっている当委員会ですが、きょうは分館で開かれました。

 「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例法案」(201閣法54号)を審議。採決。全会一致で可決すべきだと決まりました。本会議緊急上程され、可決・成立しました。

【衆議院 同日】

 なし。

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