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陳舜臣「唐詩新選」牡丹⑧:白居易「西明寺牡丹花時、元九を憶う」

2006年01月23日 17時39分21秒 | 本・陳舜臣
きのうの続きです。陳舜臣「唐詩新選」牡丹(中公文庫)
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(70ページ)
 一般の人が行くことのできた花どころは、境内の広い寺院がおもで、前記の慈恩寺のほか、空海など日本の留学僧が宿舎とした西明寺が名高い。西明寺の牡丹は多くの詩人が詠み、白居易も貞元二十年(804、空海の入唐の年)に、「西明寺牡丹花時、元九を憶(おも)う」と題する五律を作っている。元九とは白居易の親友元稹(げんしん)のことである。

  前年題名處  前年 名を題する処
  今日看花來  今日 花を看に来たる
  一作芸香吏  一たび芸香(うんこう)の吏と作(な)り
  三見牡丹開  三たび牡丹の開くを見る
  豈獨花堪惜  豈(あ)に独り花の惜しむに堪うるのみならんや
  方知老暗催  方(まさ)に知る老いの暗(ひそ)かに催(もよおす)すを
  何況尋花伴  何ぞ況(いわ)んや花を尋ねし伴(とも)
  東都去未廻  東都に去りて未(いま)だ廻(かえ)らざるをや
  詎知紅芳側  詎(なん)ぞ知らん紅芳の側(かたわら)
  春盡思悠哉  春尽きて思い悠なる哉(かな)

 前年、白居易は友人元稹と西明寺に遊び、そこで名をしるした。「芸(うん)」(藝の略字ではない)は香草で、これを書巻に挿(はさ)みこむと、紙魚(しみ)がつかないといわれる。そんなことから、宮室図書館である秘書省のことを「芸省」あるいは「芸台」と呼ぶ。

 このころ白居易は秘書省著作局の校書郎であった。芸香の吏とはそれを指す。この年、元稹は東都(洛陽)へ行き、牡丹の花どきにはまだ戻っていなかったようだ。

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 続く 

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