今日は墨作りに欠かせない墨の型のお話をします。
墨には、イロイロの形、
大きさがありますが
これはその形を決める型というのがあるためです。
この型を墨型といい、大切な道具です。
墨型は木でできています。
水分を含んだ煤と膠を混ぜて粘土状にした“墨の赤ちゃん”を型に入れ成型するときに、
吹き出る水分を吸収するために、木の材料を使います。
金属、プラスチックでは水分を吸収しないので、墨の表面がざらざらになります。
しかし、木といっても向き不向きがあります。
1つの型で、何百、何千もの墨を成型するので堅くないと磨り減ってきますし、
彫った文字などがハッキリしなくなります。
また、杉、檜などのように木目があると、文字などを彫っても木目のところで文字の角が折れやすくなります。
そこで、木でも、堅く、木目の少ない”梨”の木が最適とされています。
この梨の木を確保しているか否かが型を作る職人の技量とされている・・
と聞きました。
この型を作る職人は、大変な細かい作業をするので、技術と見栄えの良い墨の型を作るためにセンスが必要です。
また、
1つの型は誰でもできるのですが、まったく同じ大きさで10、20個は至難の技です。
そのわりに、地味で、墨産業が不況の為に
現在、墨型職人は奈良に住んでいる中村雅勇さんひとりとなりました。
中村さんは70歳、後継者がなく、技術の伝承がとても心配です。
以前、中村さんを訪ねたとき、細かい絵柄、文字を彫るために待針で彫刻刀を作る、
しかし、10本作って1本しか上手くできない!
この1本を短くなるまで大切に使う・・
と言っておられました。
明日は、墨型の使い方をお話します。