鬼笑で行こう。

おいしいものの話や、まじめでいい加減な不定期評論など…

不思議な弧

2007年09月09日 | 鬼笑な日々
Y君が亡くなった。
彼の近所に住み、子どもがサッカースクールで世話になっていた従姉妹が知らせてくれた。

2、3年前に帰省したときに、生まれ育ったまちがどう変わったかみたくて、通っていた小学校の校区をぶらぶら歩いたことがある。
そのとき、覚えている同級生の家の前を何軒か通ったのだけれども、みな別名の表札にかわっていた。
時間の経過を考えればそんなものだろうけど、さすがにちょっとさびしかった。

ただ一軒、Y君の家だけがそのままで、偶然なかから出てきた僕と同世代の人に昔のY君の面影があり、声をかけて驚かそうと思ったけど、やめた。
過ぎ去った時間に手をふれずそのままそっとしておきたい気がしたから。

いま思えば声をかければよかった。

小学生時代の僕たちには神業にみえるシュートを打つサッカー少年だった。
Y君のコーナーキックは、大きな弧を描いてゴールに吸い込まれていく。
不思議な美しい弧だった。