宇宙(そら)に続く丘

プレリュード小学校1年C組のしりとりちーが案内する宇宙への道
みかんの丘は不思議へ通じるワームホール

縦じまの星空

2015年10月05日 00時21分34秒 | 

夕方一度晴れの区域が広がった後は、まるで渚に波が打ち寄せるように縦じまの雲が次々に丘の上を通過していった。本来なら星の撮れる空じゃない。それでも久々の観測デッキの居心地は悪くなかった。思わぬ寒さに毛糸のジャケットを羽織ると、季節が中秋から晩秋に移っていくのが肌で判る。時とともに丘の周辺でオス鹿のメスを呼ぶ声がし始めた。

今日用意してきたのは上の写真を写したCANONのコンデジG7Xだけではない。赤外線改造したEOSkiss X6i の実力も試したかった。このカメラは半月ほど前に手に入れたのだが、なかなか星空で試す機会が無かったのだ。それだけに初めは星雲を撮ろうと思ったのだが、狙っている最中に雲が現れてピントを合わす事がままならず断念。望遠鏡での直焦点撮影を諦めて、白鳥座のデネブ付近を望遠レンズで狙う事にした。それでも3分足らずの露出の間に雲が押し寄せる。なんとか写せたのが下の写真だ。これでも画面右側に雲が迫っている。

デネブの辺りを狙ったのには訳が有る。ちょうど2年前、小さいほうのカメラEOSkiss X4でこの辺りを撮っていた。それが下の写真だ。

この時は空に恵まれてシャッターも8分近く開くことが出来た。それに比べると今夜の空は透明度が悪い。雲に阻まれるだけでなく、3分も露出すると画面が白くなってしまう。ただそうした悪条件の中で赤外線新改造と呼ばれるX6i-IRはかなり頑張ってくれた。

これなら透明度の良い冬の空で懸案だった天体を色々撮る事が出来そうだ。
それにしても今夜はっきりしたのは、長い間機材を放置していた為にあちこちが傷んでいたこと。そして何よりも僕自身が体で憶えていたはずの撮影手順をすっかり忘れていた事だ。これではあまりにも悲しい。観測デッキの掃除に加えて、僕自身も含めたメンテナンスが必要だ。

 

 

 

 

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怪しげな夕暮れ

2015年10月04日 11時13分56秒 | 

綺麗な青空が朝から広がっていた。雲もほとんど無かった。こんな日は夜まで晴れるかと言うと、そうは行かない事くらい分かっていた。それでも、今日行かなければもう星を撮ろうという思いが薄らいでしまう。そんな強迫観念にも似た気持ちでカメラバッグを持った。家を出たのは午後4時半。丘に着くと、目の前は確かに青空だが、西の方からゆっくりと薄雲が迫っていた。気象衛星の画像によると大陸から雲の細い触手がこちらに向かって延びようとしている。

観測デッキの蜂の巣騒動はまだ収まっていなかったが、蜂そのものはもう居ない。床に転がっている死骸に注意しながらデッキの南端に辿りついて屋根を開けた。思ったより雲が少ない。しばらく待っているとぼんやりと天の川も見え始めた。

透明度が今一つなだけに左程期待はしていないが、それでも星を撮りに丘に上がったのは7月下旬以来。3か月近くも前の話だ。なんとか星らしいものを撮らなくては。それに今日は新しいカメラも持って来ている。そのテストも兼ねていた。

上の写真はあのコンデジ、CANON G7Xの上に魚眼アタッチメントを載せて撮っている。冗談のようなものだが、それにしても周辺の収差が激しすぎる。暮れまでには何とか本物の円周魚眼を手に入れたいものだ。

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蜂の巣その後

2015年08月24日 11時34分21秒 | Weblog

17日にキイロスズメバチの巣を撤去して6日が経っていた。もうそろそろ覗いても良いだろう。そう思いながら上がったみかんの丘には青空が広がっていた。透明度は良くないが、撮影は十分に出来そうだ。小さいカメラとコンデジを持って来ているが、今夜はゲストがやって来る。日暮れまで居ることは無理かもしれない。

竹取庵の周囲を回って蜂の羽音がしないことを確認し、恐る恐るドアの鍵を開けた。一階の居間や通路のあちこちに蜂の死骸が落ちている。そっと観測デッキに上がってみると、そこには天文教室に使う赤道儀を大慌てで持ち出した時放置した機材がそのまま転がり、床には蜂の死骸や巣のかけらが一面に散らばっていた。

業者の人がセットしてくれた粘着板には20匹以上のキイロスズメバチが貼りついていた。「板に数匹の生きたスズメバチを付けておくと、その蜂が出すSOSのシグナルを聞いた仲間の蜂が次々にやって来て捕まるんです。」彼がそう言っていたのを思い出す。粘着板の傍には業務用の昆虫忌避剤が吊り下げてある。

観測デッキの片付けと掃除は今度に回して、一階増築部分のコーキングに手を付けた。本格的なログハウスは壁板と壁板の間を苔で埋めると言うが、ホームセンターにはコーキング剤という便利な物が有る。

部屋の中に西日が差し始めた。時刻は5時。そろそろ片付けなければ夕方までに家に帰れない。空は相変わらず晴れている。外に出てみると南の空に月齢9に近い月が掛かっていた。

せっかく晴れているのに。幽月にそう不服を言われながら丘を下りる。今日も星は撮れなかった。

 

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居候退治

2015年08月17日 23時28分52秒 | Weblog

お盆期間中はずっと仕事だった。それが明けた今日、スズメバチ退治を依頼した業者と合流して丘に上がる。巣を発見してから二週間が経っていた。まずは二人で竹取庵に入って巣を確認。巣は明らかに一回り以上大きくなっている。蜂の羽音も確かに前より大きい。良く見ると、巣の途中に何か所か出入り口が作ってあった。

巣の状態を確認した業者の男性は、これなら巣の撤去にそれほど時間が掛からないと教えてくれた。どんな装備か気になって尋ねると、スズメバチ専用の防護服が有るという。見せてくれたのはまるで宇宙服のような白いコスチュームだった。さすがにミツバチ用のネットガードとは違う。

これなら大丈夫ですねと言うと、いや、このままではやられます。と言いながら下に長袖の厚手のシャツを着てその上にコスチュームを着込み、さらにゴムの手袋をはめた。この人は今までに9回も刺されているそうだ。防護服を貫く蜂がたまに居ると言う。9回無事でも10回目が大丈夫とは限らない。私が上に登ったまま降りてこなかったら会社に連絡してください。と言い残して、笑いながら観測デッキに通じる階段を上がっていった。冗談じゃない、僕も行きます。というと、下の階の隙間からなら写真も撮れますよと教えてくれた。

巣の撤去にはまずネズミを捕るときのような粘着ボードを使う。それで巣の周りの蜂をからめ捕るのだ。そのあと彼は巣に直接殺虫剤を吹き込み、静かになったところで、巣に袋をすっぽりかぶせて屋根裏からもぎ取った。その間わずか3分。やっかいな居候はあっという間に一網打尽となった。

作業の後見せてくれた袋の中には5層になった巣と、その中の幼虫。そしてその幼虫を育てていた働き蜂が居る。巣を取り去った後には強力な殺虫剤を塗り、さらに虫よけをぶら下げて、スズメバチが近づけないようにしてくれた。一週間は観測デッキに入れない。せっかくのお盆明け休みだが、星の撮影はお預けとなった。こいつらのせいだ。

 

 

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とんでもない居候

2015年08月04日 22時52分42秒 | Weblog

濁っていた空は夕暮れが近づくにつれて薄雲を含んできた。これでは星の撮影は難しい。今日は帰るかな。
温度調整のために開いていた観測デッキの南の妻を閉じて階段を降りようとしたとき、ふと頭の上が騒々しいのに気が付いた。なんだろうと見上げると、屋根裏の合わせのところに黒くて丸い影が有る。それは紛れもなくスズメバチの巣だった。

直径およそ15センチ。高さは20センチほどだろうか。二週間前土星を撮影した時には見かけなかったと思うが、僅かな日数でここまで頑張ったのだろうか。褒めてやりたいが、居候としてこれほど迷惑な奴はいない。一度下に降りた後、EOSkissX4を手にもう一度階段を上がった。巣のアップをきちんと撮るためだ。そしてフラッシュ撮影をして判ったのは、こいつらが悪名高いキイロスズメバチだという事。

こっちに敵意が無いと分かっているのだろうか、それとも巣作りに忙しいのだろうか。いくらフラッシュを炊いても僕の方には目もくれない。そう言えばこの前から、竹取庵に入るとなぜかスズメバチの死骸がいくつも転がっていた。きっと巣作りの場所を物色していたのだ。

やれやれ、この休みが無い中でスズメバチ退治までしなくてはならないのか。同じ居候でも、何年か前に同居したジョウビタキ君とはえらい違い。まったく迷惑千万だ。

 

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猛暑の月曜日

2015年08月03日 23時38分42秒 | Weblog

このところの日本列島は連日とんでもない暑さに見舞われている。そんな中で行われたイベントのお蔭で土曜日は出勤。その代休として今日の月曜日を休んだ。竹取庵に寒暖計は無いが、丘は明らかに30度を大幅に上回っている。ただ、竹取庵の周囲は海からかなり涼しい風が吹いていた。
前の作業から二週間が経って、そろそろ二度目の草刈りの作業をしなくてはと思いながら丘を巡る。みかんの実がピンポン玉くらいに膨らんでいた。

あれだけ風に吹かれた割には傷みが少ない。ただ、摘果を怠ったせいでどの枝にもブドウの房のように実が付いている。何とかしなくてはと思いながらも、遅れている大工仕事を進める方を選んだ。初めに造った建物の北側に増築している寝室部分が、いつまで経っても出来上がらない。仕事が忙しくて休みが激減したためだった。今日は仮の板のままになっていた北壁の一部を完成。

少し気が楽になって、床の下地板にコールタールを塗る作業に入ったが、その作業の後、観測デッキでとんでもないものを見つけてしまった。

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天文教室

2015年07月26日 12時27分11秒 | Weblog

山あいの公民館に今年も何組かの家族連れが集まった。ほうき星や新星の探索家として知られる本田実さんが晩年観測所を置いたこの場所で天文教室を始めたのは1997年のことだ。初めは夜の観望会だけだったが、天気が悪いと空振りに終わってしまう。そこでいつの頃からか、昼間に天文工作をして夜晴れたら観望会をする事になった。工作もミニ望遠鏡から始まって今では惑星儀が定番になっている。

発泡スチロールの球に、合成ゴム系のシートに印刷した惑星表面の画像を貼り付けていく。この画像はNASAの画像を元に、僕が家のパソコンで作ったものだ。天文教育が目的で、かつ利益を求めない。その上で元画像の出典元を明記する。そうすればNASAの画像が使えるという話を聞いた事でこの作業が実現した。
工作には子供だけでなく、かなりご高齢の方も参加して下さる。今までに火星、地球、月、土星の4種類を作ってきた。今年は木星だ。NASAから探査機の撮影画像として発表される写真はみんな鮮やかで赤みが強い。しかし地上から望遠鏡で見た木星はもっと穏やかで地味なものだ。見た目の通り。このコンセプトに従って、僕が笹の葉と呼んでいる惑星画像は比較的おとなしいものになった。

いつものことだが、女の子たちはきちんと丁寧に作っていく。男の子は途中で飽きて作成途中の惑星儀でボール遊びを始める。笹の葉の切り方も貼り方もいい加減だ。それでも1時間半もすれば出来の良し悪しは別として全員がソフトボールより少し大きい惑星を手にする事が出来る。その嬉しそうな顔を見ると、忙しい中で画像処理をした大変さを今年も忘れることが出来た。ただ気になるのは、毎年少しずつ子供の数が減ってゆく。ここで星を教えた子供たちも、進学期を迎えると地区から出て行ってしまった。

日が暮れると公民館前に並べた観測器具で観望会が始まった。いつもなら星仲間が望遠鏡を持ち寄るのだが、今年は日程が合わなくて僕一人だ。28センチシュミットカセグレンと10センチの双眼鏡が出番を迎える。観望の対象は月齢9辺りの月と、輪がいっぱいに開いた土星。工作教室には姿を見せなかった地区の人たちも現れて、楽しんでくれた。

二つの機器に星を導入しながら解説をしてゆく。記録としてこの一枚を手持ちで撮影するのがやっとだった。特に今年は、28センチの望遠鏡に携帯やスマホを近づけての月面撮影が人気。みんなには喜んでもらったものの、僕自身が一枚も撮っていなかった事に気付いたのは、午後9時半を回って帰路に就いた車の中だった。

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さそり南中

2015年07月21日 00時13分40秒 | 

今日みかんの丘に上がったのにはもう一つ理由が有った。来週末の25日、山あいの公民館で天文教室をしなくてはならない。そこで使う観望用のシステムを持って帰らなければならなかったのだ。赤道儀は普段太陽撮影用に使っているミザールのEX。望遠鏡は僕が黒姫と呼んでいる28センチのシュミットカセグレン。それに10センチの双眼鏡セット。これだけの機材を観測デッキから下に降ろしてデッキに戻ると、ちょうどさそり座が真南に来ていた。星仲間の用語では真南に天体が来ることを「南中」と呼ぶ。そう、現在さそり座南中。
さそりのハサミの前には最接近を過ぎた土星が居る。まるで農耕神を襲おうと、さそりが天の川から飛び出しているようだ。たださそりにとって残念な事に、この神様は西隣のてんびん座に居て、まるでサソリをあざ笑うようにハサミの直前をゆっくりと回っている。

以前さざ波に揺れる泥だらけの土星を撮影したことを思い出してリベンジを試みることにした。金星の撮影では四苦八苦したが、そのおかげで撮影の方法をかなり思い出している。8センチを南に向け直してファインダーに土星を入れた。ところがなんとなく望遠鏡が指示通りに動かない。望遠鏡と赤道儀を繋ぐプレートが緩んでいるのだ。全く。何の準備もせずにいきなり撮影に入ったためにこの始末。それでも騙しながら10枚ばかり撮影して、そのうちの5枚を重ねたのがこの画像だ。

そう。黄砂の影響はすっかり無くなっている。もう少しピントが良くなるはずだが、フォーカスを合わせようとして望遠鏡に触るとガタッと筒が動いて星がどこかに行ってしまう。準備不足による敗北。このところ星の撮影は負けが込んでいる。

ところで、開けっ放しになっていた東の掃出し窓の網戸にニイニイゼミがとまっていた。昔は夏になるとこのセミが一番に鳴きだしていた。今はクマゼミが一番手だ。温暖化で天気がおかしくなっているように、生き物の生態にも変化が出ている。

この連休は3日あるが、おそらくあと2日は来られないだろう。家にも色々と用事が有るし、天文教室の準備もしなくてはならない。仕事を辞めればもっとここに来られるのに、とふと思った。

 

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三神そろい踏み

2015年07月20日 00時01分53秒 | 

天気予報は晴れを予測していなかった。実際の空も朝から雲の比率が多かった。だから今日は星を撮る気などさらさら無く、丘に向かう車には修理を終えた小さいほうのカメラをテスト用に載せているだけだった。なのに、草刈りの後大工仕事をしようと準備を進めながら、ふと窓の向こうの西の空を見ると細い月が掛かっている。雲も少なくなっていた。
あれ、今日は撮れるのかな。カメラを持ってデッキに上がる。なんだこれは。どこを触ってもペタペタしている。隙間から海水交じりの雨水が吹き込んだのだ。やれやれ、かつてのデッキは見る影もない。ちゃんと掃除しなくては。

そう思いながら水を含んでずっしりと重くなった屋根の妻を開くと、西の空には月だけでなく明るい星が二つ輝いていた。明るいほうが最大光期を迎えた金星。暗いほうが遠ざかりゆく木星だ。そう、美の女神ビーナスと大神ゼウス、それに月神アルテミスのそろい踏み。美しい光景だ。
え、撮れそうじゃないか。でも何も準備していない。カメラは一つ。そしてレリーズも持って来ていない。仕方無い。セルフタイマーを使おう。そう思いながらとりあえず三脚を出して西の空の3人の神様を捉えた。

次に何を撮ろう。先に沈む月かな、えっと、使える望遠鏡は今8センチしか無い。あわてて屈折望遠鏡に付いていたウェブカメラを外してアダプターと取り換え、小さいほうのカメラCANON EOSkissX4を取り付ける。そうして撮ったのが一番上の写真だ。月齢は2.4。以前「細月」と名付けた時の月、月齢1.5には及ばないがなかなか美しい。

さて次はやっぱり金星かな、高度が下がると大気のメラメラでまた撮れなくなる。そう思いながらファインダーに金星を入れてカメラのモニターを覗いた。そして…

あれ、惑星はどんなふうに撮るんだっけ。長い間撮影をしていない。細かな作業をすっかり忘れていた。どこがジャストフォーカスかもつかめないながら、グニャグニャ揺らめく美の女神を十数枚撮影して重ね合わせたのがこれ

だめだ、大気プリズムの補正すら忘れている。そう、もうずいぶん前から天文ファンではなくなっている。被写体の導入方法も、一眼レフのモニター画面の使い方も、すっかりどこかに置いてきていた。悪戦苦闘しながら無駄な時を過ごすうちに、月は山陰に隠れようとしていた。これはまずい。拡大投影法で接眼鏡の前に取り付けていたカメラをいったん外してTリングと呼ばれるカメラのアダプターを接眼鏡と取り換え、改めて直焦点法で月を狙う。

ああ、もう少し早く気付けば。臍を噛みながらシャッターを切った。ああ、カメラが二つあれば一つは三脚の上に載せたままで風景を撮り、もう一つのカメラを望遠鏡に繋げる事が出来るのに。

 

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台風11号の被害

2015年07月19日 01時56分27秒 | Weblog

4年ぶりの直撃だった。しかも今回は台風の足が異常に遅い。すぐにでも丘に上がりたかったが、仕事が有るのでそうもいかない。どうぞ無事でと、激しい風音を自宅の寝床で聞きながら一夜を過ごしたのが昨日の未明。やっと連休を迎えて丘に上がったら、竹取庵の周辺は雑草に覆われていた。

これも刈らなければと思いながら建物の様子を見てみたが、外から見たところでは増築部分の屋根のルーフィングが一部めくれているだけだった。早く屋根を葺かない報い。秋の台風シーズンまでには何とかしなくては。
そう思いながらドアの鍵を開けて驚いた。一階居間の東側の掃出し窓が開きっぱなしだったのだ。

台風はみかんの丘の真上やや西を通過している。上の雨雲レーダー(気象庁ホームページより引用)でも分かる通り、風雨は南東から叩きつけていた。もろだ。窓の近くに置いていた合板のちゃぶ台が水を吸って膨れ上がっていた。天板の上にはまだ水が残っている。すぐ横のオーディオは大丈夫だろうかと思ったが、湿っている状態では動作を確認する勇気が無かった。床板も水を吸って膨らんでいた。

仕方が無い。毎日の仕事に追われて気がそぞろだったとは言い訳にしかならない。気を紛らわすためも有って外の草を刈る事にした。日曜日に買った電動の草刈り機が威力を発揮する。およそ2時間で竹取庵の周囲の雑草は何とか片付いた。

 

 

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意を決して

2015年06月23日 00時06分05秒 | Weblog

昨年吹き荒れた強風で、2トンもある竹取庵の屋根が一瞬だが2センチほど持ち上げられた。ストッパーが無かったら飛んで行ってしまったかも知れない。その後一見無事に見えた観測デッキだったが、屋根裏にくっ付く様に直立させていた口径45センチの反射望遠鏡かぐや姫が、持ち上がった後落ちてきた屋根に叩かれてわずかに歪んだようだ。どうしても光軸が合わない。
姫がここに鎮座して6年。長年の取り回しのお蔭でトラスの塗装はあちこちで剥がれ、トップリングも凹んでいた。独自設計が自慢の主鏡セルも一部不具合が出ている。それに加えて強風によるダメージだ。そこで意を決してかぐや姫を改造することにした。赤道儀化への第一歩でもある。

と言う訳で、とりあえず耳軸上部の半分を外すことにした。外す時に判ったのは、鏡筒の前後3か所に取り付けている遮光リングのアクリル板が風化している事だった。かぐや姫が陽に曝されることはめったにない。風化は潮風と経年が原因だろう。

ここまで作業して空を見ると予想通り雲が西から押し寄せていた。頑張っても星空は望めない。明日は仕事だし、明るいうちに帰ろうか。デッキの妻を閉めて丘を後にした。ふもとの農地では麦秋が終わって田植えが進んでいる。仕事にかまけているうちに季節がまた一コマ風景を変えていた。

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自然の不思議

2015年06月22日 00時49分19秒 | Weblog

忙しくて… という言葉も書き飽きてしまった。それに天気は年々ひどくなる。久々に上がったみかんの丘には青空が広がっていた。このまま晴れてくれればと願いたくなるが、そうはいかない事を天気図は教えてくれていた。
実は忙しい中丘に上がったのにはいくつか目的が有った。一つには竹取庵の東側に植えてある3本のオリーブの木に実が生っているかどうかの確認。そしてそのそばに植えているラベンダーがちゃんと咲いているかどうかの確認だ。

オリーブは植えてから3年近くになる。ほとんど何も考えずに植えたのだが、花が咲く頃になってオリーブは自家受粉しないのを知った。つまり、いろんな種類のオリーブが一斉に花を付けるときだけ、虫が花粉を運んで実を実らせるのだという。3本のオリーブは植えて2年間、全くバラバラの時期に花を付けていた。これでは実が付かない。どうしよう、また新しい苗を買って来ようか。そう思っていたが、今年になってなぜか3本の木が一斉に花を付けた。まさか3本が話し合いをした訳では無いだろうに二房ずつではあるが同時に咲いたのだ。生き物の不思議。以前ある生物学者に聞いた「植物はお互い根で話をする」という話を思い出した。だからその花が実になったかどうか知りたかったのだ。僕の肩の丈ほどになったオリーブの枝を探していると、あった。実が付いている。

実は全部で5つ。たった5つだが、みかんの丘に実った初めてのオリーブだ。この3本がどうして開花のステージを揃える事が出来たのか知りたかったが、それは知らないほうが良いのかも知れない。
オリーブのそばに植えたラベンダーも風に茎を乱されながらなんとか咲いている。ツンとした香りに惹かれて、アゲハが蜜を吸いに来ていた。蜜ならいくら吸ってもいいが、卵をミカンの葉の裏に産み付ける気だ。これもオリーブの不思議と同じ自然の営みの一つだ。

 

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新入り

2015年05月25日 01時47分35秒 | Weblog

仕事は山のように溜まっている。それでもこのまま休み無しで働いていたら気が変になる。そこで今日の日曜日、無理やり休んでみかんの丘に上がった。丘一面満開という風景は諦めていたが、それでも丘にはまだ甘い香りが漂っていた。確かに丘のところどころに白い花びらが見える。しかしほとんどの枝が緑色の小さな実をびっしりと付けていた。

もちろんこれがみんなみかんになる訳では無い。もう少しすると自然摘果が始まり、実の3分の2がバラバラと落ちてしまう。それでも当たり年には多すぎる実が残る。それをこれまでは少しずつ手で落として元の実の20分の1くらいにしていた。ただ、今年僕は本当に忙しい。おばさんの娘さん夫婦も新しく作ったブドウのハウスなどの農作業に追われていて、摘果は出来ないだろう。そうなるとまた、力の無い木が枯れてゆく。まあ、それも自然の摂理なのかも知れない。

実は、今日無理やり丘に上がったのにはもう一つ訳が有った。新しいカメラを試したかったのだ。小さいほうのカメラCANON EOSkissX4はまだドックに入っている。カメラ本体が悪いのではなく、いつも使っている標準ズームレンズのマイクロモーターに問題が有るらしい。だからと言う訳では無いのだが、二つのカメラとは別にコンパクトデジカメ、通称「コンデジ」を買うことにした。惑星の撮影にはコンデジのコリメート法が有利だと、教えてくれた人がいたからだ。
コンデジはものすごい数が市場に出ている。どれにしようかと物色していて、「星空モード」というマニアックな機構を搭載したカメラを見つけた。CANON PowerShot G7Xだ。この星空モードには不思議な機能が付いている。「星空インターバル動画」。カメラを空に向けてシャッターを切るだけで、自動的に日周運動で星が動いてゆく様をGIF動画で撮ってくれるというものだ。正直言うとこれに惹かれて手を出してしまった。このほか、星空バックの記念写真を撮る「星空ポートレート」や「星空夜景」「星空軌跡」など、開発スタッフに天文マニアがたくさん居るキャノンならではの発想だ。
と言う訳で丘に上がる前にカメラ店に寄って手に入れた。

今日は朝から青空が広がっていた。ひょっとしたら満天の星になるかも知れない。重いカメラバッグは家に置いて、新入りのG7Xだけを手に丘に向かったのだが、空はなかなか思うようにならない。夕方になって雲が広がってしまった。

竹取庵の機材の仲間入りをしたカメラの星空デビュー。力いっぱいの天体写真を撮らせてあげなければ。そう思って家に帰っては見たものの、何か撮りたい。そこで、星空に少し似ているホタルを撮ってみようと思いついた。自宅から2キロ足らずの場所にホタルの保護地域が有る。ちょうど今シーズンだ。
行ってみるとたくさんの人が来ていた。そこに交じってカメラを構える。そこで三脚を持って来ていないことに気付いた。それだけではない。取扱い説明書も持って来なかった。たくさんあるダイヤルを使い方も分からずに暗闇で回す。悪戦苦闘の末、なんとなく使い方が分かってきた。結局カメラ感度500、シャッタースピード8秒、絞り1.8と、すべてフルマニュアルで撮影。三脚無しにしてはどうにか撮れていると思う。左側が明るいのは車のヘッドライトだ。

家に帰ってここにアップするためにホタルの写真のサイズをいじっていてなんとなく悲しくなった。ああ、星が撮りたい。ホタルには悪いが、僕は君たちを撮るためにこのカメラを買ったんじゃない。それに、確かに丘を下りるとき空には雲が有ったが、時が経つにつれて晴れ間が広がり、ホタルを撮っている間、靄の中ながら月や金星、木星、土星が見えていた。ああ、丘に残っていれば良かった。

今日アップした写真は、G7Xそのものを撮ったもの以外すべてPowerShotG7Xで撮りました。下から二番目の写真。太陽を入れ込んでいるのに暗部がちゃんと写っている。しかもゴーストが最小限に抑えられていて空の色や雲の形もきちんと撮れている。この写真はリサイズとトリミング以外全く画像処理していません。コンパクトデジカメもずいぶん進化しています。

 

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揺らめく農耕神

2015年05月08日 00時26分19秒 | 

そう、分かっていた。今夜の星はやたら瞬いている。丘の周囲はほとんど風が無いが、上空の気流はずいぶん悪いのだろう。昇ったばかりの土星はその影響をもろに受けるはずだ。案の定、カメラのファインダーの中の土星は、形がよく判らないほど揺らめいていた。どうしよう、高度が上がるまで待とうか。しかしこのシーズンの惑星の軌道はそれほど高くならない。それに、昼間の大工仕事でかなり疲れていた。

そうだ、このゆらゆらを写してみよう。8センチ屈折に5ミリの接眼レンズを繋ぎ、カメラ感度3200、露出5分の1秒で立て続けに撮ってみた。それを繋いだのが上のGIF動画だ。普通は気流が収まるのを待って、何十枚も撮影した画像の中から綺麗なものを何枚も重ね合わせて1枚の画像を作る。今回はありのまま。しかも黄砂まみれの赤茶色だ。これもリアルで良いかな。

高度を増した月が、身にまとったベールとともに海を照らす。時刻は午後9時をかなり回っていた。もう帰ろう。こどもの日もあと少しで終わる。連休も明日を残すだけだ。

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立待月

2015年05月07日 00時01分23秒 | 

霞の多い空に左程期待はしていなかったが、それでもせっかくカメラを持って来ている。何か星を撮って帰らなければまた欲求不満が募る。そこで今夜は月を撮ることにした。

大工仕事をしながら夕暮れを待ち、辺りが暗くなってから竹取庵の屋根を開いた。黄昏の空に春の星座がまばらに見える。パソコンを開いて星空のシミュレーターを立ち上げると、今夜の月齢は十七だ。
前にも書いたが、昔の人の月の呼び名は素晴らしい。日暮れとともに東の空に現れる月は、新月から数えて十五夜。次の夜の月は1時間近く遅れて昇る十六夜。ためらいながら昇ってくるというので「いざよい」。その次の夜の月はさらに一時間遅れるが、これならまあ立って待てる時間という事で「立待月」。次の夜は立って待っていると疲れるから座って待とうという事で「居待ち月」という具合だ。


月齢17の立待月を三脚を構えて待っていると、東南東の山の端が次第に明るくなって、少し欠けた月がゆるりゆるりと昇って来た。今夜は大きいカメラしか持って来ていない。ワイドレンズで撮影した後、あわてて300ミリの望遠に付け替え、木々の間を昇る様を狙う。

黄砂のせいだろうか、空も月もみんな茶褐色だ。いつからこんな空になってしまったんだろう。子供のころ5月の空は澄み渡っていたと思うのだが。

そんなことを考えながらふとパソコンのモニターに目をやると、月のすぐ下に明るい星がくっついているのに気付いた。カーソルをあてると土星の名が浮かび上がる。そうか、今夜は月の女神が農耕神とランデブーする夜なのだ。月が昇るのをしばらく待って、黄砂のベールの向こうにようやく土星を見つけた。

この時点で月と土星の角度は約2.5度。これが5時間後には半分の1度ちょっとまで近づくというが、そこまでは待てないか。それでも久しぶりに土星を撮ってみよう。カメラからレンズを外して8センチの望遠鏡に取り付けてみた。

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