[画像]野党理事が抗議する中、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法改正案を強行採決する、丹羽厚生労働委員長、2017年4月12日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【参議院本会議 平成29年2017年4月12日(水)】
「改正裁判所職員定員法」(193閣法4号)が投票総数233、賛成219、反対14で成立しました。裁判官は増えますが、職員全体では微減。公布日に施行。
「海上運送法及び船員法を改正する法律」(193閣法7号)は投票総数233、賛成219、反対14で成立しました。来週の、公布の日から起算して6か月以内の政令で定める日に施行。船員法改正条項は多国間条約整備後に施行。
「改正化審法(化学物質の審査及び製造等の規制法)」(193閣法52号参先議)は、投票総数232、賛成218、反対14。投票総数が1つ減ったのは、世耕大臣がひな壇にいたためとみられます。参議院先議ですので、可決した法案を衆議院に送ることになりました。
【衆議院厚生労働委員会 平成29年2017年4月12日(水)】
●今国会初の強行採決
「地域包括ケアシステム強化のための介護保険法改正案」(192閣法15号)。9時から総理入り質疑をした後、理事会のため1時間前後中断。正午から再開し、民進党議員が質疑の中で、「まさか採決ではないでしょうね」と牽制しました。ところが、この後、自民党の三林裕巳理事が「質疑を打ち切り、討論を省略し、ただちに採決すべきだ」とする動議を提出。これに気づいた野党理事が抗議する中、委員長が動議を採決し、自公の賛成多数で可決しました。ただちに法案の採決に入り、民共反対、自公維賛成多数で「可決すべし」と決まりました。
なお、「民進党対案(193衆法7号8号)」は採決されなかったため、このまま、会期末まで流して、審議未了廃案になる公算です。
【衆議院法務委員会】
●120年ぶりの民法改正案可決、民進党の修正案は否決
「民法債権編改正案」(189閣法63号)と「改正法実施のための一括改正法案」(189閣法64号)が、民反対、自公共維賛成多数で可決しました。閣法63号は、条文中の経過規定の「平成28年」を「平成29年」に書き換える修正案が自公から出て可決したため、「修正」の議決となります。
委員会では冒頭、民進党が修正案を提出。階猛さんは「民法は私法の一般法とはいえ、消費者契約法にあるような、弱者保護の観点が必要だ」として、(1)暴利を制限する(2)個人の保証について2年間の短期消滅時効を設ける(3)半年ごとに見直す法定利率3%を2%に下げたうえで市中金利と連動させるーーなどとしました。
質疑の最後に、共産党の畑野君枝さんが「質疑の継続を求める」としましたが、委員長が質疑終局を宣言。自民党から上述の修正案が提出。討論は民進党だけが求め、反対を呼びかけました。採決では、修正部分も含んで、政府原案が閣法63号、閣法64号がおのおの、民反対、自公共維賛成多数で可決しました。この後、付帯決議が民進党などから提出され、「配偶者保証などに頼らない融資姿勢の確立が必要だ」とする委員会決議が全会一致で可決しました。
私は、政権交代直後の、2013年2月の法制審議会とりまとめ以降、一貫して、この法案に強行に反対してきましたが、昨夏に、与党・自民党が衆参単独過半数を得る、「2016年体制」ができましたので、もはやこれまで、といったところです。
【衆議院内閣委員会】
「医療ビッグデータ法案」(193閣法53号)について、民進党の緒方林太郎さんが修正案を提出「(1)本人のみならずその子孫への差別を禁止することを明記する(2)医療分野の研究開発に限ることを明記する(3)開示請求に応じる」などとしました。採決では、共反対、自公民維賛成多数で、修正案が可決されました。
質疑の中で、与党議員が「次世代医療ICT基盤協議会のとりまとめを法案化したものだ」と語りましたので、内閣官房のホームページを見たら、昨年平成28年2016年12月16日にとりまとめがあり、パブリックコメントもされていましたが、情報公開マインドがまったく無いホームページがそこにはありました。
【衆議院地方創生に関する特別委員会】
●森友で話題の特区制度、特区法改正案は審議入りせず
一般質疑だけで終わりました。おそらく、森友問題、加計学園問題で問題視する世論が出てきた「特区制度」に関連した、特区法改正案の審議入りの前さばきで、与野党間に考えの違いがあるとみられます。
【衆議院国土交通委員会】
「都市緑地法及び都市公園法を改正する法律案」(193閣法24号)が共反対、自公民維賛成多数で可決しました。
質疑では、民進党の本村賢太郎さんが「現在特区にとどまっている保育園の公園内設置を可能とする都市公園法改正条項は前向きな改正だと評価したい」とし「公園内のカフェ・レストランの設置の指定管理者を20年更新にしているが、その間の事業者のリスクはどのくらいになるか」と確認しました。本村さんは「都市緑地法改正条項には懸念がある。生産緑地の宅地転用が進むのではないか」と問いましたが、石井啓一国土交通大臣は「たしかに、住宅不足で生産緑地の宅地化を進めてきた経緯はその通りだ。しかし、今後は、宅地化よりも、都市農地が持つ多面的機能に配慮していきたい」と語り、農林団体からも支持されていると答弁しました。
討論では、共産党の池内さおりさんが「都市緑地法改正条項には賛成だが、都市公園法改正条項で、公園内のPFI指定管理者を増やすことには反対だ」とし「奈良公園ではリゾートホテルの建設計画があり、周囲で反対論が出ている」と語り、上述の通り、採決で反対しました。
【衆議院経済産業委員会】
「原子炉廃炉積立金法案」(193閣法9号)が共反対、自公民維賛成多数で可決しました。衆での審議入りから2週間で委員会審議を終えました。
質疑では、午前9時から、民進党の篠原孝さんが「経済産業省は華やかな面もあるが、東芝に口出しする必要はなく、通商行政などに特化すればいいのではないか」と指摘しました。
【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会】
一般質疑がありました。
午前10時から、民進党の篠原孝さんが質問し、「私は、農水省の転勤で、東京、神奈川、千葉と引っ越し、そのたびに投票していたが、誰に投票したか覚えていない」とし「心はいつも長野の小坂善太郎さん、倉石忠雄さんにあった」としました。政府の答弁では、遠隔地の自宅を離れて大学に通う学生は住民票を移す必要があり、単身赴任者は毎週土日に帰る人は必要ないが、月2回程度だと変える必要があり、市町村が判断するとしました。
●政治団体代表の寄付金控除、財務省「合法」と答弁も、見直しの機運
民進党の落合貴之さんは「政治資金収支報告書の総務省、各県選挙管理委員会のフォーマットを統一し、電子化すべきだ」と語りました。また、一部報道で、合法ながら問題視されている高市早苗さんの政治団体への代表者個人の寄付金の控除が認められていることについて言及。まず、財務省が「合法だ」と明確に答弁。落合さんは個人名を出さずに一般論として聞きましたが、答弁する高市総務相はさすがにこわばっていました。総務相は「聞いたところでは、自民党が昨年、全国の支部に対して一枚紙で、自粛した方がよい、と指示している」とし「各党各会派の議論にゆだねたい」としました。他の党で反対論は無いとみられ、今後、禁止する方向性がみえました。
●共通投票所、昨夏の参院選での活用は4自治体にとどまる、大学内共通投票所は大学選挙区内に住民票が無いと使えないことが明らかに
大学生が大学内共通投票所を使うにしていも、その大学がある選挙区に住民票がないと使えないことが分かりました。前回の改正公職選挙法で実現した共通投票所の昨夏第24回参院選での活用事例は、4自治体だったと、政府は答弁しました。
●メガバンクから自民党への政治献金は3行とも2000万円だと総務省が答弁
共産党の塩川鉄也さんは、自民党の政治資金団体「国民政治協会」(国政協、大橋理事長)に、メガバンクから政治献金があると指摘。これは、政治資金収支報告書に書いてあるわけですが、政府の答弁として「みずほ銀行から2000万円、三井住友銀行から2000万円、三菱東京UFJ銀行から2000万円あった」と明らかになりました。塩川さんは「一昨年末に献金されている」とし問題視しました。塩川さんは「政治資金収支報告書の公開は以前は、翌年9月だったが、翌年11月になったのはなぜか」と問い、見直しを求めました。
質疑には、上述の篠原孝さんのほか、岡田克也さんも参加し、羽田孜チルドレン勢ぞろいの様相でした。
[画像]審議を見る、岡田克也さんら、2017年4月12日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。
【衆議院財務金融委員会】
「金融商品取引法(金商法)改正案」(193閣法37号)が麻生金融相から趣旨説明されました。質疑は次回。
【参議院国際経済・外交に関する調査会】
【参議院国民生活・経済に関する調査会】
【参議院資源エネルギーに関する調査会】
定例の水曜午後1時から始まり、川口順子元外相(元参議院議員)らの参考人から話を聞きました。
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