毎時間毎時間、現国の時間に生徒に例の方式でもって長文を綴らせてますけど、このたび、史上(っつっても1年半ほどの歴史しかないけど)最長の問題を作りました。
解答の字数、なんと
200字以上!!!!!!!!!!
しかも、当然1文です。
本文は、「言語の消滅」について述べた文章。教科書では「評論」のジャンルに入っているやつです。個人的には、「単なる説明文じゃねーか」と思いますが。
あまりにも壮絶な作品なので、本文と併せて、掲載しておきます。
教科書本文の引用(一部略)
……(前略)……
言語学者は、現在の世界における諸言語の状態を三つに分けている。
A 絶滅の運命にある言語。全体の言語の数の二十~五十パーセント。
B 危機に瀕した言語。子どもがまだ母語として習得し続けてはいるが、現在のままでは二十一世紀末までにAの仲間入りする可能性があると考えられる言語。四十~七十パーセント。
C 安泰な言語。将来にわたって確実に話され続けるだろう言語。五~十パーセント。
この分類の基準にあるのは、子どもが当該の言語を母語として習得するかどうかにある(原文ママ:引用者註)。後に続く者がなければ、その言語を担う人間の生命がいずれ終わるのだから、遅かれ早かれその言語は消滅していくのである。
現在、Cはともかく、BはAへ、Aはゼロへと、非常な速さで進行中である。
消滅の状況の分類に続いて、消滅のプロセスの研究が進行し、各地でのさまざまなケースが私たちの耳目を引くことになったが、消滅の根本原因はより有力な言語への移行が、便利で、有利であるということにほかならない。
このことはとある言語の消失を文化の大きな損失だと考える人たちが、それを防ごうとしたとき、当該の言語の担い手に、文化の名において、便利さを放棄させることになりかねない。ここに問題解決のひとつの難しさがある。
もしあなたが話し手の数の少ない言語集団に生まれ、育ってきたとき、接した別の言語に本があり、ラジオがあり、テレビがあり、その言語を習得すれば、さらに高度の教育が受けられ、より収入の多い職に就けるとしたら、自分の母語を守れといわれても困惑する以外にはないであろう。
五百年前にイギリスの一言語であった英語が、現在ほぼ世界の共通語になった主な原因の一つは、この言語を習得すれば得られる有利さにあり、インターネットでわかるように、近年のマスメディアの発達はその傾向をさらに強めつつある。
いったん、消滅への道を歩み出した言語を再び繁栄へと向かわせることの困難をだれよりもよく知っている言語研究者が、せめてもとこの事態に立ち向かっている。(後略)
問題
問 傍線部「いったん、消滅への道を歩み出した言語を再び繁栄へと向かわせるこ
との困難」とあるが、この「困難」はどういう点にあるのか、200字程度で答
えよ。ただし、解答に際しては、以下に挙げる諸条件を踏まえた上で、語群に挙
げる語句等を漏れなく、順序通りに用いて一文で書くこと。
《条件》 ・〈消滅の危機にある言語〉を〈A言語〉とする。
・〈A言語〉を母語とする人々を〈A語人〉と呼ぶ。
・〈ある言語の消滅を防ぐ〉ことを〈ある言語を守る〉という。
語群 消滅しつつある言語 守 、
その言語 母語 人々 その言語 使用し、継承し続け こと 絶対条件で 、
A言語 守 こと 「文化を守る」 観点 価値 見出 言語研究者 、
A言語 守 主体 なること でき 、
母語 棄て より有力な言語 移行 方 有利である 現実 存在 、
A言語 守 主体 なり得 A語人 、
A言語 守 こと 価値 見出すこと でき という点。
……いかがなもんでしょう?
この問題、実はそんなに難しくないわけで、授業でも簡単な図を書くだけで説明できてしまうものでした。
しかしながら、ウチの学校のレヴェルでは、ほぼ完璧な解答を書いたのは、3クラス中たったの2人。
中心になる骨組だけでも、書けていたのは5、6人だけでした。
日本語という言語は、文をつかさどる核になる部分が書き出しと文末に跨る傾向があるので、「係り受け」の意識なしにテキトーに文を綴ると、メチャクチャになってしまう。
生徒たちの答案も、ほとんどがメチャクチャなものでした。
「係り受けを意識して文を作る」……言ってしまえばこれだけのことなんですけど、それを指導するのは難しいし、時間がかかる……。
先は長いなあ……。
解答の字数、なんと
200字以上!!!!!!!!!!
しかも、当然1文です。
本文は、「言語の消滅」について述べた文章。教科書では「評論」のジャンルに入っているやつです。個人的には、「単なる説明文じゃねーか」と思いますが。
あまりにも壮絶な作品なので、本文と併せて、掲載しておきます。
教科書本文の引用(一部略)
……(前略)……
言語学者は、現在の世界における諸言語の状態を三つに分けている。
A 絶滅の運命にある言語。全体の言語の数の二十~五十パーセント。
B 危機に瀕した言語。子どもがまだ母語として習得し続けてはいるが、現在のままでは二十一世紀末までにAの仲間入りする可能性があると考えられる言語。四十~七十パーセント。
C 安泰な言語。将来にわたって確実に話され続けるだろう言語。五~十パーセント。
この分類の基準にあるのは、子どもが当該の言語を母語として習得するかどうかにある(原文ママ:引用者註)。後に続く者がなければ、その言語を担う人間の生命がいずれ終わるのだから、遅かれ早かれその言語は消滅していくのである。
現在、Cはともかく、BはAへ、Aはゼロへと、非常な速さで進行中である。
消滅の状況の分類に続いて、消滅のプロセスの研究が進行し、各地でのさまざまなケースが私たちの耳目を引くことになったが、消滅の根本原因はより有力な言語への移行が、便利で、有利であるということにほかならない。
このことはとある言語の消失を文化の大きな損失だと考える人たちが、それを防ごうとしたとき、当該の言語の担い手に、文化の名において、便利さを放棄させることになりかねない。ここに問題解決のひとつの難しさがある。
もしあなたが話し手の数の少ない言語集団に生まれ、育ってきたとき、接した別の言語に本があり、ラジオがあり、テレビがあり、その言語を習得すれば、さらに高度の教育が受けられ、より収入の多い職に就けるとしたら、自分の母語を守れといわれても困惑する以外にはないであろう。
五百年前にイギリスの一言語であった英語が、現在ほぼ世界の共通語になった主な原因の一つは、この言語を習得すれば得られる有利さにあり、インターネットでわかるように、近年のマスメディアの発達はその傾向をさらに強めつつある。
いったん、消滅への道を歩み出した言語を再び繁栄へと向かわせることの困難をだれよりもよく知っている言語研究者が、せめてもとこの事態に立ち向かっている。(後略)
問題
問 傍線部「いったん、消滅への道を歩み出した言語を再び繁栄へと向かわせるこ
との困難」とあるが、この「困難」はどういう点にあるのか、200字程度で答
えよ。ただし、解答に際しては、以下に挙げる諸条件を踏まえた上で、語群に挙
げる語句等を漏れなく、順序通りに用いて一文で書くこと。
《条件》 ・〈消滅の危機にある言語〉を〈A言語〉とする。
・〈A言語〉を母語とする人々を〈A語人〉と呼ぶ。
・〈ある言語の消滅を防ぐ〉ことを〈ある言語を守る〉という。
語群 消滅しつつある言語 守 、
その言語 母語 人々 その言語 使用し、継承し続け こと 絶対条件で 、
A言語 守 こと 「文化を守る」 観点 価値 見出 言語研究者 、
A言語 守 主体 なること でき 、
母語 棄て より有力な言語 移行 方 有利である 現実 存在 、
A言語 守 主体 なり得 A語人 、
A言語 守 こと 価値 見出すこと でき という点。
……いかがなもんでしょう?
この問題、実はそんなに難しくないわけで、授業でも簡単な図を書くだけで説明できてしまうものでした。
しかしながら、ウチの学校のレヴェルでは、ほぼ完璧な解答を書いたのは、3クラス中たったの2人。
中心になる骨組だけでも、書けていたのは5、6人だけでした。
日本語という言語は、文をつかさどる核になる部分が書き出しと文末に跨る傾向があるので、「係り受け」の意識なしにテキトーに文を綴ると、メチャクチャになってしまう。
生徒たちの答案も、ほとんどがメチャクチャなものでした。
「係り受けを意識して文を作る」……言ってしまえばこれだけのことなんですけど、それを指導するのは難しいし、時間がかかる……。
先は長いなあ……。