天台寺門修験

修験道の教義は如何に

修験第百十一号 新編寺門天台宗学読本(1) ―第一編 ―

2013年09月04日 19時45分20秒 | 新編寺門天台宗学読本

第一章 序 章

聖徳太子(せうとくたいし)

 民族精神に契合(けいがう)した国体宗教(こくたいしうけう)として仏教を採用せられたのは聖徳太子の御卓見(ごたくけん)であります。しかしてその中心をなす指導理念は実に法華経(ほつけけう)を根拠とせられ、太子は法華経こそ如来出世(によらいしゆつせ)の本懐(ほんかい)をつくし萬善同帰(ばんぜんどうき)を宗(しう)とする一大教説(いちだいけうせつ)となし、眞俗一貫(しんぞくいつかん)して実践することにより国民の道心を啓発し、国家なる一大目標に総てを帰納(きのう)させ、以て国家をとこしへに鎮護(ちんご)せんと明示(めいじ)し給ふた。太子の正法普及(せいほうふきふ)による国家理念の具現(ぐげん)こそ、寺門法流の「鎮護国家する」理念と合致するものであり、嚢祖(のうそ)が「かの上宮(ぜうぐう)の義いま天台宗正(まさ)しくこれに依学(えがく)す」と明示され一家の高祖師(こうそし)と仰ぐ所以(ゆえん)であります。