川天使空間

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新型インフルエンザワクチンをいつまでやるか

2009年11月25日 05時25分48秒 | 小児科
昨日はインフルエンザ迅速検査陽性数の記録を更新。
外来を終えてもうひとふんばりと、1月以降のワクチン予約ノートを作った。
接種人数が増やせるといいのだけれどと思いつつ、スケジュールを入れる。

ふと思った。
新型インフルエンザの流行が終わればワクチンは要らない?
いや、それはない。

世界中で何千万人もが亡くなったと言われるスペイン風邪。
今と同じH1N1のインフルエンザ。
日本では秋から流行がはじまり、いったん沈静化したかに見えたのに翌1-2月にまた大流行。
7月頃にやっと終息したという。

1918-1919スペイン風邪の流行状況

今回はそれほどではないだろうが、しばらくあちこちで流行が続くはず。
すこし落ちついたからといって油断はできない。
二回目の接種のぶんの予約枠をきちんと作っておかねば。
覚悟して作業を続けたのだった。

ひでじぃさま、ファイルの件お手間をかけてすみませんでした。
(またやらかしたらしい)
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)


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『やぶ坂からの出発(たびだち)』高橋秀雄著 小峰書店

2009年11月24日 05時25分50秒 | 創作・本の紹介
ひでじぃさま渾身の「父ちゃん」三部作、完結編。

「坂の上から」
たった4ページの章に、主人公良夫一家が県道近くのサトイモ畑に引っ越しが決まったという経緯と、良夫の「父ちゃん」悟一が「そこで店をやる」と決心したことが綴られ、新たな展開になるのだなと教えてくれる。
冒頭からの過不足のないひでじぃさまの文章に、からめとられていくのが気持ちいい。

「押し上げの窓」
算数のテストで良夫は2回目の100点を取り、クラス一成績がいい川村君の家に呼ばれる。鉄道模型を自慢され、図鑑がびっしり並ぶ本棚をうらやましくも思うがなにか居心地が悪く、「いる世界が、違うみてえ」とため息をつく。
風邪で熱を上げて、押し上げの窓からやぶ坂を駆け下りる和雄たちを見る。
良夫の心の動きがすうっと入ってくる文章だから、完全に良夫になりきって、100点を喜び、川村君の前でみじめな自分を思いながらも隔たりを感じ、勾配が急なやぶ坂をわいわい言い合いながら下りる和雄たちに安らぎを覚える。

「ひと口-ヤモと雑魚の十月」
絵を誉められて喜んだのもつかの間、色覚異常を疑われ、何度も受けた色神の検査をまた受けさせられる良夫。「なんでおれだけ」と、やりどころのないつらさに、心が痛くなる。雨を見ていたら川の音が耳に入ってきて、ひとりで釣りに出かける。
雨の中の川で、いつもはいるはずのない大物のヤモ(ヤマメ)を釣り、父ちゃんに食べてもらいたいと思う。
ドキドキしながら母と祖母のぶんをさらに2尾釣り上げ、自分のぶんの雑魚も釣る。
囲炉裏で焼いたヤモの塩焼きを、父ちゃんから一口もらう良夫。
「色弱」のつらさが、ふっとんでしまう爽快感。

「おひねり」
芝居の一座が村にやってきた。引っ越しで余分な金がないから見に行けないと良夫はあきらめていたが、一座の子どもたちの服についた草の実を取ってやり家に送ると、お礼に十円をもらった。芝居小屋に気を取られて飯炊きを失敗すると、祖母のツネが「しょうがねぇ、芝居行くか」と言ってくれる。
越後獅子を踊り終えた一座の子どもたちが取り合うようにおひねりを拾う姿を見て、良夫は辛くなる。その姿を「かわいそう」という女の人の言葉に反発して、良夫がお礼にもらった十円のおひねりを投げると、それを拾った子が一瞬良夫を見た気がして、もう一度会いたいと思った。
良夫の心のゆれぐあいが、もう、たまらない。

「酔っぱらいとネーブル」
母親の年子がリンパ腺の手術をして入院している病院へ、良夫は悟一と出かける。土方のバスに乗って早朝にでかけてお見舞いを終え、着がえなどで大きくふくらんだ唐草模様の風呂敷包みを悟一が背負った。それがドロボウみたいで良夫は恥ずかしくてならない。はじめて入った町の食堂で悟一は酒を飲む。帰りのバスまで時間があるので、先のバス停まで歩くという悟一。しかし酔っぱらってまともに歩けず、果物屋に入って「皮まで食えるミカン」だとネーブルを買う。悟一はやっとバスに乗せられ眠りこんでしまうが、そんな酔っぱらいの悟一を可笑しく思う良夫。
悟一に振り回されながら、でもそのすべてを受けいれている良夫がいとしい。

「ねえやん-出発の日に」
良夫が悟一に頼まれて「カエル屋敷」に豆腐を持って行くと、建て付けの悪いガラス戸の中から出てきたのは中学生くらいの少女だった。汚れた格好をした三歳と小学一年生くらいのふたりの弟に「ねえやん」と呼ばれていた。豆腐の代金をもらえずに帰ってきたが、少女は実は良夫と同じ学年で、母が後妻で継母だから学校に行かせてもらえないでいたことを知る。卒業式ではねえやんの名前が呼ばれて返事はなかったが、良夫の目には家事をしながら小さな弟たちを世話している姿がうかんだ。
自分とはまた違う境遇にいる、つらい思いをしている子ども。辛いのに、心痛むのに、どうしてだろう、いつのまにか気持ちがやさしくなっている自分に気づく。
この本を読んだ子どもたちが同じ気持ちになったなら、それはお金では買えない心の糧だと確信した。

本の最初から最後まで、読み捨てることのできない言葉に満ちている。

「はじめに」の文章には、「ひとりひとりがいつもドラマの主人公なのだ」。
進歩のない弟子達をはげましてくれるひでじぃさまの肉声に思えた。

「あとがきにかえて 囲炉裏ってなんだろう?」
囲炉裏の灰を均しているときの気持ち、囲炉裏の火に集まる家族。
エッセイのようなあとがきを読んで、団欒の火は、太古の昔から家族を結びつけていたのだなぁと遠い時間を思った。

ひでじぃさま、こんな宝石みたいなご本を読ませていただき、ありがとうざごいました!!

また投稿作品はボツだったようで、ちょっとへこんだ。
どうも「文学」から気持ちが離れすぎていた模様。
でもひでじぃさまの「ヤモ」のところを読んだら、またにんまり。
よおし、次こそがんばろう。
……と思ったら掲載だったそうで。
ううっ、縁起が良いとは言えない詩です。ごめんなさい、ひでじぃさま。
ワクチンの予約の準備とか保育所の集団接種の詰めとか、今日も仕事が待っている。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)
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休養たっぷり

2009年11月23日 05時54分50秒 | その他
昨日の朝は買い出しに出かけ、昼は猫とねころび本を読みTVでサッカー観戦して、たっぷり休んだ。
小児科のMLでは、休日にインフルエンザの集団接種をする人もいるとのこと。
ちょっと申し訳ない。
でももう一日、休ませてもらうのだ。
なんだか気が抜けて喘息気味だしね。

ひでじぃさまのご本を一通り読んだ。
今日は再読と短編の書き直し。
いい本は、やっぱり、いい。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)

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10mlバイアルと残量

2009年11月22日 05時45分54秒 | 小児科
「病院の患者さん用にも新型インフルエンザワクチンが届いたんですが、ほとんど10mlのバイアルなんですよ」
親病院である今村病院感染対策担当の検査室長さんが嘆いていた。
その大変さは痛いほどわかるから、ワクチンの予約ノートを見て、
「小児科で1本引き受けます。1mlと交換します」
と伝えた。

新型インフルエンザワクチンの10mlバイアルは非常に評判が悪い。
大人だと18名を一気に注射しなければならず、子どもに至っては6歳未満なら50名の計算になるのだから。

通常のワクチンは1mlなのに、どうしてこんなバイアルが作られてしまったのだろう。
より短時間で多人数用のワクチンを用意するために多く作られたとか、ほんとに毒性の強い鳥インフルエンザに備えての生産ラインの準備の意味もあるとか、ほかにもいろいろ理由があるらしいが。

で、いくら予約でワクチンを打っていても、体調不良とかインフルエンザに罹ってしまったとか、当日になって必ずキャンセルは出る。
どうしても残量が発生するのだ。

よほど苦情が多かったらしく、県から通達が来た。

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「新型インフルエンザワクチン10ml瓶の使用残液の取り扱いについて」

 A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)については、添付文書の取り扱い上の注意の項において、「一度針を刺したものは、当日中に使用する」となっておりますが、注文に対する供給量が少ない中で、当県に千本を超える10ml瓶が供給され、現在、使用残液の接種可否についての問い合わせが多数寄せられております。
 このことについて、厚生労働省に照会したところ、次の回答を得ましたのでお知らせします。
 新型インフルエンザワクチン接種は国の事業であり、本件においても厚生労働省の回答に基づき対応いただくよう別添のとおり関係者に通知したのでお知らせします。
 なお、本件は、現状の優先順位に基づいて接種した場合、廃棄が見込まれる分の取扱いであり、原則予約制で実施している本事業において、計画的に優先順位をくずして接種することを認める趣旨のものではないことに留意することとされています。

 照会に対する厚生労働省の回答
 ・優先接種対象者の範囲(※)内にて、まず同一順位の者に接種し、同一順位の者に接種するのが困難である場合は、次順位の者に接種することは可能である。
 ・上の取扱いは、優先接種対象者の範囲内であれば、契約違反にならない。

 ※優先接種対象者及び接種順位
 1)医療従事者
 2)妊婦・基礎疾患を有する者
 3)小児(1歳~小学校低学年)
 4)1歳未満の小児の保護者等

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ふうぅ、書き写すのも大変(こんなのが絶えず来ているわけです)。
つまり、もし24時間以内に使えない状況になったら、上の順位に従って優先接種対象者であれば予約なしでも、たまたま来院した患者さんや呼び寄せた子どもなどに接種しても良いということ。

さっそく昨日、この条件を満たして接種した子が4名。
連休前の土曜日だったから、どうしても翌日にワクチンを回せなかったのだ。
ただし、「予約なしで新型のワクチンをやってもらえた」と周りの人に説明なしに触れ回ってもらっては困るので、上の内容を簡単にした「本日接種したワクチンについて」という説明書きを渡した。

いろいろ、いろいろ、ほんとうに神経を使うのです。

久しぶりに創作モードに片足を踏み入れた。
今日はどこまでやれるかな。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)


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ワクチンの効果

2009年11月21日 05時41分49秒 | 小児科
「よーし、がんばったね。これで新型にはかからないね」
と新型インフルエンザワクチンを受けた子をほめるお母さん。
その傍らで私は、かかったらごめんなさい、と心の中でつぶやいている。
インフルエンザワクチンの効果、それほどのものではないのだ。
特に子どもは免疫がつきにくいから二回接種になっているわけで。

麻疹ワクチンはかなり効果が高い。
一度受ければ予防効果があらわれ、効果が薄れた頃に二度目を受ければほぼ感染を防ぐことができる。
もしかかっても軽症になるはず。
水痘ワクチンは感染はするけれど、かなり軽症ですむ。痕も残りにくい。

けれどインフルエンザワクチンは、受けてもかかることが多い。
インフルエンザウィルスはどんどんその形を変えていくのが特徴。
だから毎年会議が開かれ「今年のA型はこの株とこの株、B型はこの株」というように、予想された株をもとにワクチンが生産される。大方のところでは当たっているけれど、ばっちり、ではないから必ず流行して、ワクチンを受けてもかかることに。

たしかにワクチンを受けるとある程度軽くすむ印象はある。
でも、脳症への予防効果は証明されていない。
それならなぜこんなにワクチンを薦めるのか。
それは「集団予防」のため。

効果は低いとはいえ、多くの集団が免疫を上げると流行が阻止される。
インフルエンザワクチンが学校の定期接種だった昔は、大流行がなかった。
定期接種から外れてインフルエンザワクチンを受ける人が減ったとたん毎年大きな流行に。
高齢者の肺炎や子どもの脳症が多いこともあってワクチンが再度脚光を浴び。
高齢者への補助もあって、最近は多くの人がワクチンを受けるようになった。
集団の免疫があがったせいで、ここ数年は大流行していなかった。

ところが、この新型インフルエンザにはほとんどの人が免疫なし。
ただしAソ連型と一部構造が似ているせいか、年長者はかかりにくい模様。
若く活動的な集団から流行がはじまり、しだいに下の年齢集団へ移ってきている。

子どもの脳症は例年のインフルエンザと同じレベルで発生中。
新型インフルエンザの特徴として感染初期の呼吸障害がある。
迅速診断で診断される前後の早い時期から呼吸が苦しくなり、一気に進行。
各地で人工呼吸管理をする子どもが増えている。

このまま行けば子どもの感染者は増え続け、脳症や呼吸不全の死者が増える。
新型ワクチンは季節性ワクチンより選択的に効くはずで個人予防効果も多少あるかもだけれど、なにより集団の免疫を高めて流行を早く沈静化させる効果が期待される。

と、信じつつ、ワクチンを打ちまくる毎日。
ちょっと減ったかと思った患者さんがまた増えて、下新城小学校からは「休校になりました」の連絡もあった。
毎日がなんだか戦いみたいな気がするのは気のせいか。

作品の手直しをはじめた。
ひでじぃさまの本を読みながらだとその差がきつい。
ちょっとずつ、創作も同時進行でやっていけたらいいな。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)
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