二胡工房 光舜堂

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ニ胡の駒は高さが大切。

2023-03-06 17:46:00 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
全ての擦弦楽器の駒は、高さがとても響きを、音色を作る上で大切な要素になります。
高さが変わることで、表板に対する圧力が変わるからです。高さが高くなれば、表板に対する圧力が強くなり、音の鳴りは大きくなります。
しかし。その圧力が表板の持っている木の厚みとその質の強さを越えると、表板は均一な振動にならず、歪んだ振動を発生させ、ウルフ音等の雑音の原因にもなります。
二胡の駒の場合、とかくどんな種類の木でという事が取りざたされます。
どのような種類木の高さが何ミリとは言わないですね。
駒は基本的に硬くて粘りがあり軽い物が良いと言われます。
軽いものは同じ材料だとすると、振動が大きくなります。
駒に空いている穴の大きさを大きくするだけでも音は大きくなります。
全体を削り込んで小さくしても大きくなります。
でも鳴りを大きくするだけが駒の役割ではありませんね。音が大きくなりすぎて雑音ぽくなる場合が二胡の場合かなりあります。木の質が持つ音色が生かされなくなります。
そのあたりが二胡の駒の大きさの微妙なところでしょう。その点で駒の高さを選択あるいは作るというのは、折角の音色を活かすとも言えます。
ヴァイオリン等の木で作られた表板は、湿度の変化や経年変化で、多少の厚みの変化もあります。
それでもその変化は100分の数ミリ程度でしょうが、楽器の鳴りや音色に変化を起こします。天然に乾燥された木材はその木の寿命が尽きるまで湿度の変化で厚くなったり薄くなったりします。
みなさんのなかには、梅雨時になると毎年開け閉めに苦労した木の扉や、引戸或いは抽斗などで苦労なさった経験を御持ちのかたもいらっしゃると思います。
ニ胡の蛇皮も同じようなことが言えます。
更に状況として、楽器として辛いのは、良い音に響きはじめた頃になると、蛇皮は伸びてきて、弦が押す駒の圧力で皮が沈みます。
新しい楽器でも10分の1ミリ程度は沈みますが、プロの方が弾き込んで4.5年もすると皮の質によっては、1ミリ近く沈むものもあるようです。15.6年も弾きこむとその沈みこみは、2ミリちかくにもなるようです。
すると、もし、今まで使っていた駒の高さが8.6ミリ前後の、比較的平均的な高さだとすると、皮が沈んだ分、音の伝わりが弱くなります。
その時には駒を高さのあるものに交換した方が、良い音の出を維持できます。
ところが、それではその駒の高さは、どのくらいのもににすれば良いかと、数字では表せないのです。
それは、皮の厚みや、粘りの強さ、また弾く人の圧力のかけ方などによって変化するからです。
その高さを確かめる方法は、見なさんの耳によるのです。
高さの違いのあるものを、少しづつ変えて弾いてみて、確かめるきりないのです。
ヴァイオリン系のメンテナンスをする人たちは、この駒の高さを決めるのに本当に微妙な加工をしています。
二胡の場合個人ではそれをしている方もいらっしゃるとは思いますが、まだまだ購入した駒を付けてその良し悪しを選択しているだけの方も多いですね。木の種類を色々取り揃えるよりは、高さの違うものを集めてみたら、いかがですか?
松節はその点冬の木目が大変弾力を持っていますし夏目に比べるととても柔らかいので、弾き込んでいくうちに馴染んでいくようです。ですからでしょう、昔の駒は松節がとても多かったようです。
また、もうひとつの方法は、千斤の絞め具合を変えて、少しだけ
巾を狭くすると、皮に対する駒の圧力も上り、今まで使っていた駒で十分音色を楽しむことも出来ます。(これが固定千斤にできない事なのですね)
いずれにせよ、蛇皮は弾けば弾く程緩くなります。15年か18年か、みなさんの弾きこみ具合によっては、いくら駒を高くしてもいずれ、蛇皮は、十分な鳴りにならなくなります。
また、駒の高さがどのくらいが良いのかの、弾いてみて、聞いてみて決める一つの基準は、駒を高くした時、音は大きくなったけれど。第二ボジション以上になると、今まで出ていなかった、雑音や音の揺れなどが発生し又不安定になりやすいです、その時には少し高さの低い駒に変えて見て下さい。あるいはその駒の底面を紙ヤスリで少しづつ削りながらあわせてみてください。みなさんの耳が一番の計測器なのです。
ニ胡は楽器ですから。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ


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