東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

EUハウスを見に行く

2015-02-09 20:59:20 | 港区
有栖川公園の東京都立中央図書館に久し振りに出掛けたので、以前から気になっていたEUハウスをようやく見てくることが出来た。今の内に一度は見えておくことをお勧めしたい。そして、何年も経ってから、もう一度訪れる楽しみがある。
EUハウスというのは、その名の通りで、EU(欧州連合)の日本における代表部の入っている建物である。2011年8月に竣工した新しいビルで、最新の免震構造などを取り入れた大成建設の渾身の作品になっている。


何故、このビルが見たかったのか、そしてここで取り上げるのかということだ。それは、まず私が現代建築に対して不満を抱いているということがまずある。その根本は、近代建築のほぼ99%近くが完成した瞬間が最高のコンディションで、時が経過するにつれて劣化していく消耗品であるということに尽きる。木造建築であれば、多少はそうでもなくなってくるのだが、時間の経過を味方に付けるような、完成してから時間が経つに連れてより美しくなっていくような建物というのは、ほとんど見ることがない。


元々、木造建築では高級な邸宅から庶民的な商家に至るまで、時間が経過していくことで風合いが増していくという特性を持っていた。だから、出来たての白木の色も鮮やかな状態から、徐々に時間経過と共に色が濃くなっていき、重厚な雰囲気をもつ様になっていく。寺社なども、これが顕著なものだ。


かつての西洋建築であっても、この辺りは同様で、日々磨き上げられていることで真鍮の建具は深い味わいを持ち、雨に洗われ続ける事で外壁も渋みをもつ様になる。ところが現代の建築では、そういった時間を味方に付けるという事がほぼ無くて、完成した瞬間から劣化していくというのは情けないものだと思っていた。そういえば、かつて「神田の家」を見学した時にも、経時劣化ならぬ経時美化というものがあるはずという話になったことがあった。
このコンクリートの打ちっ放しの塀にも、いずれは既に植えられている蔦が絡まっていく。


そんな中で、このEUハウスの特色は外壁に銅のパネルを使用していることである。詳細は大成建設のサイトで解説されている。2013年にJSCA賞を受賞したという。


つまり、今はちょうど10円銅貨の様な色合いのこの建物、いずれは全面が美しい緑青に被われていくことになる。そう思うと、変わっていく姿が実に楽しみに思える。


建築後、既に4年が経過して少し緑青が出始めている。こんな風に、ドラマチックに風合いが変わるところが銅の面白さで、都内に今も残されている昭和初期の銅板貼り建築は皆美しいものだ。


そして、ユニークなのは奥にオフィス棟があり、手前は二階以上が住宅になっているのだが、奥のオフィス棟は最初から緑青銅板が使われている。二つの建物に同じ素材で、異なる表情を与えているというのも面白いし、これが時間の経過と共に同じ色へと変化していくというのが、非常にユニークなものになっていると思う。


オープンデーという中に入れるイベントも行われたことがあったのだが、昨年は行われていない。それでも外からの見学はできるので、今の内に一度、そしてこれから先何年もしてから又見てみることをお勧めしたい。場所などは、EUのサイトから確認されたし。また、要するに大使館なので、普通に配慮して撮影や見学をしている分には問題無いと思う。

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