
お客様から二胡を作りたいと、昨年送られてきたこの木がどうやら良い乾燥になりかけています。
胴や棹の材料の大きさの近くに製材して本格的な乾燥ができる時期に来たようです。
これは、原産地はどうやら中国の四川省から荊州(重慶のあたり)と言われています。
比較的暖かい地方で栽培されたりしています。
どうも、私はこの木にご縁があるのか、地域は違うのですが家内の家族からも兄からもこの美味しい実が送られてきます。
最近では少なくなってきましたが、子供のころ下町にはあまり植栽というのが無く、所々の家の庭にこの木が植わっていまして、子供たちがよくこの実をもらっていました。
木は、とても硬く、と言っても樫や楢の様に頑健な硬さではなく粘りもあり細くしても折れにくいのです。
硬くて粘りがあるという点では二胡として良い音になると思うのです。
もう、9年くらい前にヨーガン・レールさんの自宅の家具を作るときに、「この木を使ってください」と渡されたのが、ランブータンでした。
粘りがありすぎて、とても加工に苦労したのを覚えています。このランブータンがかなりあまりまして、その木をいただいて二胡に作りました。とても良い響きになりました。
今回はたまたまお客様のお持ちの森林で育った木ですから、比較的太いものです。
実のなる木は、身を取るように栽培するとどうも幹の方は家具などに作ったりできにくいのです。
ケンポ梨などは、自然に育つととても太く真っ白な良い家具材になりますが、多摩川当たりの実を取るための梨はとても家具に使えるだけの強度を持っていないのですね。
この木はその実の形から既に楽器になっています。楽器の名前から木の名前になったのかどうか、どちらが先なのでしょうね。
琵琶の木。
細くしても粘りがあり硬さもあるので木刀を作る材としては一番良いとされています。
木刀を打ち合うととても硬く強くそして伸びる響きがあります。
もしかしたら、そのようにとても音の伸びる楽器になるのかもしれません。
何とか、来春までには、この琵琶の木の二胡音が出せるようになるのかもしれません。
でもここからの乾燥がとても大切な時期になるのです。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ