二胡工房 光舜堂

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光舜松脂は弾きこんでください!

2024-08-09 11:31:29 | 光舜松脂 ヴァイオリン用
殆どの方が、光舜松脂を塗って弾いた瞬間に、笑顔になります。
「何!これ!」とおっしゃる方が多いです。
しかし本当に光舜松脂の力が発揮されるのは、弾き始めてから1,2時間経った頃なのです。
粒子がさらに細かくなるのでしょう、そしてその細かい粒子が、綺麗に弓毛に密着するのでしょう。
昨日松本で漆の作家をしているM君が工房へ来ました。
山桜の材料を製材しに来たのです。
若い作家たちはなかなか大掛かりな機械など持てないですから、このように若手たちが時々工房の機会を借りに来たりします。
久しぶりに会って、さまざま工芸の話などもし、勿論松脂を見せました。

「これは漆並みですね、この光沢は他にはないです、松脂は皆こんななのですかね」とM君
「いや同じ樹脂だから近いのでは?だから漆のないヨーロッパでは、松脂が塗料になっていたんだよ」
そうなのですね。
松屋には接着剤にも塗料にも使われていましたいわゆるワニスというものです。
寧ろその塗料としての役割の方が多かったのではないかと思います。
ラフな使い方としては、船舶のロープに松脂を塗ったり、オイルと混ぜて舟板の継ぎ目などに塗り込んだりもしています。
勿論、高級な木工家具などにはこのワニスが使われていますし、最近ではストラデバリの作ったヴァイオリンも、一時はとても特殊なものと言われて不思議がられていましたが、最近の分析ではこのオイルと松脂で塗られていたということも分かって来ました。
折角の粒子の細かい綺麗な塗料なのですが、何しろ乾くのに時間がかかります。
そこで塗料そのものが次第に石油製品に変わってきています。
ヴァイオリンなどもそうですね。
1700年代の半ばころから、乾燥の早いアルコールで溶かした塗料に変わってきてしまいました。
いわゆるラックあるいはセラックと言われる塗料です。
これは早いです、最初の一階でしたら10分もあれば乾きます、その後は一日に2,3回は塗れる塗料なのです。
この早く乾く塗料とゆっくり乾く塗料の違いがあります。
それは早く乾く塗料の方が耐久力が落ちるという事です。
ヴァイオリンに塗られているアルコール系のラックは4,50年もすると硬化してきてぱらぱらと剥離してしまいます。
ところが、ゆっくりと乾く漆などはお椀に使って日々使っていても数十年もちますし、楽器などに塗られているものは数百年その美しさが保たれます。
程度は別にしても、数千年前に使われていたという漆で塗られた櫛が発見されたという話も聞きます。
確かにオイルと松脂を混ぜると、そのオイルの性格によっては乾燥するのに1週間くらいかかったりもします。
と、まあ、そのような話をM君していました。
M君は光舜松脂の光方を見て。これは殆ど漆ぐらいの細かい粒子ではないか、だとすると弓毛につけて多分弾いていくうちに最初に使た時よりもっと細かくなっていくはずです。とのこと。
その細かくなり切ったころに、たぶん光舜松脂はその威力を発揮するのでしょう。
まずはたくさん弾いてやってください。
そして楢にくくなったなと思う頃になって、やっと塗ってください。
たぶん10時間から20時間、それ以上は塗りすぎです。
折角細かくなって安定してきたのが無駄になってしまいますし。
塗り重ねが酷いと、滑りやすく感じるはずです。
天然熟成の松脂が擦弦楽器の世界から消えて50年くらいは経つのでしょう。
その天然熟成の松脂を人工的に作り出したとはいえ、おお元は天然です。
まだまだ私たちにも分からないことが沢山あり、その天然の故の不具合などあったりするのかもしれません。
なにしろ、みなさんは50種類を超える松脂と50種類以上の違う弦を使い、また馬毛にしろ天然なのです。
張り替えた馬毛に松脂を付ける時にはみなさんも苦労しているとおもいます。(アルコール系の眼鏡拭きよいですよ)
それらがどう関わって来るのか、これからも研究は続けなければいけないようです。
もし何かお気づきのこと、あるいは何らかの不具合などありましたら教えてください。
と話が飛びました!
付けすぎ注意で沢山弾いてやってください。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
https://koshundo.base.shop/




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