【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【4/10】国会は継続、「GAFA規制法案」「銀行・バス独禁法特例法案」が審議入り

2020年04月10日 17時35分58秒 | 第201回通常国会(2020年1月から6月)「コロナ感染症」
[写真]加藤勝信厚労相、小池百合子東京都知事ら、2年前2018年4月、東京都渋谷区で、宮崎信行撮影。

 このブログはすべて、元日経新聞記者で政治ジャーナリストの宮崎信行が一人で取材し、一人で書いています。

 官僚の人から「省がメール転送を認めないから、自宅勤務できない」と悲鳴が寄せられました。予算成立後の後半国会では、一般法案の審議は4月中に衆議院で審議入りしないと会期中に間に合いません。野党が求めた法案の絞り込みは拒んだ与党。衆議院本会議を議場出席班と会館ネット視聴班の輪番制にするなどして継続することにしました。

 一方、新型コロナ緊急事態宣言発令後も、たとえば東京都では9割方の商店が営業を継続しています。小池都知事が「協力金一律50万円」を出すことになり、休業に応じる店が出てきそうです。医療リソースはきわめてひっ迫。東京、埼玉や、おそらく京都、岐阜などは重大な事態を迎えつつあります。

 SNS世論も乱れてます。私が確認したところ、ANAホールディングスは現預金(キャッシュ)を1000億円弱しか持ちません。従業員給与12か月分に相当。ところが、先月だけでリース代など1000億円キャッシュアウトしたと報道されました。客室乗務員が防護服の裁縫をすることで大臣と会社が合意しましたが、これに対して見当違いな「女性差別だ」との声が上がっています。このペースでいけば有価証券を売却しても6月のボーナス支給後に倒産すると計算される会社が、追加融資を含めて、ひっしに雇用の維持に走っている。きょう現在では称賛されるべき官民の動き。また、布マスク2枚全戸郵送が400億円強の予算がかかることが批判されています。では、その予算で全世帯に「800円」支給するという話はナンセンス。野党幹部がこういうことに反応していることが残念です。やはり、会社経営を経験した人が政策決定過程に入らなければ一から話になりません。

【参議院本会議 令和2年2020年4月10日(金)】

 255議員いますが、参議院本会議場はもともと400席ありますので、前後左右1席空けたソーシャルディスタンスで開かれました。このため、採決は押ボタンではなく、起立採決となりました。

 「外弁法・外国人弁護士特別措置法改正案」(200閣法12号参先議)は賛成が過半数だと認められ、可決し、衆議院に送られました。

 「マンション管理適正化法及びマンション建替え円滑化法の改正案」(201閣法30号参先議)は総員起立と認められ、可決し、衆議院に送られました。

 「文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光推進法」(201閣法19号)は全会一致だと認められ、可決し、成立しました。1か月以内に施行、3年後見直し規定付き。


[画像]参議院本会議、きょう、参議院インターネット審議中継からスクショ。

【衆議院議院運営委員会 同日】

 委員会に先立つ理事会では、来週火曜日の本会議で「年金制度改革法案」(201閣法34号)の趣旨説明と安倍晋三首相も出席した代表質問をすることで合意しました。長時間の審議になります。

 衆議院本会議のソーシャルディスタンスを実現するため、各党派ごとに、当番制で出席者と会館でのテレビ視聴者に分けるなどの対策を決めました。

 ◇

 この動きから、定例閣議は職員が矢立(やたて)を持って各閣僚に花押を書いてもらう持ち回り閣議に。

 野党共同会派は、民間の無料ウェブ配信システムを使って、パスワードを入れてみる、「ウェブ代議士会」を始めました。30分前から開始し、会館で見た議員のうち、当番議員が本会議場に歩いて向かう格好になります。 


[画像]共同会派の「ウェブ代議士会」の配信画面からスクリーンショット。

【衆議院本会議 同日】

 「電波利用料を改定する電波法改正案」(201閣法16号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。

 「防衛省設置法改正案」(201閣法4号)は共産党反対、自民党・公明党・野党共同会派・維新の賛成多数で可決し、参議院に送られました。

【衆議院内閣委員会 同日】

 「地域乗り合いバスと銀行の独禁法特例法案」(201閣法31号)が審議入りしました。担当は西村康稔大臣のようです。次回は来週15日(水)9時から。

【衆議院経済産業委員会 同日】

 第1ラウンドと第2ラウンドに分けて開かれました。

 まず第1ラウンドでは、関西電力に対する「故森山元助役」の金品授受問題と、それについての顛末書を資源エネルギー庁が故意に日付を書き換える公文書改竄をした問題。梶山弘志大臣が警視庁に対して「告訴」ならぬ「報告」をしました。この問題についての集中審議で、与党議員は、故森山元助役が「いつの時代だ、と思う小判」などを使い、関電幹部を分断して心理的にゆさぶる手法で篭絡したとして激しく非難しました。野党議員では、原発銀座とされる福井県を基盤としている、斉木武志さんが、「内部通告者は金沢国税局なのかもしれない。電力・ガス取引監視等委員会は、経済産業省別館にあるから、今回は機能しなかった」とエネ庁とのやりとりを通じて明示しました。3・11で経済産業政務官として福島に常駐した、田嶋要さんは「与党野党関係なく恥ずかしいことだ」と主張しました。


[画像]衆・経産委で質疑する田嶋要さん、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 第2ラウンドで前回審議入りした「GAFAを規制する、特定デジタルプラットホーム透明性公平性向上法案」(201閣法23号)と「5G税財政支援法案」(201閣法22号)の実質質疑1日目となりました。自民党の小林鷹之さんは「GAFAはバーチャルデータの世界を支配している。リアルデータの世界では、日本はGAFAに立ち向かえるかもしれない。欧州では企業が持っているモビリティデータを、健康医療、自動運転、農業などの各分野で利活用するプラットフォームができつつある」として、日本でも産業発展とルールメイクができるとの俯瞰図を描きました。

 参考人質疑を14日(火)に行うことになりました。午前9時半からは閣法23号、午後3時から閣法22号の参考人質疑。

【衆議院財務金融委員会 同日】

 「株式会社政投銀法5年延長法案」(201閣法24号)が趣旨説明されました。

【衆議院外務委員会 同日】

 条約承認案5件が、共産党反対、自公・野党共同会派などの賛成多数で承認すべきだと決まり、次回本会議で採決されることになりました。「日本と、UAE、ヨルダン、ASEAN、モロッコ、コートジボワールとの各々の投資協定」(201条約1、2、3、4、5号)です。

 質疑の中では、岡田克也さんが質問した内容が報道されました。岡田さんは海外からの帰国者のPCR検査や自主隔離のホテル代などを国が負担しない姿勢について「帰ってくるなと言っているのに等しい」と批判。茂木敏充外相は「海外からの帰国者のラッシュは過ぎたが、3300人が帰国を希望しながら帰国できていない」としました。

【衆議院国土交通委員会 同日】

 「持続可能な運送サービス確保のための一括改正法案」(201閣法20号)が趣旨説明されました。先月24日(火)の本会議で代表質問がなされていて、きょう委員会でも審議入りしました。

【衆議院法務委員会 同日】

 一般質疑がありました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 一般質疑がありました。

 以上です。