kirekoの末路

すこし気をぬくと、すぐ更新をおこたるブロガーたちにおくる

どれ景気付けに宣伝でも

2008年08月21日 05時55分49秒 | 小説の感想と批評
一連の流れで一応取り上げよう@kirekoです。


>前々から黙っておったのだが

なんかふうらい屋さんとこで、どっかで見たようなブログ名があって、見てみたらこれだった。

前々から、良くも悪くもトゲトゲしい感想を言う人だったので、生暖かい目で見守ってきたが、どうやら藤夜さんとこにも紹介されて、花開いたようだ。

うんうん。良い良い。良い調子じゃ。
親心として有名になってくれるのは嬉しいが、反面、怖いもの(余計なこといって、彼が被害を受けるんじゃないかという心配)もあるのが本音だが、今は生暖かい目で見守ろうじゃないか。



で、なんか早速美味しいコメントを頂いて、猛っているようではないか。









これは俺が食いつかなければ、誰が食いつく…!









と思ったが、藤夜さんが先にやっていたので割愛。
彼のブログに寄せられたコメント自体は、一理あるなと思ってしまったので、ある意味藤夜さんとは違う見解かな。
敬意という義務を介して、自由な表現ってのがあると思う。
まあ、気に入らなきゃ見なきゃいいってのが最高の選択だが、それをこのコメントは忠告してくれたのではないだろうか。
(それにしても頭から冷水浴びて寺に篭れとは、なんか場違いな感じの古風さで面白い表現だな。センスの欠片が見える分、この人が書き手なら、その作品が見てみたいところだ)

まあ、ブログにつくコメントおいしいですって訳じゃないけど、こういう他人の目に晒されることをやってると、やっぱり更新すれば何らかの反応は欲しいのが人間だと思う。
だからって何も、全部批判コメントじゃ、文章を読む感想人として洒落にもならないけど…まあ、あれよあれ、一種のカンフル剤みたいなもんで、自分を発奮させるには良い材料なんだよね。コメント。(あとWEB拍手とか)

ようするに何が言いたいかというと
俺もそんな痛烈なコメントを言われるような、読者を憤慨させるような感想を書きたい。
ということだ。
(今、このブログを見て憤慨している読者がいたら、今すぐ「憤慨した!」と書いてくれ)

おそらく、どうも駄目なんだろうな、そういうところ。
いや、別に彼のブログの感想の書き方が、一概に良いとは言わんのだが、
このブログは、炎上という成分に欠ける書き方なのだろう。



ふふふ、そこを好きになってくれる読者が居ると信じて…



※次回のkireko先生の更新にご期待ください!(打ち切り風味)

8月20日の夜に

2008年08月20日 21時14分26秒 | 小説の感想と批評
その逆もまた然り@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )言葉で人を傷付けてしまったのを理解した時ってのは
( ゜д゜ )なんだかやりきれない気持ちになる。
( ゜д゜ )その後にとる行動にしたって、言動にしたって
( ゜д゜ )今まで積み上げてきた信頼というのが
( ゜д゜ )一気に崩れてしまう感じがしてしまうんだよなぁ。
( ゜д゜ )とかく強く生きるのは意外と難しい。

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

砂糖でできた君に、 ジャンル 恋愛 作:白坂 ゆのる

:あらすじ
ほんとに、無意味な、だけど甘い、そんななんてことない日常です。

:感想
アイアイ、アイアイ、お猿さーんだよー。独特の書き方には一種魅力を感じるが、結局何が言いたいのかわからないんだよね。いや、たぶんそういう理由のない日常を描きたいのはわかるんだけどさ、kirekoのように趣味のあわない人にそれを伝えるのは実は一番難しいことだと思うのよ。終始、主人公の愛欲の表現がぼやけとるというか、相手の存在がちらついて見えるだけで、何をやってるのかわからない話だったなぁ(子ども)


心移りの読書 ジャンル コメディー 作:カエオルーン

:あらすじ
本屋に立ち寄った正樹は、ある本を手に取った。それは<小説>か、はたまた――。

:感想
わかるなー、なんかこういう気持ち。と想像に値する話だった。序盤、作中の教本とまで言わないが、少し文脈が硬すぎて、表現が凝れないのかな?と思っていた文章だったので、若干読みにくいなと思いつつも最期まで読んでおいてよかった作品だ。そう、実はその読みにくさこそキーアイテム。つまり、これは読む側の心理を逆手に取る構成演出なのだ。読者が形骸的に受け入れるであろう、学術的な思考を持つやや高尚な(高慢ちきとも言うが)主人公、だがその実は、高尚な思考など蹴って本能に従い、釣りも貰わずに己の欲の果てに向かう、純粋な人間だった。まさに人間的な放漫さではないか。うーん、上手いね!読感の逆手をとった一種のトリッキー小説だ。


祓異師~山神の地の悲哀なる娘~ ジャンル 歴史 作:空蝉 鬼雛

:あらすじ
ある問題が起こった山神が住む山で、負の霊気が漂う。そこに、助けを聞き届けた祓異師がやってきた。霊気が漂ったのは、山賊のせいだと言う山神。祓異師は見事退治できるのか――?

:感想
歴史物…?くだらん冗談はよせ。描写や、細かなディティールに拘れない時代物など、ただの腑抜けのファンタジーだ。いや、硬派なファンタジー作品もあるのだから、あえてファンタジーなどに入れるのもおこがましい話。これはただ見た目と、語り口だけで雰囲気を出すキャラ小説だ。作者のやりたい展開や、魅せたいキャラクター描写は痛いほどわかるが、そういうのは読者に判りやすく伝えなければ駄目だ。ただ独りよがりで解釈した文字だけを並べた描写で、雰囲気を出そうという手法は、書き手としてどうかと思う。上辺だけで雰囲気を見繕っても、何れはボロが出る。そういうことなんだよ。ようするにkirekoが言いたいのは、歴史物の風格を現すには描写不足に不服が多々あり、妖怪ファンタジーというには、展開的にも、書き方的にも、目新しい面白さがない。表現の旨味、話の面白さ、読者が読むか読まないか、そういう部分を考えて書いているとは、到底思えない文章だった。無駄な時間を過ごしたとは思わないが、肌に合わない作品だった。


物足りない桃太郎 ジャンル コメディー 作:灯宮義流

:あらすじ
鬼退治を終えて帰ってきた桃太郎。しかし、鬼を退治しただけで、自分の物語が終わってよいものだろうか?桃太郎の新たな旅が始まった。

:感想
桃太郎が仲介する、昔話のオンパレードという作品。悪の居なくなった後の正義の存在とは、意外とこういう暴走がありえるから恐ろしいところだ。少しスプラッター映画に近い「ぶったぎる」爽快感を感じられない人は、面白くないかもしれないが、個人的に例題は読者が想像しやすいし、話の流れ的には勢いは無いが、文句なく面白い類だと思う。亀をいじめた子達や、祝宴の舞いを踊った魚達を皆殺しにしたり、亀の甲羅を真っ二つにしたり、とにかく倫理観にとらわれない(間違ったモラリストではあるのだが)自由奔放な桃太郎の性格を面白いと思う人は、一読の価値があるかもしれない。ただ、文章構成的な話になると、気になる点が幾つか出てくる。まず、文章に余計な接続詞が多い。誤字、脱字、も注意深く読んで見れば散々。話は良いと思うのだから、ちゃんと推敲し、省くべきところは省き、直すところは直したほうが良いと思う。勢いの無い文を要約するよりも、細かな文章への気遣いが必要か。


飛び込み団地 ジャンル その他 作:多田ひかる

:あらすじ
佐里が越して来た街には、何故か自殺者の多い通称『飛び込み団地』がある。転校初日、帰り道にある『飛び込み団地』で自殺騒動に出くわしてしまった。

:感想
作者には申し訳ないが、興味のない話だった。kirekoが美味しいと思う表現に優れているわけでもないし、描写にこだわりがあるわけでもない、台詞や主人公に魅力的な何かがあるかというと、そうでもない。うーん、作品の傾向がよくわからないんだが、ただ平坦な話が淡々と続くだけで、惹かれるものがなかったというのが、正直な感想だ。話の面白さが肌に合わないって奴なんだろうけど。


===========終わり==============

>全ての表現に敬意をもって接するのが大事

( ゜д゜ )kirekoが言う事もしかり、他が言う事も然り。
( ゜д゜ )いわゆるパンピーの感想なんてのは十人十色…
( ゜д゜ )ただその中に居ながら思うのは、
( ゜д゜ )個人的に読む全ての作品に敬意をもって接したい
( ゜д゜ )好き嫌いだけじゃなく、第三者の目で見る
( ゜д゜ )そういうのも大事なことだと思うんだ。
( ゜д゜ )(いつになく真面目になってしまったな、フフフ)

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8月19日は今日も晴れだった

2008年08月19日 21時21分31秒 | 小説の感想と批評
だからといって無駄が好きなわけではない@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )褒められて育った人よりも、褒められないで育った人のほうが
( ゜д゜ )我慢できる根性もってるし、仕事もちゃんとやるんだよな。
( ゜д゜ )ちやほやされて育った奴ほど、口ばっかりで仕事が出来ない
( ゜д゜ )これはガチ。(まさかの休日出勤だったとさ)

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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

君といた日々 ~俺の思い~ ジャンル 詩 作:尾崎豊

:あらすじ
最初は、歌です。詩のように、読んで下さい。最後は、全部俺の思いです。A.M

:感想
尾崎豊というと、やっぱり『汚れた絆』かなぁ。と、そんな昔の歌手の話はいいとして、前々から言ってるように、詩は普通の小説より情報量が圧倒的に少ないので伝わりにくい。だからこそ文字の中に含まれた表現の旨味が冴えるのだが、この作品は作者も言っているように詩というより歌詞だ。目も当てられない。なんといっても駄目だと思うのは、恋愛詩のくせに、このパサついた表現力の無さは何なんだ。人に気持ちを訴えかけようとするには、余りにも稚拙だ。想像を読者に任せるのなら、もう少し解説なりなんなり小細工して、場景把握をさせたらどうなんだ。まあ、歌詞なら歌詞で、自分で曲つけて声つけて、MP3でアップすりゃいいのに。駄作!読む価値なし!


異世界のうた ジャンル ファンタジー 作:ルト

:あらすじ
理由も分からず、異世界に飛ばされてしまった俺。そんな俺に唯一残されていた物は、一つの音楽プレイヤー。――そして歌を歌うことだけだった。

:感想
一般人が異世界に放り込まれた話。ファンタジーというジャンルが余り好きではない理由の一つに、文中の質感の無さがある。どうしても書き手が話を進行させたいがために、台詞描写や展開描写に拘りたがるのは仕方がないのだが、kirekoとしては、毎回その質感の無さが気になる。シリアスファンタジーで自分が一番大切だと思うのは、異なる世界観の構築、物質や感覚の違いなどを精密に書き表し、読者へ判りやすく想像させる見せ方だと思う。と、長々と前口上が続いたが、感想に入っていこう。最初に言っておくと、数あるファンタジーを謳う作品の中でも、この作品は好きなタイプだ。表現や展開描写に関して言えば、余り特筆すべき点は無いのだが、いわゆる見せ方が上手いタイプの小説だと思う。序盤の主人公のメタな発言(映像や本の中で描かれた異世界ものの主人公を皮肉る描写など)が、なかなかリアルな思考の仕方で面白かった。あとはやはり、音楽という展開パーツに限る。今では何処にでもありふれた、音楽という身近な存在が、はたして異世界にも存在しているのか?普通のファンタジー作家なら、すぐに「存在する」と答えそうなところだが、この作品はあえて音楽の無い世界という部分に焦点を当てて、話を展開させている。村同士の抗争の理由、背景については余り描写されていなかったのが個人的に不満だったが、そこも「音楽が無いから」という理由付けだとすれば、ある意味納得してしまう。昔から、人間同士が戦うのは人の心に余裕が無いからだ、という言葉があるのを考えると、この村同士の抗争も、音楽や娯楽によって人の心に余裕を生み出すことが出来ないからとも感じられる。まあそこが、実はこの作品の矛盾点でもあるのだが…。心に余裕の無い村人たちが、行き倒れに近い他人を助ける事などするだろうか?ただでさえ他村と抗争中なのに、見ず知らずの人間を村に入れることなど、例えばこの家族が良い人であったとしても、他の者が納得しないのではないだろうか?と、こういう本文中の矛盾点の解消が、実はファンタジー作品の中で一番難しいと思うのだが、そういう点も踏まえて質感のあるファンタジー作品なのではないかと、kirekoは思う。ようするにファンタジー世界は、決して掴めない無色透明の幻想ではなく、もう一つの生きた現実だということだね。


真実の果実 ジャンル 詩 作:Maria

:あらすじ
真実の果実は甘い?酸っぱい?苦い?それとも無味だったりして…難しいですね~

:感想
潔癖症というか、ニーチェくせえ文面だなぁ。いや別に好きならいいんだけどさ。綺麗に生きたいということと、綺麗に生きるということは別の話で、綺麗に生きている人間なんてのは世界に数えるほどしか居ないんじゃないだろうか。まあ汚いと思うのは勝手なんだけど、kirekoからすると「それって普通のことじゃん」って話になる。何が言いたいかというと、こと発想を変えるのも大事なんじゃないかなってこと。人間世界において居るのは、腹の中が綺麗なホワイト人間と、ちょっと綺麗なグレー人間と、やっぱり普通なブラック人間って思ってれば、別に汚いことを差別することもないんじゃないんだろうか。酸いも甘いも噛み分けるのが人間だ。


手紙 ジャンル 恋愛 作:斎木尚

:あらすじ
先逝く彼女から、彼へ遺された一通の手紙。

:感想
大人の恋は人間を成長させるというが、こういう場面を自分も見たことがある。いわゆる別れ際に良く起こる当人同士の『恋愛の高昌化』という、ナルシズムのぶつかり合いなのだが、これは他人が読むとすると不快でしかないと思う。kirekoが相談を受けたのは、良く知る友人が恋人との破局を迎えようとした時なのだが、何通か了承を得て当人同士の送ったメールの内容を見せてもらったのだが、口では「大変だね」と言いながら、心では「気持ち悪い奴等だな」と感じてしまった(今でもその二人は良い仲らしいのだが)。つまり、何が言いたいかというと、当人同士だけが燃え上がっている熱は、他人には伝わらないということ。ある程度の脚色や描写がなければ、話として面白いとは思えないってことだ。


自己中って!? ジャンル 文学 作:山川 海空

:あらすじ
自己中について考える。勝手な意見です

:感想
自己中という概念についての考察。決して学術的な話ではないのだが、例題においてkirekoが感じた、作者の自己中心的に捉えられる範疇の内容を聞いて、なんとなく「それがどうした」という感じに陥ってしまった。こういう感想ブログをやっておいて、何かおこがましいところはkirekoにもあるのだが、この作者は、自己中という言葉に何か悪意を感じ過ぎているというか、一種のコンプレックスなのか?こんなものは人間の生き方の中で言えば、それこそ言い方次第というか、受け取り方次第だと思うし、人を助けること、人間が己の物差し(モラル)に従って人間らしく生きる事が自己中だというのなら、自己中が人間のアイデンティティーだとkirekoは言い切る。そもそも、捻くれた思考というのは、実際こういうことじゃない。これは、ただの反骨的哲学の中に生きる自己中だ。いつも思うのだが、何もかも、こういううがった見方や思考の仕方をしていると、いつか寂しい人間になってしまうのではないかと心配してしまう。まあこれが作者の想像の世界の住人の話なら、本当に自己中なのは、真面目に答えてしまったkirekoだったのかもしれないが。


アドゥヴァイス星人 ジャンル コメディー 作:灯宮義流

:あらすじ
異星人が日本にやってきた!奴等は、本当にやりたい放題やりやがるんだ!

:感想
どこで笑えばいいんだこれ。むちゃくちゃな侵略方法に笑えばいいのか、それとも抵抗も何もしない日本人に笑えばいいのか、どっちにしても中途半端な書き方だった。ジョークという観点で言えば、三流コメディアンのアメリカンジョークと言った感じだ。不思議に文章的な突っかかりや、まどろっこしい書き方ではないので、読むのに問題は無い。無いのだが、なぜそこまで出来て、目新しい展開演出に拘れないのか、書き手として疑問だった。結局こういうので大切なのは、終始のネタ性というか、出す例題一つ、オチ一つで読者を魅せる面白さが肝心となってくると思う。締まりの悪いオチ、煩雑に並べられた例題、小説的にオチもネタもひねれそうな美味しいテーマであるのに、ここまで何も無い平坦な道が続いていると、一種この「何も無い感」がコメディーなのではないかという錯覚に陥ってしまう。もう少し波乱含みの展開にしてほしいところだ。


=============終わり==============

>それなりに思うこと

( ゜д゜ )捻くれ率255%の俺が言うのもなんだけど
( ゜д゜ )皆には頑張って欲しいと思うのよ。
( ゜д゜ )そういうわけで、自薦他薦問わずガンガン話を持ってきてくれ
( ゜д゜ )スケールのでかいのも、素朴なのも全て喰らってやるぜ。


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8月18日なんてしないなんて

2008年08月18日 23時33分10秒 | 小説の感想と批評
意味の無いことをしていると知りながら、それでも@kirekoです。

>拍手レス

7:05 いつも勉強させてもらってます。これからも頑張ってください、死なない程度に

ありがとうと言いたいところだが、また死なない程度に頑張れか。勉強云々は別として、このブログ、というか俺にそんなに死亡フラグたってるように見えるのかな?


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )感想少なかった17日の感想もやります
( ゜д゜ )ただ、選び方はかなりフリーダムです。

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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

アトロポス ジャンル SF 作:浅阿 朋紀

:あらすじ
クリスチャンたちが『神の国』を創ろうとして移住した惑星アトロポス。6千年後,そこは凄惨な戦場と化していた。調査のために惑星に降りたわたしは,そこで聖母マリアに出会った。

:感想
17日投稿作品。ギリシャ神話好きな俺が、アトロポスと聞いて黙ってはいられない。アトロポスというのは、ギリシャ神話の運命を束ねる神モイライの姉妹、三女神の内の末妹で、人間の運命の糸を断ち切るのが仕事。それを加味して読み進めていくと、また違った見解が出るかもしれない。読み進めていくと、レーテーだとか、ヨセフだとか、度々そういう専門知識に近い事物(ギリシャ神話と聖書の掛け合いというのも珍しい話だが)をもじった登場人物や、会話文での引用などを見ていると、神話スキーとしては見ていて面白いと思う節もちらほら、基本的にSF独特の雰囲気は嫌いではないので、すらすら読めてしまう。おそらく好きな話だ。だが、そこは感想人。少しばかりは一般読者の立場に立って物を考えなくてはいけない。そこで、ちょっと立ち止まって作品を読みつつ考えると、思うことが一つある。今まで自分が面白いと思っていた専門知識的な引用も、何も知らない一般読者からすると読みにくいとも思えてしまうのではないかと。第三者の視点にたつと思うことなのだが、プロ、アマチュア問わずSF作品全般に言えることの一つに、作者が構築した世界観を読者に伝えられないことが多々ある。ちょいちょい説得力の無い浅はかな理論が見えてしまったり、作者及び登場人物が全てを理解しているから主観、思考が先行し、話の傾向的に読者が置き去りになりやすい。ようするに一般読者からすれば説明が回りくどく、理解し難いのだと思う。今作品を冷静になりながら、二度繰り返し読んで思ったのだが、原文中の台詞の羅列が、果たして何も知らない読者に伝わっているのだろうか?という疑問にぶつかる事が多かった。それがなんであるかという専門知識的な説明は良いとして、話の中の描写を端折るのはどうなんだ。SFというが、腐っても小説だと言う事を忘れてしまったら、面白さは伝わりきらないと思う。無味無臭というわけではないが、演出としてもう少しキャラクターの描写があっても良かったんじゃないだろうか。そういう部分上手く伝えつつ、描写を怠らないという難しい注文なのだが、ここが普通の小説と違ってSFに求められるところなのではないかと思う。そういう意味でこの作品は、ある程度受容できる幅が必要となってくる読み手を選ぶ作品だ。文章構成的に言えば、行間の句読点がカンマなのは何故?などの基本的な話もあるが、まるで学者同士の語り合いのような会話主体の描写は、ややもすればクドいのではないか。おそらく一般人が読み進めてもパート7まで話が見えてこないのではなかろうか。ただ、一個人として、こういう話は好きだ。染色体、遺伝子の話も好きなのだが、原文中の台詞、「同じ特殊な遺伝子を持った人間が集まると,思念の場が活性化されて,ある種のエネルギー波が増幅されるのかもしれません。神の実体は,結局のところ人間の超能力そのものではないでしょうか」に続く説明展開(ここでの蛋白質と遺伝子情報が後々大切な伏線となっていく)や、その後続く古代都市型宇宙船内でのクローニングの話、聖母マリアの存在価値、そういった知識想像的にわくわくする怒涛の展開演出は、SF的な面白さを感じてしまう。今作品で一番好きな台詞の一つなのだが、パート6の「もし人間の文明が過度に発達して自我を持ちはじめ,人間さえも必要としなくなったとしたら,人間はどうするでしょうか。おそらく文明の方を制御して人間の支配下に置こうとするでしょう。それでは人間が神から独立しようとしたら,神はどう考えるでしょうか。」という台詞には、何かしら考えられるところがあるね。SF的にじゃなくて、哲学として。


優しさのかけらも以下略。 ジャンル コメディー 作:曼珠 沙華

:あらすじ
新任教師・石川悟郎の夢は『愛で叱れる優しい先生』。意気揚々として受け持ちクラスへやってきた彼だが、待ち受けていたのは教室一面の般若面だった。

:感想
17日投稿作品。いいよねえこういうの、気軽に読めて笑えるってのは大事だよ。というわけで感想に入っていこう。ちょっと不条理な展開があったりするので、話が面白いかどうかは人によって違うが、とりあえずkirekoは、主人公に対して、書き手の愛のあるキャラクター描写に笑えるなと感じた。まあ、つくづく変人というキャラクターと、場をかき回す言葉に弱いんだと思う。原文中で反復される、八千草○おるや、麻木○美子の名前を見るたびに、笑みがこぼれる。今作品は、やはり若々しさを感じさせる新任教師の癖に、いきなり生徒達を前にある意味手練の熟女好きをカミングアウトするなど、主人公のキャラクター性が顕著に現れているのが良い。動作の描写は余り無いのだが、いわゆる会話が楽しいタイプの小説だ。地の文章が、やや大衆的な軽めの会話主体、しかも変に回りくどくない手法をとっているだけに、面白さがストレートに伝わってくる。そういう部分にとても好感を持った。そういうライトな描写に拘りを入れつつ、藁化してくれるのは、非常にありがたい。原文中の「トラウマ→虎馬?なんだそれは。」と、終盤の「般若面のさざなみ」の破壊力は相当なもんだった。前半で、その般若面たちが『帰れ』ってシュプレヒコールしてたのからすると、そのギャップも加味して面白い話だった。


最高のお父さん ジャンル エッセイ 作:胡桃

:あらすじ
25歳になって知った真実。私はお父さんの子供じゃなかった。それでも私のお父さんは世界中であなた一人だけです。

:感想
エッセイというのは、気持ちが諸に出るようなことがたまにあるので、詩とジャンルを二分するぐらいkirekoの好き嫌いが激しいジャンルだ。しかしこの作品は、一筋の体験談として結構すらすら読めた。そういう意味では、嫌いじゃない話だったのかもしれない。特にあげるべき描写は存在しないと思うのだが、「お前に言ってもどうにもならないし、言っても可哀想なだけだからな」という父親の台詞は、想像してかなりグッとくるもんがあった。けど、ここまで優しいなら出産費用も出すのでは…?いや、まあそれは優しい父親の気持ちというより、他人の不純を好まない男の気持ちか。


悟り ジャンル その他 作:山川 海空

:あらすじ
この小説は青年の人生を感情と共に追っていった作品です

:感想
これは兄弟を持ってる人には、非常にわかりやすい話なのではないだろうか。いわゆる、近しい血縁者に親類から絶対的な優劣を決めつけられたことにより、負けず嫌いな主人公の中で膨らむ劣等感、その感情と現実の転落を描いた作品。kirekoにも兄弟がいるので理解は早かった。しかも明瞭簡潔な話の流れは、割と好みだ。原文中の彼は酒に溺れ、ギャンブルに溺れた、金が無くなると女から引っ張った。もちろん罪悪感と共に、この周辺から見える主人公の根本の性格は、なんだかキャラクターに人間味があって良いと思う。ただ最期のオチというか、何を知ったのかの部分に対して明確な答えが無いのがちょっと不服だった。本を読んで主人公が知ったのは「自己や他人への愛」なのか、はたまた価値観を押し付ける存在でしかなかった親への憧れ「父性への目覚め」なのか、それとも「劣等感への克服」だったのか、とても気になる話だ。あとは、ときたま句読点と終点の無い文章がちらほら見える。そういう部分は気になるから、個人的に直して欲しいところだ。


ふわりと。 ジャンル ファンタジー 作:純国産茶封筒。

:あらすじ
ごくごく普通の女子高校生、通称"先輩"と、常識を逸脱した能力を持つ男子高校生、月野珠羅。そんな二人の、コメディー気味のぐたぐたファンタジーになっていると思いました。はい。

:感想
10行読んで、あ、これkirekoには向かないわ。と思った作品。なんていうのかな、回りくどさが独特で美味しいと感じるときもあれば、うざったいと思ったりもする。そう考えると、これは後者だ。やたらとぶっ飛んだ(リアル肌の人間からすると)話の展開は面白いのだが、地の文がどうも気持ち悪い。最初の回りくどさをずっと続けてくれると思ったら、いきなり描写を端折った簡素すぎる文が出てくる。その分今度は台詞が回りくどくなる。なんなんだ。別に話の内容が嫌いじゃないと思うのに、ここまで書き方が嫌いな作品も珍しい。てか、シーン的にゆーちゃんのくだり正直いらなくないっすか?ある程度エピソードを絞ったほうが、面白いと思うのだが…、まあこれは好みか。作者が言わんとするところの文章のぐだぐだって、こういう構成上の無駄とか発見すると起きちゃうんだろうなと感じた作品だった。


夏の夜のはじめ木曜日。 ジャンル 恋愛 作:ひだまりねこ太

:あらすじ
すぐ拗ねる子供っぽい彼は、私の幼なじみ。……今年のお祭りは二人っきり。意外に大胆な彼との、夏の夜のはじめ木曜日。お祭り中篇です。

:感想
気に入らないね、こういう書き方。書き手として感心しないっていうか、いったい誰がこれを読むのって話だよ。文字密度の低さって、実際活字にすればわかりやすいんだけど、なんでこういう風に改行して、意図的に読みにくくするかなぁ。描写も稚拙極まりないし、何を得てこういうものを書こうと思ったのかわからないけど、そういうのはチラシの裏にメモって、十分に練ってから書き出せって感じ。誰でも体験することだけど、特に意味の無い改行の連続は、たとえそれが文章の俯瞰だとしても理解が出来ないよ。


ニュークリア ジャンル 文学 作:TH

:あらすじ
閃光、ただれ落ちる肉と骨、黒い固まりに、赤い川、崩れかけた建物に肌を溶かす雨、いつもの夢に幻想、皮の焦げる匂いに自動機関銃、過ぎ去る景色、一瞬の間に燃えさかる森に魚の浮かんだ川、真夜中のスーパーマーケット、

:感想
さっきのと真逆で、今度は文字の密集率が高い作品。話としての面白さよりも、読みにくさのほうが先にたってしまう。段落をわけない、一文が長い割に改行しない、惹かれる表現があるわけじゃない、かと思えば中盤では無意味な段落わけがあったり、突然の感情表現があったり、唐突な台詞描写が突拍子もなく出てきたりと、とにかく文章とその構成の支離滅裂が随所にあざとく設置されており、読んでいてとても不快な作品だった。読む価値なし!駄作!


おでん缶との再会 ジャンル エッセイ 作:高橋さくら

:あらすじ
10年ぶりにおでん缶と再会をはたしたいきさつ(?)を綴ったエッセイです

:感想
10年の歳月の流れを見て、有名になったおでん缶とビックになったミュージシャンを掛けた話。まあ、長いように見えて短いような10年という歳月は、物も人もその傾向を変えてゆく、と、それが言いたかったのかはわからないが、それ以上感じるところが無かった。関係ないけど、おでん缶はそれほど美味しくないっていうイメージが、初めて食べた頃から5年くらい続いてるかも。てか、コンビニのおでんのが美味いし。好奇心の一点買いだけならまだしも、常時好き好んで食べたいとは思わないね。鼻持ちならないスターを毎日見たくないっていうのと同じ感覚…はっ!そういうことか…!


とても小さな恋 ジャンル その他 作:ゆきかおり

:あらすじ
小学校に入学したばかりの沙耶は、夏休みにお花と夕日を追いかけてみた。そこへ同じクラスの直人が沙耶を追いかけて二人で仲良く帰るお話です。

:感想
読み終わった雑感なのだが、なんだか詩みたいな表現が素敵だなと感じてしまった。特にどこへ辿り着くのだろうという、何気ない一文が、なぜだか心に残った。不安と好奇心の先にあるものが結局何なのか突き詰めたい衝動というのは、大人になってしまうとボヤけてしまいがちだが、全てが新鮮に感じられた幼少時代の事を思い出すと、これは共感できる内容なのかもしれない。最期は、ある意味つり橋効果みたいなもんだが。


============終わり===============

>雑感

( ゜д゜ )昨日読まなかったものに当たりがあると、なんか嬉しい
( ゜д゜ )前隠れてやってた、前日の一作品紹介でもやろうかな。

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8月17日からの脱出

2008年08月17日 22時36分11秒 | 小説の感想と批評
体調崩さなければ良いが…@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )冷やし中華たべてぇーと思った矢先にこの寒さ。
( ゜д゜ )神様のわざととしかいえないね!まったく!


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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

約束 ジャンル 恋愛 作:綾瀬 純

:あらすじ
高校1年の春。私は、とんでもないやつの奴隷になってしまった。ある日アイツのあとをつけたら、意識不明状態の樹のお母さんをみた。5年間お母さんを救うため、努力してきたが………

:感想
   / ̄\
  |  ^o^ | < じゃぁ、俺の奴隷になれ
   \_/
   _| |_
  |     |
         / ̄\
        |     | < 分かった
         \_/
         _| |_
        |     |

   / ̄\
  |  ^o^ | < だから、俺とずっと一緒にいるって、約束しろ
   \_[]⊂/)
   _| |/ |
  |    / 
         / ̄\
        |     | < 分かった
         \_/
         _| |_
        |     |

いつもkirekoが口やかましくいってる描写って、今の時代には不要の産物なのかもしれないな。こういうのが好んで読まれる限り。


海空々影 ジャンル 文学 作:雲鈍

:あらすじ
人類は海から生まれたという。彼女はそうではないと、父親は言った。

:感想
ちょっとした哲学というより、ファンタジーに近い雰囲気作りだが、簡素な要約の仕方と、丁寧に書こうという意思は感じられる。ただ、演出や形容、そういう表現がとてもわかりにくい。攻撃的な卑猥さを持つ暗い赤色の唇などの表現に見られる、少し独創性がありすぎる表現は、読み手の読感を一瞬濁らせるのではないかと心配した。基本的に簡素な文章なのだから、形容に必要以上の回りくどい表現を使うのは、ちょっといただけない。あと、キャラクターの心理面、いわゆる気質が、浮世離れしているせいか、どうも終盤の展開はしっくりこない事の連続だった。動機とか、そういう話の重要な部分が、なんだかとてもチグハグな気がするんだよね。どうチグハグか、そこを指摘できないのが悔しいところだが、なんか軸のブレた展開演出を感じてしまった。含ませる書き方は個人的に好きなのだが、簡素に纏められているだけに、たまに見える誤字が気になった。ジャンル的には好きなほうなんだがなぁ。


永久に近い短さ ジャンル 詩 作:二階藤

:あらすじ
認識しようとせず、ただ悩み、考えているある男の心情を描いた話。

:感想
わずか6行で書き方がクドいと感じさせる作品言いたいことは、わかるけど違うだろ。上辺だけの、見た目だけの己の綺麗さにとらわれて、本当に人間的なナルシズムを描写できない中途半端な作品ってのが、一番頭にくる。まあこれは一個人の好き嫌いに近いけど、ちょっと嫌悪感に近いものを感じるね。


あちらへ行く前に ジャンル ホラー 作:多田ひかる

:あらすじ
猫のユウイチロウは『クルマ』ぶっ飛ばされて死んでしまった。気がつくと、幽霊になって死ぬ前に口論したゴンタと一緒にベンチに座っていたのだが…。

:感想
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%96%E3%81%91%E7%8C%AB


==========終わり=============

>ほんとにごめんなさい

感想を言う力より、読む集中力が先にきれた。
だめだめだなあ。

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8月16日が辻

2008年08月16日 21時27分23秒 | 小説の感想と批評
ぶどうパンおいしいです@kirekoです。


>拍手レス

23:12 (´-`).。oO(こんな素晴らしい批評をなさるなんてorz)

文字通り、他人のふんどしで相撲とってるだけなので、素晴らしいも何もないですが、もし自分が貴方の作品を批評して、それがショックな感想だったとしても、余り気にしないほうがいいと思いますよ。捻くれてますから、読み方。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )ぶどうぱんおいしい。
( ゜д゜ )ロシアパンあまーい。

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

インフィルトレイトデビル ジャンル その他 作:503 error

:あらすじ
男は、今まさに『戦い』へ臨もうとしていた。決して完全に消えることのない浸透する悪魔と男の、ひとつの決着。

:感想
どうでもいい1シーンに気合を入れる、いわゆる日常の劇画化って奴を文に当てはめてみた形式。短編の手法でよく見るタイプなので、この手のものを書く時は、引っ張るだけ引っ張るか、ちょっとずつヒントを出していったりするシュチュエーションパズル的なのが良いんだけど、ちょっと季節的にも先にオチが読めちゃったなぁ。オチにもう一ひねり欲しいところ。


赤い果実にご用心 ジャンル ホラー 作:高園銀

:あらすじ
これは何でもない話だ。誰かが死ぬわけでもない。ただ、一つの果実が少年の運命をほんの少しだけ変えてしまったという、その程度の物語。

:感想
同じような話が続くなあ。しかし、さっきのとは手法が違う。どっちかっていうと少しずつヒントを出して、正解を導きださせるシュチュエーションパズルに近い感じだ。ただし、この話の悪いところは、正解がない。それがなんなのか、読んでいる自分が無知なのかもしれないが、中に入っていたのがなんなのか、気になるところだった。そういう腑に落ちない点もあり、感情的な気持ち悪さしか描写できていないところが余り好きではなかった。読み手に伝える気持ち悪さとは、登場人物の『気持ち悪さ』を表す感情ではなく、『気持ち悪さ』を想像させる描写だと思う。


美術の時間 ジャンル 学園 作:千鈴 飛夢

:あらすじ
ボクはあの先輩に憧れて、美術部に入った。いつものように美術室で絵を描いて帰る途中にあの先輩に会った。

:感想
ちょっと想像させる話。わざとなのかはわからないが、とても心理描写が少ないので、想像の俯瞰を読者がどう埋めるかが鍵になってくる。おそらく読み手によって感想が違ってくると思う。ちなみにkirekoが終盤の展開を読んだ時は、自分が絵に出せない色を持っている、目標たる先輩の投げかけた、その優しい言葉が、主人公にとって嬉しさ半分悔しさ半分で、主人公の感じた心の高揚とは裏腹に、実はその熱さの中に苛立ちも感じていたのではないか、という解釈だった。他の人はまた、別の解釈なのだろうが。


五分間 ジャンル その他 作:tackmy

:あらすじ
給料日前の夕飯時、孝也に由梨からのメールが入る。

:感想
ちょっと文章構成的にどうなの?って気もしたけど、割と好きな話。たった五分間だが、状況によっては長く感じる五分間。一つ一つは簡単簡潔な描写なのだが、文脈に含められたテーマ性、その濃度は薄くもなく濃くもないので、飽きずに読めると思う。最期は完全に漫画的というか、トレンディドラマのノリだが、そういうのが嫌いじゃない人は好きかもしれない。読んでて思ったのは、やや文章中の時間の流れが掴みにくかったのと、主人公にもう少し感傷的な焦らしの描写、心配する焦燥のシーンを盛り込めば、過ぎ行く時間の遅さの強調にもなって、よかったんじゃないだろうか。


猫のトーニャ 魔法伝! ジャンル ファンタジー 作:imaiwa

:あらすじ
猫の魔法使いトーニャの修行風景。

:感想
ぬるめのファンタジー世界観。好きな人は好きかもと言った感じ。まあ幻想世界の話で、主人公の元が猫だから、なんとも言いがたいところなんだけど、アイスクリーム食ってるデブい男に5回以上もまんまと下着を覗かせるなんて、覗き方が上手いのか、それとも主人公の興味によるもんなんだろうか、不思議なキャラクター設定だなと思った。後半はまあ、好みじゃないなとしか言えない。


明奈のクーラー戦争 ジャンル コメディー 作:ドラ麦茶

:あらすじ
7月の3連休初日、悲劇は、突然訪れた。停止するクーラー、上昇する室温、襲い来る試練、葛藤……。これは、とある街のアパートの一室で起こった、1人の女の3日間の戦いの記録である。

:感想
俺がコメディーで待ってたのは、こういうのなんだよ!(力説)
キャラの言い方とか、その設定とか、生活観のある書き方とか、そういう細かいところも良いんだが、とにかく話の中身と書き方として面白いなぁと感じた。最初の金使わないから外出しないとか言ってた主人公が、なんだかんだで金つかっちゃってるってのも、伏線みたいで良いナァ…なんて、そう、もう余計な事は言わない!とにかく読んで感じろ!って感じだ。いやー、それにしてもkireko好みのコメディータッチだった。中途半端に笑わせようとするコメディ路線の作品より、こういう雰囲気で笑わせる書き方の作品を待ってます!秀作!


バカ ジャンル その他 作:ken-_1

:あらすじ
日々繰り広げられる、狩る者と狩られる者の壮絶な戦い。

:感想
なんかこの展開流行なの?今日三度目なんだけど。うーん、でも似たような作品の中では、一番オチが良かったかな。そういう駄洒落がわかるような年齢でもないんだけど、なんか笑ってしまった。お母さんのドライな台詞もまた味があっていいね。


恋の呪文 ジャンル ホラー 作:さち子

:あらすじ
平凡な高校生のアヤ。ある時、電車で事件が起こる!それからのアヤは「エルメス」と言う言葉に操られて・・・?

:感想
読む価値なし。駄作。
書き方がどうだとか、内容がどうだとか、そういう話じゃねえ。くだらねえ話を、くだらなく書くってのが、ある意味一番のホラーだよ。


ひまわり ジャンル 文学 作:伊知

:あらすじ
才能ある妹の奈央を疎んじている姉の話。

:感想
素直に良い小説だと思う。書き方の丁寧さや、読者を釘付けにするような展開の上手さ、そして流れるように進む主人公の感傷的な言動の数々。普通、こんな話を書く時には、どうしても人間の暗部を映し出すものだから、少なからず不快な部分が出る。だが驚くべき事にこの作者は、読者が不快だと思われるその部分をクライマックスの感動のエッセンスの一部に引用して、読者の目を惹く演出したのが凄いと思う。近しいものから感じていた劣等感、それが自分には絶対に届かない才能の嫉妬という類なのだが、実は主人公の嫉妬の対象となっていた者が、自分に対して羨む気持ちがあったこと、一言の激励に喜んで必死に形に表そうとしていたこと、そういう健気な部分を知った主人公の寂しさや儚さに泣き崩れる姿、その場景が少なくともkirekoには、十分に伝わってきた。感動を人に伝えることの出来る表現力と、そこに等身大のキャラクターが居るという説得力を持つ、とても書き方の上手い小説だった。秀作!


============終わり=============

>今日は当たりもあったけど、外れも多かった。

( ゜д゜ )全部が全部面白いってのも難しい話なんですがね。
( ゜д゜ )やっぱり、各ジャンルによって好き嫌いは多少あると思います。
( ゜д゜ )コメディーもシリアスも、基本的に好物なんですよ。
( ゜д゜ )ファンタジーもホラーも、嫌いじゃないんですよ。
( ゜д゜ )文学も恋愛も、悪くないと感じるものもあるんですよ。
( ゜д゜ )だから、なんだかんだ身勝手な感想をしつつも、読むんですよ。
( ゜д゜ )だから、中身はどうあれ、読むに値しない構成は駄目なんですよ。
( ゜д゜ )STOP!文章構成の小細工!ですよ。


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8月15日の終戦

2008年08月15日 22時49分45秒 | 小説の感想と批評
気だるさと眠気が一向に取れない@kirekoです。

>拍手レス

22:15 見事な不作ぶり……こんなに多くの作品を読むのは大変かと存じますが。死なないでください。死なない程度にがんばってください。これからも楽しみにしています。

そんなに死相が出てるように見えるのかこのブログは。
いや、ブログというよりこの俺自身に死相が…?
うん、しかし死なない程度ってところが、無間地獄を体験しろって言ってるみたいで怖いわ。

1:14 kirekoさんの詩を読んでみたいです

ブックマークのとこから、なろうの自分のページに行ってくれ。
しかし最新作が詩ってのもまあなんともメロウな…。

17:23 批評してもらいたい! と思って、短編投稿しました。でも、URL書く勇気がないことにいま拍手押してみて初めて気付いた! 「なせばなる! じぶんをしんじろ!」と言われても無理ですぅー(涙)

批評スタイルのところに書いたか忘れたが、だいたい当日の新着順で感想言ってるんで、もし言いにくかったら日が変わった時間を狙って投稿してみると良いかもしれない。ただ投稿作品順なので、必ず感想を言えるかどうかはわからん。URL教えてもらったほうが着実。二次創作もの以外なら、読みます。「なせばなる! じぶんをしんじろ!」


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )本格的ダルーい体調だけど。
( ゜д゜ )連続更新記録をどこまで伸ばせるか
( ゜д゜ )今まさに限界への挑戦が始まる。

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■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

映画みたいな恋がしたかった!(過去形) ジャンル コメディー 作:月城 柚

:あらすじ
映画みたいな恋……それは、淡く甘酸っぱい青春恋愛ラヴストーリー!(発音重要)そんな恋を探す舞姫クルリは、ある日、彼女の夢を叶える様な事件に巻き込まれる。それはまるで、映画の様な事件であり、そして――彼女の理想とは一八〇度真逆の展開だった……!

:感想
唐突と突拍子もないって言葉が、凄く似合う作品。なんだろうね、序盤の語りから中盤のつり橋効果前までは、舞台演劇とか戯曲の台本とかにしたら、とても面白い展開なんじゃないだろうか。文章構成的には、やや突出した設定が本筋の邪魔に見える時もあり、読みづらい点も幾つか存在するが、ハードボイルド小説のようなカチカチの地の文に、ライトノベルのようなトンデモ設定と台詞が加わっているため、作風のハチャメチャ感だけ読み取れば、自分としてはコメディー作品の一つとして面白いと思った。この書き方が、演出として、ギャップの連続で読ませる作風にも見えてくるから、作者の実力は侮れない。ただ、オチは微妙。というより、〆方がとても投げやりで後味が悪い。こういう部分が見え隠れするから、読み手によって好き嫌いは多分にあると思う。しいて口を出す点があるとすれば、アクションシーン、いわゆる動作に関する表現、そのスピードと緻密さの欠落と、つり橋効果の話(内容的な例題)を、地の文2、3行で良いから、書いて欲しいと思った。こういう作風の物に登場キャラクター達の感情の動きを描写しろってのもおかしい話なんだが、いくらなんでも故郷の話と生い立ちだけじゃ、設定的な説得力がない。後半忽然と現れる主人公の生い立ちも同じで、もう少し説得力のある味付けあれば、話が引き立つのではないかと思う。


眠れない夜… ジャンル 詩 作:Maria

:あらすじ
私は一人?家族って何だろう。眠れない夜は今日もずっと続いていく。眠れない夜はなかなか明けない。

:感想
詩とか、主人公の思考についてとか、とやかく言うのは何なんだけど、大人の世界に一歩踏み込んでしまうと、若さゆえの現実の甘えや、不幸自慢ってのは、ある意味どんなに表現という絨毯を敷いていても、その不快さを隠せないもんなんだよねえ。ただ感情的に文字を羅列するだけじゃなくて、表現に読ませようというこだわりを持たなきゃ、読者に伝わらなきゃ、詩ってのは意味ないと思うんだよ。自分に酔いたいだけなら、チラシの裏でお願いします。


体験談的な・・・ ジャンル その他 作:水銀

:あらすじ
昔私が実際に体験したホラーもどきの話です。異界アルバム参加作品です

:感想
読み終わってタイトル見返して、「たしかに」と思った作品。こういう体験談っていうのは、人の見る夢のようにあやふやに書かないといけないのが難しい。なんだか掴み所がありそうで、掴むところがない不思議な感覚、それをどう上手く伝えるかが大事なところなのだが、この作者の良い所は、小説という形態よりも、本当に個人の体験した不思議な体験談という形をとっているのが良い。小説と違って、小細工をしていない。だからこそ終始話のブレがないのだと思う。変に捏ねてオチをつくって、寒々させる感じよりも、いっそ楽しめる内容だったと思う。


火の花に込められた想い Les Feud’artifice du Quatorze Juillet ジャンル SF 作:木野目理兵衛

:あらすじ
十九醒紀後半の華璃(パリ)に住むナン(ドワーフ)の花火職人ラザールの元へ訪れた青年は、一枚の絵を差し出して、これを打ち上げて貰いたいと言うのだが――

:感想
何がSFなのか、よく考えてみた。通常の世界観から逸脱しているパラレルストーリーという部分でもないし、別段科学的要素に満ちたフィクションが入っているわけでもなく、むしろ気色とすればファンタジー色の入った歴史ものに近い。まず、文章の本筋を理解するまでに時間がかかる話で、決してわかりにくい書き方ではないと思うのだが、設定に関しての描写が、「それ」としか書いてないのが、読み手として、とても不満だった。話の流れも凡庸というか、とかく演出に拘っているわけでもないし、話の起伏の印象付けが薄いと感じてしまった。ただ写実的に物を著しているだけで、表現に旨味がないのだ。作者のテイストというより、これは構成的な気質の好き嫌いに近いものなのだが、こういうのに興味の無い一般読者に、この話を読ませて、面白かったという読者が居れば上々、おそらく内容を覚えていない人のほうが多いのではないだろうか。確かに丁寧な形で進行する良い話だとは思うのだが、どうも作者の観念に基づいた表記が気になって、読み疲れてしまった。むしろ仮想世界にしてもらったほうが、いっそ良かったとも思える。ごめんなさい、おそらくこれ、嫌いな話なんだと思う。


終戦の詩  ジャンル 詩 作:国後旺

:あらすじ
終戦記念日ということで、詩を創りました。

:感想
心情にも、ある程度のリアル路線を突き進む派のkirekoとしては、ちょいと綺麗すぎるかなって詩だね。詩だからわかりにくいとか、そういう面もチラホラ見えるんだけど、実際この作者は、詩というものを読む読者の『想像の俯瞰』に頼りすぎている気がする。パンピーのkirekoとしたら、それがなんであるか、一言説明したほうが、変に凝り固まった表現を重ねるより、実際はわかりやすいんじゃないんだろうかとも思う。終戦という単語がタイトルに入ってなかったら、ちょっと難しいんじゃないかなぁ。


===========終わり=============


>建前

( ゜д゜ )まだまだ酷暑続きますが
( ゜д゜ )書き手のみなさんも暑さに負けず頑張ってください。
( ゜д゜ )自分も出来るだけ頑張ります。

>本音

( ゜д゜ )…自薦でも他薦でも、稚拙でも秀逸でもいいから
( ゜д゜ )ある程度作者の自信が垣間見える小説が読みてぇ
( ゜д゜ )姿勢が整ってない人に、こういうブログで物を言うのも
( ゜д゜ )なんだか気が引けてきたぜ。
( ゜д゜ )ここは一つ、他薦作品を待つか…?

はっは、ちょっとしたジョークですよ
ジョーク。


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悪戯心に火がついた8月14日

2008年08月14日 21時56分55秒 | 小説の感想と批評
マッキーというと、「どうしようもない~」と、この曲だよなー@kirekoです。


>SPY

http://jp.youtube.com/watch?v=qclqyobUUyU

最近タイトルのネタの一部になってるマッキーの曲。
知ってる人は知ってると思うけど、知らない人はこれでも見て納得してくれ。
切ない歌詞なんだけど、曲がいいよね。彼らしくて。

>拍手レス

0:31 日々ガツガツ読んでます。とても勉強になります。心からの拍手を。……凶だったのでもう一回送ります。
0:32 す、末吉だったのでもう一回送ります。
0:33 ……小凶というものがあるのを初めて知りました。このあたりで自重します。  今後も応援しております。 では。


おそらく同じ人だと思うけど、拍手ありがとうござる。
このブログを読んで勉強になるかどうかはわからないけど、もし貴方様が書いた作品がこき下ろされても、生ぬるーい気軽な気持ちで受け止めてほしい。
あと謝っておかなきゃいけないんだけど、拍手内の運勢表記については適当です。
小凶とか本当は無いです。10個まで設定できるんで、やってみたまでのこと…
ふふ、しかし可愛い奴よ。
良い運勢が出るまで拍手をしたことをコメントで白状しちゃうっていう、そういう率直な態度が、この俺様のツボを突いてくるわい。
くくく…それに、拍手したものにしかわからない特典もあるしな。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )ふうらい屋さんとこの記事読んでて、当ブログとも
( ゜д゜ )相互リンク張ってもらってる藤夜さんが短編を書いてたことを知る。
( ゜д゜ )告知で長く感想中止といってたので、藤夜さんとこのブログに
( ゜д゜ )足を運んでなかったのは失礼ながら事実だが、
( ゜д゜ )見てみたらなんか感想も再開してた。
( ゜д゜ )くっ…しかも投稿した短編を滅多切りにしてくれとか書いてある
( ゜д゜ )…………
( ゜ー゜ )ふっ、これは読むしかあるまい。もちろん『徹底的』にな。


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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

夏の幻 ジャンル 文学 作:さくら いろは

:あらすじ
とある大学生の、ある夏の朝。物語性はありません。

:感想
いつもとは少し違う時間に乗車した電車に揺られながら主人公は…、瞬間の不思議を描く作品。物語性が無いとあらすじで言っているが、十分物語性はあると思う。伝えようというメッセージ性を含むことが、総じて全て物語の基盤ではないように、こういう話も物語としてはあっていいと思う作品だった。個人的にはオチが少し安易というか、書き手の感情としては「捻りたいな」と思う気もしたが、物語としてのオチは十分付いてると思う。ただ一つ文句があるのは、導入の部分。車内の風景を現す地の文や、その後に続く物がとても回りくどい。まあこれは読み手の能力だと思うのだが、車内の主人公の立ち居地の説明が、あと一文あれば、すぐに想像できたはずなのに、本文中4行目まで主人公が電車に居る事が想像できなかった。それに続く夏バテを印象付けたい文も、気持ちはわかるが、二重の問いかけをしつつ、否定するという手法というのは、読み手として回りくどい表現だなと思った。原文中で言うところの、自分が鬱だと言えてる時点で、あんたたちは鬱じゃないんでしょう。とか思ってる私が鬱なのか?いや、違う。ただの夏バテだ。の部分。気になるところはそのぐらいかな。あと余談になるのだが、幻を見た話の途中で「あ、これ虫の知らせ的な死亡フラグじゃね?」とか不謹慎なことを考えてしまった。


漂流少年 ジャンル ファンタジー 作:春乃苑香

:あらすじ
不思議な博物館に辿り着いた少年は、全てを失っていた。名前も、お金も、記憶も、希望も。不思議な博物館で生きていくうちに、彼は”ある事実”に気づく。『博物館に眠る金魚』とリンクしており、時系列はちょっと後になる作品。

:感想
あらすじから察するに続きとか後日談とかいう類らしい。なら短編じゃなくて、連載であげろよとか思っちゃうが、それはまた別の話。と、いうわけで感想に入っていこう。ちょっと幻想的に描きすぎじゃないか?内容が不思議(理解不能という意味で)極まりないというか、もう少し世界観を肉付けする写実的な描写が欲しいし、もっと読者に訴えかける物も必要なんじゃないかと思う。この短編だけ読んで理解できねえよってのも、作者からしたらおかしい話なのかもしれないが、はっきり言って、これ一本だけ読んだ読者としては、意味不明もいいところだった。自らの世界を文章で他人に説明する時は、回りくどく感覚世界の描写を書くよりも、設定の根っこの一文を見せたほうが早い。たとえ続き物の短編だとしても、本編を読まなくても、読者がわかる文章を書くのが重要なのではないか。
どうでもいい余談の話なのだが、本文中のアブラクサスという名前を見て、神話スキーであるkirekoの脳がピンときた。まあ一般読者に判りやすく言うならば、一種の死神みたいなもんで、信託に導かれし者たちを天国へ向かわせるのが主な仕事。上半身が人間で、下半身が蛇っていう造詣。なんかギリシャ神話に出てくるゴーゴン三姉妹の逆バージョンみたいな神様だよね。


咆吼 ジャンル 歴史 作:猪鹿野 浩

:あらすじ
老いた体にはまだ自信があるが、時代の流れは速い。だが、一族は世に出てから今日まで、いや・・・ずっと先まで、いい意味でも悪い意味でも世に大きな影響を与え続けるのだ。我等の栄光物語は永久に。

:感想
ネタバレになるが、いわゆる火縄銃の擬人化ってやつだ。少し歴史に興味のある人なら、魔王(織田信長)や鉄砲伝来のエピソードを知ってると、中盤あたりでピンとくる人も居るのではないだろうか。まあ、それに気付くっていうのが今作品一番の旨味かな。だって他の部分は旨味がねえっていうか、作者の書き方が乾きすぎなんだもん。話を通して言いたい事、やりたい事ってのはわかるんだけどさ、やっぱり文章に惹きつけるそれ以上のものがあって、初めて人間って読んで面白いと感じると個人的に思うんだよね。読み終わるまでには書き方に飽きちゃうっていうか、なんていうのかな。種のバレた手品と同じ感じがするんだよね。「眼の付け所」それだけじゃ駄目なんだよねえ、小説って。


迷子 ジャンル その他 作:秋都

:あらすじ
幼い頃から迷子になりやすい君。いつだって俺が手を引いていた。でも、本当の迷子は…

:感想
血の繋がってない義理の妹に萌えたわけですね、わかります。
ただ可愛いと感じるだけじゃ、変な話になるんだけど、小説としてどうかと思うんだよね。もうちょっと心情なりなんなり掘り下げて物を考えてみるってのも必要なんじゃないかな。人形見て可愛いって言ってるんじゃないんだからさ、もう少し表現に書き手のこだわりが欲しいところなわけよ。あと、字数的に改行しなきゃいけないのはわかるけどさ、やっぱり読者は敏感だから、そういう字面で内容を判断されちゃうのは、書き手として悔しいところだよね。しょうがないことなんだけど、それが普通の話。だから改行面に関しては、kirekoも感心しないなと思う。


夕立 ジャンル その他 作:おおやん

:あらすじ
急に降り出した雨を凌ぐため雨宿りをしていると、そこに憧れの先輩がやってきた。

:感想
ボーイズラブ入っているらしいので、苦手な人は即バックしてくれ。『全身ビショビショに濡れたので雨宿りしてたら、なんか知ってる先輩がいるじゃん、ああ、男が男に見惚れるなんておかしいけど、でも、これって何かの始まりかしら、うふふふーん』うん、そうだな。よくある話と展開だ。で、なんで男同士じゃなきゃいけねえんだこの話。てか、主人公か先輩が女でも全然成立する話じゃねえか、これ?くっそー、結局なんだかんだいって爽やかすぎるんだよね。肌にあわねえっていうのか、同性として気持ちがわかんねえっていうのかな、主人公の思考が女々しくて反吐が出る。むしろいっそ「男の首にもたげたら清涼な汗の匂いがした」ぐらいのパワーがあって欲しいわけよ、こっちとしては。ボーイズラブってのが、どういうモンなのか俺にはよくわからねえけど、男同士だからこそ出来る話の流れってのがあると思うんだよね。つまりは作者さん、そういうことなんだよ。


パワフルにいこう ジャンル 詩 作:灯宮義流

:あらすじ
身も心も、もっともっとパワフルに生きたい。だから誰かに憧れる。

:感想
詩については良く知らないけど、どこぞの恋愛詩と比べたら主張があって、上手いんじゃないかな。詩といより文章の面白さに近いものがあるけど、いつも書くまわりくどい文章より、直接的に読者に伝えられ、自分も感じるものがあったので、ある意味成功した詩なのではないだろうか。変に茶化さず、もう少し表現にインテリジェンスを感じさせるものがあれば、なかなか説得力のある話だと思う。荒削りといえば荒削りなのだが、小学生みたいな感覚で書かれた文には才能を感じた。


==========今日のはここまで=============

さっ、お待ちかねの滅多切りショーの始まりですよ

翔(と)べない翼 逃げない小鳥 ジャンル 恋愛 作:藤夜 要

:あらすじ
小鳥は綴る。『ヒカル』というハンドルネームで、日々の不満をデフォルメして綴る。そんな彼女の心の声に、響く言葉は『ヒデミ』の言葉。――blogを通じで出逢った二人の刹那の恋物語。

:感想
感想を言う前に一言言っておきたいのだが、これは題材的にも、書き方的にもおそらく好みの別れる話だと思う。綺麗なものばかり見て、不道徳な話を良しとしない人や、会話や描写について色々突っかかる部分が見えてしまった人には、少し文章から身を離して読んだほうがいいかもしれない。と、いうわけで感想に入っていこう。まず読み終わって思ったのは、90年代によくあった恋愛ドラマを見るような感覚だった。丁寧な構成や、起伏のある展開については、ほぼ文句のない仕上がりだと思う。ただ、丁寧な書き方の割に、ちらほら誤字や、書き手の読み間違えが見えるのが気になった。ここで指摘はしないが、作者自身がもう一度読み返してみると、きっと気付くと思う。あとは、もう少し主人公及び、サブキャラクターの人格的な表現について、書き手の独創的な切り込み方、独自の脚色があっても良いのではないかと思った。最期まで読んで「どこかで見たキャラ」というのが抜けきれなかったのは、確かな事実だ。とは言うものの、他人から見たら幸せ過ぎると思うほどの環境を持ち、健気な旦那と子ども達を抱えながら、自分の事を「籠の鳥」だと言ってみたり、自我欲求の強い主人公の描き方は、女性的というよりも、人間的な奥面が見えて面白かった。旦那にも原因があるとはいえ、子どもや主人公の母親が不憫だと読者が感じてしまうほど、キャラクターとしては立っていたと思う。ただ、構成的な飴と鞭の使い方、ようするに主人公が味わう『幸せ』と『不幸せ』の書き方、そのバランスに関して言えば些か不満だ。幸せの瞬間が、余りにもミニュチュア過ぎるというか、まだまだ理解が出来る小手先の範疇で、その背徳さ、不道徳性を感じさせるには描写が足りない。足りないからこそ、終盤の因果応報の時も、なんだか間が抜けてしまった気もする。これは話作りの観念の違いになってしまうのだが、本文中のクライマックスの一種である『主人公の不幸せ』を際立たせるには、その『幸せ』の描写をもっと犯罪的に、悪辣なほどクドく描写し、主人公を欲求に素直な『悪の存在』として見立てたほうが、話のふくらみもあって良かったのではないだろうか?事の大きさ小ささはなんであれ、まだまだ綺麗過ぎる一面を残す主人公には、もう少し、悪びれない不貞の女としてのスパイスが必要だと個人的に感じた。まあこれは、水戸黄門的な快活な勧善懲悪を表すような作品ではないので、もしかしたら余計な口出しかもしれない。前文と同じようなことを言うが、基本は大衆が理解共感しやすい、感覚が先行する一人称物で書かれており、いわゆる読んで損するタイプの小説ではないし、書き方も不快さが出るような感じではないので、一読する価値は十分にあると思う。もしも作品の中で致命的な問題があるとすれば、それは作品を読む読者の心の余裕があるかどうかという点と、あとは展開の好き嫌い、オチの好き嫌いだと思う。個人的には嫌いなジャンルなのだが、割とすんなり読めたと思う。主人公よりも周囲のキャラクター達のほうに、感情移入してしまったのは否めないが。


===========終了==============


>ツンデレだと言えば許される世界か!
( ゜д゜ )べ、べつに書き手のみんなのことを思って
( ゜д゜ )酷いこといってるわけじゃないんだからね!
( ゜д゜ )……
( ゜д゜ )ここまでメジャーになると、逆にわかりやすいのはムカつくな。
( ゜д゜ )わかりにくい、その一文に読者の妄想の隙間があると
( ゜д゜ )俺は思うんだけどなぁ。


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8月13日と、感想と

2008年08月13日 20時35分42秒 | 小説の感想と批評
やる気の急上昇と急降下を繰り返す@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )kirekoの当日のテンションも一天地六の賽の目次第。
( ゜д゜ )やる気でねー日もありゃ、やる気まんまんの時もある。
( ゜д゜ )だからって中途半端はしたくねえって
( ゜д゜ )今日もゴキゲンだぜコンチキショウ。
( ゜д゜ )(暑さにやられました)

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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

春の風 ジャンル 詩 作:名雪

:あらすじ
愛する人を無くしてしまった人の歌です大事な人を失う悲しみを知ってください。

:感想
形態や区切り方はいいんじゃない。詩っぽくて。あとはまあ共感できるかどうかって話だね。しかしまあ、やっぱり一生懸命書いてる時には気付かないもんなのかな?どんなに綺麗な文句も、格好つけようと苦労して作った文も、眼を惹く表現が無きゃ何も感じないよ。詩は嫌いじゃない。嫌いじゃないからこそ、俺は言いたい。詩ってのは、書き手にとって最高のマスターベーション空間なんだよと。だからもっと、読者が何かを感じるぐらいに好き勝手に書いてくれよー。作者のマスターベーションのベクトル、種類の好き嫌いにもよるけどさ、小説のエッセンス程度に入れるならともかく、こういう薄ら寒い心情の押し売りは受け入れられないんだよね。なんていうのかな。思うこと、掲げたことの「大きさ」「深さ」の割に、表現が凄くパサついてる感じがするんだよ。いや、まあパサついているのは捻くれた観念で物を言うkirekoかもしれないんだがね。


太陽と月、君と俺 ジャンル 詩 作:秋都

:あらすじ
君を想う俺の独白。眩しい君を太陽に例えて。

:感想
おかしいな、なんだか詩らしい詩な感じもする。太陽と月の比較や言い回し、季節ごとの陽光の感じ方については、違和感があったが、テコイレすることが可能な改良点は幾つか見える。感じ方としては、写実ではなく幻想に近い。表現のレベルアップと、今度は思ったこと、思うことに関して、作者独特の言い回しを入れていけばいいんじゃないだろうか。詩なんだから、不変のものにこだわる必要は無い。


僕は彼女より変態です。 ジャンル コメディー 作:氷音亜空

:あらすじ
ちょっと危ない方向に傾いちゃった変態な彼女とそんな彼女の彼氏の里中裕綺(さとなかゆうき)の変態コメディーの第3シリーズ!1、女装。2、お祭りに続き今回は彼女が熱を出すお話です☆

:感想
うむ、前よりも悪化しているな。
前に紹介した奴の続編らしい。前は変態なめんな上等だったけど、今回はただの寒々会話だった。ガン見ってローカルな言葉だと思ってたんだが、普通に仕えるのか。うん。そうだな、発想を無限大に広げて、自分の常識の範疇の限界を飛び越そう。コメディータッチに展開を広げたいのはわかるが、肝心のキャラがそれを邪魔しとるぞい。


ゴキブリ ジャンル その他 作:オボロ

:あらすじ
台所で会った一匹のゴキブリ、そのゴキブリが大学生の一樹の古傷を開いた。

:感想
過去のある男の価値観の逆転からくる、一つの思い出話。本文中では、それを頭文字G(引用)と照らし合わせている。少々発想的に荒っぽい接着の仕方だと最初は思ったが、一つの展開描写としては上手いと思う。ただ、その後が読むに堪えるものに仕上がっているかというと疑問だ。大事だと思う友人についての描写は殆ど無いし、ただ注意書きがしたかったって感じもする。もう、2、3口、話の中でGとの絡めあいが欲しかったところか。(個人的にはごめん被りたいが)


僕と彼女 ジャンル 冒険 作:尚文産商堂

:あらすじ
流れ者の小説家として世界中に広く名が売られている自分は、あるとき野宿した場所に、奴隷が駆け込んできた。その時から、自分と彼女のたびは始まった。

:感想
いや、俺がいうのもなんだけどさ。
句読点多くね?
まあそんなことはいいか。ええと感想は、冒険と銘打ってる割には冒険的なシナリオじゃなかったなぁ、いきなりカオスな設定面がベラベラ出てきて、正直驚いたけど、それも話にモヤがかかる目くらまし程度にしか感じなかった。本筋がなんか惹かれないんだよね。こういうの。うーん、あと特に思ったのは、一々台詞が凡庸なんだよなぁ。人形劇じゃないんだからさ、もう少しキャピキャピしてもいいんでない?目が覚める感じのイケイケの台詞でもちりばめてくれたら、もう少し面白いと感じたんだけどなあ。しかし、展開する話に関しては特に感じる物がないってのも事実だったり。


あの子までのfanfare ジャンル 恋愛 作:白国雪亜

:あらすじ
ある最高位の天使様とある上級悪魔の馬鹿馬鹿しくも愛おしいお話。

:感想
……。
本人達が楽しけりゃ、それでいい気もしてきた。



===========終わり===============

>この不作ぶりはなんだ…
( ゜д゜ )俺の読み方が悪いのか?
( ゜д゜ )日付投稿順に読んでいって、これほど当たりがないのも
( ゜д゜ )なんだか久々な気がする。
( ゜д゜ )あと、ほんと詩…
( ゜д゜ )うーん、詩って難しいのはわかるんだけどさ…
( ゜д゜ )いや、やめよう。ただ好き嫌いで判断するのも大人げない。
( ゜д゜ )俺も書いてみようじゃん。詩ってやつを。


■今日のあなたの運勢もわかるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)


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運転席の男が軽く手をあげた8月12日

2008年08月12日 22時00分58秒 | 小説の感想と批評
昨日からのタイトルがマッキーのSPYって気付いた奴は僕と@kirekoです。


>今日の感想と批評

( ゜д゜ )WEB拍手を設置したところ、謎のメッセージが来た。
( ゜д゜ )うーん、反応に困るような内容だったので触れようとは思わないが
( ゜д゜ )とりあえず拍手してくれたのは感謝だぜ。
( ゜д゜ )今日の運勢も占えるWEB拍手を、コンゴトモヨロシク…。
( ゜д゜ )(しかし、このコメントの仕方的にヌカみそあたりか…?)

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

安楽椅子に寝そべって 深夜の出来事 前編 ジャンル 推理 作:鷹嶺 綺羅

:あらすじ
深夜轟く一発の銃声。死体は麻薬の運び屋。自殺か他殺か?消えた麻薬はどこへ?そんなお話です。

:感想
そういえば、久々に推理作品の感想を言うかもしれない。しかし、これの何を指して推理小説と言っているのか理解が出来なかった。推理作品で個人的に大事だと思っていることは、読者の気を引かせるようなヒントの散りばめ方と、起こったアクシデントとの関係性の考察、場面場面の細かな描写、登場人物一人一人の視点、その動きの描写を細かく書きつつ、読者を推理させる話を展開させられるか、という点に尽きると思う。そういう観点でこの作品を見ると、非常に魅力を感じない推理小説だった。登場人物の味付けがまず希薄だ。台詞文一つとっても、まだ登場人物の読者への印象付けも終わらないうちに話が進むので、誰が喋っているのかわからない。たとえ、それが「それらを良く知る人の日記」という形式をとっていたとしても、この書き方は読者には読み難い展開だと思う。事件についてもそうだ。前半の勢い付けが足りない分、読者としては眼を惹かれるような展開を期待したいところだが、一切普通というか、推理小説の味付けの仕方としては、普通以下の以下だ。続きが読みたくなるわけでもないし、誰が犯人なのか気になるわけでも無い、まずは理解しやすい描写と、日記形式でも人物の表記がわかるような説明が欲しい。稚拙な脳内語りばかりを聞いているようで、正直不満だった。


紅のローブ ジャンル その他 作:小坂戒

:あらすじ
小説喫茶での企画、小説風景12選の作品。お嬢様に捧げます。

:感想
台詞も文章もおかまいなしの謎の段落わけは、何か意味があるのか。短い文章なのだが、たまに出てくる理解しがたい文章は、非常に読みづらい。一人称で、なおかつ恋愛詩のような感情先行の文章のくせに、日本語のおかしさばかりが目立つ。もう少し読み手の事を考えて欲しいというか、作者には理解しやすい語学の矯正が必要だと思った。誤字も致命的だ。うーん、気持ちを落ち着けて、もう一度読み返そう。一つの完成品として誰もが見れる所に晒しているのだから、それなりに推敲すべきだよ。最期のホラー展開以外は、何か感じる文章ではなかった。駄作。読む価値なし。


Perfect Outsiders ジャンル SF 作:星 道流

:あらすじ
未来の可能性は無限大。これはその中の一つでしかない。

:感想
生活資源の枯渇した世界、そこに依存しなければならない人間の存在、果てに残るのは選民と虐殺だった。そんな人類の終末を描いた、退廃的な雰囲気の漂う作品。文句を言うわけではないが、ジャンルSFというには、ちょいと畑というか、匂いが違う気もする。ちょい硬派なリアル肌の書き方は、確かにらしいのだが、これはただのフィクションだと思う。自分の思うSF(サイエンスフィクション)のベクトルとは、何か違ったなぁ。いや、これは余計な事を喋ってしまった。これから読もうとする読者は忘れて欲しい。と、いうわけで感想に入っていこう。まず中盤の「何も知らない少年達」のパートは、展開としては面白いのだが、書き方で損している気がする。他人より物を知っている少年の説明が、やけに知恵が回りすぎているというか、知っている少ない情報で無知な他人に説明するなら、もう少しアプローチの仕方があったんじゃないだろうか。これで理解できる子ども達の感覚にも驚きだが、まず読者が理解できないと思う。無駄な会話が目立つというか、登場人物の台詞を要約して、もっと退廃的な演出を増やしても良かったんじゃなかろうか。想像は出来るんだが、そこまでってのが惜しい。焦燥や、不安を明確に表す描写があれば、少年達のパートは面白かったと思う。ただ、前半の描写に比べて、その分後半の統制側の展開は良い。統計学の説明も、なかなか詳しくて良いと思うんだが、原文中クライマックスの生きることに直接的に繋がらないことは、もうする必要は無い。や、全てが終わる。なんていう絶望の描写なんかも、演出が効いているというか、文章の含ませ方が上手いと思う。前半の少年達の描写の比較として存在するなら、後半は十分な説得力があったと思う。人類の作った文明の欠片は残るが、そこに人類は居ない。ある意味、人類の排他精神の究極に存在するような言い方は、嫌いじゃなかった。個人的には、もう少しって作品だ。


パンドラの箱に眠る秘密 ジャンル 冒険 作:稲葉ほうき

:あらすじ
ジェームズ・フランクリン銀行の地下奥深くには『パンドラの箱』と呼ばれる特別金庫室が存在すると言う。そこに隠された秘密とは・・・。

:感想
展開と発想のセンスはあると思う。読みにくさと、台詞描写ばかりで気になるが、まあ冒険というジャンルも納得の内容だった。ただ、圧倒的に描写不足というか、台詞演出ばかりに拘って、登場人物の印象付けが下手というか、想像し難いキャラクター像は、とても気になった。厨臭いと叩かれそうな台詞だが、厨臭さってのは研磨すれば研磨するほど魅力に繋がると思う。そう、パンドラの箱の発想は良いんだ。あとは描写、説得力を追随させる描写なんだよ。それさえ良ければ、良ければ…しかし、こりゃ小説じゃないんだ。小説じゃ…。うーん、あとは文章にスピード感がないのも残念。せっかく発想自体は良いんだから、それを生かす勢いと、緻密な描写力が欲しい。書き手とすりゃ、生かせば生かせると思うシーンが幾つもあって、ついつい声を出してしまう感じだ。あとは読者に読ませようと思う適切な区切りを覚えて欲しいところだね。


雨の中の散歩 ジャンル 恋愛 作:鷹槻れん

:あらすじ
パティスの目論見で、とんでもない格好をさせられて雨の中を歩かされるブレイズ。彼が、出向いた先で見たものは?(大人パティス&ブレイズ読切り番外編)「月夜に歩けば」シリーズです。http://syosetu.com/pc/main.php?m=w1-4&ncode=N2519Bhttp://syosetu.com/pc/main.php?m=w1-4&ncode=N3072B

:感想
あれ、これ続き物?なんか設定的な説明描写が一切ないんだけど…。まあいいか、感想に入っていこう。書き方は嫌いじゃないんだが、なんだかネタが受け付けないなぁ。キャラクターの愛くるしさ、可愛さの表現なんてのは理解できるんだけど、どうもこの手の小説は、人を選ぶっていうのかね、好きな人はすぐ受け入れられるけど、嫌いだとトコトン駄目みたいな。設定厨のkirekoからすると、頼むから初見で出てきたキャラクター達のことを、外見でも、生い立ちでもいいから一々判りやすく説明してくれって感じだ。でけえビーチパラソルを雨傘として使用しちゃうとか、水嫌いに高下駄無理矢理履かせて歩かせちゃうみたいな配置アイテムを上手く使う作者さんの強引さな書き方には、展開的に魅力にも感じるんだけど、どうも設定的に飲み込めないのと、終わり方が綺麗過ぎる。好きな人には悪いけど、臭うぐらい綺麗過ぎる〆方なんだなあ、こりゃ。


嫌いになんかなれない ジャンル 恋愛 作:松田涼美

:あらすじ
キミのこと嫌い・・・・・・・なんて嘘だよ。

:感想
自分が描く作品への愛し方が、作者自身足りないな。
「こう思う」という感情論ばかりではなく、もう少しリアルでも、突拍子のないファンタスティックな物でもいいから、読者を納得させるような実例が欲しいところ。じゃなきゃ読者に一見させて、何かを感じさせようなんてのは、正直無理だと思う。詩形態の有無よりも、実例の引用を率先してくれ。良く考えれば、誰でも書けることだ。


============終わり=============

>なんで台詞ばっかりなのに、その台詞に拘りが無いのかな

( ゜д゜ )台詞主体で進むのは、そういう構成演出だから良いとして
( ゜д゜ )もう少し見せ方があるだろうと思うことが多い。
( ゜д゜ )読者を魅せる台詞は、情報量を含むものでも、何気ない相槌でもない。
( ゜д゜ )台詞にこめられた、作者独特の語り方というか、その味わいなんだよね。
( ゜д゜ )ここを見てる書き手さんが居たら、良い台詞、お待ちしてます。

■今日のあなたの運勢もわかるWEB拍手(何か一言あったらどうぞ)

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web拍手を載せてみた。

2008年08月12日 00時10分52秒 | 末路話
登録してみた@kirekoです。

>gooブログで出来る唯一のweb拍手を設置



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ふう。とりあえず設置した。
記事毎に一応つけるので、もし何か言いにくいことや、これやれよボケなどの
要望などあったら言って欲しい。適当にレスする。
そうそう。
ただの拍手だとつまらないので、適当に運勢を占う要素も追加してみた。
全10パターン。一日1回の運試し。
内容はマニアックだが、おためしあれ。

おめかしというより、ちょっと8月11日

2008年08月11日 21時07分49秒 | 小説の感想と批評
出会った頃ならーきっと見過ごしてた@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )暑い日がまだまだ続きますね。
( ゜д゜ )こういう時ドラえもんの道具で、エスキモーエキスが欲しい。
( ゜д゜ )むしろ暑さをエンジョイしてくれるドラさんが欲しい…。
( ゜д゜ )いや、それは暑苦しいか。
( ゜д゜ )あ、ちなみにこの道具は、「あつい」と言う度
( ゜д゜ )体温が3度下がってく代物です。

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

短編「やかんの恋」 ジャンル 恋愛 作:鳥海ドゥンガ

:あらすじ
デパートで売れ残っていたやかんが女子大生についに買われて行った!やかんはその女子大生に恋をしてしまい、いつでも会いたいと思うようになってしまうのだが・・・!?

:感想
発想力が素晴らしいというか、なんというやかんの思考の可愛さ。正直この手の話は、ほのぼのしてて大好きだ。とにかくやかんの思考が愚かしくて可愛いというか、健気で良い。文章においても難しい言葉や、変に物質的な引用はせず、簡素な描写の区切りで纏まっており、非常に読みやすい。ただ、本筋を捻ってオチを期待する人は、少し物足りないかもしれない。やかんが可愛いと思えたら勝ち、と言った小説だろう。故障したと思っても、物に愛着を覚える女子大生ってのも、演出として好きだ。そういえば、どっかで聞いたことがあるのだが、日本人というのは外国人に比べて、物に執着する感覚が多感だそうな。そう考えると物に愛情を持って接する本作品も、ある意味日本人にしかわからない感覚なのだろうか。


僕も彼女も変態です。  ジャンル コメディー 作:氷音亜空

:あらすじ
ちょっと危ない方向に傾いちゃった変態な彼女とそんな彼女をもった里中裕綺(さとなかゆうに)のコメディー&ちょっとしんみり&ドキドキなお祭りのお話☆

:感想
変態と聞いちゃ俺が黙っちゃ居ないぜ!どれ★拝見
さて、どのへんからグサグサして欲しいんだ?
ちくしょー!期待したほど変態成分が出てねえじゃねえか!これじゃただの色恋カップルがちょっとジャンプしただけだぞ!くそっ!変態なんて迂闊な言葉使ってるんじゃねえよ!期待しちまうじゃねえか!くそーーー!なんなんだこの描写不足と、文章の駄目っぷりはーーーー!ぬわーーーーー!!
はい、取り乱しましたが、ごらんの通りです。いわゆる変態小説の風上におけないような変態ですね。掲げた看板に偽りありとはこのことを指すんじゃないかと思うほど、詐欺な話でした。台詞も軽いし、一人称がグズグズでわかりにくし、イズムを感じさせる濃密な描写はないし、かーっ!だめだめだ!読む価値なし!!!駄作駄作駄作ゥ!!!!!
で、どうやらこれは番外編らしい。気になった人は前書きで紹介されてるやつも読んでみるといいだろう(kirekoは気にならなかったので読んで無いが)。


蟲食い ジャンル ホラー 作:瀬戸 孝輝

:あらすじ
『蟲食い』と呼ばれる連続死体遺棄事件。事件の舞台に選ばれたC市にて、日々怯えるばかりの男はその事件の決着を付けることが出来るのか。※8月10日に投稿失敗。11日に改めて投稿。

:感想
鬼門のホラー。またオススメしにくい作風。そうだなあ、ホラーの見せ方として所々描写に力の入ってる部分があるのは良いんだけど、例題である序盤の進行の良さが後半に悪影響を与えたのか、中盤のやけに反体制的な台詞描写とどもり、それに繋がる謎の演出で、果たして読者がひきつけられるのか?って話と、終盤のキレの悪い展開と、描写文のスタミナ不足は、なんとも読んでいて残念だと感じた。あと読みにくいってわけじゃないが、地の文の漢字変換の部分で幾つか読み詰まる部分があった。今迄然程(いままでしかるほど)を見たとき、なんの四文字熟語かと思った。うーん、序盤の例題があれだけ含ませて書けるなら、もう少し話に絡めることも出来たんじゃなかろうか。主観というか、主人公の設定が通常より異質なだけに、やけに散文気味というか、気味悪さばかりを演出しようという観点、そして、スタミナの切れた描写文で継ぎ足しをしようとする部分が、余り好きになれなかった。決して悪くないんだけど、なんで序盤の含みある描写を、本筋に継続できなかったのか、理解に苦しむ。


雨男 ジャンル コメディー 作:後藤詩門

:あらすじ
国会議員の川野太郎は奇妙なものを見つけた。それは気象庁の外郭団体、雨男対策特別監視評議会という特殊法人である。いったいここは……何をする所なのか?

:感想
むほっ、相変わらず上手いなあ。たぶんこの作者さんの書き方がkirekoの好みなんだと思うけど、ちょいちょいお堅い感じの政治部署、特殊法人との絡めあいに雨男を出すという発想力が凄い。コメディーとしてのおかしさは、そういう設定的な面だったりしたのだが、やはりこの作者の素晴らしいところは、万人が共有できる話を発想力で面白おかしくしているところが凄い。文章の構成力がピカイチなのだ。読みやすさをライトというには、少しおこがましい気もするが、明瞭簡潔な書き方、読みやすさってのは、短編小説にとって大事な事なんだとシミジミ感じるね。いや、ちょっと褒め過ぎじゃない?と、思われる読者も居るかもしれないが、気に入った物、褒めたいと思う心は、誰が何と言おうと止められないのだ。


ゴミ箱 ジャンル 詩 作:シラス

:あらすじ
弱い気持ちから逃げずに向き合って書いてみました

:感想
悩む事、立ち止まる事、触れなくても良いと認識しているのに、触れなければ不満が募り、触れたいと思う、これぞ人間が人間たる性だなぁ。昨今の恋愛詩とか、支離滅裂で理解不能な詩より、数百倍判りやすくて良いね。ネガティブとかポジティブとかは関係ないけど、考える事、悩む事、それが文章の一文に現れてて、個人的には良いと思う。ただ、弱い気持ちを抱えて立ち止まっている間に、自分にとって絶好の好機、その機会を見失わないことが、人間として重要なことだとkirekoは思う。悩むのはいいけど、足を止めるなって奴ね。


深海キャンディ ジャンル 恋愛 作:りいち

:あらすじ
忘れたい、忘れられない。一年越しの恋だった。

:感想
暑い夏の日の、突然の失恋。展開的にはベタっちゃベタだけど、恋人が良く知る友人のことを好きになってしまった、という話。うーん、ドラマだねこりゃ。電話口で伝えられた恋人の一言に対して、やけに主人公の心象が軽過ぎるんじゃないかな。失恋を綺麗なものに昇華させたい、自分が思い通りの恋愛ドラマが描きたい、という作者さんの気持ちはわかるけど、もっと人間的な憤りや、心情のショックの描写があったほうが、読者がキャラクターの魅力を見出せて面白いと思う。特に序の含みが無い1シーンだけを書き綴るなら、登場人物の外面的、内面的魅力をもっと読者に印象付けるように引き出してやることも、書き手としての力だとkirekoは思う。てか、この作者さん、よく見かけるけど、本当に恋愛専門店だね。ちょっとほろ苦い恋とか、そういうビターなものに最近は傾倒しているのかな。中毒というより願望が見え隠れするけど、感想言う側としたら、ちと食傷気味だな。恋愛以外で、どういう描き方をするのか読みたい感じがする。


============終わり=============

>メールが

感想書いてる途中で、やたら友人(酔っ払い)からのメールが来て
ちょいちょい中断しては、書き綴りを繰り返してました。

まいったぜ

最近ちらほら見てるフルボイス動画

2008年08月10日 21時17分34秒 | 末路話
雨降り始めて洗濯物がおじゃんになったムキー@kirekoです。


>最近(というか6月くらいに見て、今でもネタにしてる)見てる動画

アニメや漫画などのエンターテイメントもいいんだけど、
自分は最近フルボイス系の動画を見てる。
で、これというものがあったら必ずコメしてしまうような
あっちの世界でいうところの良いお客さんなんだが。
まあそのへんはともかくとして、今日はお気に入りのフルボイス動画を紹介。
布教活動を行おうと思う。



フルボイスでフロントミッション~原作崩壊への道~

1話ではそうでもないのだが、ナレーション兼のオルソンの声と、JJとショップのおっさんと、ナタリーの声が好きだ。特にナタリーの声は、プライベートで使ってしまうぐらい面白い。後半になればなるほど、フルボイスよりも編集の力が凄いと感じる動画だった。苦労の割には再生数が伸びない動画だね。





フルボイスで聖剣伝説3~バカ殿様の原作破壊伝説~

聖剣伝説3のフルボイスは数あれど、これほどネタに走ってくれたフルボイスはなかった。ある意味嬉しいことだが、途中で仲間になるギャバン(改名)の声が面白すぎる。FMからのメタな出演の仕方も面白い。てか毎回出るBGMが卑怯wwwww

不倶戴天の8月10日

2008年08月10日 20時33分50秒 | 小説の感想と批評
上司がまさにそれだった@kirekoです。

>今日の感想と批評

( ゜д゜ )業者の迷惑コメ、迷惑トラバが減るだろうと思って
( ゜д゜ )コメ欄解放したらこのざまかよ!!!
( ゜д゜ )せびんの突っ込みがなかったら、普通に凹んでるところだぜ…
( ゜д゜ )くっそ!読者ROM軍団たち!
( ゜д゜ )名無しでもいいから、もっとコメントしてくれ頼む!

こうして、コメントクレクレ厨の伝説が始まった。

■企画の意図は、こちら
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*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============

Cotton Candy 1 ジャンル 恋愛 作:蜜月めぐむ

:あらすじ
中性的な僕に積極的にアプローチしてくる彼女。それには彼女の悪夢のような過去が関係していた。僕には彼女の心を癒すことができるだろうか…。せつないラブストーリーの序章。

:感想
短編だけど続きがあるような雰囲気。ソフトなエロ漫画の世界だなぁ。よく聞くところ、芸術の行き着くところが、退廃と背徳という人がいるが、小説の中でも際どい純文学の世界だってアブノーマルな性行為や、背徳的な世界があるんだから、別にジャンル的には卑怯じゃないと思う。付き合ってる女が寝床で言う、ただの不幸自慢話と言われたら、そんな気もするが、少なくとも展開構成的には悪くないと思う。世に出ているケータイ小説とかが怒られてる理由の一つに、底の浅い描写が連続するという点があるが、あれをちょっと濃密に書いたら、こんな感じになるんじゃなかろうか。あとは別段感想を述べるところはないが、ただ一つ、女の名前が愛称なのか、本名なのか気になった。


4月4日の肝試し ジャンル ホラー 作:ken-_1

:あらすじ
聡は、同級生の千佳に恋心を抱く平凡な中学生だった。ある日、千佳が提案する。『4月4日に学校で肝試しをしよう』ちょっとしたスリルを味わうための、楽しい肝試しのはずだった。その日、千佳は消えた。

:感想
また、鬼門のホラーだ。夏にやる肝試しってのは聞いたことがあるが、4月にやる肝試しってのは発想的に面白い。ただ、前半のホラー映画のくだりは、完全に助走不足というか、必要なプロセスだが無駄の多さが目立ってしまった。キャラクターの素面な感じも、写実的といえば聞こえがいいが、表面にも中身にも、余り魅力的な部分が描写されてないのが、とても残念だ。後半の色恋関連の話に関しても、必要以上に文章が集中しすぎているところも気になる。もしかして元々恋愛系の人なのだろうか?と勘ぐってしまう。しかし、その割に背景描写が少ないのは、何故なのか。書くのを苦手としているのか、それとも書くことが無駄だという見解なのだろうか。うーん、純正のホラーにしては雑念が入りすぎているし、展開演出に優れたエンターテイメントな恐怖物というには、随分まどろっこしい感じもする。もう少し素早い展開と、導入部分で読者を引き込むような逸話が必要なのでは無いだろうか?事件性も絡めて。


痛風 ジャンル 文学 作:dejavue

:あらすじ
いっぷう変わった男と猪突猛進型の男の奇妙な友情をとおし、ふと見た自分の顔で在りし日のことを回想する物語。

:感想
背景で眼がやられそうになった。頼むから「背景色に気をつけてください」ぐらいの事を言って欲しいな。ある二人の探訪期と、その後の様子を淡々と語っている作品。歴史好きというキャラクター描写が最初にしか出てないところと、急に段落わけされてる部分とされてない部分が構成的に気になるが、全体を通して旅行物にしては辛気臭くて、友情にしては殺風景すぎる気がする。渋過ぎて食べれない柿みたいな味の小説だ。言うべき感想は余り無いが、面白いと思ったのは、やたら時代的な言葉の言い回しがあること。トルコとか、田中角栄の列島改造論とか、今ではなかなか聞けなくなった言葉(前者においては、たぶんkirekoの世代ではわかる奴殆どいないと思う)が随所に出てくるところ。話の内で気にならないメタ発言は嫌いじゃないね。


夜宴 ジャンル ホラー 作:森上 木一

:あらすじ
突然夜中のパソコン画面に打ち出された謎の散文詩。そして最後の夜に宴が始まる…

:感想
はたまた鬼門のホラー。ホラー小説を読んで怖いと思うより、ホラー作品を読むのが怖くなってきた。というわけで感想に入っていこう。いわゆる謂れの無い謎の怪文書が、自分にしか触れられないスペースの中で、知らないうちに書かれているというもの。実際こういう体験をしたことがある、という人は読者の中にも居るのではないだろうか?ちなみにkirekoはある。徹夜気味の超寝不足状態で、何か書こうと思いながら寝てしまい、起きたら覚えの無い文章が書かれていた時があったから、共感できる部分も無いわけじゃない。そういうのがわかる人は、面白いかもしれない。ただ、打ち出された怪文書、詩の部分に説得力がない。例えば意識の無い散文だとしても、少しばかり深層心理の動機に苦しむというか、統合失調症に陥っているわけでもない主人公が書くには、理解できない節がある。最期も何かやっつけ作業のように終わっているから、読んだ人からすると頭にクエッションマークを浮かべてしまうのではないだろうか。うーん、〆も綺麗に終わってるわけじゃないしなぁ。スリリングな描写がちらほら見えただけに、惜しいかな。


俺だけの甲子園 ジャンル その他 作:ぱんどらの箱

:あらすじ
九回裏ツーアウト。いつだって、ガチンコの真剣勝負があるもんだ。ライバルに全身全霊で俺は投球する。しかし、それにしても暑いな。

:感想
気のせいか?どっかで読んだことがあるような…。まさかな。というわけで感想に入っていこう。とにかくオチを書きたかったために、序盤の勢いが増すのもわかる気がする。オチを見てから読み返すと、一種のコメディーだ。前半のモノローグのシーンを、主人公の居る現実と被らせ想像すると、面白いのではないだろうか。投球の1シーンとしては、もう少し精密な描写が求められる気もするが、そこはオチまでの伏線ということで、ご愛嬌。


フラッシュバック ジャンル  作:蝶野姫菜

:あらすじ
不可解なフラッシュバックに悩まされる大学生、錦戸悠佑は、ある旅行雑誌の写真を見たことがきっかけとなり、睡眠中にも奇妙な体験をするようになる。謎の解明のため、お盆休みを利用して雑誌に出ていた山村を訪れるが------、そこで、村の三人の女性を巻き込んだ想像を絶する真実が解き明かされる。だが、すべての謎の完全な解明は、最後の最後まで待たなければならない。

:感想
またまたまた鬼門のホラー。短編で文字数が3万文字を越えるものを見ると、感想人としては、ある意味しり込みしてしまうが、純粋な読み手としては期待することも多くて、読むことに闘志が沸いてくる。それが期待を裏切らない駄作でなければ、もっと良いこと。というわけで感想に入っていこう。読み筋、いわゆる読者を飽きさせない展開と、作者の描く描写に面白みがあるか無いかで言えば、面白いほうだ。ネタバレになってしまうから控えるが、デジャヴという現象が、どちらかというと現実的なものなのに対して、後半のオカルティックな話の展開は、読み手として面白かった。特に後半のシャワーを浴びる描写のすぐ近くに少女の生首があるという絵は、ホラー要素として評価できる部分だ。これが全て現実だったのか、それとも虚構の世界が見せた一つの未来(過去)だったのか、読み進めていく内に謎を想像させる表現の仕方は上手いと思う。ただ、文章構成的な部分でいうと少し荒っぽいというか、やり方が粗野だ。まず台詞主体の描写において、意図的に闇雲な改行と、必要なのかどうかわからない節がある。台詞が二段、三段と続くのは結構だが、特に意味のない会話は無駄だと思った。あと途中の「否」とか「厭な予感」などに見える、独特の表記は、書き手がわざとやっているのかはわからないが、文章の本筋にマッチングしないような気がした。絶命の声、独特の喋り方など、台詞内の雰囲気の出し方に関しても、描写されてない所があり、一種読み詰まるというか、違和感のようなものを感じる部分が多々あった。内容的には纏まりのある話なので、各部各部のスタミナの無い描写を付け加えるところと、もう少し構成的に要約するところはして、展開をスマートにすることも必要なのでは無いだろうか?


============終わり==============

>感想やってて思うこと
( ゜д゜ )一生懸命書いてる人の裏で、
( ゜д゜ )こういうケチ臭いことを言うのはどうなんだろうか。
( ゜д゜ )別に今に始まったことじゃないが、自分は説明ベタだと思う。
( ゜д゜ )人に物を伝える感想人としては、
( ゜д゜ )もしかしたら不適格なのかもしれない。

第十三話『ノットイーブンアフェクション』

2008年08月10日 18時10分35秒 | 超能力バトル物
 灼熱の召使(サーペント)ロイとの激闘の後。
 海風の止まった闘技場(コロッセオ)と呼ばれた倉庫街の裏手では、精神力の多大な消耗に昏倒するアカネと、同じく戦いの反動で気絶していたダイスケを、必死に介抱するカレンの姿があった。

(ってゆーか、ありえない二人とも。精神も肉体も、短時間でこれだけ消耗するなんて。こりゃ本気でやらないと、マジでヤバイかもね)

 眼を瞑り、思念を集中し、両の手をダイスケとアカネの胸に置きながら、カレンは残っている自分の精神力を二人へ割譲してゆく。意識を失うほど疲弊した彼らの精神力を、唯一回復することが出来るヒーリングの能力を持つ彼女が、己の精神力の殆どを、二人に注ぎ込んでいるのだ。

(や、やばっ…今、一瞬、くらっとした)

 危険から一目散に逃げようとした自分を、体を張って守ってくれたダイスケとアカネ。
 ただの同僚、顔見知りの仕事仲間。そんな一定以上の距離になれない、冷たい関係だと思っていた、自分を命がけで守ってくれた仲間たち。

(でも、やるだけやってみなくちゃね。べ、別に頼んでないけど…皆、私を守ってくれたから。私を、私を守ろうとしてくれた大切な…てっ、な、何いっちゃってるんだろ私)

 ごく僅かな時間に、彼女の中に刷り込まれていた、仲間という言葉。
 彼女の心に留めておくには重く、彼女が意識するのを煩わしがっていたものが、今、皮肉にもカレンという人間を動かしている。ガラにもなく真面目に、ガラにもなく真剣に、他人を救うことに必死になる。

(…でも二人を…私がここで見捨てちゃ、だめなのよ!)

 カレンの心の中の解放。
 そしてそれが共鳴するように送り込む思念波の波を強大にしてゆく。命を救われたという思いが、彼らを助けたいと思う願いが、自分だけが助かりたいと思っていた彼女の心を少しずつ変えてゆく。

「…っ」

 そんな彼女の思いが通じたのか。
 死んだように気絶していたダイスケが、やや苦しそうな表情を眉に描きながら、意識を取り戻す。朦朧とする意識を徐々に回復させ、微かに視界を広げると、そこには「ガラじゃない」カレンの献身的な姿があった。そんなカレンに、自分の意識の復帰を伝えようと、声をかけようと思ったダイスケだったが、まだ全身が痺れるように重かったのもあり、微かな声をあげることも、微かな動きを示す事も出来なかった。
 しかし、ダイスケは次第に確かに見えてくる光景に、思わず口元を緩ませた。

(へえ、あのカレンが…へっ、こりゃあいいもん見せてもらったぜ)

 ダイスケが、口元をニヤケさせながら、薄目で覗いていた世界。そう、カレンは目の前の二人に精神力を注ぎ込む事だけに思念を集中させていたため、些細な動き、そのダイスケの微かな思念波の乱れには気付かなかったのだ。

「結構いいとこあるじゃねえか。カレンちゃんよ」
「えっ」
「けっ…この天下のダイスケさんとしたことが、流石に伸びちまってたか…面目ねえ。ったく、いい大人が、だらしねえ話だぜ」
「よ、良かった。ダイスケ、さん」
「おめえのおかげだぜ。カレン…って」

 無我夢中で二人の介抱を続けていたカレンだったが、意識の目覚めたダイスケの…彼の声を聞いて、思わず張り詰めた精神の緊張を解く。自分に残る精神力を注ぎ続けた彼女の体は、すでに自らの意思でとどまる事が出来ないほど疲労し、起き上がったばかりのダイスケの胸元へ、ただ力なく無意識に倒れこむ。

「おっ! おい! か、カレン!? だ、大丈夫か! おい!」

 倒れこんでくるカレンの細い体を抱きかかえるダイスケに委ねられた、カレンの余りにも細く、軽い肉体。そこから感じられる、血の気が引いたような体の冷たさ。顔を見れば、開くのを止めた眼が、苦しそうにジリジリと眉を動かし。筋力の抜けた肩が、ズッシリと重くダイスケの腕の中に沈む。

「おい、眼を開けろよカレン! なあ、起きてくれよカレン!」

 引っ張られる重力に身を任せるように、弱々しく倒れかかるカレンを見て、慌てて強く抱きかかえたダイスケは、彼女の急な異変に思わず彼女の肩と腕を掴み、アカネの時と同じように声を荒げた。
 倉庫街に響く彼の声は、その心配に比例するように、大きかった。

「起きろよ! カレン! 助けてくれて死ぬなんて、ガラにもなくカッコつけた事してんじゃねえよ!」

 カレンの細い体を揺さぶりながら、ダイスケが夜空に向かって大声をあげた。
 だが、それと同時に、違和感を感じさせる音がダイスケの耳に聞こえてきた。

「…クスクス」

 カレンの体を抱えるダイスケの耳に、篭る音で小さく聞こえた笑い声。
 人を騙す小悪魔のような、高音の微笑。その声の主は、ダイスケの腕の中に抱えられた、一人の少女のものだった。

「へぇ~、アカネちゃんじゃなくても、一応心配してくれるんだ。ダイスケさんは」
「カレン! お、お前意識が…」
「あーやだやだ。ってゆーか恥ずかしくて、ちょっと冗談でやった、こっちが聞いてられないよ。いつも思うけどダイスケさんは、いつも暑苦しいっていうかー。それだからそんな歳になっても女の子にモテないんだよ」
「わ、わざとかよ…」
「私があれくらいで、まいるわけないじゃん」
「誰だって仲間が目の前で倒れ掛かってきたら、心配するだろうが!」
「ってゆーか、正直うざいんだよねそういうの。じゃあさ、ほんとに私が今死んでたら、どうするつもりだったの? 結局ダイスケさんの後悔なんて口ばっかじゃん」
「…そ、それは」

 互いに顔一つ分の距離を保ちながら、ダイスケにやや高圧的な言葉を放つカレン。言い切る彼女の本当の心はどうであれ、確かに危機に巻き込ませたダイスケにとっては、耳の痛い話だった。視線をそらし、少し落ち込んだ様子で、苦々しさに奥歯を噛む顔は、抱きかかえられたカレンにも見えた。

「ってゆーか、もう大丈夫だから、手を離してよ」
「あ、ああ…すまん」

 落ち込み顔のダイスケに、カレンが一言放つ。
 機嫌の悪そうなカレンの視線が、彼女の体を支えるダイスケの手に向けられる。それに気付いたダイスケは、いかにもバツが悪そうな了承の声をあげながら、抱きとめていたカレンの腕と肩を離した。

「お、おい大丈夫か」

 ダイスケが、立とうとするカレンに手を貸そうとする。

「もう子どもじゃないんだから、一人で立てるわよ」

 だが、カレンは思いきりその手を払う。
 邪険、というより嫌悪に近い形で手を払われた事に、また苦い顔を浮かべるダイスケ。カレンは服にかかった塵やホコリに視線を移しながら、ぷいと体の向きを変え、ダイスケから背けた。

(私だって…私だって…)

 穏やかな波止場の海風が再び吹き始め、薄化粧のカレンの顔を冷たくなでる。
 普段なら性別的、能力的にいっても、守られること、助けられることが当然だと思っていた彼女が、初めてダイスケの助けを受けず、消耗した体に踏ん張りを利かせ、自力で立とうとする。

(一人で、大丈夫なんだから…)

 意思ではない、どちらかといえば、これは意地だ。
 無意識の中に芽生えていた彼女の独立意識が、一人で立つ事を選ばせたのだ。
 カレンは、ゆっくりと地に手をつくと、自力で立ち上がろうとした。

「あ…」

 が、しかし。
 二人のために精神力を消耗したカレンが、そう易々と立てるはずが無かった。

「おい! カレン!」

 まるで吊るした糸が切れた人形が、力なく、その場に崩れるように、立とうとしたカレンの体は、海風に煽られるようにバランスを崩す。
 それを見たダイスケが、すかさず倒れこむカレンを抱きかかえた。
 生きてはいるが、抱きかかえられたカレンの眉や口元は苦しみに歪み、感じる精神力は、驚くほど衰弱していた。
 ダイスケは、また不機嫌な顔をされるんじゃないか、と思いながらも、声をかけずにはいられなかった。二度三度、体を揺さぶり、必死に声をかけながら反応を見る。

「…まーた、騙された」

 抱きかかえられたカレンの意識は、確かにあった。
 苦しみに満ちた表情を浮かべながらも、その薄目でダイスケの心配そうな顔を見て、無理してハニカミながら言った言葉は、彼女なりの気遣い、大人への背伸びの感情だったのかもしれない。

「へっ、嘘つくんじゃねえよ」

 カレンのつくった様な表情の意味。彼女らしくない、大人への気遣い。
 それを感じ取ったダイスケは、全てを察した。
 そして、己の手に抱きかかえたカレンに、今度は視線をずらすことなく、優しく声をかける。

「意地なんて張らなくてもわかってるぜ。お前が、いつも頑張ってることぐらい」
「…って、てゆーか…今さら? 気付くの遅いんですけど」
「わりいな。しっかし、自力で立てないぐらい心削りやがって。…ったく、いつも人間関係サバサバしてるお前らしくねえな。何カッコつけてやがんだよ」
「…私だって、たまにはダイスケさんみたいに、格好つけても良いじゃん」

 ダイスケの優しい口調に続いて帰ってくるのは、総じて彼女らしくない、カレンの…何処にでも居る、等身大の女子高生の素直な声だった。

「他人の物真似なんてのは、能のねえ大人のやることだぜ。お前はお前のままでいろよ。それに、そんな真っ青な顔してちゃ、騙せるもんも、騙せないぜ」
「…ちぇっ、精一杯頑張ったふりして強がってるんだから…、だ…騙されてよね」
「やれやれ、そう何度も引っかかるのは癪だが、他ならぬカレンちゃんのためだ。仕方ねえ、騙されてやるかー」
「…ありがとうなんて言わないからね」
「んなこと、わかってらぁ。だけどあんまり、このダイスケさんを心配させるなよ」
「…そう思うなら、もう二度と、私に、こ…こういう事させないでくれるかなぁ?」
「はいはい、わかったわかった。二度とさせねえよ」
「じゃ、じゃあ…約束ついでに、私のワガママ聞いてくれる?」
「なんだ?」

 カレンは一呼吸置くと、つくったハニカミ顔を解いて、こう言った。

「…もう少し、…このままでいさせてよ」
「ちっ、仕方ねえな…」

 「大丈夫」と意思表示するように、言葉の後にダイスケの腕を強く掴みながら、強がり続けたカレンの、初めての本音だった。
 仲間意識を嫌い、他人に必要以上干渉しないこと、そして強がることで自分を作り出してきたカレンという少女は、ダイスケの腕の中で意識を失った。

 穏やかな海風が、黒い眼の狩人たちの背を通り過ぎてゆく。


―――――

 数分後。
 意識を取り戻したカレンは、アカネを負ぶさったダイスケと供に、瓦礫で埋まったコロッセオを去り、トオル達の待つ倉庫へと向かっていた。

「すまねえなカレン。本当ならアカネちゃんの回復も待って、もう少し休ませたいところなんだが」
「あーあ、ほんと。こんなか弱い女の子たちを危機に晒しといて、大の男が情けないってゆーか」
「ひでえ事言うなよ。俺が奴をあそこで奴を仕留められなきゃ、きっとお前もやられてたぜ」
「ってゆーか、関係ないしー。私は二人置いて逃げるつもりでしたからー」

 冷たい海風が建物の合間を縫うように吹く倉庫街に、ダイスケとカレン、二人のいつもの調子が聞こえてくる。言い慣れた悪態、聞きなれた言い訳、あれだけ心が素直になった数分前が嘘のように、いつも通りの感覚が二人を包む。
 だがそれも、今の二人にとっては都合の良い照れ隠しだった。

「おいおい、今のは俺の聞き間違いかぁ? 誰かが思念波で俺に『助けて』って叫んでたのが聞こえたんだがなぁ」
「え!? そ、そんなわけないじゃん」
「まっ、カレンだって女の子だもんな。怖けりゃ怖いって本音もでるって話だ」
「ダイスケさん! わ、私そんなこと言ってないって!」
「なあにそんな顔して心配すんな、誰にもバラしゃしねえよ。俺も男だ。ここだけの二人の秘密にしておいてやるよ」
「って、ってゆーかダイスケさんの聞き間違いだし。そう! あれよあれ、緊急時における幻聴ってやつ!」
「はいはい。そうですかっと」

 恥ずかしいのか、頬を少し赤らめながら、確かに言った事実に対して強く否定するカレン。
 それに突っかかりながらも、笑みを浮かべ、事実を受け流そうとするダイスケ。
 全ては戻りつつある、いつものように。

「ってゆーか、今思い出したんだけど。そういえばダイスケさんも、私やアカネちゃんに恥ずかしい事ばっか言ってくれたよねー」
「すいません。誰にもカレンさんの話はしませんから、言わないでください」
「どーしよーかなー、ってゆーか私、欲しい服あるんだけどー」
「ぐぐぐ…足元みやがって。ああ! ここから無事帰れたら買ってやるよ! いくらでもな!」
「冗談。ダイスケさんのお財布じゃ、一着買うのも、ちょっと厳しいからね」
「カレンお前!」

 動物のじゃれ合いにも似た、そのダイスケとの何気ない会話。
 その中に、本当に大事なものがある事を、まだカレンは気付いていなかった。
 強がりを受け止めてくれる相手、そして冗談を互いに言い合う仲間意識の強さ。
 それが、自分の想像以上に膨れ上がっている事を。

「そういやトオルに連絡は?」
「え、あっ」

 いつもの状況に安心しきっていたカレンは、ダイスケの言葉を聞いて思わず焦りとも驚きともとれる、突飛な声をあげた。
 そういえば、話すのに夢中で、別ルートから進入する手はずになっているトオル達に定期的に入れる連絡を怠っていた。慌てて精神感応の能力を展開し、あたりに思念波を飛ばせる環境を整えると、トオル達の居るだろうと思う場所へ飛ばすカレン。

 だが、カレンの飛ばした思念波は、カレンの目の前で、すぐさま消えた。
 いや、送り出した途端、かき消されたのだ。

「えっ…これって」
「どうしたカレン。トオル達に何かあったか?」
「ってゆーか…感応障壁(サイコジャミング)!?」
「何だって!? どういうことだカレン!」

 カレンは、向かう先にある薄暗い倉庫のほうを指差しながら呟いた。

「あの倉庫を中心として、この倉庫街一帯に、どんな思念波も、振動も、音も通さない…強力な感応障壁が出てるみたい。至近距離…相当近寄れば届くかもしれないけど、ここからじゃまったく意味ないよ」
「おいおい感応障壁だって!? ってことは、敵さんにも強力な精神感応の能力者が居るってことかよ…」
「こんな広域に、こんなに強力な感応障壁を敷き続けるなんて、少なくとも私と同じくらいのエキスパートかもね…」
「まてよ、ってことは、もしかするとトオル達の方にも奴等の手が回ってるって事かよ!」
「わかんない…けど。さっきの男とあれだけ激しい戦闘をしたのに、あのトオルさんがそれに気付かないはずないよ」
「ちっ、こりゃ厄介な事になりそうだぜ。急ぐぜカレン!」
「ちょ、ちょっと待ってよダイスケさん! 置いていかないでよ!」

 心に嫌な物を感じながら、アカネを背負う手に力を入れ、ダイスケは足を速める。
 彼の舌打ちと行動が、背を追いかけるカレンの不安を煽り、思わず不安げな声を心に響かせた。
 その足音も、不安の声も、目指す倉庫から敷かれた、思念波と音の振動を遮る強力な感応障壁により、かき消されてゆく。暗闇に立ち並ぶ倉庫の壁を、反響させることもなく消えてゆく、自分達がそこに居るという鼓動の消失は、急ぐ二人の心を、ただ不安に陥れるのだった。

 波止場に打ち付ける、音の聞こえなくなった波が高くなる。
 辺りは、塩の香りと供に、再び強烈な海風が吹き始めた。