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吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。
なので、思い出話+彼目線も書いてみました。
恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。
子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。
ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。
微妙にずれてしまうんだよね。
だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。
だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?
☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その7
濡れてしまっていたコートだけ脱がせて、百花ちゃんをベッドに寝かせる。
意識は朦朧としているようだが、「手を抜いて」とか「足を伸ばして」という俺の言葉には素直に従っている。
痛々しくて…俺の罪悪感はますます募った。
掛け布団をかけてしばらく見守っていると気がついたようで、体を起こしながら不思議そうに呟いた。
百花「ん…部屋……どうやって帰ってきたんだろ…」
今にも転げ落ちそうに思えて、慌てて言った。
譲二「ベッドから出ちゃダメだよ」
百花「え? あ…マスター」
きょとんとした顔で俺を見つめる。
だが、その瞳には徐々に俺への怯えが広がっていく。
ついキツイ言い方をしてしまったことを後悔した。
(ごめんね。百花ちゃんに怒ってるわけじゃないんだ。百花ちゃんを止められなかった自分が許せないだけなんだ)
百花「あの…」
ためらいがちなその声は弱々しくて、またなぜ出かけさせてしまったかと怒りがこみ上げてきた。
自分の気持ちを落ち着けて、出来るだけ優しく話しかけた。
譲二「…まだ熱があるみたいだね。もう少し眠ったほうがいいよ」
百花「は、はい」
譲二「どうしてか、後でちゃんと話してあげるから…今はおやすみ」
百花ちゃんは、またベッドに横たわると目をつぶった。
(なにしてんだ…俺は。身体が辛い彼女を怯えさせるなんて…)
むしゃくしゃした気持ちを持て余しながら、その部屋を後にした。
その8へつづく