BCGワクチン臨床試験へ 新型コロナに効果か?・・・豪研究所
2020年03月27日16時25分 時事通信
【シドニー時事】オーストラリア南部メルボルンにある小児医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスティチュート」は27日、新型コロナウイルスに効果があるかどうかを調べるため、結核予防に使われるBCGワクチンの臨床試験を開始すると発表した。
新型コロナへの免疫反応「インフルと同じ」 豪研究所
BCGは全世界で毎年1億3000万人の子供に接種されている。発表によると、これまでの研究ではBCGを使うことで、新型コロナに似たウイルスに感染した人のウイルス数が減ったという。BCGは人間の基本的な免疫機能を強化する作用があるとされる。
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参考資料:日本型BCGで新型コロナの免疫ができる?
「BCG接種が新型コロナに効く」という話が、ネットで出回っている。BCGは子供のとき受ける結核の予防接種なので、これは一見すると医学的に根拠のないトンデモにみえるが、ジョンズ・ホプキンス大学のBCG世界地図を見ると、疫学的な状況証拠は十分あることが予見される。
●世界のBCG接種状況
BCG接種を義務づけている国は、日本、中国(武漢を除く)、韓国(大邱を除く)、ロシア、ASEAN諸国、中南米(エクアドルを除く)などで、今回のコロナでの死亡率が低い(人口100万人あたり死者1人以下)。
反対にBCGの義務化をやめた国はEU諸国に多く、1980年代からBCGを任意にし、日本のようなハンコ型ではない新しい株になった。死亡率のワースト10はすべてこうしたBCGを義務化していない国だ。特にBCG義務化をやめたスペイン(死者4,934人/3月27日現在)と義務づけているポルトガル(死者76人)の差が印象的だ。
BCGを義務づけていない国は、イタリア(死者8,215人)、オランダ(死者546人)、アメリカ(死者1,200人)。この傾向から考えると、アメリカの死者はこれから数十倍に増えるおそれが強い。インペリアル・カレッジの報告は「集団免疫ができるときの死者は(何もしないと)全米で220万人」と予測している。
●JSatoNotes(オーストラリア在住の日本人ビジネスマンのブログ)より
JSatoNotesによると、ドイツは1998年にBCG義務化をやめて新しいタイプのBCG株を使うようになったが、ソ連から導入された日本型のBCGを義務づけていた旧東ドイツ地域では感染率が低く(1万人中500人以下)、新型の西ドイツでは高い(1,000人以上)。
BCGを義務づけているイランは、イラン製の特殊なBCG株を使っていて死者数は2,378人。日本型のBCGを接種しているイラク(死者40人)とは対照的だ。BCGを義務化するかどうかよりも、日本型のBCG株がコロナに有効で、新しい株がコロナに効かないのかもしれない。
中国の武漢や韓国の大邱は、局地的に多くの人が密集して接触したことや院内感染による例外的な「感染爆発」だったと思われる(中国のBCG株は中国製)。「ダイヤモンド・プリンセスで日本人の発症率は低くなかった」という反論もあるが、BCGの免疫効果が弱く、大量のウイルスが体内に入ると発症すると考えれば説明がつく。これは普通の感染症も同じで、免疫は完璧なものではない。
まだ医学的にBCGの有効性が確認されたわけではないが、世界各国で臨床試験が始まっている。Scienceは「BCGでコロナの抗体ができるかどうかは疑問だが、人体への影響を弱めることは考えられる」という専門家の意見を紹介している。疫学的な相関関係は完璧なので、偶然の一致とは考えにくい。
いずれにせよ日本人はBCGの摂取義務化で集団免疫に近い状態にあることは十分考えられるので、どれぐらいの比率で抗体を持っているかを政府が抗体検査でサンプル調査する必要があるだろう。それによって今後の防疫対策は大きく変わるはずだ。