牧師の読書日記 

読んだ本の感想を中心に書いています。

3月21日(木) 「21世紀のチェーンストア」 渥美俊一著  実務教育出版

2013-03-21 08:15:55 | 日記

 著者はチェーンストア経営のコンサルタントであった人物である。2010年に死去されている。本書の副題は、「チェーンストア経営の目的と現状」である。

 まず「チェーンストア」とは何かを説明している。本からの引用。「つまり、一店ではできるはずのないことを、特別に工夫された経営上のシステムによって、素晴らしい豊かな”暮らし”というご利益を、国民の大部分に提供する社会的インフラというのが、私どものいうチェーンストアという言葉の本来の意味である。」

 町に一店しかなければ店の評判は小さいだろうが、町にもし10店あればその店の評判は大きくなっていくだろう。それが消費者の購買力につながっていくわけだ。


 続いて本からの引用。「チェーンストアで行なってはならない経営方式が「のれんわけ」である。これは、本店で長年修行した者がその技術を習得して、独立店を開業するということだ。本店と近似店が増えていくので、同じ店がどんどん増えているように見えるが、経営は全く別である。”孤立”するだけで、マスの効果はあがりっこないのである。チェーンストア経営システムとは、本部とマス化された多数店舗とが独特の仕組みで、追随を許さない威力を発揮する仕組みである。」


 著者は、日本ではまだチェーンストアはアメリカの社会のように社会的インフラとは認知されていない、としてアメリカからもっと学ぶべきであると書いている。本からの引用。「絶対原則は、①大部分の人々が使う品、つまり大衆品と、②日常的により高頻度で多量に使う品、つまり実用品を、③より低い売価で、④より多くの地域で、⑤同じように提供することである。従って、それを実現するためには、 (1)より高頻度来店、つまり固定客を増やすこと、 (2)より小商圏化、つまり寡占化を進めること、 (3)より客にとって便利に、使い勝手の良い買い物環境を整えることを目指すのである。そのための手段は、第一に、ベーシック商品を揃えることである。ベーシック商品とは、消費者がいかに節約しようとしても、どうしても買わざるを得ない必需品の中から、わが者のフォーマットと独自の政策に合うものを選び抜いた商品群を指す。つまり核商品作りだ。」

 私たちが今年からスタートしようとしている直売所においても、ベーシック商品を揃えることに力を入れたいと考えている。

 
 日本人がアメリカ視察に行くと、多くの人は「アメリカのお店の品揃えは貧弱だ」と言って、品数数、売値の種類、スタイル種類、色数の少なさを指摘するが、著者はこれこそ実は本当の豊かさの象徴なのだ、としている。なぜなら、迷わず、選びやすく、楽しい買い物ができるからで、逆に日本は、品数が多すぎて迷わせ選びにくい買い物をさせてしまっていると書いている。

 私たちの直売においても多くの品数を揃えるというよりは、自信のある商品だけを置いて、選びやすく、楽しい買い物をしてもらえるように心がけたい。ただ直売ならではの少し変わったカボチャなどを作る工夫もしていきたい。