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【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業 4章 迷いの始まり 16 ブックエンドの次の商品は

2024-06-21 12:01:00 | 【小説風】竹根好助のコンサルタント起業

  【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業 4章 迷いの始まり 16 ブックエンドの次の商品は 

 
■ 【小説】 竹根好助の経営コンサルタント起業 
 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。

【これまであらすじ】
 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。

◆4章 迷いの始まり 16 ブックエンドの次の商品は

  ※ 直前号をお読みくださるとストーリーが続きます。
     直前号 ←クリック

 竹根は、ファイルフォルダーでの苦い経験を何とか払拭したいとかねてから考えていた。ファイリングキャビネットの販売である。地球儀の時に失敗した『体積の張る物は空気を運ぶようなものである』という教訓である。ファイリングキャビネットも空気を運ぶに等しい商品である。しかし、アメリカでノックダウン生産をすれば価格でも勝負できるのではないかと考え、本社に企画書を出した。返事待ちである。
 昨年の暮れに来たラッキーの幸常務の出張中に思いついたレタリングビジネスは、竹根自身もアメリカに赴任する前、中南米に多数のセットを輸出した実績があるから、プリントショップ向けに販売展開をすぐにできた。
 ある規模の売上をすぐに上げるためには、統計器はどうかと思いついた。統計器というのは、営業パーソンが、いくら売上を上げたか、グラフとして表示するための機器で、色の異なるテープが目盛りのついたボードにループになっていて、つまみを掴んで上下をさせることができる。ノブ状のものが付いていて、それを回転させる方法でグラフを上下する方式の機種もある。
 これを販売するには、その用途、使い方を理解させるだけではなく、管理としてそれを活用する方法など、ユーザーが知っておくべきことは多数ある。そこでユーザーごとに提案書を提示し、管理職にはそれを管理に活かす研修も提案した。いわゆる提案営業を竹根は独自の形で進めることにした。
 しかし、統計器は、文具屋の立場では手間のかかる販売であるために興味を示さない。事務機のルートに持って行ったら、事務機に比べて統計器の価格は何十分の一か、場合によると何百分の一にしかすぎず、こちらでも興味を示されなかった。竹根は、考えたあげく、自分が所属しているAMAに話を持ち込んだ。AMAとは、アメリカン・マーケティング・アソシエーションのことで、マーケティングの専門家が集まっている。その中には、コンサルタントも非常に多い。幸いAMAの役員は大変興味を示してくれ、AMAに出入りしている業者を紹介してくれた。その業者が、全米の総代理店として販売をしてくれることになった。
 竹根が、経営コンサルタントに接する初めての機会でもあり、経営コンサルタントという仕事に非常に興味を持った。
 ニューヨークに来て五ヶ月、竹根は自分の失敗をどのように活かすのか、粘り強さとその思考方法は、後に経営コンサルタントとして非常に役に立つことになる。
 ニューヨークに短い春が訪れると共に、竹根のビジネスにも多少暖かさが見えてきた。かほりとも仕事上のやりとりだけではあるが、手紙を書くことが多くなった。自宅に私信がまた舞い込んでくることを密かに願うが、残念ながらそちらは希望通りにはなっていない。たった一通、年賀状を加えると二通のかほりからの私信は、竹根の心に春の火をともし続けてくれた。

  <続く>

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