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吉恋番外編の雪遊びを読み返して、譲二さんだけに子供の頃の思い出話が無いのが寂しかった。
なので、思い出話+彼目線も書いてみました。
恋カフェにショートの彼目線はあるけどね、もう少し長くってことで。
子供時代、他のみんなのは10年前で小学生時代なんだけど、譲二ルートでは譲二さんが中学生ってことで13~15歳くらいの話になる。
ということはヒロインは幼稚園児で12~14年前のことと思われる。
微妙にずれてしまうんだよね。
だから「雪遊び」は10年前の大雪の日ってことで、この思い出では高校生の譲二さんに活躍してもらいます。
だから失恋からも少し立ち直ってるのかな?
☆☆☆☆☆
雪遊び~譲二の場合~その5〈子供時代〉
膝についた雪を振り払いながら立ち上がる。
譲二「やあ」
百花ちゃんはにっこり微笑んで俺を見上げる。
百花「やっぱり、じーじだ」
譲二「お前、どこに行ってたんだよ? あいつらと遊ばないのか?」
百花「あのね。お友だちのりっちゃんにね、雪の玉が当たってね、泣き出したの」
譲二「りっちゃん? ああ、お前と同じお姫様か…」
百花「りっちゃんはまだ幼稚園で小さいからね。痛いって泣き止まないから、お家まで送って行ってたの」
譲二「そっか…。大変だったんだな」
百花「へへっ」
頭を撫でてあげると百花ちゃんは得意そうに微笑んだ。
だけど…なんだか震えてないか?
唇の色は紫がかっているし、肩が少し上がって縮こまっている。
譲二「お前、寒いんじゃないのか?」
声を掛けると、百花ちゃんは思い出したかのようにガタガタと震えだした。
百花「寒い…」
譲二「やっぱり…」
俺は思いついて、自分が巻いていたマフラーを外すと百花ちゃんの首に巻いてやった。
俺が巻いても長めのマフラーだから、百花ちゃんには何重にもぐるぐる巻きにしなければならなかった。
百花「こんなにぐるぐる巻きにしたら動けないよ~」
譲二「風邪を引くよりましだろ! 首を冷やすと風邪を引きやすくなるんだぞ!」
マフラーで顔が半分しか見えない百花ちゃんが嬉しそうに言った。
百花「じーじのマフラー、あったかいね」
譲二「ああ。だけどお前マフラーのお化けみたいだな…」
百花ちゃんが笑い出す。
百花「え? 百花はお化けじゃないよ!」
百花「ね! じーじ! 一緒に雪だるま作ろう!」
マフラーの間から手を出した百花ちゃんに引っ張られて…結局大きな雪だるまを作らされたっけ…。
その6へつづく