有明の月をもう一度捉えたくて、出勤時間より一時間以上早く、家を出た。
近くの堤防、ツインハープと一緒に月を捉えられないか?
けれど・・・。
空には一面の雲。
薄暗くても、それが分かる。
月も星も全く見えない。
途方に暮れて、ツインハープ橋を撮っては見たものの。
夜景モードでやっと写るその景色は、私が見ている景色じゃない。
マニュアルモードでは、真っ暗で、太い柱さえ見えない。
コンデジの限界。
黒い空も、だんだんと白っぽくなり、夜明けが近づいている。
ほんの少しでも雲が晴れて、隙間から朝焼けが見えれば少しは絵になる画像が撮れるかも…と思うのに、
全く、雲の厚さは変わらない。
朝早い時間。
橋の上、車もたまにしか通らない。
水の音が聞こえる。
川の水が流れる音。
ちょっと、川岸に行ってみようか・・・、と堤防を降りた。
川の流れは、結構速い。
落ちたら、死ぬな・・・。と横目で見ていた。
でも、ここからだと、ツインハープが中途半端な感じ。
もう少し、どうにかならないものかと、橋に向かって歩いてみた。
街灯が蝋燭みたい・・・。
そう思うと、涙が出そうで困った。
川面に映る光も、灯篭流しを思い起こさせる。
祈るしかない。
私は、祈ることしか出来ない。
空はどんどん白んで行く。
途中、コンビニでコーヒーでも飲もう、と職場に向かった。
明るくなると、地面に霜が降りていることに気が付いた。
今日は、冷え込んでいる。おそらく氷点下。
でも、空気が乾いている。雪は、まだ・・・。
確か、今日の日中は晴れるはず。
こんな、色気のない景色。
これもまた、今の、北の大地の姿。
どんどん、冬に向かって、色を失って行く。
今はまだ、表面の霜だけ。
これが、いずれ、一面の白に変わる。
シロツメクサの葉も凍えている。