イナカギクは、普通に見られる植物であるのだが、宮崎県では主にサツマシロギクが自生し、イナカギクは稀だという
従来、九州南部のイナカギクとされていた植物は、サツマシロギクとして区別され、おそらく鹿児島県にはイナカギクは自生していないと思われる
九州南部特産のサツマシロギクではあるが、長崎県にも産すると聞き、過去に数回自生地を訪れている
葉裏の毛の生え方に特徴が見られるとの事で、長崎のサツマシロギクはカメラに収めているのだが、比較のためのイナカギクに関しては、いまだに葉裏を撮影していない
今回臼杵市の農道で、たまたまイナカギクを見かけて、サツマシロギクの事を思い出し、葉裏を観察してみた
下図のごとく、長崎の個体は、長毛がまばらで、臼杵のイナカギクと比較して短毛が多く、サツマシロギクの特徴を有する事がわかる
長崎で撮影したサツマシロギク
シロヨメナ群は、複雑な倍数体複合体で 分類の困難なグループである
従来、 九州にはこの群のうちシロヨメナとイナカギクの2種が分布するとされていたが、 両者の中間的な形態の個体が出現している
調査の結果、九州には2倍体と6倍体のシロヨメナ、2倍体のイナカギクのほか、両者の中間的な形質をもつ二つの新しい分類群が認められた
ケシロヨメナは、シロヨメナによくにているが、 葉の裏の毛の量がシロヨメナよりも多いこと、また短い毛しかもたないシロヨメナに対して長い毛が混じることで区別され、九州の東北部の他、中国地方、四国に分布し、4倍体のみが見つかっている
サツマシロギクは、九州の南部に普通で、2倍体のみがみつかっており、ケシロヨメナよりもさらに毛の量が多く、長毛もめだつが、イナカギクよりは毛の量が少ない
他のシロヨメナ群の2倍体の核型では、付随染色体が2本しかないが、サツマシロギクでは通常付随体がある染色体を3または4本もつ
参照)九州におけるシロヨメナ群の形態的、細胞学的研究(副島 顕子)
ケシロヨメナに関しては、すでに大分県で撮影しているのだが、比較対象のシロヨメナの葉裏をまだ撮影していない
機会があれば、また後日投稿する事とする
学名:Aster semiamplexicaulis (Makino) Makino ex Koidz.
和名:イナカギク(田舎菊)
キク科 シオン属
撮影 2022年10月 大分県
初版 2016年11月22日
記事アップロード 2022年11月13日
画像アップロード 2022年11月11日