今まで勉強した漢音・呉音・唐音などとは異なる音で,日本で広く使われ一般化している漢字の音のことを「慣用語」と言います。
さて,ここで難しい漢字の問題を出しましょう。「輸贏」という言葉を知っていますか。「試合の輸贏を左右する」とか「輸贏を争う」とか言います。勝負,勝ち負けのことですが,輸贏はとくに賭博,ギャンブルの勝ち負けを意味します。輸贏の「輸」は負けることで,「贏」は勝つことです。さてこの「輸贏」は何と読むのでしょうか。
ヒントを出しましょう。韓国語では「輸出」のことを수출と読むでしょう?この수の音が「輸」の字の本来の音なんです。本来,中国では「輸」の字は「ス」「シュ」に近い音で発音されていました。それが日本では「ユシュツ」の「ユ」になってしまったのです。つまり「輸」は旁の「兪」に引かれて「ユ」と本来にない読みをするようになったのです。日本では「諭,愉,喩,癒」を「ユ」と読むことから「輸」も「ユ」と読んだわけですね。しかし韓国語ではちゃんと「諭,愉,喩,癒,兪」は유,「輸」は수と書き分けています。「輸贏」の正しい読みは「シュエイ」,韓国語では수영です。
みなさんは韓国語を習いたてのころ「輸出」が수출だと聞いて,エッと思ったのではないでしょうか。しかし今考えてみると,韓国語はこの点「仕事きっちり」ですね。
日本では「洗滌」を「センジョウ」と読んでいますね。これは漢字の本来の音とは違って慣用的な読み方をしているのです。韓国語では元来の音「センデキ」と読んで,ハングル表記は세척です。
そのほかにも情緒の「緒」を,著(チョ)や猪(チョ)につられて,「チョ」とも読みますよね。「ジョーチョ」と。でも韓国語では「」は서,「著」は저です。
ゆとりがなく,気ぜわしく事をするさまを「あくせく」と働くと言いますよね。ちょっと難しい漢字ですけど「齷齪」です。これは「あくさく」の慣用読みです。韓国語では악착と言いますが,日本語とは少し意味が違います。악착을 떨다で「しぶとい」「ねばりづよい」という意味です。악착(을) 부리다 と言えば「がむしゃらに働く」という意味です。
そのほか,慣用読みで読まれる漢字語を上げてみます。韓国語での音に注意してください。( )が元来の読み方です。
かくさ 【較差】(こうさ):교차
かくはん 【攪拌】(こうはん):교반<攪拌>
こうくう 【口腔】(こうこう・医学での慣用読み):구강
しいか 【詩歌】(しか):시가
すいみん 【睡眠】(すいめん):수면
どんよく 【貪欲】(たんよく):탐욕 <貪慾>
びんらん 【紊乱】(ぶんらん):문란 <紊亂>
さんぷ 【撒布】(さっぷ):살포
りんぎ 【稟議】(ひんき):품의
ろうえい 【漏洩】(ろうせつ):누설
「紊乱」というのは,乱れること,乱すことです。「社会秩序を⋯する」などと言います。
「稟議」というのは,官庁・社会などで,会議を開くほどに重要ではない事項について,案を関係者に回してその承認を求めることです。
これらの単語も日本語の音にとられると韓国語で何というのか分からなくなります。
このように日本語と韓国語の音がかけ離れているものは,探せばまだまだいっぱいあります。次の単語は何と読むのでしょうか。
(a) 痴呆症〈癡呆症〉
(b) 沸騰
(c) 欧米諸国〈歐美諸國〉
(d) 筋肉弛緩剤〈筋肉弛緩劑〉
(e) 竪穴住居
こたえ
(a) 치매증 (b) 비등 (c) 구미 제국 (d) 근육 이완제 (e) 수혈 주거
しかし韓国語でも慣用読みをしている単語もいくつかあります。
「消耗(しょうもう)」は「しょうこう」の,「憧憬(どうけい)」は「しょうけい」の,そして「捏造(ねつぞう)」は「でつぞう」の慣用読みですが,韓国語でもこれらは소모,동경,날조と慣用読みをしています。
さて,ここで難しい漢字の問題を出しましょう。「輸贏」という言葉を知っていますか。「試合の輸贏を左右する」とか「輸贏を争う」とか言います。勝負,勝ち負けのことですが,輸贏はとくに賭博,ギャンブルの勝ち負けを意味します。輸贏の「輸」は負けることで,「贏」は勝つことです。さてこの「輸贏」は何と読むのでしょうか。
ヒントを出しましょう。韓国語では「輸出」のことを수출と読むでしょう?この수の音が「輸」の字の本来の音なんです。本来,中国では「輸」の字は「ス」「シュ」に近い音で発音されていました。それが日本では「ユシュツ」の「ユ」になってしまったのです。つまり「輸」は旁の「兪」に引かれて「ユ」と本来にない読みをするようになったのです。日本では「諭,愉,喩,癒」を「ユ」と読むことから「輸」も「ユ」と読んだわけですね。しかし韓国語ではちゃんと「諭,愉,喩,癒,兪」は유,「輸」は수と書き分けています。「輸贏」の正しい読みは「シュエイ」,韓国語では수영です。
みなさんは韓国語を習いたてのころ「輸出」が수출だと聞いて,エッと思ったのではないでしょうか。しかし今考えてみると,韓国語はこの点「仕事きっちり」ですね。
日本では「洗滌」を「センジョウ」と読んでいますね。これは漢字の本来の音とは違って慣用的な読み方をしているのです。韓国語では元来の音「センデキ」と読んで,ハングル表記は세척です。
そのほかにも情緒の「緒」を,著(チョ)や猪(チョ)につられて,「チョ」とも読みますよね。「ジョーチョ」と。でも韓国語では「」は서,「著」は저です。
ゆとりがなく,気ぜわしく事をするさまを「あくせく」と働くと言いますよね。ちょっと難しい漢字ですけど「齷齪」です。これは「あくさく」の慣用読みです。韓国語では악착と言いますが,日本語とは少し意味が違います。악착을 떨다で「しぶとい」「ねばりづよい」という意味です。악착(을) 부리다 と言えば「がむしゃらに働く」という意味です。
そのほか,慣用読みで読まれる漢字語を上げてみます。韓国語での音に注意してください。( )が元来の読み方です。
かくさ 【較差】(こうさ):교차
かくはん 【攪拌】(こうはん):교반<攪拌>
こうくう 【口腔】(こうこう・医学での慣用読み):구강
しいか 【詩歌】(しか):시가
すいみん 【睡眠】(すいめん):수면
どんよく 【貪欲】(たんよく):탐욕 <貪慾>
びんらん 【紊乱】(ぶんらん):문란 <紊亂>
さんぷ 【撒布】(さっぷ):살포
りんぎ 【稟議】(ひんき):품의
ろうえい 【漏洩】(ろうせつ):누설
「紊乱」というのは,乱れること,乱すことです。「社会秩序を⋯する」などと言います。
「稟議」というのは,官庁・社会などで,会議を開くほどに重要ではない事項について,案を関係者に回してその承認を求めることです。
これらの単語も日本語の音にとられると韓国語で何というのか分からなくなります。
このように日本語と韓国語の音がかけ離れているものは,探せばまだまだいっぱいあります。次の単語は何と読むのでしょうか。
(a) 痴呆症〈癡呆症〉
(b) 沸騰
(c) 欧米諸国〈歐美諸國〉
(d) 筋肉弛緩剤〈筋肉弛緩劑〉
(e) 竪穴住居
こたえ
(a) 치매증 (b) 비등 (c) 구미 제국 (d) 근육 이완제 (e) 수혈 주거
しかし韓国語でも慣用読みをしている単語もいくつかあります。
「消耗(しょうもう)」は「しょうこう」の,「憧憬(どうけい)」は「しょうけい」の,そして「捏造(ねつぞう)」は「でつぞう」の慣用読みですが,韓国語でもこれらは소모,동경,날조と慣用読みをしています。
昔は「ジュンラン」「シュンラン」が使われていた可能性が高いということです。
「絢」は「均質な織り目。幾何学的模様」を意味し,音部の「旬」は「均(キン)」に通じ、「キン」→「ケン」のように音が変化したようです。
豪華絢爛となるんですね。日本語は本当に
難しいです。というよりは私の勉強不足が
原因かな。