視覚障害者きうっちの自立への道

視覚障害者きうっち(S52年生)が気の向くままに日々の生活をツラツラとつづるブログ

JAWSカーソルを使ってEXCEL上のマクロのボタンを押す方法

2012-11-23 11:52:31 | 視覚障害
 EXCELには「ボタン」をシート上に設置し、そのボタンを押すことで「マクロ」と呼ばれる一まとまりの決められた作業を発動させるようなギミックを設定することができます。
例えば、AというEXCELファイルから100行分のレコードをBというEXCELファイルにコピー&ペーストする、というようなことをやろうとした場合、
全ての作業を手作業で行なおうとするとそれなりに手数がかかるものなのですが、この作業を実行してくれる「マクロ」を設定しておけば、「ボタン1つ押すこと」でその作業は完了してしまいます。
つまり、頻繁に「全く同じ作業」をすることになっているのであれば、この「マクロ」を設定しておくことは、日々の作業量を減らすという意味では大変有意義であるといえます。

 ただ、ここで(読み上げソフトを使っている)全盲のPCユーザーには、1つ根本的な問題があります。
それは「読み上げソフト+キーボード」のみの操作では、「普通」に操作をしていたらこの「マクロ」のボタン、実は押せないんです(涙)。
晴眼者の方でもマウスを使わないで、キーボードの操作だけでマクロのボタンを押そうとしてもそれはできないはずですから、基本的にキーボードのみでPCを使っている全盲のユーザーにも同じ理屈が発生するというわけです。

 しかし、わたしは上記のくだりで、あえて「普通」にキーボードで操作をしていたらマクロのボタンは押すことができないと書きました。
言いかえれば、「普通」ではないことをすれば、全盲のユーザーにもマクロのボタンは押せるということです。
…まぁ実は、そんなに「普通」でないことでもないのですが(苦笑)。正直「一工夫」といったことをするだけで、全盲のユーザーにもマクロのボタンは結構簡単に押すことはできます。

■でも読み上げソフトのJAWSは必需品!?
 これから、以下に「全盲のユーザーがマクロのボタンを押す方法」を紹介していくのですが、
その際必需品となるのが「JAWS(ジョーズ)」という読み上げソフト。
完全に検証をしきったわけではないので、正直断定することははばかられるんですけど(汗)、
自分がこれまで触ってきた「以下の読み上げソフト」については、恐らくマクロのボタンは押せないでしょう。

PCトーカーシリーズ、XPリーダー、フォーカストーク、NVDA、(たぶん)AOK Office

なので、これ以後の説明は読み上げソフトはJAWS(バージョンは12)、キーボードはデスクトップタイプのものを使用するものとして説明をしていきます。

■マクロのボタンを押すためにはJAWSカーソルを使用する
 ところで、JAWSという読み上げソフトには2種類のカーソルモードが存在します。
1つはPCカーソルといい、普段キーボードを使ってエディタに文字を書いたりする場合はこちらのカーソルを用います。
晴眼者の方もマウスを使わないで、キーボードのみでエディタ等を操作していると、そのエディタ上に「点滅しているカーソル」が表示されていることはご存知のことと思いますが、ようは「PCカーソル」とはあれのことです。
また、他の読み上げソフトでは基本的にこの「PCカーソル」(他の読み上げソフトではそのようにすら呼びませんが)しかないので、普段JAWS以外の読み上げソフトをメインで使っている方は、そのことすら意識するようなこともないのではないかなと思います。

 そしてもう1つが「JAWSカーソル」というもの。
このJAWSカーソルは、いわば疑似マウスカーソルとも言うべきもの。目の見える晴眼者の方は、JAWSという読み上げソフトには、
キーボードの十字キーを使ってマウスポインタ(実際に画面上のマウスポインタは動いてない)を動かすモードがあるのだと理解してもらえれば構いません。

 で、今回の本題。全盲のユーザーがマクロのボタンを押そうとした場合には、この「JAWSカーソル」を用いてボタンを押すことになります。

■マクロのボタンに表示させている文字列をクリップボードに記憶させておく
 では、以降は実際に「マクロのボタンを押す」作業に至るまでの説明。
ただ、まずその前段階として「しておかないといけないこと」があります。
それは「マクロのボタンの上に表示させている文字列をクリップボードに記憶させておくこと」です。
例えば、マクロのボタンに「テスト」と表示させているのであれば、空のメモ帳などに「テスト」と書き、
それを全文選択してコピーしておく、といった具合です。実は、この「前段階の作業」は後々肝になってくる部分なので、作業前にはぜひやっておきましょう。

■JAWSカーソルをマクロのボタンの上に上手く乗せるには?
 「キーボード+JAWS(読み上げソフト)」の操作でマクロのボタンを押すためには、つまるところ
「疑似マウスカーソルともいうべきJAWSカーソルをマクロのボタンの上に持っていき、クリックをする」-。まぁ、ようはこれだけのことなんです。
でも実際に「JAWSカーソル」を動かしてみたら分かると思うのですが、普通に「JAWSカーソル」を操作していたら、まず上手くマクロのボタンの上にカーソルを乗せることができない(泣)。

 ではどうするべきなのか?-。色々やり方はあると思うのですが、
ここでは「JAWS検索」というものを用いて「JAWSカーソル」をマクロのボタンの上に上手く乗せる方法を紹介します。

■JAWS検索を用いてカーソルを上手くボタンの上に
 「JAWS検索」を用いてJAWSカーソルをマクロのボタンの上に乗せる方法としては、具体的には以下のような感じです。
1.キーボードのテンキー「+」キーを押し、PCカーソルのモードにしておく(すでになっているのならこの操作は必要なし)

2.「Homeキー + Ctrlキー」を押し、PCカーソルをマクロのボタンがあるシートの一番左上に持っていく

3.2の状態から「Insert + テンキーの「-」キー」を押し、JAWSカーソルの位置をPCカーソルに合わせておく

4.「Insert + Ctrl + Fキー」を押して「JAWS検索」ウィンドウを呼び出す

5.この時、カーソルの位置は「JAWS検索をする際の検索キーワード」を入力するエディットボックスの中にあるので、前項の「前段階」でクリップボードに記憶させておいた『マクロのボタンに表示させている文字列』をCtrl+vで貼りつける

6.タブキーを4回ほど押し「検索」のボタンを押す

 これで「JAWSカーソル」がマクロのボタンの中心に乗っかります。晴眼者の方は、ネットを閲覧する際に使用するブラウザ上で「検索」を実行した際は、
画面上のマウスポインタが「検索キーワード」に指定した文字列の下へ「ビュン!」と飛ぶと思うのですが、まぁようはその理屈を活用しているのだと思ってもらえれば分かりやすいかと思います。

 また、「テスト」ボタンの上(または左)に例えばテストという、文字列が入力されたセルがあったりすると、
せっかくJAWS検索を使って飛ばしたJAWSカーソルが「そのセル」で止まってしまいます。こういう場合には

Insert + F3キー

を押して次の「テスト」にJAWSカーソルを移動させましょう。これを何度か繰り返していれば、JAWSカーソルは確実に「マクロのボタンの上」に乗るはずです。
ちなみに1つ前の「テスト」に戻るためには「Insert + Shift + F3キー」を押せば戻ることができます。

 正直、こうして文字に起こすと「何だか手順が多くて面倒くさそう」と思われがちですが、説明の文字が多いのはハッキリ言って自分の説明がヘタクソだから(笑)。
今回のこの作業、実際にやってみると案外簡単なものです。慣れてしまえばものの30秒もあれば、作業は完了しますね。

■JAWSカーソルにおけるマウスの左クリックはテンキーの「/」キー
 ここまでの作業で、ようやくJAWSカーソルをマクロのボタンの上に乗せることができたので、後はここでクリックをするだけです。
ちなみに「JAWSカーソル」モードにおける、マウスの左クリックと同等の役割をするボタンは「テンキーの「/」キー」です。
これでめでたく、マクロのボタンを押すことができました♪

 最後に-。ちなみに今回紹介した「JAWS検索」を利用して任意の場所にJAWSカーソルを持っていく方法は、
実は他の用途でも結構使い出があります。例えばグラフの軸ラベルの移動を試みる場合、JAWSカーソルをラベルの上に持っていく必要があるのですが……ここまで書けばもうだいたい分かりますよね?
JAWSという読み上げソフトを使っている場合、例えPCカーソルだけの操作ではどうにもならないことでも、このJAWSカーソルを使えば案外何とかなったりするものです。
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