宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

お題は「星空の雨傘」

2016年08月08日 01時09分42秒 | Weblog

今年も天文教室の日がやって来た。元々は世界的なコメットハンターだった故本田実さんの観測所が有る岡山県吉備中央町で、観測を継続させてもらうお礼にと始めた観望会だった。やがて星が見えない時の用意に観望会前の天文工作を始める。担当は言い出しっぺの僕。
子供たちの頑張る姿を見るのが楽しい天文工作だが、毎年春先になると何をしようかと苦しむ。今年思いついたのはプラネタリウムのアイデアからひねり出した「星空の雨傘」だった。傘を開くと観望会の夜8時の星空が広がる。しかしアイデア先行のプログラムは、形にするに従って材料代もアイテム数も過去に比べて大きく膨れ上がった。ここまでの参加費を出して来てくれる人なんかいるだろうか。不安に思いながら募集をかけたが、地元の小学校が一枚加わった事も有って思わぬ盛況となった。在校児童60人余りの小学校で三分の一を超える子供が保護者とともにこのフロアーに集まる。

金網と歯ブラシでアクリル塗料の天の川を描き、穴を開けた星の型紙に黒の油性マジックで星のポジショニングをする。果たして小学生に出来るだろうか。途中で放り出さないだろうか。そんな心配も杞憂に終わる。子供たちはまる3時間、おしゃべりも無く黙々と星を貼り続けた。日暮れまでにはほぼ全員が夏の夜空が広がる雨傘を完成。みんな達成感を顔に表していた。

休憩の後会場を小学校の校庭に移して望遠鏡を広げる。45センチニュートン、28センチシュミットカセグレン、15センチと10センチの双眼鏡。準備ができる頃に地区の人たちが子供連れで集まって来た。今年は本当にコンディションの良い夜空が無かった。なのに今夜に限って鮮やかな星空が頭上に広がる。それは昼間に作った雨傘の内側に描かれたままの光景だった。



本当は毎日の仕事と天文教室の準備で疲れ切っていたが、薄暗がりの中で聞こえる歓声を耳にすると、さあ来年はどんな教室にしようかと、気持ちだけが先に走っている自分に気付く。

 

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菱形の北の窓(2016.06.26)

2016年08月03日 20時37分22秒 | Weblog

増築部分の北側の壁をどうしようかと迷ったけれど、せっかく北の空が見えるのなら小さくても窓を開けようと思い至った。おととしの9月の事だ。形は菱形。小屋束の補強に入れた左右の筋交いと屋根の垂木の間を開けて窓にして、そこにはめ込みのガラスを入れる算段だ。ステンドグラスも考えたが、それでは星が見えない。その菱形窓がようやく形になって来た。

壁下地も北側だけは何とか出来上がったし、あとは化粧壁を張るのが先かガラスを入れる用意をするのが先か。天井の造作もあってここから先はまだ決めていない。相変わらず仕事が忙しいし、恒例の天文教室もある。ゆっくり考えなければ失敗する、と自分向けの言い訳を思いついて帰宅。相変わらず星が撮れる空は来ない。

 

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お花見日和(2016.04.02)

2016年07月31日 11時15分08秒 | Weblog

竹取庵の周りの枝垂桜が今年もいっぱい花を付けてくれた。忙しさの隙間を狙って、今日の土曜日に竹取庵前のテラスで花見をする。ゲストはもちろんおばさんたち一家だ。春らしいうららかな日差しの中をおばさんは娘さんの押す車いすでやって来た。聞けば家の横の道で転んで顔を打ち、足を痛めたという。おばさんはもうすぐ95歳になる。娘さんが毎日来てくれるとは言え一人暮らしだし、あまり出歩かないほうがと言うと、「そうしたら動けんようになるが。」と笑った。その顔が腫れて痛々しい。

みかんの丘は薄雲が有るものの風も穏やかで、本当にお花見日和。今晩写真が撮りたいところだが、今月から日曜日にも仕事が入って来た。夕方には帰っておかなければならない。それに観測デッキはあのスズメバチ騒動の後片付けも終わっていない。もう少し。もう少しの我慢。この山を越えれば時間に余裕ができる。  といつも自分に言い聞かせる。

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パッチワークの内貼り(2016.02.28)

2016年07月25日 00時56分04秒 | Weblog

竹取庵の外壁は、おじさんの要望でログハウス仕様になった時から防腐処理した2×6の米松を使っている。その板と板の隙間をコーキングして断熱のグラスウールを置き、それを挟むように内装の下地材を張るのだが、これまではルーフィング材の破れから雨漏りするためにこの作業が出来なかった。屋根が葺けて雨が漏らなくなったので内装作業を一気に進めることにする。部屋の中にはこれまでの作業で余ったコンパネの切れ端がそこらじゅうに立て掛けられて邪魔になっていた。捨てるのはもったいないほどの大きさ。というわけでこの際何とか全部消化することにした。おかげで壁一面がまるでパッチワークだ。見た目に不細工だが、まあいい。どうせ内装材を上に張るのだから。

屋根が出来たためにやらなければならなくなった作業が外側にもある。外壁の防腐処理がしてある米松も、時とともに色が褪せてしまっていた。内装作業に飽きて外に出て、今度はクレオソートを塗る作業に入る。クレオソートは後で臭いが体から取れないほど強烈だか、その分防腐効果も高い。そう思いながら塗っていったのだが、屋根の内側が複雑で思ったより時間が掛かり、何ばかりも進まないうちに日が暮れかけた。

今日はこのあたりにしておこう。外壁材はクレオソート、それを支える土台の木はコールタールを塗る予定。それに土台を支えるブロックの事業にもレンガタイルの外装をしなくてはならないのだが、それはまだ先かな。空はちっとも晴れない。今日もまた星は狙えなかった。


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屋根の仕上げ (2016.02.21)

2016年07月23日 11時28分58秒 | Weblog

竹取庵の北側に寝室を建て増しし始めて3年余りが経っていた。屋根にルーフィングを敷いてからでも2年だ。そろそろ屋根を葺かなければ屋根地が傷んでしまう。そこでガルバリウム鋼板とい名の、元の屋根と同じ材料を取り寄せて作業を始めたのだが、広いところは良いとしても軒先などの加工には専用の機械がいることが分かった。そんな機械を買うくらいなら業者にお願いをしたほうがはるかに安くつく。というわけで、以前屋根を作ってもらった鉄工所に頼んで板金屋さんに来てもらうことにした。
やがて「屋根が葺けたので確認をお願いします。」というメールが鉄工所から届く。『作業は平日なのでこちらは立ち会えない。電源コードは外に出しておくから』と電話をしてわずか一週間後のことだった。

日曜日を待って行ってみると、見事に屋根が出来上がっている。当たり前か、プロだから。8年前に仕上がった南側の屋根と色がわずかに違うのは仕方がない。数年も経てばきっと同じ色になるだろう。これで雨漏りの心配をしなくても良くなった。あとは内部だ。そう思いながらぼーっと竹取庵で過ごしているうちに日が暮れた。

昼間空を覆っていた雲は夕暮れには少なくなったが、空全体に靄が掛かって、その中を月齢12の月が昇ってくる。星の写真など撮れたものではない。それに手元には屋根の完成を記録するためのコンデジG7Xしか持っていなかった。それでもと撮ったのが上の1枚だ。(もう1枚はホームページのトップに使いました。)

仕事に追われる中星の写真など夢でしかないが、大工仕事だけは何とか進めていかなければ夢が夢で終わってしまう。

 

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ブログ再開

2016年07月22日 11時17分20秒 | Weblog

長い間書き込みが出来なくなっていたこのブログが、なぜか今日突然使えるようになった。
理由は分からないが、深くは追及しないことにした。

失われかけていた時を後追いしてここで記録を続けることにする。

このブログが使えなくなっていた間、記録を続けるためにホームページを立ち上げてみた。

URLはここ

http://taketorian.org/

今後はブログとホームページの両方をアップしていくことになりそうだ。

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縦じまの星空

2015年10月05日 00時21分34秒 | 

夕方一度晴れの区域が広がった後は、まるで渚に波が打ち寄せるように縦じまの雲が次々に丘の上を通過していった。本来なら星の撮れる空じゃない。それでも久々の観測デッキの居心地は悪くなかった。思わぬ寒さに毛糸のジャケットを羽織ると、季節が中秋から晩秋に移っていくのが肌で判る。時とともに丘の周辺でオス鹿のメスを呼ぶ声がし始めた。

今日用意してきたのは上の写真を写したCANONのコンデジG7Xだけではない。赤外線改造したEOSkiss X6i の実力も試したかった。このカメラは半月ほど前に手に入れたのだが、なかなか星空で試す機会が無かったのだ。それだけに初めは星雲を撮ろうと思ったのだが、狙っている最中に雲が現れてピントを合わす事がままならず断念。望遠鏡での直焦点撮影を諦めて、白鳥座のデネブ付近を望遠レンズで狙う事にした。それでも3分足らずの露出の間に雲が押し寄せる。なんとか写せたのが下の写真だ。これでも画面右側に雲が迫っている。

デネブの辺りを狙ったのには訳が有る。ちょうど2年前、小さいほうのカメラEOSkiss X4でこの辺りを撮っていた。それが下の写真だ。

この時は空に恵まれてシャッターも8分近く開くことが出来た。それに比べると今夜の空は透明度が悪い。雲に阻まれるだけでなく、3分も露出すると画面が白くなってしまう。ただそうした悪条件の中で赤外線新改造と呼ばれるX6i-IRはかなり頑張ってくれた。

これなら透明度の良い冬の空で懸案だった天体を色々撮る事が出来そうだ。
それにしても今夜はっきりしたのは、長い間機材を放置していた為にあちこちが傷んでいたこと。そして何よりも僕自身が体で憶えていたはずの撮影手順をすっかり忘れていた事だ。これではあまりにも悲しい。観測デッキの掃除に加えて、僕自身も含めたメンテナンスが必要だ。

 

 

 

 

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怪しげな夕暮れ

2015年10月04日 11時13分56秒 | 

綺麗な青空が朝から広がっていた。雲もほとんど無かった。こんな日は夜まで晴れるかと言うと、そうは行かない事くらい分かっていた。それでも、今日行かなければもう星を撮ろうという思いが薄らいでしまう。そんな強迫観念にも似た気持ちでカメラバッグを持った。家を出たのは午後4時半。丘に着くと、目の前は確かに青空だが、西の方からゆっくりと薄雲が迫っていた。気象衛星の画像によると大陸から雲の細い触手がこちらに向かって延びようとしている。

観測デッキの蜂の巣騒動はまだ収まっていなかったが、蜂そのものはもう居ない。床に転がっている死骸に注意しながらデッキの南端に辿りついて屋根を開けた。思ったより雲が少ない。しばらく待っているとぼんやりと天の川も見え始めた。

透明度が今一つなだけに左程期待はしていないが、それでも星を撮りに丘に上がったのは7月下旬以来。3か月近くも前の話だ。なんとか星らしいものを撮らなくては。それに今日は新しいカメラも持って来ている。そのテストも兼ねていた。

上の写真はあのコンデジ、CANON G7Xの上に魚眼アタッチメントを載せて撮っている。冗談のようなものだが、それにしても周辺の収差が激しすぎる。暮れまでには何とか本物の円周魚眼を手に入れたいものだ。

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蜂の巣その後

2015年08月24日 11時34分21秒 | Weblog

17日にキイロスズメバチの巣を撤去して6日が経っていた。もうそろそろ覗いても良いだろう。そう思いながら上がったみかんの丘には青空が広がっていた。透明度は良くないが、撮影は十分に出来そうだ。小さいカメラとコンデジを持って来ているが、今夜はゲストがやって来る。日暮れまで居ることは無理かもしれない。

竹取庵の周囲を回って蜂の羽音がしないことを確認し、恐る恐るドアの鍵を開けた。一階の居間や通路のあちこちに蜂の死骸が落ちている。そっと観測デッキに上がってみると、そこには天文教室に使う赤道儀を大慌てで持ち出した時放置した機材がそのまま転がり、床には蜂の死骸や巣のかけらが一面に散らばっていた。

業者の人がセットしてくれた粘着板には20匹以上のキイロスズメバチが貼りついていた。「板に数匹の生きたスズメバチを付けておくと、その蜂が出すSOSのシグナルを聞いた仲間の蜂が次々にやって来て捕まるんです。」彼がそう言っていたのを思い出す。粘着板の傍には業務用の昆虫忌避剤が吊り下げてある。

観測デッキの片付けと掃除は今度に回して、一階増築部分のコーキングに手を付けた。本格的なログハウスは壁板と壁板の間を苔で埋めると言うが、ホームセンターにはコーキング剤という便利な物が有る。

部屋の中に西日が差し始めた。時刻は5時。そろそろ片付けなければ夕方までに家に帰れない。空は相変わらず晴れている。外に出てみると南の空に月齢9に近い月が掛かっていた。

せっかく晴れているのに。幽月にそう不服を言われながら丘を下りる。今日も星は撮れなかった。

 

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居候退治

2015年08月17日 23時28分52秒 | Weblog

お盆期間中はずっと仕事だった。それが明けた今日、スズメバチ退治を依頼した業者と合流して丘に上がる。巣を発見してから二週間が経っていた。まずは二人で竹取庵に入って巣を確認。巣は明らかに一回り以上大きくなっている。蜂の羽音も確かに前より大きい。良く見ると、巣の途中に何か所か出入り口が作ってあった。

巣の状態を確認した業者の男性は、これなら巣の撤去にそれほど時間が掛からないと教えてくれた。どんな装備か気になって尋ねると、スズメバチ専用の防護服が有るという。見せてくれたのはまるで宇宙服のような白いコスチュームだった。さすがにミツバチ用のネットガードとは違う。

これなら大丈夫ですねと言うと、いや、このままではやられます。と言いながら下に長袖の厚手のシャツを着てその上にコスチュームを着込み、さらにゴムの手袋をはめた。この人は今までに9回も刺されているそうだ。防護服を貫く蜂がたまに居ると言う。9回無事でも10回目が大丈夫とは限らない。私が上に登ったまま降りてこなかったら会社に連絡してください。と言い残して、笑いながら観測デッキに通じる階段を上がっていった。冗談じゃない、僕も行きます。というと、下の階の隙間からなら写真も撮れますよと教えてくれた。

巣の撤去にはまずネズミを捕るときのような粘着ボードを使う。それで巣の周りの蜂をからめ捕るのだ。そのあと彼は巣に直接殺虫剤を吹き込み、静かになったところで、巣に袋をすっぽりかぶせて屋根裏からもぎ取った。その間わずか3分。やっかいな居候はあっという間に一網打尽となった。

作業の後見せてくれた袋の中には5層になった巣と、その中の幼虫。そしてその幼虫を育てていた働き蜂が居る。巣を取り去った後には強力な殺虫剤を塗り、さらに虫よけをぶら下げて、スズメバチが近づけないようにしてくれた。一週間は観測デッキに入れない。せっかくのお盆明け休みだが、星の撮影はお預けとなった。こいつらのせいだ。

 

 

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とんでもない居候

2015年08月04日 22時52分42秒 | Weblog

濁っていた空は夕暮れが近づくにつれて薄雲を含んできた。これでは星の撮影は難しい。今日は帰るかな。
温度調整のために開いていた観測デッキの南の妻を閉じて階段を降りようとしたとき、ふと頭の上が騒々しいのに気が付いた。なんだろうと見上げると、屋根裏の合わせのところに黒くて丸い影が有る。それは紛れもなくスズメバチの巣だった。

直径およそ15センチ。高さは20センチほどだろうか。二週間前土星を撮影した時には見かけなかったと思うが、僅かな日数でここまで頑張ったのだろうか。褒めてやりたいが、居候としてこれほど迷惑な奴はいない。一度下に降りた後、EOSkissX4を手にもう一度階段を上がった。巣のアップをきちんと撮るためだ。そしてフラッシュ撮影をして判ったのは、こいつらが悪名高いキイロスズメバチだという事。

こっちに敵意が無いと分かっているのだろうか、それとも巣作りに忙しいのだろうか。いくらフラッシュを炊いても僕の方には目もくれない。そう言えばこの前から、竹取庵に入るとなぜかスズメバチの死骸がいくつも転がっていた。きっと巣作りの場所を物色していたのだ。

やれやれ、この休みが無い中でスズメバチ退治までしなくてはならないのか。同じ居候でも、何年か前に同居したジョウビタキ君とはえらい違い。まったく迷惑千万だ。

 

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猛暑の月曜日

2015年08月03日 23時38分42秒 | Weblog

このところの日本列島は連日とんでもない暑さに見舞われている。そんな中で行われたイベントのお蔭で土曜日は出勤。その代休として今日の月曜日を休んだ。竹取庵に寒暖計は無いが、丘は明らかに30度を大幅に上回っている。ただ、竹取庵の周囲は海からかなり涼しい風が吹いていた。
前の作業から二週間が経って、そろそろ二度目の草刈りの作業をしなくてはと思いながら丘を巡る。みかんの実がピンポン玉くらいに膨らんでいた。

あれだけ風に吹かれた割には傷みが少ない。ただ、摘果を怠ったせいでどの枝にもブドウの房のように実が付いている。何とかしなくてはと思いながらも、遅れている大工仕事を進める方を選んだ。初めに造った建物の北側に増築している寝室部分が、いつまで経っても出来上がらない。仕事が忙しくて休みが激減したためだった。今日は仮の板のままになっていた北壁の一部を完成。

少し気が楽になって、床の下地板にコールタールを塗る作業に入ったが、その作業の後、観測デッキでとんでもないものを見つけてしまった。

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天文教室

2015年07月26日 12時27分11秒 | Weblog

山あいの公民館に今年も何組かの家族連れが集まった。ほうき星や新星の探索家として知られる本田実さんが晩年観測所を置いたこの場所で天文教室を始めたのは1997年のことだ。初めは夜の観望会だけだったが、天気が悪いと空振りに終わってしまう。そこでいつの頃からか、昼間に天文工作をして夜晴れたら観望会をする事になった。工作もミニ望遠鏡から始まって今では惑星儀が定番になっている。

発泡スチロールの球に、合成ゴム系のシートに印刷した惑星表面の画像を貼り付けていく。この画像はNASAの画像を元に、僕が家のパソコンで作ったものだ。天文教育が目的で、かつ利益を求めない。その上で元画像の出典元を明記する。そうすればNASAの画像が使えるという話を聞いた事でこの作業が実現した。
工作には子供だけでなく、かなりご高齢の方も参加して下さる。今までに火星、地球、月、土星の4種類を作ってきた。今年は木星だ。NASAから探査機の撮影画像として発表される写真はみんな鮮やかで赤みが強い。しかし地上から望遠鏡で見た木星はもっと穏やかで地味なものだ。見た目の通り。このコンセプトに従って、僕が笹の葉と呼んでいる惑星画像は比較的おとなしいものになった。

いつものことだが、女の子たちはきちんと丁寧に作っていく。男の子は途中で飽きて作成途中の惑星儀でボール遊びを始める。笹の葉の切り方も貼り方もいい加減だ。それでも1時間半もすれば出来の良し悪しは別として全員がソフトボールより少し大きい惑星を手にする事が出来る。その嬉しそうな顔を見ると、忙しい中で画像処理をした大変さを今年も忘れることが出来た。ただ気になるのは、毎年少しずつ子供の数が減ってゆく。ここで星を教えた子供たちも、進学期を迎えると地区から出て行ってしまった。

日が暮れると公民館前に並べた観測器具で観望会が始まった。いつもなら星仲間が望遠鏡を持ち寄るのだが、今年は日程が合わなくて僕一人だ。28センチシュミットカセグレンと10センチの双眼鏡が出番を迎える。観望の対象は月齢9辺りの月と、輪がいっぱいに開いた土星。工作教室には姿を見せなかった地区の人たちも現れて、楽しんでくれた。

二つの機器に星を導入しながら解説をしてゆく。記録としてこの一枚を手持ちで撮影するのがやっとだった。特に今年は、28センチの望遠鏡に携帯やスマホを近づけての月面撮影が人気。みんなには喜んでもらったものの、僕自身が一枚も撮っていなかった事に気付いたのは、午後9時半を回って帰路に就いた車の中だった。

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さそり南中

2015年07月21日 00時13分40秒 | 

今日みかんの丘に上がったのにはもう一つ理由が有った。来週末の25日、山あいの公民館で天文教室をしなくてはならない。そこで使う観望用のシステムを持って帰らなければならなかったのだ。赤道儀は普段太陽撮影用に使っているミザールのEX。望遠鏡は僕が黒姫と呼んでいる28センチのシュミットカセグレン。それに10センチの双眼鏡セット。これだけの機材を観測デッキから下に降ろしてデッキに戻ると、ちょうどさそり座が真南に来ていた。星仲間の用語では真南に天体が来ることを「南中」と呼ぶ。そう、現在さそり座南中。
さそりのハサミの前には最接近を過ぎた土星が居る。まるで農耕神を襲おうと、さそりが天の川から飛び出しているようだ。たださそりにとって残念な事に、この神様は西隣のてんびん座に居て、まるでサソリをあざ笑うようにハサミの直前をゆっくりと回っている。

以前さざ波に揺れる泥だらけの土星を撮影したことを思い出してリベンジを試みることにした。金星の撮影では四苦八苦したが、そのおかげで撮影の方法をかなり思い出している。8センチを南に向け直してファインダーに土星を入れた。ところがなんとなく望遠鏡が指示通りに動かない。望遠鏡と赤道儀を繋ぐプレートが緩んでいるのだ。全く。何の準備もせずにいきなり撮影に入ったためにこの始末。それでも騙しながら10枚ばかり撮影して、そのうちの5枚を重ねたのがこの画像だ。

そう。黄砂の影響はすっかり無くなっている。もう少しピントが良くなるはずだが、フォーカスを合わせようとして望遠鏡に触るとガタッと筒が動いて星がどこかに行ってしまう。準備不足による敗北。このところ星の撮影は負けが込んでいる。

ところで、開けっ放しになっていた東の掃出し窓の網戸にニイニイゼミがとまっていた。昔は夏になるとこのセミが一番に鳴きだしていた。今はクマゼミが一番手だ。温暖化で天気がおかしくなっているように、生き物の生態にも変化が出ている。

この連休は3日あるが、おそらくあと2日は来られないだろう。家にも色々と用事が有るし、天文教室の準備もしなくてはならない。仕事を辞めればもっとここに来られるのに、とふと思った。

 

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三神そろい踏み

2015年07月20日 00時01分53秒 | 

天気予報は晴れを予測していなかった。実際の空も朝から雲の比率が多かった。だから今日は星を撮る気などさらさら無く、丘に向かう車には修理を終えた小さいほうのカメラをテスト用に載せているだけだった。なのに、草刈りの後大工仕事をしようと準備を進めながら、ふと窓の向こうの西の空を見ると細い月が掛かっている。雲も少なくなっていた。
あれ、今日は撮れるのかな。カメラを持ってデッキに上がる。なんだこれは。どこを触ってもペタペタしている。隙間から海水交じりの雨水が吹き込んだのだ。やれやれ、かつてのデッキは見る影もない。ちゃんと掃除しなくては。

そう思いながら水を含んでずっしりと重くなった屋根の妻を開くと、西の空には月だけでなく明るい星が二つ輝いていた。明るいほうが最大光期を迎えた金星。暗いほうが遠ざかりゆく木星だ。そう、美の女神ビーナスと大神ゼウス、それに月神アルテミスのそろい踏み。美しい光景だ。
え、撮れそうじゃないか。でも何も準備していない。カメラは一つ。そしてレリーズも持って来ていない。仕方無い。セルフタイマーを使おう。そう思いながらとりあえず三脚を出して西の空の3人の神様を捉えた。

次に何を撮ろう。先に沈む月かな、えっと、使える望遠鏡は今8センチしか無い。あわてて屈折望遠鏡に付いていたウェブカメラを外してアダプターと取り換え、小さいほうのカメラCANON EOSkissX4を取り付ける。そうして撮ったのが一番上の写真だ。月齢は2.4。以前「細月」と名付けた時の月、月齢1.5には及ばないがなかなか美しい。

さて次はやっぱり金星かな、高度が下がると大気のメラメラでまた撮れなくなる。そう思いながらファインダーに金星を入れてカメラのモニターを覗いた。そして…

あれ、惑星はどんなふうに撮るんだっけ。長い間撮影をしていない。細かな作業をすっかり忘れていた。どこがジャストフォーカスかもつかめないながら、グニャグニャ揺らめく美の女神を十数枚撮影して重ね合わせたのがこれ

だめだ、大気プリズムの補正すら忘れている。そう、もうずいぶん前から天文ファンではなくなっている。被写体の導入方法も、一眼レフのモニター画面の使い方も、すっかりどこかに置いてきていた。悪戦苦闘しながら無駄な時を過ごすうちに、月は山陰に隠れようとしていた。これはまずい。拡大投影法で接眼鏡の前に取り付けていたカメラをいったん外してTリングと呼ばれるカメラのアダプターを接眼鏡と取り換え、改めて直焦点法で月を狙う。

ああ、もう少し早く気付けば。臍を噛みながらシャッターを切った。ああ、カメラが二つあれば一つは三脚の上に載せたままで風景を撮り、もう一つのカメラを望遠鏡に繋げる事が出来るのに。

 

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