【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

民主党、農業者戸別所得補償法案を衆議院に提出 概算金激減だが、なんとか冬を乗り越えてほしい

2014年11月18日 23時46分21秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]民主党のネクスト農水副大臣の参議院議員・徳永エリさんと、衆院の玉木雄一郎さん、篠原孝さん、衆議院の向大野新治・事務総長、2014年11月18日、民主党ニュースから。

 民主党は、平成26年2014年11月18日(火)、「農業者戸別所得補償法案」を衆議院に提出しました。

 第1次野党期の2007年秋の臨時国会に参議院に提出され、平野達男さん(当時は民主党)が答弁し、可決。衆議院でも答弁しました。

 その後、第1次与党期では、予算措置にとどまり、法律案は提出することができませんでした。これは情けないことです。

 そして、第2次野党期のことしの通常国会で、ねじれ解消後にもかかわらず、自民党国会対策委員会の配慮で、農業者戸別所得補償法案が重要広範議案として衆議院本会議で審議入り。民主党の大串博志さん、鷲尾英一郎さん(元農水政務官)、玉木雄一郎さんの3人が本会議ひな壇にすわり答弁。委員会でも1カ月間にわたる活発な議論がされましたが、採決直前に、突如、自民党から「2017年に収入保険導入の法制化を検討する」という、まったく理念が違う修正案を出されたうえ、民主党原案は否決され、衆議院段階で葬り去られました。 民主党代表でネクスト首相の海江田万里さんは記者会見で、「やはりTPPの問題もあったかな」と語り、TPP交渉の弾除けとして民主党案が審議されたのではないかとの国会戦術としての失敗を認めました。しかし、否決直後にもかかわらず、農業者戸別所得補償の訴えを続けることを宣言。

 東京選出の海江田さんは「私も日本全国を回っていますが、農業者戸別所得補償制度、直接支払いは農家の評価は非常に高いのですね。私たちはむしろそれを言ってくればよかったわけでありますが、それを言ってこなかった反省もありますから、この考え方は堅持していくつもりでありますし、それをしっかりと全国の農業従事者に対して言っていくつもりであります」 と語り、これまで発信が足りなかった面もあると話しました。(関連エントリー
民主党代表、農業者戸別所得補償(直接支払い)の訴え、「続けます」と断言 発信が弱かったと反省も

 その後、コメの概算金が1俵8000円台になるという驚くべき実りの秋が来ました。一部では、規模拡大をめざした40歳代の農業者が自殺したと報じられています。自民党は農業者の減収分をJAバンクではなく、異次元の金融緩和でお金がありあまっている、日本公庫から「セーフティーネット貸し付け」をするとしていますが、農業者がどうやってその融資を返すのでしょうか。来年2倍の作付けをして、2倍働けば、2倍収入を得られるーーそんな農業があるわけありません。

 JAバンクに概算金が払い込まれると同時に、トラクターや日用品の決済がなされて、東京ドーム2個分の田んぼを持つ農業者が東京に出て、タクシー運転手をするのでしょう。ただ、なんとか、セーフティーネット貸し付けでもあと数年持ちこたえれば、農業者戸別所得補償が復活します。民主党は七転び八起きで、何度も何度も起き上がらねばならない。

 この後の及んでも、補助金と政府系金融の融資でごまかそうとする農林水産省ですが、麻生太郎・財務大臣兼金融担当大臣は、男子の本懐を示してほしい。 


民主党と維新の党、「特定秘密保護法施行延期法案」を提出 12月10日施行→12月14日総選挙以降に

2014年11月18日 23時30分53秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]特定秘密保護法施行日延期法案を提出する、民主党の後藤祐一さん、階猛さん、大島敦さん、衆議院の向大野新治事務総長、維新の党の畠中光成さん、柿沢未途さん=民主党ニュースから。

 民主党と維新の党は平成26年2014年11月18日(火)、「特定秘密保護法施行延期法案」を衆議院に提出しました。

 第46期衆議院の大きな争点となった、昨年秋の臨時国会の特定秘密保護法。安倍晋三首相(自民党総裁)が、同日、「2014年11月21日(金)解散」を発表し、党内で、「12月4日公示、12月14日投開票」の日程を内示したため、特定秘密保護法の施行日の2014年12月10日(水)に衆議院議員不在となり、改正国会法にもとづく衆議院情報監視審査会が動かないことから、施行日を延長するように書き込んだ法案です。

 民主党、維新の党は、特定秘密保護法制には反対していませんが、指定の透明性、公文書の保存に関して、運用上の問題があると指摘していました。

 法律案は「施行日は別に法律が定める日」として、凍結し、第47期衆議院のもとで、解凍することを盛り込んだカンタンな内容。残り3日間の会期でも衆参通すのは十分可能なものです。 


参議院気を吐く 法律案大量審査 リベンジポルノ法案、景品表示法改正案など参議院委員会で可決

2014年11月18日 19時25分41秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

 安倍晋三首相は今週金曜日、2014年11月21日(金)に、会期を9日間残して衆議院を解散します。

 これに先立ち、きょうは主に参議院が気をはきました。

【衆議院総務委員会 2014年11月18日(火)】

 「地方創生国会」のわりに1つも法案がかかっていなかったのですが、リベンジポルノ被害防止法案(187衆法)が起草されました。全会一致で可決しました。

【衆議院農林水産委員会 同日】

 外国人漁業規制法とEEZ漁業主権法を改正する法律案(187衆法)が提出され、全会一致で可決しました。

【衆議院本会議 同日】

 田村元・元衆議院議長に弔詞がささげられました。

 この後、緊急上程。

 「リベンジポルノ被害防止法案」と「外国人漁業規制法とEEZ漁業主権法を改正する法律案」が全会一致で参議院に送られました。

【参議院総務委員会 同日】

 「リベンジポルノ被害防止法案」が質疑されました。衆参とも共産党が質疑し、議事録を残しました。この後、全会一致で可決。あすの本会議で成立へ。

【参議院農林水産委員会 同日】

 午前中は一般質後。その後、「外国人漁業規制法とEEZ漁業主権法を改正する法律案」を可決しました。あすの本会議で成立へ。

【参議院国土交通委員会 同日】

 空家対策特別措置法案(187衆法11号)が趣旨説明され、全会一致で可決しました。あすの本会議で成立へ。

【参議院内閣委員会 同日】

 国連安保理決議1267号を国内実施するテロリスト財産凍結2法案(187閣法15号、16号)を可決。あすの本会議で成立へ。

【参議院外交防衛委員会 同日】

CSC原子力損害賠償の補完的な条約の承認を求める件(187条約2号)を承認。あすの本会議で両院承認へ。

【参議院消費者問題に関する特別委員会 同日】

 景品表示法改正案(187閣法25号)を全会一致で可決。次の本会議で成立へ。

【参議院環境委員会 同日】
 
 放射性廃棄物の中間貯蔵施設の法案(187閣法5号)を賛成多数で可決。あす成立へ。

【参議院財政金融委員会 同日】

 参議院議員立法の「消費税のインターネットを通じた国外からの役務の提供への適正課税の法律案」(187参法1号)の参考人質疑と法案審査をしました。次の国会へ良い議事録が残りました。

【参議院法務委員会 同日】

 裁判官と検察官の給与法案(187閣法9号、10号)の趣旨だけ聞いて、散会しました。次の審議は不明。

【参議院文教科学委員会 同日】

 条約は承認されましたが、CSC条約の国内実施2法案(187閣法27、28号)の趣旨だけ聞きました。木曜日に審査をすれば、21日金曜日には成立できるのですが。

【参議院経済産業委員会 同日】

 衆議院を全会一致で通過した「官公需の中小企業の優先発注法案」(187閣法4号)の趣旨説明だけで、散会しました。

【衆議院厚生労働委員会 同日】

 先の通常国会で、参議院送付後に時間切れとなった、「有期雇用の特別措置法案」(186閣法48号)を可決しました。次の衆議院本会議で可決し、成立。

【参議院厚生労働委員会 同日】

 まず一般質疑。民主党はなんと5人が質問しながら、議員立法の前さばき。

 この後、前回、衆議院で可決しながら、参議院で時間切れとなった、「九段会館の国有地を日本遺族会に無償貸し付けする法律の延長法案」(186衆法45号)を賛成多数で可決しました。参議院本会議で可決後、ふたたび衆議院へ。

 次に、危険ドラッグ規制法案(187衆法9号)が可決しました。次の本会議で可決・成立。

 そして、ハンセン病問題の解決促進法改正案(187衆法10号)を全会一致で可決しました。次の本会議で成立します。 


アベノミクス解散へ 反動減の次の期もマイナスで腰折れ 民主党代表、日銀の株直接購入を問題視

2014年11月18日 09時30分23秒 | 第187臨時国会2014年地方創生国会

[写真]民主党代表・ネクスト首相の海江田万里さん、2014年7月31日筆者(宮崎信行)撮影、民主党本部。

 アベノミクス解散(第47回衆院選)は、参議院で最後の攻防が続いており、地方創生2法案(187閣法1、2号)の質疑終局がどんなに早くても19日午後になることから、20日(木)から21日(金)になる可能性が高まっています。先の通常国会で参議院で時間切れとなった、九段会館への国有地貸し付け法案(186衆法45号=今国会では参議院先議)などが審議され、衆議院に送付。衆議院はきょうから、連日本会議を設定することになりそうです。衆議院から送付された法案も参議院でていねいに審査することで、自民党の溝手顕正参議院議員会長や伊達忠一幹事長ら、民主党・新緑風会の郡司彰議員会長や、羽田雄一郎幹事長、国対委員長らが合意済みのようです。


 きのう、2014年11月17日(月)午前8時50分、7-9月期のGDP1次速報値が内閣府(旧経済企画庁)から発表されました。1-3は増税前駆け込み、4-6は反動減ときて、なんと7-9がマイナス(実質年率換算マイナス1・9%)というありえない数字になりました。

 とくに、民間住宅投資が名目では回復しながら、実質季節調整後では前期比マイナス6・8%となっており、アベノミクス第2の矢の資材価格の高騰が響いた格好。

 異次元の金融緩和でマネーストックを2年で2倍にしている途中なのに、設備投資も、実質季節調整後では前期比マイナス0・2%となりました。これは今後の改訂値でプラスになると思われますが、異次元の緩和のリスクからすれば、まったく低空飛行としかいいようがありません。これは昨年4月中にも、なんらかの減税措置とセットにすべきだったのではないでしょうか。

 ただ、消費が落ち込めば、GDPは大きく下振れします。住宅、家電、旅行の買い控えがあることを考慮すると、GDPの落ち込みよりも、将来不安、物価高、子供がいる貧困層の窮乏、米価下落の方がより深刻だと考えます。

 民主党は情報を事前に入手していたのだろうと思いますが、すでに先週金曜日に、社会保障と税の一体改革法附則18条を発動すること(10%の延期、一時的な先送り)を決めています。

 民主党代表でネクスト首相の海江田万里さんは、きのう2014年11月17日(月)の定例記者会見で、日本銀行(BOJ)が日銀券で株式を直接買い取っていることについて、「安倍政権が必死に株を買い支えており、民主党政権では禁じ手だ。長続きしない」と語りました。

 あまり話題になっていませんが、

 日銀は異次元の金融緩和で、例えば10月31日の金融政策決定会合で、

 「ETF(略)について、保有残高が、(略)年間約3兆円(3倍増)(略)に相当するペースで増加するよう買入れを行う。新たにJPX日経 400 に連動するETFを買入れの対象に加える 

 とあります。

 これは投資信託をはさんでいますが、実は、日銀がお札を刷って(2年で2倍)、株を買っていることになります。

 日銀は3つの顔を持っています。

 (1)日銀は日本最大の借金王です。不換紙幣である日本銀行券は、日銀の借用証書です。

 (2)日銀は、日本国債の最大の持ち主なので、日本国にとっての最大の借主になっています。

 (3)日銀は、年末までには、日本生命保険相互会社を抜いて、年末までには日本最大の株主となります。

 「日本最大の借金王」というと、立場が弱いように感じますが、実際には踏み倒されたら、国民総崩れですので、日本最大の番長です。実際に、海外の雑誌で、影響のある人物で、日銀の黒田総裁は安倍首相より上位にランクされています。

 海江田さんの記者会見に戻ります。

 「株というのは上がるときもあれば、下がるときもあるんです」として、日経平均株価などは実体経済を完全に反映していないとして、

 「GPIF(政府年金投資基金)の勤労国民がまじめに払っている社会保険料を株式市場に今までの2倍以上運用しています。日銀も異次元の緩和で、国債を思う資金も増やすけれど、ETFという投資信託も買うということですから、安倍政権が必死に株を買い支えています。民主党政権では、禁じ手でした。このようなやり方は長続きしない」と語りました。
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