大峰奥駈七十五靡の名称と道程 宮城信雅
六十 稚児泊(ちごどまり)
弥勒(みろく)の横駈(よこがけ)より稚児泊(ちごどまり)に至る間に護摩ころけと云(い)ふ難所(なんしよ)がある。実(じつ)に木(き)の根岩角(ねいはかど)をつたつての急阪(きうはん)の下りである稚児泊には都合(つがふ)のよい腰掛石(こしかけいし)がころがつてゐるので、本山入峰修行(ほんざんにふぶしうぎやう)には少々時刻(せうせうじこく)は早くても、こゝで弁当を半分食つて、次に行者還(ぎやうじやがへり)で残りの半分を食う例になつてゐる。普賢(ふけん)より約(やく)一里(り) 。