ビタミンP

苦心惨憺して書いている作品を少しでも褒めてもらうと、急に元気づく。それをトーマス・マンはビタミンPと呼んだ。

ロシア南部で、高病原性鳥インフルエンザウイルスのトリからヒトへの感染確認

2021年02月24日 14時09分13秒 | Weblog

ヒトの鳥インフル感染を初確認、いま人に必要なことは何か

(2021/02/24 10:00 Forbes JAPAN)

 ロシア南部で昨年12月、高病原性の鳥インフルエンザウイルス「H5N8型」のトリからヒトへの感染が世界で初めて確認された。養鶏場の従業員7人が感染したが、いずれも軽症で、すでに全員が回復しているという。

 タス通信は2月20日、「ロシア国立ウイルス学・生物工学研究センターの研究者らが、鳥インフルエンザの感染が拡大していた養鶏場の従業員からH5N8型の遺伝物質を検出した」とするロシア消費者権利保護・福祉監督庁のアンナ・ポポワ長官の発表内容を伝えた。

 同長官は同日、ヒトへの感染について、「調査結果に確信が持てたのは数日前であり、速やかに世界保健機関(WHO)に報告した」と説明したという。ただ、この感染が12月のいつ起きたのか、当局は問題をいつ把握したのかなど、詳細は公表されていない。

 つまり、この件に関して具体的に誰がいつ、どこでどのように何を知ったのか、そうしたことは明らかになっていない。欧州各国では昨年10~11月、鳥インフルエンザH5N8型の感染が急速に拡大していた。

■「トリ‐ヒト感染」発生の意味 

 ヒトが鳥インフルエンザに感染したというのは、もちろん朗報ではない。通常は他の動物に感染するウイルスにヒトが初めて感染すれば、大きな問題が起きる可能性がある。私たちの免疫系はそのウイルスに不慣れであるために準備ができておらず、防御する機能を十分に発揮できない恐れがある。

 さらに悪いことに、免疫系は慣れていない脅威に対し、過剰反応することがある。これは現在、新型コロナウイルスに対して起きていることだ。そしてまた、2009年に豚インフルエンザ「H1N1型」がブタからヒトに感染したときにも、同様のことが起きた。現在ほど深刻な状況には至らなかったが、このときにもパンデミックは発生していた。

 ただ、動物からヒトへの感染が確認されたからといって、必ずしもパニックに陥る必要はない。幸いこれまでのところ、H5N8型の「ヒト‐ヒト」感染が確認されているわけではない。

 インフルエンザウイルスなどのウイルスは、常に変異している。動物の細胞に侵入したウイルスは、その動物の細胞を使って大量に複製するが、その過程ではいくらかのエラーも発生する。それぞれの遺伝子コードにわずかな違いが生じることで、ウイルスは変異して行動力を弱めることもあり、生存能力を高めることもある。

 また、異なる動物に感染するようになれば、その変異ウイルスは「適応度に強みを持つ」ことになり、すぐに他の株を打ち負かすと考えられる。ヒトにも動物にも感染するウイルスはより多くの「選択肢」を持ち、生き残っていく可能性が高まるということだ。

■世界的な監視システムが必要 

 このように、ウイルスが他の動物からヒトに感染するようになる可能性は、常にある。感染したヒトのなかには発症する人も、重症化する人も出てくるだろう。また、大勢が感染すれば、ウイルスはさらに変異し、ヒトからヒトへの感染が起きるおそれもある。

 ヒトは警戒を怠ってはならない。そのような感染が発生すれば、1~2カ月後ではなく可能な限り迅速に感染の発生を把握し、報告できる監視システムを構築しておく必要がある。

 世界は現在、ロシアで発生するかもしれない鳥インフルエンザの大流行をすぐに特定し、流行を抑制することについて、同国の公衆衛生当局に依存している。だが、理想としては感染が拡大した12月中に、またはその後のできるだけ早い時期に、それは世界中の公衆衛生の専門家に伝えられているべきだった。

 ウイルスの検出、調査、そして報告の遅れが、世界中のより多くのヒトを、鳥インフルエンザに感染させていた危険もあったのだ。

 


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