イナカギク(サツマシロギク)の項で述べた、九州のシロヨメナ群の4分類の続きで、ケシロヨメナとシロヨメナです
おさらいしておくと、九州には2倍体と6倍体のシロヨメナ、2倍体のイナカギクのほか、両者の中間的な形質をもつ二つの新しい分類群、ケシロヨメナとサツマシロギクがあるという話
九州におけるシロヨメナ群の形態的, 細胞学的研究 (副島 顕子) より引用すると
①シロヨメナ 葉の裏面は無毛、毛はわずかにあっても短い
②イナカギク 葉の裏面に長軟毛が多く、短毛は少ない
③ケシロヨメナ 葉の裏面に短毛が多く、長軟毛は少ない
④サツマシロギク 葉の裏面に短毛および長軟毛が多い
参考までに、よく違いがわからないと言われるイナカギクとシロヨメナの形態について
下図のごとく、葉の違いについては、イナカギクは柄がほとんどなく、基部が茎をやや抱くのに対し、シロヨメナは基部がくさび型で徐々に細くなり、翼を持つ葉柄状となる
しかし、論文でもシロヨメナ群は分類困難なグループだと記されているように、個体差などもあり区別は難しい
舌状花については、イナカギクは幅広で、シロヨメナ(ケシロヨメナ)は比較して細いとの説があるが、これも個体差がある
一番わかりやすいのは、冒頭で述べたように、葉の裏面の毛量を確認する事だろう
では、本題のシロヨメナとケシロヨメナの話に入る
シロヨメナの葉裏は、無毛もしくは、まばらな短毛があるとされるのに対し、ケシロヨメナは短毛が多く、わずかに長毛が混じる
下図は、サツマシロギク、イナカギクとの比較
長毛に着目してみると、ケシロヨメナ<サツマシロギク<イナカギクとなる
今回、ケシロヨメナの比較としてシロヨメナを撮影しようと探し回ったが、イナカギクやケシロヨメナばかりで、なかなか見つからなかった
途中で訪れた野津原天空広場は、初めて訪れたが素晴らしい展望が得られるところだった
ケシロヨメナは、九州東北部、四国、中国地方に分布し、シロヨメナとイナカギクの中間的な性質を有すると解説されている
分布に関しては、論文を参照したが、現在ではより広い範囲に分布している事が知られているようだ
シロヨメナは、2倍体、6倍体で葉裏は無毛または、有っても短毛
ケシロヨメナは、4倍体で葉裏には短毛が多く、長毛は少ない
ネットでは、ケシロヨメナはシロヨメナの変種と解説されているが、学名を見ると、シロヨメナは広義のシロヨメナ群の無毛葉変種、ケシロヨメナは広義のシロヨメナ群の中間的変種と解釈できる
という事は、シロヨメナとケシロヨメナは、母種と変種の関係ではなく、単なる同属近縁だと言えるのでは?
私の解釈は間違っているのでしょうか?
学名:Aster leiophyllus Franch. et Sav. var. intermedius Soejima
和名:ケシロヨメナ(毛白嫁菜)
キク科 シオン属
撮影 2022年11月 大分県
初版 2016年11月22日
記事アップロード 2022年12月07日
画像アップロード 2022年11月19日